ダイヤのエースが飛ぶ理由   作:鉄玉

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ブレイブの補給線がどうなってるか考えてたら頭の中が?だらけになりました。


補給線

ウィッチとしては世界初となる軍団以上での部隊での参謀。それだけを聞けば特別感があり素晴らしいものであるように感じるがその本人であるエイラもそうであるかと言うとそうではなかった。

次席参謀をマンネルヘイム元帥は用意したがこれはあくまでペテルブルク軍集団の参謀の中では二番目に高い指揮権を持つ、と言うだけの話で実際のエイラの職はウィッチ参謀という主にウィッチの運用について担当をする職務であった。今までは航空参謀がウィッチのこともまとめて面倒を見ていたのを専門家に任せるという名目で世界初となるウィッチの為の参謀職として作ったものだった。

 

「これって明らかにわたしじゃなくて補給参謀が作るものだと思うんだけどどう思う?」

 

そう言ってサーニャに見せたのは502部隊から提出された補給要請書だった。

 

「わたしはそういうの詳しくないからわからないわ」

 

「わたしだってそうだよ。参謀教育は受けてるけどウィッチ参謀なんてもの今までなかったんだから」

 

エイラが受け持っているのは502部隊の補給計画だけではなかった。この他にもペテルブルク軍集団に所属する航空ウィッチや陸戦ウィッチとそれに関わる部隊の補給計画まで受け持っていて明らかにエイラ一人で捌ける量ではなかった。副官としてサーニャがエイラの指揮下に一時的に入っているが実戦と違って事務仕事はそこまで得意ではないサーニャでは大きな効果がなかった。

自然とサーニャの主な役割は書類を運ぶことや連絡役、コーヒーを用意すると言った雑用に徹する事となった。

 

「…不味いな」

 

書類を読みながらコーヒーを一口飲んだエイラが徐に呟いた。

 

「あ、ごめんね」

 

「うん?…ああいや違う違う!コーヒーじゃなくて補給の話でコーヒーはすごく美味しいよ!」

 

しょんぼりした様子で謝るサーニャに慌ててそう言うと話し始めた。

 

「北方方面軍への補給の大部分はスオムス国内で賄えているけどカールスラント陸軍のものはスオムスでは生産していないしオラーシャ空軍のものも生産していないだろ。だからそれとかはムルマンスク港から鉄道を使って補給してるわけだけどこの補給路が問題なんだ」

 

そう言いながらエイラは地図を広げて鉄道を指さした。

 

「グリゴーリ出現以前から使っていた最短距離のルートを選択しているせいで鉄道がグリゴーリに近すぎるんだよ」

 

各国から運ばれてきた食料や武器が下されるムルマンスク港から出る鉄道は白海沿岸を通ってペトロザヴォーツクを経由してラドガ湖南岸のネウロイ占領地スレスレを通ってペテルブルクへと送り届ける極めて危険なルートだった。

 

「相手がネウロイだからと油断してるのか知らないけどいつ補給線が切られてもおかしくない」

 

「じゃあヘルシンキに一度運ぶように要請するの?」

 

ムルマンスクから出る鉄道はヘルシンキに向かうものもありそちらを使えば危険は少なかった。

 

「そう簡単な話じゃないんだよなあ。ヘルシンキはヘルシンキでスオムスで作られた兵器や食料、バルトランド産の食料とかが集積されているから鉄道が飽和状態になって路線を増やすとかしないとダメだから時間がかかるから解決にはならないな」

 

時間をかければできるがそもそもグレゴーリに対して長い時間をかけるつもりが無いのだから鉄道を強化する理由も見当たらなかった。

ガリアが解放された以上ユトランド半島が解放されるのもそう遠い未来だとは思えず結局太くした鉄道が使われる期間が短いと考えられるため態々スオムスの少ない財源を割いてまでする事とはエイラは思えなかった。もちろん他国がお金を出して敷設してくれるのであれば話は別だろうがあいにく北方戦線の優先度が低いことからそんなことが期待できるわけもなくインフラ整備ではなくスオムスないしはオラーシャから警備のための軍を派遣するしかないだろうと考えていた。

 

「ペテルブルク軍集団所属のウィッチ隊の配置はわかるか?」

 

「うん」

 

駒と配置の書かれた資料を持ってきたサーニャは駒をウィッチ隊の配置場所に並べ始めた。

 

「めちゃくちゃだな」

 

ペテルブルク軍集団指揮下の航空ウィッチはスオムス軍第30戦隊36名、カールスラント空軍第52戦闘航空団第3飛行隊32名にオラーシャ陸軍第16、第70戦闘機連隊63名と第502統合戦闘航空団9名の計140名だった。さらにカールスラント、オラーシャの陸戦ウィッチが各一個大隊の二個大隊計65名がペテルブルク軍集団に所属していた。

