来年以降だとルミナスウィッチーズのキャラを出すのは無理かなぁ。
「ウォーロック制御不能!暴走しています!」
「馬鹿な!」
順調にネウロイを駆逐していたウォーロックが暴走して扶桑海軍の空母赤城に攻撃を始めた事により司令部は喧騒に包まれた。
想定外だったが散々煮湯を飲ませてきたあのトレヴァー・マロニー大将が目の前で繰り広げる喧騒を前にエイラは心底愉快な気持ちになっていた。
「閣下、至急ウォーロックの停止を!このままでは赤城が沈んでしまいます!」
マロニー大将の副官が叫んだ。
「そんなもの…」
おそらく知ったことかとかそれに類する言葉が続いたのであろうがエイラがいることをすんでのところで思い出しそれを思いとどまった。ブリタニアの人間ならともかくエイラに聞かれては扶桑との間にいらない火種を作られかねないからだ。
「どうやら不測の事態が起きたようですね」
「そのようだな。貴重なウォーロックを強制停止させて海に沈めるわけにもいかん。ユーティライネン少佐、出撃してウォーロックの暴走を止めるんだ」
苦々しげな表情でエイラに命じた。
「そうしたいのは山々ではありますがお忘れですか閣下。わたしのストライカーユニットはそちらの手違いで他のストライカーユニットとともにハンガーに封印されていて出撃準備だけで数十分をようします」
本来なら外に雨風を防げる仮設のハンガーを作りそこにエイラのストライカーユニットを収納するはずだった。しかし手違いがありエイラのストライカーユニットは他のストライカーユニットとともにハンガーに封印されていた。
もっとも、仮設ハンガーの資材など持ってきていなかったことを考えるにそんなものは元々作るつもりなどなかったようだが。
「やむを得ん…か」
うめくように呟くとマロニー大将は振り返り強制停止装置のレバーを引き上げた。
「ウォーロック強制停止システム起動!」
「ウォーロック、停止しません!」
一瞬機能を停止したかに見えたがすぐに赤城に対してビームを放ちそのままそのビームが基地にまでダメージを与えていた。
「何故だ、なぜ止まらん!?」
機械の不具合ならまだいい、だがこれが誰かの工作なのだとしたら。その考えにに至ったマロニー大将がエイラの方に勢いよく振り向いた。
「何をやった」
「何もしてませんよ」
私人としては失敗しろとは思っていたがスオムスに対して技術供与をするとの約束はされていたため公人としては成功を祈っていた。
「それを信じろと?この場にいるものの中でもっとも怪しいのは君だぞ」
「開発の失敗をわたしのせいにしない欲しいですね。そもそもこちらから持ちかけたならともかくそちらがわたしに残るように誘ってきたのですよ」
諭すように言うエイラにマロニー大将は大きな溜息を吐くとその言葉に同意した。
「…たしかにそうだったな」
「それで、このままじゃあ友軍誤射で済まなくなりそうですけどどうするんですか?」
今でさえ友軍誤射では無理があるがどうにかして赤城が沈む前にウォーロックを止める必要があった。
「基地にある対空砲を総動員して迎撃するしかあるまい」
「この基地に来てくれるとは限りませんよ」
制御下から外れたウォーロックはどう動くかわからない。最悪ロンドンに向かう可能性だってあった。
「ワイト島分遣隊を出撃させてこちらに誘導させる」
「なるほど。しかし間に合いますか?」
その時、勢いよく司令室の扉が開き誰かが飛び込んできた。
「お下がりください閣下!」
そう言って庇うように前に出た副官をその人影は殴り飛ばした。
「ノックもせずに入るのは感心しないな」
その人影の正体に気付いたエイラは思わず苦笑いを浮かべながらそう言った。
「非常事態なんだからこれくらいいだろ」
バルクホルンはそう答えた。
「非常事態と言ってもストライカーユニットのないわたしたちに出来ることなんかないぞ」
