ダイヤのエースが飛ぶ理由   作:鉄玉

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さて、個人的に一番好きな話なんですけど…。


空より高く 前編

「あーめがふってもきにしない。やーりがふってもきにしない。なーにがあってもきにしないーっと」

 

歌いながら十機ほどの小型ネウロイを殲滅したエイラの元に慌てて宮藤が近付いてきた。

 

「エイラさん!シールド使わないと危ないですよ」

 

「どこ見てんだお前?」

 

そういうとエイラはスピードを上げ上昇すると残りのネウロイに向かって攻撃を仕掛けた。

ネウロイも無抵抗なわけがなく反撃のビームが飛んでくるがあっさりとそれを避けると瞬く間に小型ネウロイを倒してみせた。

 

「す、すご〜い!」

 

宮藤が感嘆の声を上げた。

 

「へへーん見たか」

 

得意げにエイラが言った。

 

「エイラさんってこんなに強かったんですね」

 

「なんだよお前信じてなかったのか?」

 

不満げな顔でエイラは言った。

 

「だってエイラさんがちゃんと戦っているの見ることないじゃないですか」

 

エイラは宮藤とは模擬戦もしたことは無く、ネウロイを相手に一緒に戦ったのも片手で数える程度でじっくり見られたこともなかった。

 

「そういやそうだな。宮藤が来た時には怪我のせいであまり飛ばなくなってたもんな」

 

「坂本さん達はエイラさんはハルトマンさんやバルクホルンさん並みに強いって言ってたんですけど正直あの二人くらい強い人ってそんなにいないと思っていたから信じられなくて…」

 

「こう見えても軍歴は結構長いんだぞ。相応に実力もあるに決まってるだろ」

 

「けど私と歳は変わらないですよね?」

 

「わたしは航空ウィッチになるために志願してスオムス軍に入ったんだ。今年で六年目だな」

 

エイラは現役のウィッチでは最古参の部類に入る。

元々ウィッチが志願制であった事から大戦前は軍に入隊するのは金銭的な事情やウィッチ特有の、例えば空を飛ぶなどと言った事を目的としての入隊が多くウィッチ全体で見ると軍に入隊するのは少数派だった。

 

「そんなに長いんですか!?」

 

「そうだぞ。ちょっとは敬え〜」

 

そんな話をしていると他の場所でネウロイを倒していたバルクホルン達が集まってきた。

 

「こんなもんか?」

 

シャーリーが言った。

 

「あらかた撃墜したようだが…妙だな、手応えがない」

 

怪訝そうな顔でバルクホルンが言った。

 

「これは全て子機だ。操っている本体を探しているんだが…」

 

眼帯を捲り魔眼を露わにした坂本少佐が言った。

 

「まだ健在だと?」

 

倒した数が数だけに信じられないとばかりにペリーヌが言った。

 

「いつの間にかやっつけちゃったんじゃない?」

 

ルッキーニが言った。

 

「本体を倒せば子機も消えるはずだよ」

 

リーネが反論した。

 

「うん?」

 

ふと坂本少佐が何かに気付いて声を上げると後ろを振り返った。

 

「なんだあれは?」

 

坂本少佐につられて振り返ったバルクホルンが叫んだ。

 

「雲を突き抜けていますわ!」

 

「ふぇ〜」

 

「まさか、あれが本体!?」

 

そこにあったのは雲を突き抜けるほどの高さのネウロイだった。

 

「少佐」

 

エイラが声をかけると坂本少佐は頷きネウロイに近づいていった。

 

「少佐!?」

 

坂本少佐の行動に驚いたペリーヌが思わず声を上げた。

 

「わたし達はここで待機するぞ」

 

「ですけど…」

 

「あの大きさだ。コアの位置が分からないとどうにもできないだろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうだった?」

 

十分ほどして帰ってきた坂本少佐にエイラは尋ねた。

 

「一時撤退すべきだな」

 

「ですがまだ敵が…」

 

「帰って作戦を立て直す。今日は遠出をしすぎた。そろそろ戻らないと基地に辿り着けなくなるぞ」

 

「ひひ」

 

手にしたイトスギの枝を見ながらエイラは笑みを浮かべた。

 

「なんですかそれ」

 

