ダイヤのエースが飛ぶ理由   作:鉄玉

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いよいよ2期、クライマックスです。


私であるために

「ヴェネツィア奪還のための作戦、オペレーションマルスが明日10:00時より発令されることが決定しました。

作戦は戦艦大和をネウロイ化させそれをもってネウロイの巣を殲滅すること。我々はその大和の護衛を行います」

 

「もし失敗したら?」

 

バルクホルンが尋ねた。

 

「失敗した場合、ロマーニャ全土はネウロイに明け渡し501航空団も解散することになるわ」

 

「明け渡す?501が解散?そんなバカな話があるか!ミーナ、そんな命令に納得して帰ってきたのか!?」

 

「そんなわけないじゃない!」

 

ミーナ中佐が声を荒げた。

 

「納得してるわけないじゃない…。でもこの先消耗戦を続ける戦力は残ってないわ。ガリア奪還でただでさえ戦力が不測気味なのにこの上ロマーニャまで加わるとなると現状防衛は難しいわ」

 

「やぁだあ゛〜」

 

ロマーニャを明け渡すと聞きルッキーニが声を上げて泣き出した。

 

「エイラはたしか作戦立案にも関わっていたな。どう言うことか説明してもらおうか」

 

バルクホルンがエイラを睨みつけた。

 

「…ロマーニャ全土を明け渡すのはただ作戦が失敗するんじゃなくて参加部隊や南方方面軍全体が大打撃を受けて大失敗した場合だけだって聞いてる。

単純に巣の破壊に失敗しただけならロマーニャ北部を放棄するだけになると思う」

 

どこか自信なさげにエイラは言った。

 

「…501はどうなる」

 

ロマーニャ全土の放棄がそう簡単になされない事がわかり先ほどよりも落ち着いた様子で尋ねた。

 

「防衛戦の方の作戦立案には加わってないから詳しいことは知らないけど、解散して分隊ないしは小隊に再編してロマーニャ北部で防衛戦を行うことになるって聞いたぞ」

 

「わざわざ解散する必要があるのか?」

 

「作戦が失敗しているから戦力は大幅に落ちてるだろ。それを補うためには練度の高いウィッチを一つの部隊に集中させるよりばらけさせた方がいいって判断だろ」

 

「いや、そもそもロマーニャを防衛するだけの戦力が残っているのか?」

 

今回の作戦でさえ各国から多くの援助があった上で行われている。そのため作戦が失敗した後、果たして北部だけの放棄で済むのかどうかバルクホルンには判断ができなかった。

 

「南方方面軍の主力がロマーニャ軍だからロマーニャ次第としか言えないな。他国(よそ)の懐事情まではわからないからなんとも言えないよ」

 

「…勝てばいいんでしょ」

 

サーニャが言った。

 

「まっ、そう言う事だな」

 

エイラがサーニャに同意した。

 

「ですわね」

 

「うん、勝とう!」

 

「絶対勝つよ!」

 

ペリーヌ、リーネ、宮藤が次々に言った。

 

「そーゆー事だよトゥルーデ。なに弱気になってんのさ」

 

ハルトマンがからかった。

 

「ち、違う!私はたとえ最後の一人になっても戦う!」

 

「一人になんてさせないわ!

私たち十一人でストライクウィッチーズよ」

 

そう言ってミーナ中佐が微笑んだ。

 

「そうです!十一人いれば絶対に勝てます!」

 

そう言うと宮藤は同意を求めるように坂本少佐の方向を向いたが坂本少佐がそれに応えることはなかった。

 

翌日、いよいよヴェネツィア奪還のための作戦が発令されエイラ達はアドリア海を北上しヴェネツィアへと向かっていた。

 

「見ろ!ウィッチだ!」

 

「ストライクウィッチーズだ!」

 

上空から現れたウィッチの姿に甲板に出ていた水兵が湧き上がる。

 

「これが大和か…」

 

大和の上空を通過しながらバルクホルンが呟いた。

 

「でっけーなぁ」

 

シャーリーが驚いて声を上げた。

 

ネウロイの巣が見えるまで時間は掛からなかった。

 

「あれがネウロイの巣」

 

宮藤が言った。

 

「そうよ」

 

「敵の親玉だ」

 

ミーナ中佐と坂本少佐が続けて言った。

次の瞬間、上空から赤いビームが降り注ぎ駆逐艦ニコラスが被弾した。

 

「始まったわ!大和がネウロイ化するまでの間、なんとしても守り切るのよ!」

 

ミーナ中佐の号令によって部隊は大和上空での直接防衛組と戦闘哨戒組に分かれた。

 

「芳佳ちゃん!」

 

大和への攻撃を巨大なシールドで防いだ宮藤を心配したリーネが叫んだ。

 

「くっ、キツイ…」

 

「砲撃が大和に集中しているわ」

 

ミーナ中佐が言った。

 

「奴ら、大和が普通ではない事に気付いたか」

 

坂本少佐が苦々しげに言った。

 

