ダイヤのエースが飛ぶ理由   作:鉄玉

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やっぱりマルセイユもいいキャラしてますよね?


500 over 後編

「エイラさんってこんなに強かったんですね」

 

談話室のソファーで寝転んでいるエイラに宮藤が言った?

 

「わたしは何もしてないけどな〜」

 

「ハルトマンさんを止めてたじゃ無いですか」

 

「あの二人の連携が取れてなかったからな。意外と楽だったけど…」

 

「けど?」

 

「何が悲しくてハルトマンを一人で相手取らないといけないんだよ〜」

 

そう言ってクッションに顔を埋めた。

 

「そう言う作戦じゃなかったんですか?」

 

「バルクホルンときっちり連携して相手するつもりだったのにバルクホルンはマルセイユの挑発に乗って勝手に動き出すし…。もうこんなの二度としたくない」

 

どんな言葉で挑発されたのかは分からないが意外と気の短いバルクホルンならあり得ない話ではないなと宮藤は思った。

 

「未来予知で強引にハルトマンの飛行ルートを制限してハルトマンとマルセイユの位置を重ならせたけど後ちょっと遅かったら弾切れになって負けてた」

 

「あまり謙遜するな。ハルトマン相手にそんな芸当できる奴はそう多くない」

 

坂本少佐が言った。

 

「そうは言ってもハルトマンが警戒して積極的には仕掛けてこなかったからな。そうじゃなかったら勝敗は変わってたはずだぞ」

 

「勝敗が変わったとしてもハルトマン相手に善戦出来ることには変わらないだろう」

 

「…随分褒めるな」

 

何か裏がありそうな雰囲気にエイラは警戒した様子で言った。

 

「最近暇しているようだからな。わたしの代わりに宮藤達の訓練を見てやってくれないか」

 

「え〜」

 

坂本少佐の言う通り最近は基地から動くこともなく、またネウロイの襲撃もほとんどない事からエイラは暇を持て余していた。

 

「基礎的なことは全て教え終わったからな。そろそろトップエースから直々に技術というものを叩き込んでもいいと思ってな」

 

「技術なんて経験と一緒に勝手についてくるもんだろ。模擬空戦でもやらせとけば自然と強くなるだろ」

 

「ならそれを見て講評をエイラがしてくれればいい」

 

「まぁ、それくらいなら。いつから見ればいいんだ?」

 

「この作戦が終わってからでいい。ヴェネツィア奪還以外大きな作戦の予定もないしちょうどいい期間だろう」

 

「わかった」

 

「ふわぁ〜」

 

作戦決行日の朝、いつもより早く目覚めたハルトマンは大きな欠伸をしながら部屋から出てきた。

 

「あれ?トゥルーデどうしたの?」

 

マルセイユもいる部屋ということもありこの部屋に近づくことのなかったバルクホルンが今日に限ってこの場にいることを疑問に思い尋ねた。

 

「あ、あのな…」

 

バルクホルンの手にはマルセイユのブロマイドがあった。

 

「いや、やっぱりなんでもない!」

 

そう言うと踵を返した。

 

「もしかしてハンナのサインが欲しいの?」

 

「わ、私じゃ無いぞ!」

 

勢いよく振り返るとバルクホルンは言った。

 

「…妹が奴のファンなんだ」

 

「クリスが?」

 

クリスことクリスティアーネ・バルクホルンはゲルトルート・バルクホルンの妹だ。バルクホルンはクラスのことを目に入れても痛く無い程可愛がっていた。

 

「だ、だから少しでも喜んでもらえればと…」

 

マルセイユが来て以来散々罵り合っていたため流石に直接頼むのはバツが悪い

 

「いいよ。頼んであげる」

 

バルクホルンがどれほどクリスのことを大切に思っているのかよく知っているハルトマンはそう請け負った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やだね。私はサインをしない主義なんだ」

 

差し出されたブロマイドを見てマルセイユはにべもなく断った。

 

「なんでだよ。いいじゃんサインの一つや二つ」

 

そう言うハルトマンからマルセイユはブロマイドを受け取ると言った。

 

「ふっ、あんなシスコンのクソ石頭に書いてやるサインはないね」

 

マルセイユはブロマイドを天井に向かって投げ捨てた。

 

