投稿してから気付いた。遅刻やん!ごめんなさいm(_ _)m
1940年7月、エイラはオラーシャ帝国軍とスオムス軍の航空ウィッチによる防空網形成のための意見交換のためヘルシンキに撤退してきていたオラーシャ帝国ペテルブルク軍管区仮設司令部に来ていた。
この任務を受けた時、エイラは自分と同じウィッチの士官との意見交換だと思っていた。しかし応接室に通されたエイラが対面したのは肩章に四つの星をつけた恰幅の良い壮年の男性将校だった。
「スオムス空軍所属ユーティライネン少尉です」
相手の階級の高さに驚きつつもエイラは敬礼をした
「ペテルブルク軍管区司令官メレツコフ上級大将だ。早速だが本題に入ろう」
エイラに座るよう促すとそう言った。
「少尉は我がペテルブルク軍管区が保有するウィッチの数は知っているか?」
「第16戦闘機連隊と第72戦闘機連隊を保有していると聞いています」
「そうだ。だが実際はその半分、つまり一個戦闘機連隊程度の戦力しかない」
「どう言うことですか?」
「ペテルブルクからの撤退で一割程度の損害が出た。それだけならよかったが今は本国からの補給も滞りがちになってユニットがなくて定員の半分ほどにしかユニットが行き渡っていない」
「そちらの事情は分かりました。それならスオムス空軍中心で防空網を形成するということでしょうか?」
「いや、防空網についてはもう話がついている。問題は別にある」
「どういう事ですか?」
聞いていた話と違う事にどこかきな臭さを感じながらも聞いた。
「今日の本題はペテルブルク奪還作戦を聞いたことはあるか?」
「奪還作戦ですか?そんな計画があるという話は聞いたことがありませんが」
奪還作戦が行われるとすれば現状その主力はウィッチとなるはずでありそうなればエイラの耳にその話が入って聞いていてもおかしくないはずであるがそんな噂をエイラは聞いたことはなかった。
「そんな物はないんだから聞いたこともないのは当然だろう」
「意味がわかりません。どうやってない作戦に対して意見を出せば良いんですか」
「その理由を話す前にまず奪還作戦と聞いてどう思うか率直な感想を教えてほしい」
「無謀だと思いました」
少し躊躇いながらもそう言った。
「なぜそう思った」
「攻勢計画があるとすればその中核はオラーシャ軍のはずです。しかしそのオラーシャ航空ウィッチがフル稼働できるならまだしも半減しているのでは制空権が取れません。そのためスオムスからもウィッチを出す必要がありますがスオムスにそこまでの余裕はありません。だから無謀だと思います」
「私も同意見だ。しかし一部の人間はそうは思っていない。三月の攻勢を退けて以来ネウロイの大規模な攻勢はない。それをネウロイが大きな被害を受けたからだと考えている連中がこちらからの反攻作戦を主張している」
「あの戦いはネウロイは撤退しましたがそれは我々が勝ったからではありません。むしろあれはネウロイが勝っていました」
「そうだ。だからその話を沈静化するために今日は来てもらった」
「話はわかりましたがその話の出所はどこなんですか?」
「出所は我が軍のウィッチとスオムス軍のウィッチ訓練兵だからな。我が軍では祖国奪還と仲間の敵討ちのためスオムス軍では主に前線への一種の憧れのようなものがあるようだ」
「憧れですか?」
「そうだ少尉のように多くのネウロイを倒して武勲をあげることへの憧れのような物だ」
それを聞き思わずエイラは眉を潜めた。オラーシャウィッチの理由は理解できなくもない。しかし前線の現実を知らないスオムスウィッチについてはそんな幻想を抱いている事に対する嫌悪感のが湧き上がってきていた。
「それで、わたしに何をしろと言うのですか」
「スオムスウィッチについては君の元同僚のニエミネン少尉が飛行学校に赴任することで解決を図るそうだ。少尉に頼みたいことは我が軍のウィッチに現実を受け入れさせることだ」
「現実ですか?しかしそれならオラーシャ軍の高官がウィッチに直接説得にあたれば良いのではないでしょうか」
「何度もしたさ。中にはこちらの話を聞くものもいるがその多くはこれ以上稼働率が落ちる前にスオムス軍と共同でペテルブルク奪還を行うべきだと言ってこちらの話など聞こうともしない」
「同じウィッチなら話を聞くとお思いですか?」
「わからない。だが最近ではウィッチ以外にもこの動きが広がりつつありこれ以上広まる前に沈静化させたい」
「分かりました。出来る限りのことはやってみます」
「よろしく頼む」
そんな話があった翌日、早速オラーシャ軍航空ウィッチが駐屯しているヘルシンキ郊外の飛行場へとエイラは来ていた。出迎えてきたのは金髪にカチューシャをつけたエイラと同じくらいの歳の少女だった。
「アレクサンドラ・イワーノブナ・ポクルイーシキン少尉です」
「エイラ・イルマタル・ユーティライネン少尉です。本日はよろしくお願いします」
「今日はペテルブルク奪還作戦の件でいらっしゃったと聞いていますが作戦を行うことが決まったと言うことですか?」
期待のこもった目でポクルイーシキン少尉は問いかけてきた。
「その件についてはここにいるウィッチ全員が集まったら話させてもらいます」