大和に攻撃が集中しているものの戦況は人類側有利に進んでいた。

シャーリーとルッキーニが小型ネウロイを射的でもするかのように次々と撃ち落とし、エイラが囮となって一箇所に集めた大量のネウロイをサーニャがフリーガーハマーで撃破する。

バルクホルン、ハルトマンの二人はこの二組以上のスピードで次々と小型ネウロイを撃破していく、

 

「ねぇ、全然減らないよ!」

 

「黙って倒せ!勲章が向こうから飛んでくると思え!」

 

ぼやくハルトマンをバルクホルンが叱咤した。

 

「そんなのいらないよ〜」

 

「大丈夫、少佐?」

 

ミーナ中佐が坂本少佐に声をかけた。

 

「なんのこれしき!宮藤達も頑張っている、私も負けてはいられない!」

 

上がりを迎えている坂本少佐も気力を振り絞って戦いに参加する。

 

そして海上では回避行動をしていた艦隊が砲門を開き対空砲の統制射撃が行われる。

 

「囲まれた!?」

 

「リーネちゃん!ペリーヌさん!」

 

いくら優勢に進んでいても数の不利というものを完全に覆すことは難しく一瞬の隙をついたネウロイによりペリーヌとリーネが囲まれる。

 

「こっちだ!」

 

烈風丸を抜いた坂本少佐が上空から援護に入った。

 

「烈風斬!」

 

しかしいつもならそのまま真っ二つになるはずのネウロイが外殻でその刃を止め、烈風丸は坂本少佐の手から抜け落ち落下していった。

 

「坂本さん!」

 

慌てて坂本少佐とネウロイの間に宮藤が割って入りシールドを展開した。

その間にミーナ中佐がネウロイを撃破しペリーヌ、リーネが包囲から脱出した。

その光景を見ていたのは近くにいた宮藤達だけではなかった。

 

『中佐!わたしが指揮をとるから坂本少佐を天城に連れて行くんだ』

 

「エイラさん!?」

 

『まともにシールドが張れないウィッチがいても足手まといになるだけだ。今ならまだわたし達が有利だ。なにかあってからじゃ遅い、今のうちに早く!』

 

「…わかったわ」

 

『ミーナ中佐が一時的に指揮を取れなくなったためわたしが指揮を引き継ぐ。魔法力に余裕のないやつはすぐに空母天城に着艦しろ』

 

エイラが指揮をとる声を聞きながらミーナ中佐は坂本少佐に近づいた。

 

「少佐、聞いていたわね。私と一緒に」

 

「私にとって、生きることは闘うことだった。だが、もうシールドを失い烈風斬も使えない」

 

そう言って坂本少佐は涙を流した。

 

「貴女は十分戦ったわ。さっ、行きましょう」

 

『大和が…飛んだ…』

 

宮藤の呟きがインカムから聞こえ、二人は振り返り大和を見た。

 

『現時刻を持ってわたし達の任務は達成された。全員天城に帰還しろ。なおバルクホルン、ハルトマンはわたしと一緒に艦隊周辺の安全を確保した後に帰還する事』

 

宮藤達が帰還する間にも大和はどんどん高度を上げネウロイの巣に近づいていく。

 

「ああ、このままじゃやられちゃう!」

 

ネウロイのビームを受ける大和を見てリーネが悲鳴を上げた。

 

「いいえ大丈夫。再生してますわ」

 

ペリーヌが言った。

 

「これがネウロイ化の力…」

 

「なんて火力だ」

 

本来なら小口径の対空砲では傷ひとつつかないはずの小型ネウロイが撃墜されていくのを見てバルクホルンが言った。

 

そしてついに、大和の艦首がネウロイの巣へと激突し大きな衝撃が艦隊を襲い海が荒れ、艦隊は大きく揺れ動かされた。

同時に全員がこの戦いの勝利を確信し高揚感に全員が包まれていた…はずだった。

 

「どうして撃たないの?」

 

上空で坂本少佐に肩を貸していたミーナ中佐がつぶやいた。

次の瞬間、大和は巣から出てきたネウロイのビームに包まれた。

 

『みんな、よく戦ってくれた。しかし大和の魔導ダイナモが起動せず作戦は失敗した』

 

「失敗!?」

 

「そんな…」

 

皆がその言葉に驚き、祖国喪失の危機にルッキーニが涙を流す。

 

『全艦16点回頭。戦線を離脱する!』

 

全員が諦めるたかに見えたその中に、ただ一人諦めなかったものがいた。

 

『まだだ、まだ終わっていない!終わってなどいない!』

 

坂本少佐だ。

 

『私が大和に乗り込み魔導ダイナモを再起動させる!』




結局のところ烈風斬ってなんだったんですかね。
斬撃を飛ばす魔法、というには余りに刀の特殊性に依存しすぎな気がしますしかと言って固有魔法かというとそうでもなく…。
昔のウィッチは今のウィッチより色んな事を出来たみたいですし古い魔法の一種とかそんなのなんでしょうか?意外とちゃんとした手順を踏んでたらデメリットとか無しに使えた可能性があったりするんですかね?
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