「おい、ハンナ。トゥルーデを馬鹿にすんな」

 

いつにもなく真剣な表情のハルトマンの表情に薄く笑みを浮かべると言った。

 

「だったら私と勝負しろ。勝ったらいくらでもサインしてやる」

 

「勝ったらするんだな」

 

「ああ」

 

そこに作戦開始を告げるベルの音が鳴り響いた。

 

「時間だ」

 

自然と二人の勝負の場は今回の作戦での撃墜数となった。

 

「聞こえる?マルセイユ大尉、ハルトマン中尉」

 

潜水艦の中にいるマルセイユとハルトマンにミーナ中佐が呼びかけた。

 

『ああ、良好だ』

 

本来なら海中の潜水艦とこのように通信を行うことはできないがサーニャの魔導針によりこれを可能としていた。

 

「目標はネウロイによって占拠されているマルタ島。この前扶桑艦隊を襲ったネウロイもここから出現したと予想されるわ」

 

改めて全員に対してミーナ中佐が作戦の概要の説明を始めた。

 

「また、マルタ島の横にあるゴゾ島にも少数だけどネウロイが確認されたわ。ユーティライネン中佐とバルクホルン大尉にはこのネウロイ撃破の為、現在先行してゴゾ島に向かってもらっているわ。貴女達が作戦を開始する頃到着予定よ」

 

これはミーナ中佐達が出撃した際に急遽知らされた事であり具体的な数などは偵察が不十分で判明していなかった。

 

「私達は連合艦隊の護衛、及び突入部隊が危機に陥った際のバックアップを行います。

二人とも、準備はいい?」

 

『いつでも行ける』

 

『こっちもいいよ』

 

「作戦開始!」

 

ミーナ中佐の合図と共に、マルセイユとハルトマンは潜水艦から射出された。

 

『敵数、多分40くらい』

 

「40!?」

 

リーネが驚いて叫んだ。

 

「多いな」

 

坂本少佐が呟いた。

 

『違う。38だ!』

 

『35だよ』

 

「え、どっちが正しいんですか!?」

 

「いえ、どっちも正しいわ。敵が減ってるの」

 

その時、別の通信が入った。

 

『こちらバルクホルン。現在ゴゾ島のネウロイと交戦中、総数20』

 

「20か、ここほどではないが多いな。誰か援護に…」

 

坂本少佐がその数に眉を顰め援護のため人員を派遣しようとすると今度はエイラからの通信が入った。

 

『別にこのくらいなら大丈夫だぞ』

 

「これくらいって20機ですよね!?すごい数ですよ」

 

宮藤が言った。

 

『ハルトマン達は40だろう?その半分だ問題ない』

 

「バルクホルンさんまで…」

 

『それに今は20じゃなくて13だ』

 

『違う11だ』

 

「どうやらあっちも順調に数を減らしているみたいだな」

 

「援護は必要なさそうね」

 

『『7』』

 

『『6』』

 

『『5』』

 

『『4』』

 

『『3』』

 

『『2』』

 

『『『『ゼロ!』』』』

 

「後はコアだけ」

 

『これで』

 

『終わり!』

 

その掛け声と共に、ドーム型のネウロイの崩壊が始まった。

 

「すごいたった二人で…」

 

宮藤はたった二人で40ものネウロイを倒すと言うありえない光景に唖然として言った。

 

「20機だ」

 

「私も20」

 

二人はお互いの撃墜数を告げると顔を見合わせた。

 

「引き分けは好きじゃない」

 

「知ってるよ」

 

「決着をつけるぞ」

 

「私が勝ったらサインしろよ」

 

「勝ったらな」

 

その言葉と共に二人は散開した。

 

「二人とも、何してるんでしょう?」

 

宮藤が首を傾げた。

皆が見守る中、マルセイユがハルトマンの後ろをとると引き金を引いた。

 

「う、撃ちましたよ!」

 

「み、味方に向かってなんと言うことを!」

 

ペリーヌが目を剥いた。

 

「仕方のない奴らだ」

 

坂本少佐が呆れたような表情を浮かべると言った。

 

「何を呑気なこと言ってるんですか!実弾ですよ!」

 

宮藤が声を荒げた。

 

「二人はウィッチだ。シールドがあるから当たりはしない」

 

