ダイヤのエースが飛ぶ理由   作:鉄玉

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前々から突っ込もうと思って暖めていた話です。
一応坂本少佐視点なんですけど一人称はやっぱりむずかしいですね。


矜持か意地か

私、ミーナ、エイラの501の佐官3人が集まっての会議が開けたのは再結成してから一週間後の事だった。

 

「以上がエイラさんがいない間に起きたことになります」

 

エイラがローマに行って基地にいない間、暫く前線から離れて基礎体力や飛行技術が相当鈍っていた宮藤、リーネ、ペリーヌの3人にはロマーニャに住むある老ウィッチの下で特訓をさせていた事をミーナが伝えると不思議そうな顔をしてエイラが尋ねてきた。

 

「元々実力が高くなかったリーネと宮藤はともかくペリーヌはそんなに酷かったのか?」

 

「かなり酷かったな。半年以上のブランクがあった事を考えると仕方のないことかもしれないが最前線で戦うには心許ないと言わざるを得なかった」

 

「そっか。まぁそれは時間が解決する事だから問題ないな。

一番の問題は少佐、貴女だ」

 

「私か?私は宮藤達みたいに訓練を怠っていないからな。全く問題ない」

 

「問題ない?シールドを張れないことのどこが問題ないって言うんだ」

 

「烈風丸があればシールドが無くてもネウロイのビームなんか一太刀で断ち切れる!」

 

そのために私は烈風丸を鍛え上げたんだ。

 

「それで、いつまでそれができるんだ?魔法力の減衰は止まっているのか?」

 

「それは…」

 

エイラが指摘する通り未だに私の魔法力は減り続けている。いや、この烈風丸を使い始めて以降魔法力の減衰は止まる気配を見せない。

 

「本来ならシールドを張れないってだけで兵科としてのウィッチと考えれば欠陥品みたいなもんだ。

大人しく後方で教官なりテストパイロットをするならしてればいいんだ。

なのにわざわざ前線に出てくるなんて一体どう言うつもりだ」

 

たしかに扶桑本国にはそうしたウィッチは沢山いるし私自身その誘いがなかったわけじゃない。

 

「まだまだ宮藤やリーネみたいなヒヨッコには任してられないからな。今暫くは烈風丸が有れば戦える」

 

まだまだあいつらだけに任してはおけないし教えなければならないことも沢山ある。

 

「もし本当にそれが理由なら安心しろ。少なくとも少佐が前線で戦うよりは数百倍安心できる」

 

「そんなことはないわ。少佐がいることで宮藤さんやリーネさんは安心するはずよ」

 

「ミーナ中佐、貴女にも聞きたかった。何故少佐の加入を許したんだ?

まさか少佐を入れることのリスクが分からなかったとは言わせないぞ」

 

そう言ってエイラはミーナに鋭い視線を向けた。

 

「たしかに少佐はシールドを使えないわ。けど刀と飛行技術でそれを補うことが可能なのは貴女もみたでしょう。

少佐に戦闘隊長としていてもらった時のメリットのほうが大きいと判断したのよ」

 

「もし本当にそう考えているのなら私は中佐の指揮官としての資質さえ疑わないといけなくなるぞ」

 

「エイラ!私が501に残ったのはある意味私の我儘みたいなものだ。ミーナは私の意志を組んでくれたにすぎない。責任は私にある」

 

私の責任が問われれるのならともかく私のせいでミーナの責任まで追求されらのは私としても本意ではない。

 

「最終的に任命するのは中佐だ。であるなら責任は中佐にある」

 

「その通りね。責任は私にあるわ。けどその上で私は問題ないと判断したの」

 

「だとしたら問題を軽視しすぎているな。いいか、少佐は実戦指揮官として前線にたつんだぞ。リーネや宮藤みたいな周りを見る余裕がない奴らはともかくバルクホルンやハルトマン、シャーリーなんかは少なからず少佐に意識を割かざるを得ない。

もしも戦闘中に魔法力がなくなって飛べなくなったら指揮をバルクホルン達は取らないといけないし場合によっては少佐を救助する必要もある。

この際だからはっきり言っておくけど今の少佐は存在としては新人、いやなまじ実力と階級が高いせいで新人以上に扱いにくいタチの悪い存在なんだよ!」

 

「…私にだって矜持というものがある。新人に劣るということはない。確かにバルクホルン達は私に少なからず意識を割くかもしれないがそれは集団で戦うウィッチならある種当然と言える行為だろう」

 

第一新人が私と同じ立場にたっても私のように戦うことも部隊を指揮することはできないはずだ。

 

「だから最前線に立って戦うってか?

