ストックに回せば来週以降ちょっと楽なのはわかってるんですけど結局ギリギリまで書かずに焦ったりないと思うけど忘れたりしそうなんででき次第投稿するようにしてます。
司令室からH鋼で封印されたハンガーの前に移動してきたエイラは煙草に火をつけると口元に持っていき一息吸い込み
「ケホッケホッ」
思いっきりむせた。
「な、なんだよこれー」
よくよく見るとエイラの足元には焦げたマッチが何本も転がっていて火をつけることにも手間取った事が見てとれた。
「アンネリはなんでこんな煙たいのが好きだったんだよ」
思わずひとりごちた。
いい機会だし火をつけた以上できるだけ吸ってみようと口元に持っていくがその度に咽せるため結局手に持ったままウォーロックと宮藤の戦闘を眺めていた。
世界的には飲酒喫煙は16歳から18歳にかけて合法となるケースが多くこの年齢に該当するベテランウィッチには飲酒喫煙をする者は多い。そう言ったウィッチの多くは合法となる年齢の前から飲酒や喫煙をしている傾向にあった。
原因の一つに大戦初期は今のような十分な補給が無く娯楽のと言うものが酒や煙草に限られていた事があった。もっとも、現在は補給が十分でチョコレートやケーキなどのおかげで昔ほどはしないと言ったウィッチが殆どだった。
そのため大戦初期からウィッチとして戦っていた者ならば未成年の飲酒や喫煙と言った違法行為に対して寛容な傾向にあり未成年飲酒や喫煙を容認する傾向にあった。逆に大陸からの撤退後にウィッチになった者や大陸での戦いを知らない者はそう言ったことに厳しい傾向にあった。
501部隊においては凄惨な撤退戦を経験したミーナ中佐やバルクホルン、ハルトマンのカールスラント組と大戦初期のネウロイのスオムス侵攻やバルバロッサ作戦などを経験しているエイラ、扶桑海事変など数々の従軍経験のある坂本少佐などはその手のことに対して比較的寛容であった。ただこう言った考え方の違いがある事から坂本少佐の提案で501部隊ではレーションに入っている煙草は事前に抜き取るなどできる限り酒や煙草から遠ざけるよう努力がなされていた。
「エイラっ!」
声をかけたのはエイラがよく知っている人物だったがその声は聞いたことないくらい冷たいものだった。
「サ、サーニャ?どうしたんだそんな怖い顔して」
振り返った先には明らかに魔法力を発現し見るからに怒っているサーニャがいた。
「その手に持っているのはなに?」
「煙草だな。これがどうしたんだ?」
目線の高さまで煙草を持った手を上げて言った。
「エイラはまだ15歳でしょう」
そう言われ少し考えてようやくサーニャが言わんとしていることに気付いた。エイラの場合仕事上酒を勧められたりタバコを勧められたりすることがままありすっかり忘れていたがエイラの年齢での喫煙はブリタニアでは違法だった。
「別にちょっとくらいいいじゃないか」
ここにきて大戦初期から戦ってきたものとそうでないものの違いが如実に出た。大戦初期から一貫してタバコを吸ってこなかったエイラだったがこれは過去にアンネリが吸うのを真似して火の付いていない煙草を口に咥えたところをニーナに見つかりアンネリ共々ニーナとルーッカネン少佐に怒られた経験からなんとなく今まで避けていたからだった。そのため喫煙そのものに忌避感はなくサーニャがここまで怒っている理由が理解できなかった。
「いいわけないじゃない。軍規どころか法律違反だしエイラが吸うのを見てルッキーニちゃんや軍隊のことをあまり知らない芳佳ちゃんが真似したらどうするのよ」」
「いや、二人とも国に帰るんだから今くらい良くないか?」
「シャーリーさんとルッキーニちゃんはこっちに向かってるわ」
ルッキーニの前で煙草を吸う姿を見せるわけにもいかず、またもともと煙草を吸うことにこだわりがあったわけでもないため地面に落とすと足で踏んで火を消した。
もっともその程度でサーニャが納得するわけがなくエイラに向かって手を差し出した。
「煙草、まだあるでしょう?」
「吸うのか?」
「そんなわけないじゃない。捨てるのよ」
エイラの問いかけにサーニャは語気を強めて言った。
「後で捨てとくよ」
「今ここで捨てて」
そう言ってサーニャは海を指さした。
「え、いやそれはちょっと…」
「エイラ?」
「わ、わかった」
サーニャの圧力に屈したエイラはポケットから煙草の入った箱を取り出すと海に向かって投げようとして3つの人影がこちらに向かって来ることに気付いた。
「あれ中佐達じゃないか?」
「え?」
エイラの言葉にサーニャが振り返ると向こうもこちらに気付いたようで声をかけてきた。
「エイラさん、サーニャさん」
「もう終わったのか?」
「ああ、マロニー大将達は縛り上げて転がしてある」
