「と言うわけで、今日の授業はここまで。それで、今日の宿題の事だが…」
けーね先生がプリントを配る。プリントは前の席から後ろに手渡され、この長机の人数分取ったら後ろに回す。
私はプリントを大ちゃんから受け取り隣のルーミアに渡した。これは作文じゃないか。一体どうしてこんなものを…。
「今日から2連休ある。その間に1つ本を読みその感想をそこに書くんだ。枚数が足りなければ教卓に紙は置いておくから取りに来るといい」
「先生、本って漫画本でもいいですか」
「いや、駄目だ。挿絵は入ってていいしページ数も指定しないが小説とかエッセイとかその類だ」
教室内がざわめく。また面倒くさい宿題だなぁ。
「質問等他にないなら今日はもう終わり。解散!」
生徒は蜘蛛の子を散らす様に下校を始めた。私もさっさと帰りたかったけど、皆と一緒に帰るので飛び出す事はできない。
我先にと廊下を走った生徒は捕まって説教を受けてる。私が皆と一緒に寺子屋を出るより時間がかかりそう。私はほくそ笑むと準備ができた皆と下校する。
「たった2連休で1冊本を読んで感想文書けだなんて、酷な話しだよね。休みを満喫できないよー」
リグルはボヤいた。
「厚みのない薄い本を読めばいいんだよ。そして中身のないそれっぽい文章を引き伸ばーし引き伸ばーし…」
ミスチーはジェスチャーを交えて説明している。
「薄い本…」
大ちゃんが1人笑った。
「大ちゃんは家に本を持ってたよね。いい感じに短くて面白い本ない?」
「リグルちゃんに合いそうな本、あるかなぁ」
皆わいわいと話している。ぼんやりしてるとルーミアが私の肩を叩いた。
「チルノはどんな本を読むのかー?」
「明日考えるよ。ルーミアは?」
「んー。私は感想文書かない!」
「先生の頭突き、痛いよ」
「私の頭は先生より硬い!よって大丈夫!」
元気いっぱいにこやかに答える。そうしているとその辺でゴツゴツと音が聞こえた。まるで木を斧で叩いている様な…。
けーね先生だった。けーね先生は頭で木をへし折るとそれを持ってどこかへ行った。
「どんな本を読もうかなー」
ルーミアは現実的で賢い選択をした様だ。
やがてミスチーとルーミアの2人と分かれた。大ちゃんの家に本を借りに来るためリグルは自宅へ向かわず付いてくる。
リグルは大きなため息をついて両手を頭の後ろにやった。
「大ちゃんはともかく、今日はやけに静かじゃんチルノ。何か悩んでる事でもある?」
「何か悩みでもあるの、チルノちゃん」
「ないよ。いつもこんなだって。それじゃ、私の家はこっちだから」
私は適当にあしらって自分の家に向かって歩き出す。
「チルノちゃん、読む本は決まってるの?良かったら家においでよ」
「んあー…気が向いたら!」
家についた。ふぅ…。家の中には河城にとりが機械の前で座っていた。一息付きながらカチャカチャと何かをした後に最後の蓋を閉じた。
ようやく私に気がついた様で私は声をかける。河城にとりは笑顔で私に手をひらひらとする。
「足は付かなかった?誰かに尾行されてない?」
「うん、多分。でもこの家ドアないしバレてるかもよ。事のついでに付けようか?」
「いや、遠慮しとく」
ドアは欲しい。でも最近はカッパコインの前借りが多く、これ以上借りれば後から上限が来ていざと言う時に借りられなくなってしまう。
現金を持たなくても売買なりサービスなりして貰えるカッパコイン。会員制のにとりカードが必要で、前借りできるのは10枚まで。私が会員に登録できたのはラッキーだったものの、カッパコインのない生活に戻る事は考えられない。
そしていつも下手に使ってしまうので、いつも激務の返済で済ませようとして苦労する。
「明日は7時からうちに来て手伝ってくれないかな。2時間で、カッパコイン2枚でどう?」
私は冷気を使ったサービスを行う事でカッパコインの前借りを返済している。現時点で7枚の前借り。あまりに便利なのでついつい利用して上限に達し、ハードなバイトをする事になる。
にとりのバイトは労働的にきつくはないがとても退屈だ。割と本気で他のバイトしてカッパコインを買ったり返済した方が賢いんじゃないかと思う事がある。
「4枚…」
「冗談きついなぁ。3枚」
言ってみるもんだ。私は3枚でその依頼を受けた。それからこの機械の使い方を教わる。そう…この機械は近くのゴミ捨て場にあったもの。
にとりが言うには「げーむのきょうたい」らしい。初めてこれを見た時は運命を感じた。どんなものか分からなかったけど、取り敢えず使えるようにと、にとりに修理を頼んだ。
扱い方を教わると、早速と電源を入れる。が…。
「あれ、電源つかないよ」
「カッパコイン切れてるからねぇ」
電気を供給するにはカッパコインがいるんだった…。でもちょうど手持ちのカッパコインを切らしてる。
「そういえば今日の夕方に入ってたバイトがキャンセルされちゃってね」
「やるよ!やればいいんでしょ!」