こんな状況で頼れるのはフランだけ!
しかし、前回の脱走もあってあまり気が進まないフラン。
とはいえ友の窮地についに意を決して紅魔館を脱走する!
パチュリーは無事に欺けたものの、レミリアとエンカウントしてしまった!
最も面倒な相手と出くわしてしまったフラン!魔理沙の運命やいかに!
「離婚を前提に結婚してください!」
私は叫んだ。ううむ。違う。もっとこう、グッと来る何かとインパクトが欲しい。私はまた息を吸い込んで叫ぶ。
「結婚を前提に離婚してください!」
何か違うなぁ。いまいちピンと来ない。私はノートを開いて今のセリフの所に斜線を引いた。もっと他のセリフにしよう。私は他のページのアイデアを見る。よし、これにしよう。
〝フラン、フラン!〟
「たっぽい!たっぽいたっぽいたっぽい!」
〝えぇ!?〝
「あ、チルノ?いきなり連絡来るからびっくりしたよ」
〝たっぽい…?〟
「ちょっとした発声練習だよ。日頃から喋る習慣がないと上手に声が出せなくなったりするんだよ。それで、何か用?」
何でこのタイミングで連絡するかなぁ。
〝魔理沙が、魔理沙が死んだ!〟
「は!?」
〝いや、ごめん。生きてる、ちょっと頭が混乱しちゃって…〟
「混乱し過ぎだって。ほら、深呼吸。吸って…吐いて…吐いて…吐いて…吐いて…」
〝ゲホッケホッ…。殺す気か〟
「それで、魔理沙がどうしたの」
〝詳しい事情は話してる暇がないんだけど、魔法の森で死にかけてて…。どっちへ行けば出られるかもわからないし、魔理沙を抱えては飛べないし…あたいどうしたらいいか分からなくて…〟
魔法の森か…。それはとても厄介な所に迷い込んだな。土地勘がないと厳しい。その上に魔理沙を運ばなきゃいけないと来たもんだ。私は頭を掻いた。
「魔法の森と言えば誰かいなかった?えっと、何て言ったかな。魔理沙の知り合いの…つぶあん・マーガリン?」
〝もしかしてアリス・マーガトロイド?ここからじゃどっちに行けばいいか…〟
ああもう、困ったなぁ…。これじゃまるで救いようがない。チルノの話では今こうしている間にも魔理沙は少しずつ弱って行っている。
〝フラン、どうしよう、どうしよう!このままじゃ魔理沙が死んじゃう、このままじゃ…!〟
チルノの声に鼻をすする音が混じる。おいおいおいおい…。
「しっかりしなさいよ、あんたがしっかりしなきゃ助かるものも助からないでしょうが!…分かったよ、助けに行くよ…行けばいいんでしょ!他の妖怪に見つからない様に隠れてて!」
私は一方的に連絡を切った。チルノがもっている金貨の位置さえわかればそこへ行くだけだ。ついこの間、脱走がバレてピリピリしているという所をまた脱走しなければならないだなんて。
もちろん、本気になればこんな所に閉じ込められている私ではない。それでも、こうして大人しくしているのはここでの生活が気に入っている事と私が大人しくしてさえいれば皆が喜んでくれるからだ。
でも私は行かなきゃあならない。
私はドアを開ける。まずはパチュリーだ。私は息をひそめて羽を隠し、メイドに扮する。影から影に、柱から柱に。よし、図書館はこんなものだ。後は…。
「妹様。あまりおいたが過ぎるとお仕置きですよ」
バレていた…。パチュリーのお仕置きはいつも恐ろしい。前回のお仕置きは、冷やしたこんにゃくで5回ビンタされた。前々回はセミの羽化の映像をリアルタイムで見せられた。今回だって何をさせられたものかわからない。
だが、対パチュリーの対策はばっちりだ。私は素早くパチュリーの元へ駆け寄り、彼女の瞼を両手の人差し指で押さえる。
「おやすみパチュリー」
「zzz…」
いつも眠そうにしているパチュリーだ。こうして瞼を下ろしてやるだけで寝てくれる。
よし、ここはクリアだ。咲夜は時間帯的に通らないであろう場所を選んで出ていく。窓から飛んでも良かったが誰から見られているか分からない。せめて門までは…。私はあらゆる障害を越えて玄関前に来る。