「そうですけど…」

 

「だが二人の戦いはシールドを出した方が負け。そして、弾が切れた方が負けだ」

 

二人の戦いは並のウィッチではついていけないほど激しいものとなっていた。

一方が背後を取ったと思うともう一方がまるで曲芸飛行のように動いて逆に背後を取り返す。

 

「凄い…」

 

初めは怒りを見せていたペリーヌもある種芸術的とも言える二人の戦闘に魅入っていた。

 

「貰った!」

 

「シュトゥルム!」

 

マルセイユが確実に背後を取ったように見えたがそれを固有魔法で風を操ることで急旋回する事で避けると逆に背後をを取る。

互角の戦いが続きとうとうお互いが真正面からぶつかり合うヘッドオンの状態となりお互いが超至近距離で銃を突きつけあった。

 

「弾切れだ」

 

「私もだ」

 

マルセイユの言葉にハルトマンは口元に笑みを浮かべると言った。

 

「引き分けだね」

 

ハルトマンの言葉にマルセイユも笑みを浮かべた。

次の瞬間ゴンという鈍い音と衝撃がマルセイユの頭を襲いマルセイユは悲鳴を上げた。

さらに次の瞬間には唖然としているハルトマンを全く同じ音と衝撃が襲った。

 

「味方同士で何やってんだお前ら」

 

スッと上空から降りてきたエイラが呆れた表情で言った。

MG42銃身部分を手で握りっていることからどうやらストック部分で二人の頭を殴ったようだった。

 

「ひ、酷いよエイラ」

 

「中佐達もだぞ。仮にも味方同士が実弾撃ち合ってんだから止めろよな」

 

ハルトマンが抗議するがそれを無視してミーナ中佐達に言った。

 

「シールドがあるから大丈夫だろう」

 

「仮にも上官なんだから止めるふりくらいはしないとまずいだろ。一体どれだけの人がここにいると思ってんだ」

 

エイラもシールドがあれば怪我をしない事くらい分かっているが今日の作戦は連合軍の艦隊と合同で行われた為他人の目というものがあった。そのためこの二人の戦いを見て変な噂が出ることは避けたかった。

 

「それはそうだがあまり無茶を言うな。この二人の戦いに介入できる奴はそうそういないんだぞ」

 

もっとも、それが分かっていたとしても無理矢理止める事が出来るかどうかは別だった。この場において介入可能なウィッチはミーナ中佐、エイラ、バルクホルン位のものだが内二人は現場におらずミーナ中佐単独ではやや力不足といえた。

 

「ネウロイは撃破できたしエイラさんが罰を与えたからこれくらいは多めに見ましょう。基地に帰還するわよ」

 

「…了解」

 

「随分急ぐのね」

 

翌日、ミーナ中佐と坂本少佐はアフリカへと帰還するマルセイユを見送っていた。

 

「午後から向こうで雑誌の取材があるんでね」

 

「流石、アフリカの星だな」

 

「ああそうだ、忘れていた」

 

ポケットからサインをしたブロマイドを取り出すと言った。

 

「バルクホルンの妹に送ってやってくれないか」

 

「自分からトゥルーデに渡してあげればいいのに」

 

「言っただろ、私は忙しいんだ」

 

ふっと笑うと扉を閉めようとしてふと思い出したかのようにそれをやめると言った。

 

「それとここにいないユーティライネンに伝えてくれ。

次にあったら一対一で勝負をしようと」

 

その言葉にミーナ中佐は驚いたような表情を浮かべた後言った。

 

「ふふっ。伝えておくわ」

 

それを聞くとマルセイユは扉を閉め飛び立っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へくちっ!」

 

「風邪?」

 

サーニャが心配そうに尋ねた。

 

「なんか寒気が…」




ふと思ったんですけど扶桑の駆逐艦ってどうなってるんでしょうか?
日本海軍はの駆逐艦って戦艦を倒すために強力な雷装をしてますけどストライクウィッチーズってネウロイとの対空戦闘が念頭に置く必要があるから秋月型とか見たいな防空駆逐艦よりの設計思想になってたりするんですかね。
アニメ見た感じは普通に陽炎型でしたけど細かい部分で違いがあったりとかするんですかね。

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