バルクホルンとミーナ中佐が事態に気付く少し前。こっそりと部屋から抜け出した宮藤はハンガーに来ていた。
「芳佳ちゃ〜ん!」
突然背後から宮藤を呼ぶ声が聞こえた。
「リーネちゃん!?」
宮藤は驚いて振り返った。
「今出ていったら次は謹慎じゃ済まないよ」
「どうしても確かめたいの!」
良くも悪くも真っ直ぐな宮藤の意思がその程度で曲がるはずもなくそう言った。
「私、ネウロイの事はわからない。でもね、芳佳ちゃんのことならわかるよ!諦めないところ、真っ直ぐなところ。
だから私も行く!」
泣きそうな顔でリーナが言った。
「えっ!」
「すぐに支度するから!」
「駄目!リーネちゃん!!」
部屋に戻って支度をしようとしたリーネに宮藤は言った。
「どうして?私じゃ駄目?」
後ろを振り向いたままリーナは立ち止まったリーナは尋ねた。
「違うの。これは私が一人でやるって決めたの。お願い」
坂本少佐の負傷に対する負い目もありこれ以上自分が原因で怪我を負う人を増やしたくなかったからだ。
「お願い」
そう訴える宮藤にリーナは駆け寄るとその体をぎゅっと抱きしめた。
「早く帰ってきてね」
「うん」
「ずっと待ってるからね」
「うん」
※
「宮藤さんが脱走しました」
ミーティングルームに入院中の坂本少佐と看病をしているペリーヌと夜間哨戒のため休んでいるサーニャ以外を集めるとミーナ中佐が端的にそう言った。
「脱走?」
「やるなぁ」
その言葉を聞いたメンバーは皆思い思いの言葉を述べた。
「司令部に知られる訳にはいかないわ。すぐに捕まえて連れ戻すわよ」
そう言って全員でハンガーに向かおうとしたとき、ミーティングルームに備え付けられている電話が鳴り響いた。
「はい、501。…エイラさん?…もう知っているのね。それなら私が聞くわ。…どうして?…わかったわ」
受話器から耳を離すとミーナ中佐はバルクホルンを見て言った。
「トゥルーデ、あなたに変わってほしいそうよ」
「バルクホルンだ。…待て、それは。…見捨てる気か?…それはそうだが。…わかった」
電話が終わったバルクホルンが受話器を置くと皆が内容を聞くよりも先に轟音と共に拳が壁へと突き刺さった。
「クソッ!」
「トゥルーデ?一体命令はなんだったの?」
「宮藤の捕獲、ないしは撃墜。それに際してネウロイとの一切の交戦を禁ずる、だそうだ」
「ならネウロイの巣に近づく前に宮藤を捕まえればいいだけだね。まったく、いきなり壁を殴ったりするから一体どんな命令が降ったのかと思ったよ。ほら、早く行こうよ」
ハルトマンがそう言った。
「あ、ああ」
「ほらミーナも」
そう言って出撃を促すハルトマンにミーナ中佐が言った。
「私はダメよ。エイラさんから501部隊の指揮に関する一切の権限を停止されたわ」
「それは私も聞いた。だからミーナ、私の判断で中佐を私の指揮下に加える。戦闘隊長なのだからそれくらいしても大丈夫だろう」
バルクホルンが言った。
「…ありがとうトゥルーデ」
「宮藤を見つけるにはミーナの固有魔法があった方がいいからな。それとリーネは留守番だ。宮藤の代わりに自室で謹慎しておけ」
宮藤の脱走を手助けした人物を連れて行くほどバルクホルンは甘くなかった。
「…はい」
※
「そろそろこの間の場所…」
宮藤は再び昨日人型ネウロイと遭遇した地点へときていた。
「あっ!」
意外とそれはあっさりと宮藤の前に姿を現した。
しばらく見つめ合うようにホバリングしていると唐突に背を向けると移動し始めた。
「待って!」
その時宮藤を追い掛けて出撃した面々が、人型ネウロイを追う宮藤を発見した。
「いた!一緒にいるよ!」
「全員停止!このままの距離で様子を見るぞ!」
「けどトゥルーデ!今行かないとこのままじゃ宮藤が巣に入っちゃうよ!」
ハルトマンのいう通り宮藤が向かう先には巨大なネウロイの巣があった。
「わかっている!だが…」
「あっ!芳佳中に入っちゃうよ!」
「なに!」
ハルトマンと話すために一瞬目を離しただけだったが他のウィッチならともかくウィッチになって日も浅くネウロイの巣に対する知識も薄い宮藤だからこそ警戒心もなくあっさりと中に入っていった。
「入っちゃったけどどうする?」
ハルトマンの問いかけに答えることなくバルクホルンはミーナ中佐に意見を求めた。
「どう思うミーナ?」
「様子を見るしかないでしょうね」
「そうだな」
※
ネウロイの巣に突入した宮藤はしばらくの間巣の外部と同じような黒い雲に覆われた細い通路を進み続けていた。