よし、後はここを抜けていくだけだ。私はメイド服を脱いでいつもの服に着替えて先を急ごうとする。
「横格ぶっぱー!あ゛あ゛ーい゛!」
そこに愚姉ことレミリアが現れた。
「「なんでこんな所にあんたがいるのよぉぉぉぉおおお!!」」
ハモった。
「お、お嬢様?何かありました?」
咲夜まで現れた。絶体絶命だ。しかし、私はフランドール・スカーレット。こんな窮地ぐらいお茶の子さいさい、抜け出してやる。
「お姉さま!Fly to the moon!!」
そう言って私は姉に抱き着いてキスをした。
「ふもっ!」
ついでに血も吸ってやろ。
そう思っていると逆に血を吸われる。
「ふもも、ふもももふもふもふがっ(憤怒)」
「ふむむ、ふむーっふむむむ(激怒)」
「…ごゆるりと」
咲夜がにこやかに去っていった。よし、敵が1人いなくなった。私は口を離してヘッドバットを姉にぶつける。
「ちょっと出かけてくる!」
「一人じゃ、危険でしょうが!」
よろめいたかと思うと急接近してきてヘッドバッドをして来る。鼻血が出た。
「うげぇーっ!やりやがったな、愚姉のくせに!」
「愚妹の後始末は決まって姉なんだぞ!貴様に分かるかこの気持ちが!」
「ああ、分からん!分からんともさ!!」
私は負けじとヘッドバット。今度は姉貴の鼻柱に当ててやった。向こうも鼻血を出す。
「ならば勝負の二文字をもって教えてくれようぞ!!」
姉御のヘッドバットがまたヒットする。視界がぐらりとした。
「望むところだッ!!!」
「…じゃなくて、こんな時間帯に用事ってなんなの」
「話してる暇がないんだよ、魔理沙が死にかけてる!急いで助けに行かなきゃいけないんだって」
「私が同伴する、それでいいでしょ!」
「勝手にしなさいよ!」
ちょっと目的を忘れかけてたけど、とにかく今は1秒でも惜しい。私はすぐに飛んだ。後を追って姉も追ってくる。方角はこっち…。あっちだ、わかった。それにしても物騒な森だ。
私はチルノの元へ着地した。
「チルノ、大丈夫?」
「あたいは大丈夫だけど…」
後から姉も着地した。
「あれ、あんた確か…」
「はいはい、話は後々!とりあえず紅魔館に連れて行きましょ」
私は手を叩いた。
「いや、永遠亭でしょ」
「ああもう、永遠亭でも命蓮寺でもいいよ!」
「…あまり耳元で騒がないでくれないか。頭に響くんだよ。どこかゆっくり休める所に連れてってくれ」
魔理沙が起きた。どうやらチルノの早とちりでそこまで急を要するわけではないようだ。
それなら紅魔館で決まりだ。私は魔理沙を背負い、レミリアは迷わない様にチルノの手を引っ張って飛翔する。それにしてもこの瘴気…これが方向感覚を狂わせるのか。ただ飛べば脱出できるとも限らないわけだ。
尤も、私には何も問題ないが。魔理沙は長くここで過ごして大丈夫なんだろうか。
疑問はさておき紅魔館に到着した。客室に寝かせるとすぐにパチュリーの元へ急ぎ、瞼をオープンさせた。さも当然の様に起きたので、すぐに事情を話して魔理沙の応急処置を急いだ。
森を抜け出してからはチルノもそれなりに元気になってたが、あれだけ泣いたりわめいたりしてたんじゃ体力もかなり消耗している。今日はここで休んでいくように説得した。
「はぁ…ドタバタした」
今回の脱走劇は魔理沙の救助の事もあって不問とされた。でもとても疲れた。
「今日はありがとうね。おかげで助かったよ」
「今回みたいな事は頻繁にはできないから、今度からはあまり軽率な事はしないようにね。おかげで今日は姉とキスしたり鼻血を出したりしたわ」
「フランって、実はキス魔?」
「別にこだわりはないけど姉とだけはもうこれきりにしたいわ」
「そうだ、これ…」
チルノは何かを渡してきた。カメラ?映像が映っている。これは…。
「海?」
「うん…ちゃんと撮って来たよ」
「ふーん…やるじゃん」
しばらく眺めていたけど、それをチルノに返した。次に目をやるころには眠っていた。私はため息つくと、彼女の頭を撫でて自分の部屋に帰った。
正直、どんなテンションで書けばいいかわからなかった。