チルノの学校生活   作:ヤングコーン

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青緑の本を始めて読んで気絶した時に見た夢。
あの湖の上で目覚めた。目の前にはあの本がある。
私はこれが夢である事に気付くと辺りを探索してみる事にした。

すると急に目の前が暗転。視界はすぐに開けたけど…。
そこで私は、私と出会う。


17話 イミテーション

目の前に本がある。青緑の本だ。確か大ちゃんが書いていた本だ。宙に浮いている。

 

私はあたりを見渡した。前に見た事がある。大ちゃんの本を始めて読んで気絶した時に見た夢。とても大きな湖の上。あるいは大海原かもしれない。

 

「これは…夢…」

 

そうだ。これは夢だ。私は初めて夢の中でそれが夢だと気付いた。少し新鮮。夢を見ている間の起き方が分からない。ここで何をしようか。起きてやるべき事は山ほどあるが、何をしても起きれば無かった事になる夢の中となると何をしていいか分からない。

 

ふと思い出した。リグルと一緒に見たあの幻想郷の海。触れた砂の感覚がせず、足跡もつかない砂浜。触れても濡れない海水。この湖も似ていた。水の上にいるのに沈む事はない。飛ぶ必要もない。

 

足でわずかに水面を叩けば水しぶきがわずかに飛ぶだけだ。

 

「変なの」

 

私は飛んでみた。すぐに見えない天井の様なものにぶつかってそこから上に行けなくなる。頭を打った感じではない。そこから上へ行けないだけだ。

 

退屈に思い、この先どこまで行けるのか前に移動してみる。すると、急に目の前が真っ暗になった。

 

「!?」

 

何か不味い事になったかと思って焦ったが、視界はすぐに開けた。

 

とても不思議な空間についた。まるでたまに見るとても凝った意匠のインテリアの世界をそのままズームアップしたような、とても奇妙奇天烈な空間。非常にアンバランスで…。

 

狭い道の先に誰かがいた。私はそこへ向かう。誰だろう。

 

その先にいたのは意外にも…。

 

「え、私!?」

 

私だった。何をするわけでもなく、瞼を閉じて人形の様に立っている。何というか…こうして自分の姿をまじまじと見るのは初めてだ。ふむ…強いて言うなら私はもう少しカッコいい気がする。

 

それにしても、寝ているんだろうか。私は立ったまま寝るほど器用ではなかったと記憶している。軽く触れれば倒れてしまいそうだ。ちょっと小突いてみようか。

 

「わっ、わーっ!何してるんですか!」

 

急に声がしてそっちの方を向いた。誰かが走って来て私を突き飛ばした。

 

「こいつはまだ試作段階なんです!勝手に触れられちゃ困りますよ!」

 

「あ、あんた誰…」

 

幻想郷で見た事がないやつだ。何かわけのわからないデザインの服を着ていて…いかにも鈍くさそう。

 

「あなたはチルノさんですね。本物からこちらに来られるとは。私は球磨(くま)と言います」

 

「はいはい、よろしくよろしく。それでその私は何なの」

 

「何って…模倣品です。イミテーションとでも言っておきましょうか」

 

「じゃなくて何の目的で私の模倣品なんて作ってるの。自分の模した人形を持ってる知らない人がいたら気味が悪いでしょ」

 

「とても精巧でしょう?見てくださいこの髪。元のデータはあってもこのフワッとした感じを出すのは大変でしたよ。それからこの腕。スラっとしてて指の先はこんなに細い。さあさ、チルノさんも触ってみてください。それにこの瞳!」

 

偽物の私が目を開いた。自分で言うのも何だが綺麗な瞳だ。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「いいでしょう、いいでしょう!今はまだモーションを読み込ませていないので動かしたりはできないんですね」

 

「はぁ…。最近、頻繁にキスされるし。恋愛沙汰でごたごたを起こすし。挙句には私の模倣品を作って目の前で触りながらレビューするおかしな奴と来た。夢の中とは言え、そろそろ発狂しそう」

 

「今進めてるプロジェクトにどうしてもあなたが必要なので先に研究を進めたんですが、上手く行かないんですよ。それで後から取り掛かったリグルさんの方が先に完成しちゃいまして。あなたは特別な妖精なんですねえ。興味深い」

 

「さっきから会話が成立してないよ。いるよね、日頃は黙ってるくせに自分の好きな事になると周りが見えなくなるほど熱心にベラベラ話し続けるやつ。その癖直した方がいいよ」

 

「あう…。その、そんな酷い事言わなくてもいいじゃないですか」

 

そういう事はちゃんと聞こえるんだ。図太いのか繊細なのかちっともわからない。

 

……リグルの方が先に完成した?

 

私はふと、さっき球磨と言う人物が言っていた言葉を思い出す。目の前にあるのは私の模倣品。急に悪寒が走った。まさか…。

 

「まさか、魔法の森の偽物の魔理沙は!」

 

「ええ、私の作品です。ちゃんと実体であなたを捕獲しようとしてたんですがね」

 

「!!!!」

 

ただの夢じゃない!!こ、これは一体…。今、私が遭遇した異変の黒幕と話している。そう確信した。

 

「私達の模倣品を作って一体何を…」

 

「久しぶりに喋ると疲れますね、そろそろ帰ってもらいましょうか」

 

彼女が手を前に突き出すと、目の前が真っ暗になった。

 

 

 

「私の話しはまだ終わってない!!」

 

私は起き上がりながら言った。頭が何かにぶつかる。ぐらりとしてまたベッドに倒れる。何だ今の衝撃…。そう思っていると、赤い何かが立ちあがった。げっ、霊夢だ…。

 

「あんたねぇ…」

 

「霊夢?何でここに…」

 

「何か良く分からないけど魔理沙の容態があまり良くないって咲夜から知らせがあって…。それでお見舞いに行ったら見てわかるほど空元気で。で、あんたを探してるって言うから呼びに来たんだ。そしたら凄くうなされてて起こしてあげようと思ったらこの有様よ」

 

「ああ…ちょっと夢見が悪くて。ごめん」

 

「あんたまでそんなだとこっちも調子が狂うわ。一体何があったの」

 

「今はまだ言えない。魔理沙と話をして考える」

 

「何か企んでるんじゃないでしょうね」

 

「だったらまだ良かったよ。霊夢の神社から茶菓子の一つでも取ってくるような、そんなのだったら」

 

霊夢は頭を掻いた。それから何も言わずにどこかへ飛んで行った。できる事なら今すぐにでも言ってこの異変を任せたい。でも、あの球磨とか言っていたヤツの話しが気になる。あの模倣品…イミテーションとか言うのは私とリグルと魔理沙の3体ある。

 

私の予想が正しければ魔理沙もあの魔法の森の通路を知っているはずだ。この関係をまず確かにしたい。下手に霊夢に動いてもらって、イミテーションが増えたりしたら危険だ。

 

寺子屋に向かうまでの時間まで僅かにある。今のうちに魔理沙と話しておかないと…。

 

 

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