突然それまでの黒い雲に覆われた道から八角形のパネルのような内壁に図形のような模様が描かれた広い空間に出た。下の方にはカラフルな地形図が広がっている。
「ここは?」
人型ネウロイは赤い十二面体の物体の横に浮いていた。
「コア…だよね?」
コアを挟んで向かい側に宮藤が移動した。
次の瞬間、周りにスクリーンのようなものが浮かび上がり映像を写し始めた。
「地球?」
初めにそれは丸い地球を映し出した。
やがてそれはネウロイと人の戦争の様子が映し出された。襲いくるネウロイに対して戦闘機が攻撃を仕掛け次々に撃墜され街が焼かれ蹂躙されていく。
暫くすると今度はネウロイのビームを避け斬りかかる一人のウィッチの姿を映し出した。
「坂本さん!」
思わず宮藤が叫んだ目の前で再び映像が切り替わった。
スオムス軍の軍服に身を包んだ今より少し幼い顔のエイラが穴に落ちた人型ネウロイを見下ろしていた。
次の瞬間、エイラはナイフを取り出し人型ネウロイに振り下ろし人型ネウロイを解体し始めた。それは胸からコアを取り出すまで続けられた。
それが終わると再び場面が切り替えられ今度は工場か研究施設らしき場所が映し出された。暗闇の中人型の機械らしきものが見える。
「ここはどこ?あれは…何?」
次は宮藤と人型ネウロイが空を飛ぶ場面が映し出された。
「私だ」
宮藤は人型ネウロイに向かって手を伸ばした。そして人型ネウロイもまたそれに応じるかのように手を伸ばした。
あと少しでその手が触れそうになった時、何かを察知したようなそぶりを見せたあと突如人型ネウロイが姿を消した。
同じ頃、巣の外から様子を伺っていたバルクホルン達の前に人型ネウロイが姿を現した。
「さっきのヤツだ!」
「芳佳は!?」
ルッキーニが尋ねた。
「いない!」
「ブレイク!」
「「「「了解!」」」」
ミーナ中佐の号令で四方に散らばった次の瞬間、上昇するバルクホルンとハルトマンの横を銀色の何かが高速で通り過ぎた。
「何だ!?」
それは大きく旋回すると人型ネウロイに向かって機関砲を発射した。
全ての弾が命中し白い煙が上がる。
しかしそれはネウロイを倒す決定打とはならず煙が晴れた瞬間人型ネウロイが大量のビームで反撃に出た。
そのあまりの多さに皆は防ぐのに手一杯で一時的に銀色の飛行体を見失っていた。
「さっきのは!?」
「何だあいつは!?」
再び銀色の飛行体を見つけた時、それは人型に変形しウィッチの作り出すシールドと同じような物を展開してビームを防いでいた。
ビームを防ぎ切ると今度はお返しとばかりに両腕を胸の前で組み合わせるとネウロイの放つ物と同じようなビームを放った。
「ビームだよ!」
「あいつもネウロイなのか!?」
そう言ってルッキーニとシャーリーが驚いた。
そのビームは一撃でネウロイを粉砕するだけにとどまらずネウロイの巣に対しても軽いダメージを与えていた。
「あいつ強いぞ!」
緊張した面持ちでハルトマンが言った。
「何なんだあいつ!小型とはいえネウロイを一撃なんて!」
シャーリーが言った。
「分からん」
行動だけを見るのならば味方に見えるがビームを扱うことがその判断を困難にしていた。
「なああああっ!」
その時、落下していく宮藤に気付いたルッキーニが声を上げた。
「芳佳!」
「宮藤!」
慌ててルッキーニとシャーリーが追いかけるのをよそに銀色の飛行体は基地のある方角へと飛んでいった。
「芳佳、大丈夫!?」
「…うん」
ルッキーニとシャーリーに支えられるようにして上昇してきた。
「あの、ネウロイは…」
ミーナ中佐に向かってそう尋ねた。
しかしそれにミーナ中佐が答えるより先にバルクホルンが口を開いた。
「宮藤軍曹。お前を無許可離隊で拘束する」
「え?」
「帰還するぞ!」
バルクホルンの号令の元、一行は帰路についた。
そもそもウォーロックって何だったんでしょうね。シールドは展開するわビームは撃つわって。ネウロイ要素はともかくウィッチ要素どこにあるん?て感じですよね。
多分多分列車砲の弾みたいにどこかに魔法力を貯めといてそれを使ったみたいな感じなんでしょうけどそれができるのならば戦車をシールド張れるようにすれば良かったのにとかもう少し通常兵器を強力にできたのでは?と思わなくもないです。正直ウォーロック一体作るよりシールドを展開できる戦車10両とかの方が価値があると思うしコストも安い気がするんですけどどうですかね?もしくはシールド張れる戦闘機とか