翌朝になって本を斜め読みしたり引用したりして急ピッチで仕上げていく。
書いてみれば以外に早く終わったためゲームをしていると…。
星空が見える。まるで空に光るダイヤモンドを散りばめたようだ。私は何となく手を伸ばしてみる。それでも掴めない。綺麗だなぁ。
隣ですすり泣く声が聞こえる。大ちゃんだ。
「大ちゃん、どうして泣いているの?」
「あれを見て」
彼女の指が差す方向の先を見ると、大きな光の壁が見えた。それは見渡す限り全方角から迫っている。なんだあれ…。
「あの光が全て消しちゃう…皆、皆…」
「あの光が…」
壁の向こう、見えるはずの距離の向こうが見えない。空がいつもより広く見えた。きっとあの光が触れたものは消えているんだろう。
大ちゃんが私のスカートの裾を掴んだ。
「私達、消えちゃうんだよ?!もう生き返る事もなくて…。もうこうしてチルノちゃんともお話しできなくなる」
「それは嫌だなぁ」
私は笑った。
「どうしてチルノちゃんはそんなに落ち着いてられるの?」
「慌てても仕方ないからね」
私は座って寄り添った。しばらくして落ち着きを取り戻すと、彼女は私にもたれかかった。光の壁ももうすぐそこまで来ている。
「ねぇ、世界が終わったら…その先って何があるのかな」
「きっと始まりじゃないかな」
私達は光に飲まれて行った。
…起きた。何か変な夢を見たな。私は頭を掻くと枕にしていた作文に目を落とす。作文用紙の上には小さな水溜りができているぐらいで、とても綺麗な白さだった。ちっとも進んでない。
私は口元を拭って紙をちり紙で拭いた。ジェーンから借りた本を斜め読みするも内容がまるで頭に入って来なかったため、一度仮眠を取る事にして今に至る。
登校時間までまだ2時間がある。全部埋めるのは無理にしたって1文字でも多く空白を埋めるべきだ。昨日は色々あってまだ頭の整理ができていない。
最初の数ページ、最後の数ページ、途中のいくつかの場面を適当に目を通す。挿絵ぐらいあってもいいだろうに、とぶつぶつ言いながら時折文章を引用して作文を書く。
全体的に「〜と思う」が多くなってしまった。感想文だしこんなものかもしれない。粗は目立つがこの短時間で書いたにしては上出来なんじゃないか。
…よし、ゲームやろう。
カッパコインを入れてゲームの筐体のスタートボタンを押した。ステージ1から攻略を始める。
「あっ」
1オチした。まずいなぁ、こんな所で残機を減らすだなんて後に響くよこれ。リセットも考えたがそのまま続行する。
ステージの中ボスと対峙する。こいつを相手に四苦八苦していたのがかなり昔の様に感じる。動作のパターンさえ分かってしまえば…こうだ!
これまでのプレイ経験を活かして2面のボスまで撃破する。やっとの事で3面だ。私は敵を撃破しながら進む。このステージ、ぎりぎりのジャンプを要求してくる。私はタイミングよくボタンを押したつもりだったが、画面のキャラは飛距離が足らず落ちてしまう。
「ウッソ」
思わず叫んだ。こんな所で。
「残念ー」
隣から声が聞こえた。隣を見るとルーミアがいた。
「げっ」
このゲームの事は他の誰にも知られたくなかったのに。仕方ない、やっぱりにとりに頼んでドアを取り付けてもらおう。
「何でこんな所に…」
「チルノ、宿題終わったかなーって」
「終わったよ」
「なんだ…」
何でそんなに残念そうなんだ。私はけーね先生から頭突きをもらうつもりはない。ルーミアの興味は再びゲームの方へ向いた。
改めて気を取り直してステージを再開し、向こう岸へ跳んだ。同じところでまた落ちてしまう。そこでコンテニューのカウントダウンが始まった。私はポカンとその画面を見つめる。いやいやいやいや、いやいやいやいや…。
私はコンテニューした。今何回目のコンテニューだっけ…。でもいくらなんでもあれは酷い。ここまで来てこんな所で引き下がれない。私はもう一度ジャンプして先へ進んだ。先ほどのプレイをリプレイしてしまったかのように綺麗に落ちる。
最後の1機で華麗に上り詰めていく。そして来たる中ボス戦、敵の攻撃の一つ一つを回避しながら果敢に攻めていく。相手の動きが把握しづらく、思う様に戦えない。手に汗がにじむ。
「私はこの先に行くんだ、どけよぉぉ!」
レバーを持つ手が滑りそうになりながらも一撃ずつ入れていく。敵の蓄積ダメージがグラフィックに出る。私はいよいよ勝利の時を感じた。その時、敵の方から目の前に寄ってくる。このまま攻撃を続ければ…と思った矢先、近距離攻撃を受けて死んでしまった。
「そんな、そんな事って…そんなのってないよぉ!!」
画面に映るコンテニューのカウントダウン。私はもう戦う気力が起こらずそのまま筐体の前に突っ伏して動かなくなる。
「…私ならもっと上手くやれるのになー」
ルーミアが大きな声で言った。私はピクリとする。
「今…なんて言った?」
「私ならもっと上手くやれるのになぁーって言った」
「でまかせを言うんじゃないよ!」
このゲームの筐体が他になければ、幻想郷で今このゲームが一番上手なのは私のはずだ。まだ3日目とはいえ、この時間差は大きいはず。その私より上手くやれると言うのだからとても大胆だ。私が席をどくとルーミアがその席に座る。
「さあ、自信か過信か見せてもらおうじゃないか!」
「はーい」
ルーミアはプレイを始める。初めての時の私みたいにぎこちないプレイ。私は操作方法の一式を教えた。
「…………」
「……………」
「もしかして私、乗せられた?」
「うん♪チルノって単純なんだぁー♡」
「くっ、ルーミアのクセに馬鹿にして!」
ゲームオーバーになりながらもコンテニューして先に進んでいく。ルーミアのプレイはお世辞にも上手とは言えなかったが、他人のプレイを見て気付く事も多いものだ。私は所々アドバイスをしたりして先行きを見守る。
ステージ2面。積極的な質問に答えていく。思っていたより飲み込みが早いなぁ。
「ところで、チルノ。一つ思うんだけどさ」
「うん」
「そろそろ登校した方がいいかな」
「あ」