通路の先の妖怪の山…そこには何故か河童も天狗もいなかった。
「ここは幻想郷の妖怪の山じゃない…」
見えない壁もある。ここは一体…。
問題の海に向かうと、魔理沙は水着に着替えて泳ぎだした。
今まで触れる事ができなかった海に入れる方法がある。
ここに置いてあったというこの水着とシュノーケルを使う事で泳げる。
球磨は魔理沙をここへ連れてくる最中、私についてしつこく聞いてきたらしい。
「何かヒントがあるかもしれない」
魔理沙は脱いだ水着とシュノーケルを私に差し出した。
私達は魔法の森の秘密の通路に向かう。先頭は私、後ろに大ちゃんと魔理沙だ。しばらく歩いてから私は立ち止まる。
「あれ…この辺じゃなかったっけ」
「黙ってたけど全然違うな」
魔理沙が呆れた。
「早く言ってよ!地の利があるんだからさ!」
「あまりに自信満々に歩いてるんで、止めづらかったんだ」
嘘つけ。絶対にさっきの仕返しだ。今度は魔理沙を先頭に歩いて行く。こんな時にリグルがいたなら、早かっただろうなぁ。リグルは今頃、授業を受けてるんだろうなぁ。
しばらく歩くとついた。アリスの家からそんなに離れていない場所だった。
「おかしいな。前に見た通路はアリスの家の近くじゃなかった」
「本当か?」
「地の利がなくても、こんなに近くに家があったら気付かない方がおかしいでしょ」
「幻想郷の海に通じる秘密の穴は複数ある…?」
大ちゃんが腕を組んで呟いた。リグルが見つけた穴は魔理沙から逃げてる最中に偶然見つけたもの。私は覚えてる範囲でその情報を話すと、魔理沙はおよその場所に焦点をあて数カ所探した。
少し時間はかかったが、以前入った穴が見つかった。中に入ってみたが、中の構造と出る場所はアリスの家の近くの通路と同じらしい。ますます訳が分からない。
同じ場所に繋がっているのに、一本道な事。一度妖怪の山に到着し、鈴の音を聞かないと幻想郷の海へ通じる道が出現しない事、帰りは必ず元来た穴に戻る事…。
一度穴まで戻ると、魔理沙は霊夢に「もらった」と言うお札を貼った。並の人間には見えなくなるし、弱い妖怪は入れなくなるらしい。妖精はどうなのか分からないが「触ってみるか?」と言っていた魔理沙の表情を見れば結果は察する。
念のためにアリスの家からの通路を通ってみる。魔理沙の言う通り、同じようにまっすぐの道を通って妖怪の山に到着した。他に道はなく、一度妖怪の山に着くまでは海も出現しない。私たちは一度妖怪の山に向かった。
「本当、どうしてここへ着くんだろうな」
「わかんない。にとりの実家の近くだけど、行っても本人いないしこのショートカットは使えないね」
大ちゃんがお堂から先を見る。私はあわてて大ちゃんを止めて引き戻した。
「危ないって、河童や天狗にあったら…」
「問題ないだろ。私がいるし」
魔理沙が笑った。
「チルノちゃん、今までここに来て河童や天狗に会った事は?」
「この間、風邪を引いた時はたくさん会ったよ。通行許可証も持ってたから襲われたりしなかったけど。あの時に会った魔理沙が偽物だったとは。『霧雨魔法店に水着とシュノーケルがある。貸そうか?』なんて言ってくるし」
「いや、それは本物だ」
「え、だって海に行くのを止めようとしなかったじゃん」
「あの後、お前私の家に来なかっただろ。まぁ道に迷ってるとは思わなかったんだが」
悪かったな。
「あの時、私を呼んでどうするつもりだったんだ」
「2人とも話の腰を折ってごめん。私が言ってる河童と天狗はこの通路を通った後の事だよ」
「いや…会ってないよ。会うつもりもなかったし」
そこまで聞くと大ちゃんは堂々と妖怪の山の道を飛んだ。私と魔理沙は驚いて一緒に後を追いかける。道はかなり続いているが、河童や天狗の姿はどこにもない。これはどう考えてもおかしい。大ちゃんは着地して考え込んで唸る。
2人とも一緒の位置に着地する。
「ここは妖怪の山じゃないんじゃないの?」
「でなきゃどこなんだよ」
「魔理沙さん、この先に触れてみて」
