大ちゃんがいると昔を思い出すなぁ…。
町にいるおじさんが、子供の前では厳かな雰囲気を保ってているのに友達の前になると若者の様な雰囲気になってしまうのと同じなんだろうかとか思いつつ。
球磨の目論見を潰すべく大ちゃんと策を練って魔法の森へ。
そして魔理沙と出くわすが…本物?
チルノちゃんの家を一緒に探索してみたけれど、結局どこにもアリスさんはいなかった。あれは一体どういうことなんだろう。あるいは、何か聞き違いとか異なる意味があるんだろうか。
疑問は尽きないけど、そろそろ明日の事もあるし休もうと私は提案した。
「それじゃあ、私はそろそろ帰るね」
「もう遅いし泊まって行きなよ」
「でも…家はすぐそこだし…」
「いいじゃん。昔はよく寝泊まりしてた事だしさ」
そんな事もあったなぁ…。私の寝床がなかった時とか、チルノちゃんの家が改装になった時とか…。最近は特に機会もなかったからずっと離れ離れだった。
「じゃあ、言葉に甘えちゃおうかな」
改装後のチルノちゃんのベッドは2人で寝ても少し広い。手を伸ばせばすぐ届く所にいるぐらいの近さで一緒に眠る。吐息が聞こえる。
電気を消してからはチルノちゃんが眠りにつくまで早い。私が知る限りではいつも10分以内には眠ってしまう。寝顔を見ていたい私は少しだけ頑張って起きて、寝息を立てるチルノちゃんを眺めていた。
時々、口をぱくぱくとする所とか指をぴくぴくさせているのが可愛い。たまに「んふふ」とか笑っている。
「チルノちゃんは可愛いなぁ…」
しばらくすると、チルノちゃんは半開きにしてこちらを見る。そうそう、たまにこんな風に目を開けたりする。起きてはいるんだろうけど、翌日聞いてもこの事は覚えてない。目を閉じる。
人肌さみしくなったのか、チルノちゃんは私に抱き着いてくる。前にあった時よりかなりしっかりしてきて、あの頃が懐かしいと思っていた。でも、こうした所は変わらないんだなあ…。
「甘えん坊だなあ、チルノちゃんは」
私はあやす様に頭をなでる。ああ、眠りたくない。ずっとずっとこうしていたい。心の中で何かが満たされていくのを感じる。
「…大ちゃん……」
「うん?」
「好き」
「私も」
「大好き」
「身悶えそう」
チルノちゃんは今後も一生気づかないんだと思うけど、純粋無垢だった頃の私を最も悪戯に歪めたのはきっとチルノちゃんだと思う。そのうち、私もうとうとしてきて眠ってしまった。
朝起きると、私はチルノちゃんを起こさないように引きはがして朝ご飯を作る。あまり材料がない。ちゃんとこまめに買っておかないから…。仕方がない。私は自宅まで取りに行ってから料理を作った。
それにしても、あそこに置いてある大きな箱はなんだろう。チルノちゃんは少し前にあの光る箱に熱中してたみたいだけど…。
ガスはまだある。私は簡単な炒め物を作って皿に盛りつけて机に置いた。
「チルノちゃん、ごはんだよ」
「…まだ眠い」
「ほらほら、起きた起きた」
毛布を掴んではがそうとすると、両手で必死に毛布を掴んで抵抗する。そういう健気な抵抗好きだなあ。私は手を放す。チルノちゃんは毛布から顔だけ出してこちらを見ている。私は手をわきわきとして、チルノちゃんの脇をくすぐる。
「あはは!あはははは!!ダメだって大ちゃ…あははははは!」
「ここが弱いんだったね、チルノちゃん。全然変わらないなあ!」
手が緩んだ隙に毛布を奪う。チルノちゃんの目が涙で潤う。
「酷いじゃないか…」
あああ…可愛い。泣いていいよチルノちゃん。
チルノちゃんを見ていると加虐心がくすぐられて仕方がない。反応が可愛くて、いじめたくなる。これがわざとじゃないだなんんて、嘘だと言いたい。…いけないいけない。この思いは小説に封じ込めると決めたんだ。
深呼吸深呼吸…。
私は猛る心を鎮めて、机に向かう。遅れてチルノちゃんも食卓についてご飯を食べる。まだ微睡みの中にいるようで、ぼーっとしているようだった。惚気はここまでにしておいて、今日の夢に球磨が出てきたか聞かなきゃいけない。
「チルノちゃん、今日の夢の事だけど…球磨とは会えた?」
「!!」
チルノちゃんがハッとした顔をする。
「よく眠れたと思ったんだ。そうだ、球磨には会えなかった…!」
