チルノの学校生活   作:ヤングコーン

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にとりから渡された荷物を届けに紅魔館へ。
着いたはいいが門番は起きず通してもらえない。
困り果てていると変わった妖精のメイドが現れ、案内してくれると言う。
まさかこんな事になるだなんて…。


4話 潜入!紅魔館のメイド長の恐怖に迫る!

にとりに頼まれた荷物を持って紅魔館にやって来た。辺り一面は霧がかかっていて遠くは見渡せない。それでも紅魔館の方角は何となくわかる。何故なのかは分からない。強いて言うなら…えっと、凄み?

 

兎にも角にも何とか辿り着けた。霧のおかげであまり暑くもないけど、涼しくもない。巨大生物の体内にいるような、そんな何とも言えない湿度だ。

 

あまり長居はしたくないなぁ。今にも何かが飛び出して来そうだ。

 

門が見えた。門の前で門番が寝ている。あの門番は何から何を守るべくあそこで番をしているのだろう。私はおそるおそる彼女に近付いた。ピクッと動いたので警戒したが起きなかった。

 

「あ、あの…荷物を届けに来たんだけど…」

 

門番は起きない。大声で声をかけても、揺さぶっても起きない。どうしたものか…。仕方がないので門の中に入って通してもらおうと思って門に触れた。

 

重くて開かない。空から中に入ったら、侵入扱いになる…のかな。わざわざ門を作って外との隔たりを作ってるわけだし。

 

「うーん…」

 

髪をくしゃくしゃにして考える。とりあえずまた門番を揺さぶる。やはり起きそうにない。

 

そうこうしていると門が開き、中から小柄な少女が現れた。こちらと目が合う。彼女は手に持っていたゴミ袋をその場に落とすとこちらに駆け寄って来た。

 

何事かと思う間もなく目の前で立ち止まると背伸びをしてこちらの目を覗き、後ろ頭を掴むと少女の顔の方へ強引に引っ張った。

 

口に柔らかい物が触れた。一瞬の様にも感じられたし、数分の様にも感じた。呆気に取られていると彼女はすぐに距離を取ってニコリと笑う。

 

「この辺じゃ見ない顔だね。新しいメイドの妖精さん?」

 

「あ、えと…」

 

頭が混乱して思考が上手くできない。えっと、今キスされた?顔が熱い。

 

少女が再び近寄る。思わず両手で顔を守ると、手に握っていた荷物を取られた。焦って奪い返そうとするものの、遊ばれる様にひらひらと避けられる。

 

「返して、私はそれを届けなきゃいけないの」

 

「中に用があるんでしょ?ほら、中身を改めないと」

 

クスクスと笑う。確かにそれもそうだ。危険物を持ち込まれたんじゃたまったものではない。私は深呼吸をして冷静さを取り戻す様に努める。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「ふうん…」

 

少女は私を見て目を細めて笑い、中身を開けて確認する。興味深そうに眺めているとまた中にしまった。

 

「いいよ。案内したげる。でも私は新入りでさ。道案内は出来ても宛先人と対面はできないの。直接手渡してくれる?」

 

「分かった」

 

「こっちよ、ついて来て」

 

彼女は歩き出した。不思議と彼女の周りだけ空間が僅かに歪んで見える。目を擦って見ると歪みは消えた。気のせいか。

 

私は彼女の後をついて行きながら尋ねる。

 

「ねえ、名前は?」

 

「今日明日で忘れる相手の名前なんて覚えてどうするの」

 

「私はチルノ」

 

「…私はジェーン」

 

彼女の後を追うが、およそまともな道を通らない。さっきも正面を避けたしまるで潜入みたいだ。人目を気にしながら先を進む。

 

「普通の道は通らないの?」

 

「遠いし、私も新人だからあなたの事を説明するのは手間がかかるでしょ」

 

段々とジェーンの事が怪しく思えて来た。新人なのに紅魔館の近道を知ってて、自身の仕事は放り出し、こんな私の事をメイド長にも伝えずにいるのだから。

 

ダクトの中を抜け、細い場所を抜けると廊下に出た。

 

「後は2階に上がって右側の部屋に行くだけ。簡単でしょ?」

 

そう言ってここから先は私が前を歩く様に言う。荷物は持っててくれるそうだ。

 

「その荷物誰宛てなの?」

 

「そんな事も知らないでここまで来たの?」

 

「門番に手渡せば話も通してあるでしょ、と思ってたんだよ」

 

「それは災難ね」

 

そう言う彼女の口調は少し楽しそうだった。私が階段を登ろうとした時、足音が聞こえて階段の下のロッカーの影に隠れた。

 

ジェーンは狭そうにしていたが今は仕方がない。足音が階段を降りると止んだ。隠れたまま静かにする。おかしい、もうどこかへ行ったんだろうか。

 

私は顔を出すとその人と目があった。まずい、例のメイド長だ。彼女はつかつかとこちらにやって来た。

 

「ま、ま、待って!怪しい妖精じゃないから…」

 

「どこからどう見ても怪しい妖精じゃない。あなた、チルノ…だったわね。どうしてここに?」

 

「実は届け物をしに来たんだ」

 

彼女はため息をついて腕を組んだ。

 

「それで、何を届けに?」

 

「ジェーン、荷物を返し…」

 

いない。ついさっきまで後ろにいたのに!見渡せどどこにもいない。荷物と一緒に消えてしまった。非常にまずい。

 

「…チルノ、どうやってここに迷い込んだか知らないけどあなた疲れてるのよ。外まで連れてってあげるから今日は家でゆっくりしていなさい」

 

厳しくげに、かつ優しく私に言うとほぼ瞬時に私を外へ追い出した。これが噂に聞く時止めか…。

 

彼女、は私にお菓子の小包を渡すと紅魔館の中へ帰って行った。荷物について聞く暇も与えてもらえなかった。

 

紅魔館の前で立ち尽くす。あの門番はまだ寝ている。頭にナイフが咲いていた。帽子が落ちている。帽子を拾うと、帽子の内側に名前が書いてあるのが確認できた。

 

「いい加減、起きてくれないかなぁ、みすずさん」

 

「メイリンです」

 

起きた!

 

「あの、紅美鈴さん。ジェーンって妖精見なかった?」

 

「うーん…。聞かない名前だね」

 

特徴を言っても知らないと言う。やっぱりメイド長の咲夜って人に聞かない事には…。私は改めて確認を取ってもらえないか尋ねる事にした。

 

「あの」

 

「…………」

 

寝てる。

 

「くれないみすず」

 

「ホン・メイリンです」

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