バルクホルンの答えにエイラは思わず天を仰いだ。
「やり過ぎだろ」
「やり過ぎなもんか。あいつは不完全なウォーロックを使って暴走させたどころか部隊の資金の横領までしてたんだぞ」
「それでもお前達はブリタニア兵どころか憲兵ですら無いんだから拘束するのはダメだろ。ただのクーデターだぞ」
「…言われてみればそうだな」
頭に血が上ってそこまで考えが及んでいなかったようだった。
「そんな事よりサーニャさんはどうしてここにきたのかしら」
気まずくなった空気を変えようとミーナ中佐が強引に話題を変えた。
「今、芳佳ちゃんが戦ってる。わたし芳佳ちゃんを助けにきたんです」
「私たちも同じよ。エイラさんは?」
「助けに行く事に反対はしないけどこれのせいで直ぐには無理だぞ」
ストライカーユニットだけを持ってくるとしてもハンガーへの最短距離は塞がれているため移動だけでもかなりの時間がかかると予想された。
「問題ないわ。トゥルーデお願い」
「任せろ!」
「いやいやいくらバルクホルンでもそれは無理だろ」
ウィッチに不可能はないとは言うが何事にも限度というものがあった。
「まぁ見てなさい」
「ぬうううううううう!」
魔法力を発現したバルクホルンがH鋼を掴み持ち上げ始めた。ジリジリと、しかし着実にそれは持ち上がっていく。
「どぉりゃああああああああああ!」
掛け声と共に巨大なH鋼が宙を舞い大きな音と共に滑走路に落ちた。
「嘘だろ」
いくらウィッチの固有魔法でもH鋼ほどの物を持ち上げられると思っていなかったエイラは思わず唖然としてつぶやいた。同時にバルクホルンだけは敵に回さないようにしようと心に決めた。
ハンガーと行き来できるようになればあとは簡単だった。ストライカーユニットを履いて武器を持ち五人がハンガーの前に出た頃にはオレンジ色のソードフィッシュに乗ったシャーリー、ルッキーニ、ペリーヌ、坂本少佐の四人が到着した。
「リーネ〜」
ルッキーニが遠くから走ってくるリーネを見つけて手を振った。
「わぁ!来た来た!」
ハルトマンが笑いながら手を振った。
「遅いぞ、リネット・ビショップ」
バルクホルンが言った。
「おかえり、あなたが最後よ」
ミーナ中佐が笑みを浮かべながらそう言った。
「はい!」
この日の出撃が501部隊の第二次ネウロイ大戦中にブリタニアで行った最後の出撃となった。
宮藤芳佳軍曹が撃墜したウォーロックが扶桑海軍航空母艦赤城と融合し巨大なネウロイとなり復活。あわやブリタニア陥落の危機かと思われたが、全力出撃した第501統合戦闘航空団によりブリタニア本土への被害を最小限に止め撃破する事に成功。具体的な被害は501部隊の基地建物に多少の被害が出た他は扶桑皇国の空母赤城が沈没。乗組員2763名のうち943名が死亡し重軽傷者も多数出た。ブリタニア沿岸であり501部隊などのウィッチ隊が近隣にあり比較的救助活動が容易でありながらこれほどまでに被害が拡大したのには理由があった。赤城は宮藤達を送り届けた際に出た負傷者や艦を失った者達を乗せていて通常よりもかなり多い人員を乗せていた事が原因でダメージコントロールに支障をきたした事が挙げられる。また自力で泳ぐ事が困難な重症者の避難が遅れた上に内火艇の数も十分ではなかった事も原因として挙げられた。
一方でウォーロックと直接戦闘を行なった501部隊は宮藤芳佳軍曹のストライカーユニットが喪失したがウィッチの喪失はゼロだった。
この赤城と融合したウォーロックを撃破すると同時にガリア本土のネウロイの巣が消滅、ガリア奪還への大きな一歩を踏み出すこととなった。
ただしウォーロックの件に関しては箝口令が敷かれ戦後になって情報公開されるまで世間一般に知られることはなかった。
翌日になると第501統合戦闘航空団の手によりガリア本土のネウロイの巣が撃破されたとして世界中の新聞やラジオで報道され世界を賑わした。同時に連合軍総司令部はブリタニア軍とブリタニアに駐屯していたリベリオン軍、ブリタニアに避難していた自由ガリア軍、カールスラント軍を中心とした約15万人の部隊を先発部隊として送り込む事を決定したと発表した。
これらの喜ばしき発表の裏に隠れ、本来ならば大きなニュースとなるはずだったブリタニア空軍大将トレヴァー・マロニーの死亡と軍籍剥奪のニュースは歓喜の渦に飲み込まれごく少数の間で話題となるだけにとどまった。
この事件が掘り返されるのは第501統合戦闘航空団のガリア解放に関する情報が公開がされるまで待つ事になる。
戦闘シーン期待していた方申し訳ありません。こちらの方が色々と都合が良かったのでこういう形にさしてもらいました。
もうちょっとだけこの章は続きます。