それをめざとく見つけた宮藤が尋ねた。

 

「なんだよ」

 

エイラは宮藤から距離を取った。

 

「何かの枝ですか」

 

「うるさいな。なんでもないよ」

 

そう言って手の中のものを宮藤から隠すようにした。

 

「どこで見つけんですか?なんでそんなの持ってるんですか?」

 

「そんなのどうだっていいだろ」

 

「見せてくれたっていいじゃないですか!」

 

エイラは無理矢理見ようとする宮藤をスルスルとかわし続ける。

 

「どうしてエイラさんってそんなにすばしっこいんですか」

 

肩で息をしながら宮藤は言った。

 

「ふふーん。すばしっこいだけじゃこうはいかないさ。わたしは未来予知の魔法が使えるんだ。敵の動きだろうとお前の動きだろうとわたしには全部見切れんのさ〜」

 

エイラは自慢げだ。

 

「今まで何見てたんだお前。自慢じゃないがわたしは実戦でシールドを使ったことがないんだ。あんなものに頼ってる奴は私に言わせりゃ二流だな」

 

ブリタニアにいた頃も未来予知の話をしたはずであり、もっと言うとついさっきまでその実力をまざまざと見せつけたはずなのにそんな質問をしてきた宮藤に、エイラは得意げにそう言った。

 

「そんな!私はシールドだけが取り柄だって言われてるのに!」

 

「ヒヒヒ」

 

『そんな言い方したらダメよ、エイラ』

 

ここにいるはずのない人物の声に二人は驚いた表情を浮かべた。

 

『おかえりなさい、みんな』

 

「「サーニャ!」ちゃん!」

 

「そっか、これから夜間哨戒なんだ」

 

得心がいったと言う顔で言った。

 

「まて、サーニャ。今夜はいい。一緒に基地に戻れ」

 

宮藤とエイラと並ぶように飛んでいたサーニャの元に近づいた坂本少佐が言った。

 

「…?はい」

 

「さっき司令本部から連絡があったわ」

 

急須から三人分の緑茶を注ぎながらミーナ中佐が言った。

 

「今回のネウロイの件か?」

 

坂本少佐が尋ねた。

 

「ええ。ロマーニャの空軍とヴェネツィアの海軍が後を引き継ぐそうよ」

 

「ほぉ」

 

「彼らも結果が欲しいんでしょう」

 

「お手並拝見といこうか」

 

「どうせ失敗すると思うけどなぁ」

 

エイラがマグカップに入れられたお茶を手に持ちながら言った。

 

「辛辣だな」

 

「あのネウロイを倒すには少佐のユニットの高度限界以上に砲弾を送り込む必要がある。たしかカールスラントの8.8ミリ高射砲(アハト・アハト)が8000メートルいかないくらいだったと思うけどそれじゃあ足りない。それ以上のものを探すしかないけどどうせ他のも似たようなもんだろ」

 

「そうだな扶桑の高射砲もせいぜい12000メートルとかだろうしリベリオンもそう変わらんだろうな」

 

一般的なストライカーユニットの高度限界は約10000メートル。それに対して一般的な高射砲の限界高度はそれよりも低い。もちろんそれよりも高い場所に届かせる事ができるものもあるがせいぜい15000メートルといったところだった。

仮にあのネウロイが地上型であれば根元を破壊すればどうにかなっただろうが飛行型であり例え根元を破壊しても飛び続けると予想された。

 

「結局私たちが倒すことになるでしょうね」

 

「って事で少佐、作戦の立案は頼んだぞ」

 

「…私がやるのか?」

 

エイラが行うと思っていた坂本少佐は驚いたように尋ねた。

 

「わたしはこの基地にどんな装備があるか知らないからな」

 

ブリタニアの時はともかくここロマーニャではエイラはよくローマに行っていた。そのためその業務の殆どはミーナ中佐と坂本少佐が行っていて実質無役のようなものだった。

 

「それもそうか」

 

「必要な物があったらできる限り上層部から引き出すからいくらでも言ってくれよな」

 

「わかった」




この高度30000メートルにコアのあるネウロイ、街に来たところである程度高さのある建物じゃないとただネウロイが街上空を通過するだけなんじゃないかと思わなくもないんですけどどうなんでしょうか。
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