チルノの学校生活   作:ヤングコーン

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心躍るライブも終わった。
響子の遅刻には驚く理由があった。
青緑の本について、私の動きを不審に思っていた大ちゃん。
他のメンバーにはおよその事も話した事もあって大ちゃんにも説明する。
彼女は意外にも積極的に協力してくれて…?


22話 相棒

大迫力のライブが終わった。結局、射命丸が私を探しに来たりすることはなかった。ちゃんと後から話を聞いてくれるのかもしれない。早めにけーね先生に相談しないと…。

 

私はルーミアと一緒に幽谷響子とみすちーに会いに行く。

 

「良かったよ、二人のライブ」

 

「それは良かった。ソウルに響くソング。それが歌だよね」

 

響子はうなずいた。

 

「それはそうと響子、今日は何で遅れたの?」

 

「ほら、前々から言われてるじゃん。騒音問題について」

 

そういえばそんな事を言われているんだった。人里を遠く離れている私の家でさえ少し聞こえてくるぐらいなので、迷惑する人や妖怪も多いのかもしれない。

 

「それでさ、今日は命蓮寺で幻想郷の重鎮が集まるって聞いて…。聞けば私たちのライブの話も議題に上がるっていうじゃないか。だから乗り込んできたんだよ」

 

えぇ…。どんなメンバーが集まるのかを想像すると、重圧につぶれてしまいそうだ。話を聞くだけで嫌な汗をかきそう。霊夢が言うにはフランクな人が割と多いとか聞くけど…。

 

みすちーも驚いてる。

 

「危ないじゃん…。で、どうなったの?」

 

「いやまあ、つまみ出されるかと思ったんだけど案外と同席していいって言われたから話題に鳥獣伎楽が出るまで座ってた。時折抜け出して連絡はしてたけどね」

 

肝が据わってるなぁ…。あの電話はそんな時にしてたのか。

 

「それで、どうなったの?」

 

「やっぱりライブはうるさいって。時間帯を変えるとか場所を変えるとか色々案も出たけど、代案として選ばれたのがファンが集まりにくい場所でさ」

 

場所によっては人間が集まりづらいかもしれない。いくら熱狂的なファンであっても。

 

「それで、代案のライブ会場はどこなの?」

 

 

「無縁塚」

 

何そのブラックジョーク。

 

「えいきっきもノリノリで賛成してたし、慰霊ライブやってくれって」

 

「えいきっき?」

 

「四季映姫様だよ。仲良くなったんだ。でもさすがに反対したよ」

 

何かそういう人はいるって聞いたことあったけどどんな人なんだろう。想像もつかない。

 

「私の反対もむなしく、話は本当にライブ会場の移動でまとまろうとしてたんだ。だから、立ち上がって曲のレパートリーを増やすって言ったんだ」

 

「曲のレパートリー?」

 

みすちーが首をかしげる。

 

「黙っててごめん。実は新曲を作ってたんだ。それを歌ってきた」

 

「「「ええっ!?」」」

 

どんな胆力だ…。響子は紙を取り出してみすちーにみせる。そして新曲を歌いだした。初めの曲調は抑え気味で大人しいが、サビに連れて訴えかけるように激しくなる。

 

鳥獣伎楽の曲としてはどうなのかと最初は思ったけど、サビに移る所からの転調が凄くいい。みすちーは聞きながら歌詞の所を指して何かを話している。

 

「で…どうなったの?そのあと」

 

「うん、しばらく様子見って事で先送りになった」

 

これからの活動次第ってわけか。決まりかけていた話を、歌一つで覆すだなんて…。これが幻想郷に響く新しい音楽の力なのか。

 

これからの活動を私は応援したい。その活動に支障をきたさないためにも、早いところこの異変は解決しないといけない。私は決意を新たにした。

 

 

 

家に戻った。時間的には寝なきゃいけないけど、あのアリスの言葉が気になって寝付けない。私は念のために家の中をまた探索してみる。それでもやはりアリスや球磨はいない。

 

窓から大ちゃんの家を見ると、まだ明かりが点いている。青緑の本…、借りてまたあの世界に行ってみるべきだろうか。とはいえ、もうすでに一冊借りてけーね先生に貸している。

 

いや、でも考えれば借りたことは説明すると言ってしまっているからなぁ…。

 

悩んだけど、一応けーね先生に貸していることは伝えに行こうと思う。私は大ちゃんの家に向かってドアベルを鳴らした。大ちゃんはドアを開けて迎え入れてくれる。

 

「今日のライブ、凄かったね。あの時の興奮が冷めないよ」

 

「リグルとみすちーが歌って、響子が雲にぶら下がって登場して、新曲まで聞いて…」

 

大ちゃんはうなずく。しばらく間が開いた。

 

「それで、どうしたのこんな時間帯に」

 

「あ、ああ。実はこの間借りた本なんだけど…」

 