これは北方方面軍が保有しているウィッチの約6割にあたりグリゴーリ破壊に対する関心の高さが窺い知れた。

ただ問題はその配置にありグリゴーリに近いヴェルツィレ基地に第30戦隊がいる他はカールスラント、オラーシャ両軍ともにヘルシンキ近郊の基地を拠点としていて遊兵と化していた。

 

「まずはカールスラントとオラーシャのウィッチの配置転換だな。最低でもラッペーンランタの基地に置かないと全く使えないぞ」

 

「ヴェルツィレ基地じゃダメなの?」

 

ヴェルツィレ基地の方がグリゴーリに近くそちらの方がグリゴーリの動きに即応できるため疑問に思ったサーニャが尋ねた。

 

「あそこは小さすぎるから30戦隊を置くだけで限界だな。オラーシャ領に航空基地があればよかったけど無いからな」

 

「ペトロザヴォーツクに陸戦ウィッチを置くことはできないの?」

 

「できるけどちょっと遠いから十分な航空支援ができるかどうか不安だな。仮に多少支援が遅れても全滅はしないだろうけど徐々に数を減らされていって作戦当日に陸戦ウィッチが足りないとかなったら目も当てられないぞ」

 

「けど補給を断たれたら作戦実行が危うくなるわ」

 

「そーなんだよなー」

 

そう言ってエイラは机に突っ伏した。

 

「ここまで話しといてなんだけど多分他の参謀達も補給線が危ないことくらい分かってると思うんだよ」

 

「じゃあどうして改善しようとしないの?」

 

「現状これでなんとかなってるからじゃ無いかな」

 

「補給線が危ないのにそんないい加減な理由で対策しないの?」

 

「…サーニャはネウロイが人間みたいに戦略や戦術に基づいて行動すると思うか?」

 

サーニャの質問に対して少し考えた後エイラは質問で返した。

 

「わからないわ。けどネウロイはそんな事しないって聞いたけど…」

 

「上層部も同じ考えなんだ。つまりネウロイは戦略的な行動はしないから補給線が脆弱でもなんとかなるだろうって考えているんだ」

 

「けどそれで補給線が攻撃されたらどうするの?」

 

「その時は運が悪かったと思って同じルートでの補給線の再構築に乗り出すだろうな」

 

前線の兵士からしたらたまったものではないがたいして高くないリスクのために多額の予算を投じてまで補給線を整備する必要は今までの戦訓から必要がないと判断されていた。

 

「そもそもネウロイが戦略的に行動できないっていう根拠はなんなの?」

 

「元々はネウロイの行動が秩序だったものではなくただひたすら人間を攻撃していた事からおそらく本能のままに行動しているのだろうっていう仮説からだな」

 

「それだけ?」

 

信じられないものを見るような目でサーニャが尋ねた。

 

「それだけ。けど今はウォーロックの件でブリタニアのネウロイ研究が公表されてちゃんと根拠があるよ」

 

そう言うとあからさまにサーニャはホッとした様子だった。

 

「ウォーロックを作る過程で捕獲していた小型ネウロイを解剖した結果、内部には内臓や脳が存在しなかったんだ。だからものを考える能力がなくて生物としては単細胞生物に近いって専門家は考えているんだ」

 

「ネウロイが考えることができないのは分かったけど内臓がないならどうやって生きているの?」

 

「ネウロイが鉄を吸収する事からそれを利用しているんだろうとは言われているけど詳しいことはわかってないな。ただ、ネウロイのコアがエネルギーの源になっているみたいだ。」

 

「コアを破壊したら倒せるからそれはなんとなく理解できるわ。けど本当にあんなに小さなコアでビームのエネルギーを賄えるの?」

 

サーニャの疑問はもっともだった。小型ならともかく大型のネウロイならそれ相応にエネルギー源も大きくならなければならないのに小型と大型のネウロイのコアの大きさに大きな差異は今までの経験上見られなかった。

 

「多分人類の技術じゃあわからない未知のエネルギーを使ってるんじゃないかな」

 

「未知のエネルギー…」

 

「人類には理解できないからその危険性もわからない。けど大きな可能性を秘めているのも事実だ。多分マロニー大将はその可能性にかけてウォーロックを作ったんだろうな。多分その着眼点は正しかったと思う。けどそれを制御するのは人類にはまだ早すぎたからあんな結果になったんだろうな」




ネウロイのエネルギー源に関する考察を書きます。
ものすごく短絡的な考えではあるんですけどネウロイって核融合をエネルギー源にしてるんじゃないのかなって考えています。
理由としては核分裂をエネルギー源にするのなら倒された時にもっと大きな爆発が起こるはずでは?という理由で核分裂は排除しました。
その他の方法はエネルギーが足りないと思うし何よりコアでエネルギーを作るのなら核融合位じゃないと無理だなって考えから核融合なのかなって思ってます。

後これは完全に余談ですけど原子炉廃絶とかって話がありますけど核分裂炉は廃止されてもそのうち比較的安全とされている核融合炉に置き換わるだけでなんじゃないかなぁって思ってます。
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