「そうですか。みんなはもうブリーフィングルームに集まってるので早速案内しますね」
そう言って案内ブリーフィングルームへと案内を始めた。
「ユーティライネン少尉の噂はよく耳にします。私よりも小さいのにスオムスでもトップクラスの撃墜数を誇るって聞きました。そんな人がペテルブルク奪還作戦に加わってくれるのなら心強いです!」
エイラがペテルブルク奪還作戦を決行することを伝えにきたと思い込んでいるポクルイーシキン少尉は嬉しそうに話し始めそれに対してエイラが曖昧な返事を返していると暫くしてブリーフィングルームに到着した。
「エイラ・イルマタル・ユーティライネン少尉です。今日はこの基地で噂になっているペテルブルク奪還作戦の件でスオムス側の意見を述べるために来させていただきました」
50人ほどのウィッチの前で少し緊張しながらエイラはは話し始めた。
「単刀直入に合わせてもらうとスオムスは参加することは出来ません」
そう言った瞬間オラーシャ語だったのでエイラには理解できなかったが罵声のようなものが飛び出し部屋は騒然となった。それを一部の冷静な隊員たちが数分かけて抑えると内心では少し怯えながらさらに続けた。
「理由としてはスオムスにペテルブルク奪還のために出せるウィッチなど存在しないからだ。何か質問は?」
そう問いかけると初めに案内をしたポクルイーシキン少尉が質問してきた。
「スオムス軍は義勇独立中隊を含めて70人ほどのウィッチがいるはずです仮に防衛部隊として半数がスオムスに残っても残りの半分は奪還作戦に投入できるはずです。我々と合わして60人ほどのウィッチがいれば制空権を確保した上でペテルブルクの奪還ができるだけの数は確保できます!」
「少なすぎるな。その倍は最低でも必要だな」
「そんな事ないはずです。先の攻勢を跳ね除けた事でネウロイにも多大な被害が出ているはずです。その傷が癒える前に攻撃してペテルブルクを奪還できます!」
「あいつらは負けたから撤退したんじゃないぞ。勝っていたのに撤退したんだ。だからポクルイーシキン少尉が言う傷なんてかすり傷程度のはずだ」
「勝っていたのに撤退した?そんな事あるわけないじゃないですか。勝っていたならどうして撤退する必要があるんですか?そのまま攻めればいいのに」
「そんなの知るわけないだろ」
「ならきっとどこかで大損害を出したから撤退したんでしょう。それなら撤退した説明もつきます。これならスオムス軍も協力してくれますよね?」
「できるわけないだろ!」
「ならどうしたら協力してくれるんですか!?」
「断言してやる、スオムス軍が協力することは現状ありえない」
「どうして!?」
「攻勢が成功すればいいけど失敗したらスオムスが陥落しかねないからだ」
「成功させればいいじゃないですか!」
論理的な説明をしても効果が薄いと考えたエイラは建前論ではなく本音を述べることにした。
「成功したとしてスオムスにメリットなんか殆どないだろ。しいてあげるならペテルブルクからスオムス国境までの少しの縦深の確保だけ。ペテルブルクはカレリアと違って三方向から攻撃を受ける事になる。そんなとこ長期間維持するのは難しいから奪還してもきっとまたすぐ取り返される。その度に補給の少ないオラーシャ軍は数を減らしてだんだんスオムス主体の奪還作戦になる。そんなことしてまで取り返すメリットがどこにあるって言うんだ」
「人類が一丸となってネウロイに立ち向かうべきときなんですよ!それなのにメリットとか言ってる場合ですか!?」
「現状スオムスは防衛できている。確実に奪還できてペテルブルクの維持も容易ならまだしもどちらも困難となるとスオムスとしてはわざわざ自国を危険に晒す可能性をおかしてまで奪還する必要がないと言うのが本音だな」
「そうですか、国を失っていないあなた達に協力を求めること自体が間違っていましたね」
「別に協力しないとは言ってない。自国の陥落の危険性が少ないなら協力する気はあると思う」
「一体それはいつですか?」
「わたしに聞かれても知らない。ネウロイにでも聞いてくれ」
この後オラーシャのウィッチはとりあえず奪還作戦については話すことはなくなったがその代償としてスオムス軍との間に遺恨を残す結果となった。
ストライクウィッチーズ一期におけるガリアのネウロイ勢力図について軽く考察します。
ガリアにはおそらくカレー地方にあるネウロイの巣以外はおそらく巣はなかった。これはグリゴーリが二つ目の巣の破壊だったことからも明らかだ。そしてカレーの巣の活動範囲からおそらくガリア南部、特に地中海沿岸とピレネー山脈手前あたりは確実にネウロイ勢力圏外だった。それなのに何故ブリタニアを反攻の拠点としていたのか。おそらく戦艦の大砲ので巣を破壊しようとする構想があったとは思うがそれは命中精度に不安が残るためグリゴーリのように列車砲での破壊がベストだと考えられる。そのため何故ガリア南部を反攻の拠点としなかったのか合理的な説明がつかない。そのためこのブリタニアを反攻の拠点としたのはかなり政治が絡んでいるくると考えている。これについてはその内本編でも触れる予定なのでそれまでお楽しみに!