それは矜持じゃなくて意地って言うんだよ。たしかに集団で戦う以上周りにも意識を割くけどそれと少佐は全くの別物だ。

いつ戦えなくなるのかわからないウィッチが同じ部隊、それも自分達の指揮官だって言うんだ。まともな思考をしたウィッチなら不安で気が気じゃないさ。

自殺に巻き込まれているみたいなもんだからな」

 

エイラの言葉に頭を鈍器で殴られたかのような衝撃が私に走った。私自身、バルクホルン達に迷惑がかかると思っていなかったわけじゃない。だからこそ烈風丸を鍛え上げシールドがなくても戦えるようにしたはずだった。

 

「言い過ぎよエイラさん。トゥルーデ達が少佐の事を心配しているのは事実だけどそれはエイラさんが言うような不安からじゃないわ」

 

「だろうな。けどそれなら指揮官として部下の身の安全を確保するためにも坂本少佐を排除すると言う選択を中佐はしなければならなかったな」

 

「私は…私は足手纏いなのか?」

 

聞かなくてもエイラの答えは分かる。けど聞かずには居られなかった。

 

「少なくとも実戦部隊の指揮官としては役不足だろうな」

 

「…そうか」

 

おそらく、これが事実なんだろう。私もそうだがミーナも仲間に甘いところがある。私を戦闘隊長に据え置くにあたって多少贔屓があった可能性は否めないだろう。

その点においてエイラは残酷なまでに理性的だ。理屈においてのみ行動する。

 

「けどあの刀の威力を考えるといざという時の切り札として使えないわけじゃあない。

それを含めて使い勝手の難しいウィッチに少佐はなっているんだ。どうにかあれを他のやつに使えるように出来ないか?」

 

いくらシールドを張れないとはいえ烈風斬が有ればまだ戦えるのか。

 

「…分からないというのが正直なところだな。あれは妖刀みたいなものだ。どんな影響があるかわかったものではない」

 

「そうか。使い手が増えればネウロイを倒すのが楽になると思ったんだけどな」

 

「私は少佐のあの攻撃力を買っているのよ。あれが有ればネウロイの巣だって破壊できるかもしれないわ」

 

「なら戦闘隊長に任命する必要はなかったな。

それと誤解があるような気がするから言っておくけどわたしは何も少佐を501から除隊しろと言ってるんじゃない。前線に極力出さないようにしろと言っているんだ。実戦部隊に少佐以上の階級の奴がいない以上少佐が戦闘隊長にならざるを得ないからリスクが大きすぎる」

 

皮肉なものだな、今までの私の功績が今私が前線で戦う事を許さないとは。

 

「ならエイラさん、貴女が戦闘隊長として美緒を指揮下に置くのはどうかしら。それなら貴女のいう条件をクリアしているわ」

 

そうか、確かに今のエイラは私よりも階級が上だから私が指揮下に入ることに何問題もない。

 

「わたしはここを離れる事も多いだろうし何よりこの義足をわたしは100パーセント信用しているわけじゃないからな。

多少マシなだけで少佐と立場は一緒だと思ってる」

 

「今までその状態で問題があった事はあるの?」

 

「それはないけど必ず何パーセントかは不具合が起こる可能性は考慮する必要があるだろ」

 

「なら問題はないわね。エイラさんが基地にいるときはエイラさんが、それ以外は私が指揮をとる。それなら問題はないんじゃないかしら?」

 

「まぁそれならいいけど…」

 

どうやら私の首の皮はなんとか繋がったみたいだ。だが今日エイラに言われた事は肝に銘じなければならないな。

どうやら私は自身に対する認識が甘かったようだからな。




別に坂本少佐が嫌いって訳ではないんですよ。けど冷静に考えるといくら戦いたくてもシールドもろくに張れないウィッチが前線に出る事はリスクしかない訳ですし…。
もっというと少佐の烈風丸だとシールドみたいにビームを遮断する訳じゃないんで護衛任務だとあまり役に立たないから若干作戦の幅が狭まるしで正直使い勝手が悪いというか…。
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