チルノの学校生活   作:ヤングコーン

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「それで、ここはどこなの!?」

球磨が目を覚ました。焦ってこちらへ駆け寄ってくる。早く、アリス早く!!

「チルノの家だよ」

アリスは答えた。


19話 囚われのアリス

私はこれまでの経緯についてけーね先生に話した。先生は話が終わるまで口を挟まず聞いてくれた。リグルの時でさえ何度も口を挟んでいた私とは大違いだ。とにかく助かる。

 

「幻想郷の海か…。なるほどな。よく話してくれた」

 

「球磨が作ってるイミテーションは現時点でリグルと私と魔理沙の3体。一度倒しても半日以内にリスポーン。3人とも魔法の森の謎の通路を使って海を見ているから、そこに何かがある。そしてイミテーションもそこに案内しようとしている」

 

「後、行方不明になったアリスの事も気になるな」

 

アリスのイミテーションは現れていない。その理由はわからないが、アリスの家にいた以上は球磨が何も関係していないとは考えられない。

 

「下手に幻想郷の海の事が噂になって、イミテーションが量産されたりすれば手に負えなくなる。だから一人で動いていたのが魔理沙。イミテーションが悪さをして回れば仲間からの信用も落とせる。解決に身を乗り出せば孤立させられるように働きかけている」

 

狡猾で厄介な相手だ。今この瞬間も、魔理沙のイミテーションはどこでなにをしているか分からない。私のイミテーションも動いているかもしれない。そう思うと不安な気持ちになった。

 

リグルにも説明しておくべきだっただろうか。あるいは…。

 

「ところで、その青緑の本があれば球磨ってやつに会えるのか?」

 

「わからない。本を読んだとき、にとりは夢を見ていないと言ってた。もしかしたら私だけが偶然会えるのかもしれない」

 

「どんな内容なんだ?」

 

私は何も言わず青緑の本を取り出した。大ちゃんが最新作ができたと言うので、今後の事もあって申し訳なく思いながらも読むために貸して欲しいと言ったのだ。これは今後、球磨を対処するために必要になってくる可能性がある。だから借りた。

 

感想を聞かれた時のためにリグルに貸して内容を確認するべきだろうか。そう思いながら先生に貸した。先生は机に本を置いて開いた。何も気にせず本のページを見てしまって、私は自分が本を読むとどうなるかを今更思い出した。

 

当然の様に意識が遠くなる。

 

「お、おいチルノ!」

 

 

 

例の湖、あるいは大海原にやって来た。目の前には2冊の本が浮かんでいる。位置は変わってないので右側にあるのが私が最初に中に入った本だ。もしかして、あの夢は本の内容だったりするんだろうか。

 

最新作はこっちの左側にある本。無視して先に進めば球磨のいる場所へ行ける。球磨が夢の中にいるのか、私がこの幻想郷のどこかへ特殊な状態で移動しているのか。どちらなのかは分からない。

 

前回球磨に会った時、必要な情報を聞き出せずに半ば強制的にあの空間から追い出されて目が覚めた。無策に行けば前回と同じように何の収穫もなく起きるだけかもしれない。

 

「そうだ、この本…」

 

青緑の本。読んだ相手にもよるが、場合によっては私やにとりの様に気絶したりする。球磨が読んだ場合はどうなるんだろうか。

 

「何とか持ち出せないかな」

 

前回はどうやってこの本の中に入ってしまったんだったか。触っただけで本の中に入るのであれば持ち出せない。でもこのまま手を拱いていても仕方がない。

 

「…チルノちゃん」

 

声が聞こえた。大ちゃんだ。振り返ると黒いシルエットとして動く大ちゃんがこちらに寄ってくる。私はこれが夢だと気付いているからか、これまでの経験の積み重ねからか、怖かったが冷静さを失ってはいなかった。

 

「大ちゃん?どうしてここに?」

 

「チルノちゃん」

 

駄目だ。会話が通じない。大ちゃんの影は私の方へ近づいてくる。思い出した。最初の夢はあの大ちゃんに掴まった事から本の中に入ったんだ。私はもう一冊の方を手に掴んだ。持ち出せる。

 

大ちゃんの影は私の名前を呼びながら近づいてくるが、私は無視して青緑の本を持ち出し球磨のいる場所へ向かった。

 

