ダイヤのエースが飛ぶ理由   作:鉄玉

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そう言えばルミナスウィッチーズって今年らしいですけどあんまりホームページが更新されてない気がするんですけど気のせいですかね。


かたい、はやい、ものすご〜い 前編

その日のエイラは気の弱いものなら思わず逃げ出したくなるくらいには目に見えて不機嫌だった。

 

「まったく、上層部も厄介なものを押し付けてくれたよ」

 

そう言うエイラはの目の前にはカールスラントからロマーニャに送られ、昨日エイラがローマで受領し運んで来た試作ジェットストライカーユニット、Me262V1があった。

 

「カタログスペック的には従来のストライカーユニットを大きく上回ると言う話だしそう邪険に扱うこともないんじゃないか?」

 

「詳しいことは仕様書を見てくれればいいけど所詮は試作機だからな。本来なら最前線で履くような機体じゃないんだよ。

壊れても替えの部品がないからすぐに修理できないし変な初期不良とかあったら下手すりゃ命に関わるしで正直今からでも返品したいくらいだ」

 

「だが比べものにならないくらい強力なんだろ?」

 

理論上(・・・)はな。これはあくまでも試作機だから一体どんな不具合があるかわかったもんじゃない」

 

エイラの故郷、スオムスは物資不足から大戦初期はストライカーユニットを正規品以外の部品で整備していたため、時折それが原因で事故が起こる事があった。

それが少ない頻度ですんでいたのはひとえにスオムス整備兵の実力の高さのおかげでありこの基地の整備兵にそこまで求めるのは酷だと思っていた。

 

「この後整備兵に一通りチェックをしてもらってから誰かが履いて飛ぶことになるだろうけど破損があったりしたらそれをカールスラントに伝えないといけない。

そもそもエンジンが普通のユニットと全く違う物みたいだから整備兵が見て完全に分かるのかどうかも分からない。だからできればうちの連中には履かしたくないんだよなぁ」

 

「そう心配することもないんじゃないかしら?いくら試作機でも本国がそんないい加減なものを前線に送るとは考えにくいわ」

 

もちろんミーナ中佐が言うことはエイラだってわかっていた。

 

「技術者はある程度の自信を持っているだろうしカールスラントもそれを信用しているだろうな。けどいくら技術者が自信を持っていてもテスト飛行じゃ不具合が出たなんてよくある話じゃないか?

リスクがある以上はこれを履く人選も慎重に考えないとな」

 

「…そう言われると確かに人選は慎重に考える必要があるな。誰か候補はいないか?」

 

「ブランクのある宮藤、リーネ、ペリーヌ、それと夜間哨戒担当のサーニャ以外なら誰でもいいと思うけど。まぁ、細かい事は少佐が考えてくれよ。昨日徹夜で寝れてないからそろそろ部屋に戻りたいんだ」

 

欠伸をしながらエイラは言った。

 

「それはすまない。なら後はこっちでやっておこう」

 

坂本少佐の言葉にお休み〜と、気の抜けた返事をすると欠伸をしながらハンガーから去っていった。

 

「ミーナ、コイツの性能はどんな感じなんだ?」

 

「正式名称はMe262V1。ジェットストライカーよ」

 

仕様書を見ながらミーナ中佐が説明を始めた。

 

「ジェット?」

 

「ハルトマン中尉!?」

 

ひょっこりと顔を出したハルトマンのおよそ軍人らしくない、というより年頃の娘として多少の恥じらいを持てと言いたくなるような姿に思わずミーナ中佐は目を丸くした。

 

「どうしたんだその格好は」

 

坂本少佐も不思議そうに訪ねるがミーナ中佐ほどは問題視していないようだった。

 

「ハルトマン!服を着ろ!服を!