「もう何度も彼女の元に夢を通して侵入してるから、対処されたのかも」
チルノちゃんは考え込む。
「どうしよう、まだアリスの居場所の事なにも分かってないのに…」
「チルノちゃんの家にいるというあの話、アリスさんが嘘をついてる可能性は?」
「それはない。何やら曖昧な様子ではあったけど、正確な受け答えはしてたはず」
「じゃあ、事実誤認してる可能性は?」
「それは…ないとは言えない」
「ちょっと確認したい事があるの。チルノちゃんの言う幻想郷の海、連れてってくれる?」
「でも今日は寺子屋が…」
「けーね先生も事情は知ってるし大丈夫だよ。それに、アリスさんを早く助けなきゃ」
少し考えてたけどうなずいた。寺子屋に連絡して2人休む事を説明する。その間にチルノちゃんは射命丸さんにあの写真について説明すると話した。
チルノちゃんが電話を切ると間もなく射命丸さんがやって来た。不用意な発言をさせない様に主に私がカバーしたり説明したりした。
「なるほど、それじゃあそれをネタに使わせていただきますね。それとこれ、今週号です。それとこの妖精は?」
射命丸さんは新聞を渡し、チルノちゃんに私の事を聞いた。
「大ちゃん。私の友達なんだ」
「お友達の大ちゃんですか。なるほどね。それじゃ、また新しいネタの提供とか、この件についての続報があればそれも願いします」
手短に済ませるとすぐに飛んで行った。チルノちゃんは新聞を斜め読みしている。聞くに、気になる新報はイミテーションとおぼしき魔理沙さんが悪戯をしているぐらいなものだ。
それからすぐに魔法の森に向かった。
「う…そうだった。前にここに来た時、道に迷って散々な目に遭ったんだ。リグルさえいればなぁ」
魔法の森の土地勘なんてない。下手に迷い込めば出られなくなるかも。私も困って考え込む。少し離れた所、香霖堂から魔理沙さんが出て来た。
私はチルノちゃんにそれを教えて一緒に向かう。
「ん?チルノに大妖精か」
「そう言えば目の前にいる魔理沙が本物か確かめる方法は現時点ではなかったんだった…」
チルノちゃんが後ずさる。怪我をしていたとは言え、本当に一週間まるまる紅魔館にいる事はないと本人も言っていた。だから本物かもしれたいし偽物かもしれない。
「何だ、疑ってるのか。確かに偽物か本物か分からないと厄介だよな。大妖精を連れてるとは言え、お前が大妖精を海に連れて行くために動いてるイミテーションとも限らないし」
「いや…それを言うと実は今から大ちゃんを幻想郷の海に連れて行ってる所だし何も言えなくなる」
魔理沙は首を傾げた。
「…何でだ?」
「さっきも言ったけど魔理沙さんがイミテーションの可能性があるから言えないよ」
私から答えた。
「もう、じれったいな…。分かった、私はお前らが本物だと信じる。何より大妖精なら偽物のチルノには騙されないだろうからな」
「付け加えておくと、偽物の私は球磨自身が操る事でしか動かせないらしいから間違える事はないよ。理由はわからないけど。性格を私に寄せられない」
「???」
「チルノちゃんは特別な妖精なんだよ」
適当に流したかった事もあるけど、実際にそう思っている。
「さて、後はどうやって私が本物だと信じてもらうかな…。」
「チルノちゃん、何かいい案はない?」
「えぇ…、そうだな。じゃあ魔理沙、うふふって笑って」
「な、何だよ急に」
「簡単でしょ。うふふって笑って」
「やだよ」
「ふふふ…無邪気に笑ってごらんよ、あの頃みたいにさ!」
「やめないか!」
魔理沙さんがチルノちゃんに平手打ちをした。チルノちゃんは頬を抑えながら起き上がる。
「大ちゃん、保証するよ。この魔理沙は本物」
「チルノちゃん、うふふって何?」
「若さだよ」
それ以上は教えてもらえなかった。
魔理沙さんはつい先ほどイミテーションの魔理沙さんを倒したらしく、改めて調査も進めたいということもあって同行することになった。
3000文字じゃなかなか進まないなぁ(白目)
あまり文章を少なくするとそっけなく急ぎ足になるし、多くしすぎると1話辺りが全然進まない。23話、侵攻って銘打ってる割にまだ幻想郷の海にさえ行ってないからね。
いっそ1話辺りの文字数増やそうか…でも1話3000文字近くが一番軽く読みやすい気が…。