大ちゃんはパントマイムをするように空中に手を当てる。魔理沙は不思議に思いながらそこに触れると驚く。私も触れてみると、驚く事に見えない壁があった。なんだこれ。力強く押してみたり、攻撃してみたりするが壊れそうにない。
魔理沙がマスタースパークを撃ち込むと、手を当てた先に行ける。私はそこに踏み出すと、地面は見えてるのに実体の足場がないせいで落ちようとした。大ちゃんは私をしっかり掴んで支えてくれた。
「あ、ありがとう…」
「ここについてもっと調べてみるべきだよ」
「盲点だったな…」
皆で一緒に辺りを探索する。見えない壁は無理に壊さず色々と行ってみるものの、この妖怪の山に似た何かには何もない様子だった。
次に、幻想郷の海。ここに何かがあるはずだ。私は辺りを探索しているといつの間にか魔理沙は水着に着替えてて、シュノーケルを装備している。
「何やってるんだよ魔理沙。ここの海は触れても濡れないし、実質海のようなものがあるだけで…」
そう言っているうちに魔理沙は海に潜っていった。まるで本当にそこに水があるように、水しぶきが立つ。私と大ちゃんは驚いてその様子を見ていた。やがて起き上がってくる。
「チルノに言ってたこれなんだが、実はここに置いてあったんだ。これで海には潜れるんだが、何かあるかと思えば何も見つけられなくて…。お前なら新しい発見があるかもって思ったんだ」
「なんで私…」
「球磨がここへ私を連れてくる最中、やけにしつこくお前について尋ねてたんだ。何かあるんじゃないかと思って」
そんな安直な…。とはいえ手掛かりが1つでも欲しいならそう考えるのも無理はない。魔理沙は目の前で水着とシュノーケルを外すと私に渡してきた。私はぼんやりそれを眺めていて、その間に魔理沙はタオルで体をふいて着替え終えている。
大ちゃんの顔を見るけど、大ちゃんは特に表情1つ変えずこちらを眺めているだけだ。
「なんだ。着替えるところを見られるのが嫌なら外に出てるぞ」
「いや、そうじゃなくて…」
「??」
首をかしげる。私はしばらく考えた後、大ちゃんに手渡ししてみる。大ちゃんは何も言わずに服を脱ぎ始めるので、私は止めた。
ひょっとすると…おかしいのは私の方なのか?
しばらく考えたけど、このままというわけにも行かないので私はさっさと着替えて海に飛び込んだ。
「なにこれ…お風呂に入ってるみたいに丁度いい…」
「自分でやらせておいてなんだが、たまにチルノを見てると哲学について考えさせられる」
「わかる」
人が海に潜ってやっているというときに何が悲しくて哲学なんぞ考えにゃならんのだ。
結局は何も見つからなかった。
「手がかりなしか…」
魔理沙は落ち込んだ。ここに来て何か手がかりさえ見つかればよかったが、そうでないと完全に骨折り損のくたびれもうけだ。調査は進んでいるものの、アリス救出と球磨の撃破の解決へはまだまだ遠い。
「チルノちゃん、もう海から出ていいんだよ」
「いや…できる事ならもうしばらくこうしていたい。香霖堂にビーチボールなかったっけ」
「初めての海水を楽しんでる気持ちはわかるがただでさえ不気味な場所なんだ。さっさと出て来い」
ちぇっ。
私はしぶしぶと海からあがって着替えた。それにしても、まさか泳げるようになるだなんて思わなかった。凍らせたりもできるんだろうか。ふと疑問に思ってそのまま海水に触れて凍らせてみる。
すると、砂浜から10mほど離れた場所に薄っすらと見える扉が出現した。
「扉!?」
魔理沙が変な声を出して驚いた。私達も驚いた。この空間には扉があったのか…。
触れてみると凍っている。液体でできてるのかこの扉…。侵入者除けのためにこんな事をしているのだとしたら、この先にあるのは…。私は2人の方を振り返る。
「行こうぜ…」
魔理沙の言葉に大ちゃんもうなずく。私はドアノブに手をかけ扉を開けた。
…物書きとしての腕が足りずどうしてもご都合展開に思うところが出て来て心苦しく思う。できるだけ自然な感じにしようと思うものの…、無駄な伏線を張りすぎてしまった感ある。
申し訳ない。