「けーね先生に貸しちゃった?」

 

「…うん。本当にごめん。でもなんで知ってるの?」

 

「私、チルノちゃんの大ファンだから。チルノちゃんが思ってる以上にチルノちゃんの事を知ってるんだよ」

 

たまに怖いことを言うんだよね、大ちゃん…。

 

「ここ最近、チルノちゃんとても忙しそうにしてるよね。私の本も読む事以外に何か目的があって使ってるみたいだし…。改めてチルノちゃんから事情を教えて欲しい」

 

…もう既に大ちゃん以外のメンバーには本当の事を話している。ここまで言われて、今更大ちゃんにだけ秘密にしておく理由もない。私は改めてこれまでの経緯について話すことにした。

 

じっくり話せる時間もある事と、下手な隠し事は通用しない事も考えて大ちゃんにはこれまでの出来事を包み隠さず言った。

 

「うう…チルノちゃんのファーストキスの相手、私じゃなかったんだ…」

 

「反応する所、そこなんだ…」

 

「ねぇチルノちゃん。その調査、私にも手伝わせてよ。私のコピーなら作られても、そこまで強力な弾幕は張れないし問題ないと思う」

 

「でも、偽物が自分の知らない所で悪さをしたら…」

 

「射命丸さんに幻想郷の海以外の事を伝えればいいんだよ。イミテーションの存在をね」

 

「大丈夫かな…」

 

「現時点でいるイミテーションは3体。でも偽物が悪さする噂が流れれば、自分の行いを偽物のせいにして身の潔白を主張する人も出てくる。良くも悪くもいろんな人に認知されたりするんじゃないかな。そうだね。偽物は海に行こうとか言すとかも付け加えたらどうかな」

 

球磨のイミテーションは1人につき1体まで。あいつの言う理想郷がどんなものかは分からないけど、とにかく幻想郷の海と言う場所に連れて行ってイミテーションを増やそうとしている。

 

偽物の注意喚起と、その特徴の流布…有効かもしれない。

 

「さすが大ちゃん。それいいかも」

 

「恋人はとにかく、相棒にならなれるかもね。どう?」

 

大ちゃんは興味津々だ。こんなに食いついて来るとは思わなかった。私はうなずいた。

 

「ただ、私は戦いは得意じゃないからそっちはお願い」

 

「分かった」

 

大ちゃんは机に向かった。何か文章を書きだした。

 

「球磨と戦うには私の書いた文章が有効になるかもしれない。私が読書感想文を読み上げた時、誰もチルノちゃんの言う私の本を読んだときの反応はなかったわけだから…何かトリガーが…」

 

「前に読んだとき、気絶はしたけど記憶は失わなかった。何かあるのかな」

 

「私の書いてる小説はただの恋愛小説だから…、チルノちゃんの方に何か変化があったとしか思えない。今から文章を複数作るからそれで実験しようと思う」

 

大ちゃんは猛スピードで複数の紙に小説を書いていく。本当に早い。慣れているにしても、あんなに早く書けるものなんだろうか。文章量、内容ごとに細かく分けて紙を作ってそれぞれ実験していく。特に問題なく読める文章、気分が悪くなる文章、めまいがする文章はあったものの気絶するほどのものはなかった。

 

文章量が足りないのかもしれない、と私の体調が悪くなった小説の続きをもう1ページ書いて私に見せる。一瞬、気が遠くなった気がしたけど何とか耐えられた。

 

「気絶しない…。何がダメなんだろう」

 

「それにしても大ちゃんの書く小説って独特だよね…」

 

大ちゃんは棚から青緑の本を取り出して私に手渡した。

 

「まさかとは思うんだけど、ちょっと読んでみてくれるかな」

 

私は青緑の本を開いて読んでみる。1ぺージ、2ページ…。読める。

 

「読める…」

 

この本を読んで気絶する事がなくなったということだ。けど、それはこの本を読む事で急いで球磨の所に行く事ができなくなったという事でもある。睡眠であの場所に行けるかは寝てみない事には分からないけど、少し不安になった。

 

本を閉じると立ち眩みがして大ちゃんは私を支えてくれた。

 

「チルノちゃんの耐性が強くなったみたいだね。球磨はそうじゃないはず。2ページは携帯しておけば手荷物もそこまで増えずに使えるかも」

 

「ありがとう、助かるよ。後はアリスの居場所についてか…」

 

「チルノちゃんの家って言ってたっけ。あれどういう意味なんだろうね。調べ物もしたいし、チルノちゃんさえ良ければ家を調べてみてもいいかな」

 

「大丈夫」

 

そうして私の家を調べる事になった。

 




割と急ぎ足になってる気がする。あまり説明的になりすぎない様に気を付けたい。
後、今回の話はどこにも挿絵しておきたい場面がなかったのでここに一枚載せておく。


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