しばらくすると景色が暗転した。やはりあの球磨とか言う人物のいる場所へ到着する。私は床へ降りて彼女と対峙する。

 

「また来てくれたんだ。良かった。今度こそちゃんと動くようになったよ、見て行かない?」

 

何とか球磨にこの本を読ませないといけない。下手に警戒させればまたこの空間から追い出される。何とか機嫌を損なわない様にしつつ、自然にこの本を読ませなければならない。

 

返事をする前にカプセルの中からイミテーションの私が出てきた。前回と違いしっかり歩いている。

 

「分かった。実験を手伝うよ。これを持っててくれる?」

 

「いいですよ。これはなんですか?」

 

「私の友人が書いた小説だよ」

 

イミテーションが襲ってくる。まずは初手にアイスバーン。足の自由を奪おうとしたが私はすぐに飛ぶ。イミテーションは氷の弾で私の動きを制限しながら、氷で剣を作って斬りかかってくる。

 

「戦い方は随分私らしくないんだな、弾幕勝負はどうした」

 

「別に美しさを競ったりしません。欲しいのは殺傷能力だけ。どうです?プロトチルノは」

 

何だか複雑な気分になるネーミングだ。

 

プロトチルノは確かに戦いにおいて最善手を打ってくるようだがそれがゆえに狙いを読みやすい。思考に遊びがないからだ。

 

「考え方が短絡的で浅いんじゃないかな。こんなんじゃ、オリジナルの足元にさえ及ばないよ」

 

ただ逃げ回ってはいない。私は散らしておいた氷の弾を一気に集中させて浴びせる。対応に追いつく前に懐に忍び込んで左手でプロトチルノの腹を掴んで全身を氷の塊で覆った。そして上に持ち上げて右手の拳を突き上げて氷ごと破壊した。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「前に会った時、私を特別な妖精だとか言ってたね。その貴重なサンプルが、どんな本を持ってここへ現れたか興味はない?」

 

「はは、面白いな君は…ますます興味が湧いた」

 

球磨は手に持っている青緑の本を開いた。さあ、どうだ…。すると彼女は急に眼を見開いた。

 

「あ…うわ、うわああああああああああああああ!!!!あああああ!!!」

 

凄まじい叫び声と共に本を投げ捨て、頭を抱えている。よし、リグルの様に無事じゃなかったらしい。これは使える。

 

空間にヒビが入った。球磨が消える。どうなる…。

 

 

 

やがて、空間が光に包まれた。

 

あたりが見える様になった。ここは…どこだろう。研究室に見える。近くには大げさな機械があって、誰かが機械に組み込まれていた。

 

「アリス!?」

 

私は駆け寄った。

 

「ん…その声は、チルノ?」

 

アリスだった。目はとろん、としている。何かされたな。

 

「アリス、今助けるよ!」

 

「うん…取り外しの操作はそこのレバーだったと思う」

 

私はそれに触れてみるが、動かす事はできない。

 

「あれ、あれ…なんで!?」

 

「肉体がないからじゃないかな」

 

のんびりとした口調で続ける。そうか。私は精神体だか何だかがそのまま遠くへ飛ばされているんだ。青緑の本を読んだとき、私は夢の世界へ行った。原理は分からないがこいつの夢に侵入して、破壊した。

 

そして何故か球磨のいる地点に精神体が留まってると言う状態らしい。

 

「アリス、アリスは一体何をされたの?」

 

「その辺は曖昧でさ…えへへ」

 

えへへって…。近くにはいろんなものが落ちている。その道の知識さえあればいいんだろうが…。

 

「アリスを助けたい。どうしたら助けられる?」

 

「うーん…。肉体を持ってここへ来ない事には…」

 

「分かった、目を覚ましたらできるだけ早くここへ来るよ!それで、ここはどこなの!?」

 

球磨が目を覚ました。焦ってこちらへ駆け寄ってくる。早く、アリス早く!!

 

「チルノの家だよ」

 

「は!?」

 

そこで意識が飛んだ。おそらく球磨の妨害を受けたんだろう。次に目を開ける頃には私は職員室にいる。一度、家に帰って調べてみるべきか…。

 

 




最近忙しくて毎話挿絵を投稿するのは無理そう。
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