「そっちもそうだけどマロニー大将が不正を行なっている可能性があるのよ」
バルクホルンに遅れて入ってきたミーナ中佐が言った。
「不正…ねぇ。証拠はあるのか?」
「それは今から探すわ」
「少佐とは言え邪魔するのなら容赦はしないぞ」
バルクホルンがそう言って脅した。
「別に邪魔なんかしないよ」
エイラがそう答えるとミーナ中佐とバルクホルンは疑わしげな視線を向けた。
「ただわたしがその行為を目撃するのは問題だな。証拠もないのにそんなことしたらただの窃盗だ。仮に証拠が出たとしてもカールスラントとブリタニアの外交問題に発展しかねないしそれを見過ごしたとなるとスオムスまで巻き込まれかねない」
「止めると言うのか?」
「今の話は聞かなかった事にしてやる。わたしは…そうだな、今から煙草を吸ってくるからちょっと席を外す事にするよ」
ポケットから煙草を取り出しいくつかの書類を手に取ると扉に向かって歩き始めた。
「裏切るつもりか少佐」
マロニー大将がその背に向かって尋ねた。
「裏切る?おかしなことを言いますね。わたしとあなたの間に裏切るような関係はないんだから裏切りようはないじゃないですか」
「…確かに君と私の個人の間には何もなかったな」
「そうでしょう。ではわたしはこれで失礼します」
「後で後悔することになるぞ」
苦々しげにそう言いった。
「貴方と関わりを持った時にしたんで今更ですね」
そう言ってエイラは部屋から出て行った。
「さて、エイラさんも出て行ったようだし出すもの出してもらいましょうか」
「君に渡すものは何もない」
マロニー大将の言葉に応じるようにして副官がミーナ中佐達の前に立ち塞がった。
「トゥルーデ、お願いできるかしら」
「任せろ」
数分後、副官は目に青あざをつけボロボロになった軍服を着て床に転がっていた。
バルクホルンの固有魔法が身体能力を強化するものである以上当然の結果だった。
「よくもまぁここまでできましたね閣下」
ミーナ中佐が見た資料には501部隊に割り振られていた予算のおよそ三分の一がウォーロックの開発費に回されていた事などが記載されていた。
「ウィッチの力を超えるために敵であるネウロイの力を利用しそれを隠そうとしていた」
ネウロイの生態を研究して有効な攻撃手段を見つけるのならばともかくネウロイそのものを利用してネウロイを倒そうとするなど気が狂っているとしか思えなかった。
「宮藤さんの軍の理解を超えた行動に慌てたのが失敗でしたね」
「もっと早くに宮藤を信じてやれていれば…」
バルクホルンが後悔の言葉を口にした。
「あー!」
ずっと外を見ていたハルトマンが突然叫び声を上げた。
「おーい、大変だ!赤城が沈みそうだよ!」
その言葉を聞いた瞬間ミーナ中佐は魔法力を発現させ固有魔法の空間把握能力を発動させた。
「あ!ウォーロックとウィッチが戦ってる!誰だ!?」
エイラを含め全員のストライカーユニットはハンガーに封印されている。ありえるとしたらワイト島分遣隊だろうか?
「…宮藤さんだわ!」
「あり得ん、ユニットは全てハンガーに封印したはずだ」
「この波形は…美緒のストライカー!?」
「うっそー!」
ミーナ中佐の言葉を聞いてよく見ようとハルトマンは窓に顔をへばりつけた。
「やるな〜宮藤」
「敵を欺かんとすればまず味方から、か。さすが坂本少佐だ」
マロニー大将達を縛り上げる為のコードを手に持ちながら笑みを浮かべた。
「宮藤さん一人では時間稼ぎが精一杯よ。いきましょう」
「それもそうだな。行くか!」
ミーナ中佐が駆け出しハルトマンもすぐにそれに続いた。
「わっ!待て待て待てー!」
マロニー大将達を縛り上げたバルクホルンも慌ててその後を追った。
色々伏線を張りすぎて何が何かわからなくなってきた今日この頃。
もちろん時々読み直して確認してるんでちゃんと忘れる事なく全部回収します。…多分。