…うん?なんだこれは?」

 

ハルトマンを追いかけてきたバルクホルンもまた新型ユニットに目を止めた。

 

「ジェットだって」

 

「ジェットと言うと本国で開発されていたと言うあれか」

 

「今朝エイラさんがローマから帰ってくる時に一緒に運んで来てくれたのよ。最高速度は950キロにもなるそうよ」

 

「950キロ!すごいじゃないか!」

 

そう言ったのはスピードを出すことに目がないシャーリーだ。

 

「従来のレシプロストライカーユニットに変わる新技術ね」

 

「シャーリー、お前もなんて格好だ」

 

ハルトマン以上に露出の多い格好に坂本少佐が苦言を呈した。

 

新型、それも従来のものとは比べ物にならないくらい高性能なものともなれば反応は二つに分かれる。一つはエイラのように危険性から履く事を忌避するタイプ、もう一つは…

 

「中佐!私に履かしてくれよ!」

 

「何を言っているリベリアン。これはカールスラントのストライカーだ。ならばカールスラント人である私が履くのが道理というものだろう」

 

この二人のように積極的に履きたいと思うタイプの二つに分けられた。

 

「国なんか関係ないだろ!950キロだぞ!超高速の世界を知っている私が履くべきだろ!」

 

「お前の頭の中はスピードの事しかないのか!」

 

時速600キロにもなるようなストライカーユニットを乗り回す関係上この二人のようなものはウィッチには多い。むしろエイラのように慎重論を唱えるのは少数派と言えた。ではこう言う場合、どうやって履く順番を決定するのか。

それはハンガーの梁の上で昼寝をしていたルッキーニが示してくれた。

 

「いっちば〜ん!」

 

そう言って飛び降りてきたルッキーニがストライカーユニットに足を倒し魔法力を発現させた。

 

「あっ!おい!」

 

「こら!ずるいぞ!」

 

「へへ〜ん!早いもん勝ちだも〜ん!」

 

つまりはそう言う事である。

ルッキーニが魔法力を流し込むことにより起動したストライカーユニットは今まで聞いたこともないような爆音を上げ始めた。

 

「うひゅー!」

 

得意げな顔でルッキーニが歓声を上げる。

 

「んにゃ?」

 

なんとも言えないような顔をしたと思うと次の瞬間

 

「ぴぎゃっ!」

 

突然叫び声を上げるとストライカーを脱ぐとシャーリーのストライカーユニット発進装置の影に隠れてしまった。

 

「どうしたんだよルッキーニ」

 

「なんかビビビってきたぁ」

 

「びびび?」

 

「あれ、嫌い。シャーリー、履かないで」

 

長い付き合いからルッキーニのこの手の野生的な勘を信用しているシャーリーは立ち上がると言った。

 

「やっぱり私はパスするよ」

 

「なに?」

 

意外そうな顔を浮かべてバルクホルンが言った。

 

「考えたら、まだレシプロでやり残したこともあるしな。

ジェットを履くのはそれからでも遅くはないだろ」

 

「ふ、怖気付いたな。まぁ、見ていろ。私が履く」

 

そう言うとルッキーニに代わって今度はバルクホルンがジェットストライカーを履くと再びエンジンを始動させた。

再びジェットストライカー特有の爆音がハンガーに鳴り響く。

 

「すごい」

 

明らかにレシプロストライカーよりも強い出力を感じとり思わずバルクホルンはそう呟いた。

 

「うげぇ〜」

 

「どうだ!今までのレシプロストライカーで、コイツに勝てると思うか!?」

 

「なに!?」

 

そんな事を言われて黙っているシャーリーではなかった。

 

「いい歳してはしゃぐなよ。新しい玩具を買ってもらった子供みたいだぞ」

 

「負け惜しみか?みっともないぞ」

 

「気が変わっただけだ。私はこれでいいんだよ」

 

「勝手気ままなリベリアンめ!」

 

「何だと!?この堅物軍人バカ!」

 

「はぁ、またやってる」

 

朝食ができた事を知らせに宮藤とリーネがハンガーに入ってきて二人の言い争いを見て思わず宮藤が言った。

結局。バルクホルンの挑発にシャーリーが乗る形でなし崩し的にこの二人によるジェットストライカーとレシプロストライカーによる性能の比較テストが行われることとなった。

どのみち性能検査はカールスラントからの依頼にもあったため渡りに船とばかりにミーナ中佐もそれを許可して性能テストという名の二人によるストライカーユニットの競争が始まったのだった。




ジェットストライカーってどのくらいの完成度のものが501に届けられたんでしょうね。
ほんとに初期段階のものだったのか、あるいは何度か試作機を作った後のものだったのか…。いずれかにせよ普通は前線に送るようなもんじゃないですね。
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