真・女神転生Ⅲ DEEP WONDERFUL JOURNEY   作:明日歩

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希望に満ちた調査隊が踏み固めたアントリア.1

 薄暗く、適度に湿気が漂う中に幾筋かの光が見えた。光は緑色に光り、その内側の黒い模様を縁取っている。よくよく見ればそれは人の形をしており、うつぶせに倒れていた。

 

 人間にとって安眠には程遠いであろうゴツゴツとした岩肌の上で、それの胴体は規則正しく上下している。どうやら生きてはいるようだ。

 

「悪魔の力を宿せし禍なる魂“マガタマ”」

 

 そんな人影の周りに老婆の声だけが響く。

 

「これで貴方は悪魔となったのです」

 

 その声に倒れている人間はもぞりと身動ぎしたが、まだ意識は覚醒しきっていないようである。

 

「坊ちゃまは、いつも見ておられます。くれぐれも退屈させることの無いよう・・・」

 

 これまでとは違う、試すような感情の籠った声に反応したのか、人間はゆっくりと瞼を開けた。その瞳は青く美しく輝いている。

 

 ゆっくりと確かめるかのように両手をついて上体を起こし、ボーっとする頭で辺りを見回すが、既に老婆の気配はない。四つ這いになりながら自らを支える両手に視線を向けると、腕だけでなく膨らんだ胸部に走る黒い刺青と緑色の光が、生命を象徴するかのように脈打った。

 

 自分に何が起きたのかを理解した女はゆっくりと立ち上がり、深呼吸をして呟く。

 

「あの腐れ外道ども、やりやがったな・・・」

 

 冷静に空を見上げるがそこには苔むした洞窟の天井らしきものが見えるだけで、創世を成すための忌々しい光はない。視線を水平に戻すと、自分が結構な広さのある洞窟にいることが理解できた。今いる場所は壁沿いであり薄暗いが、壁伝いの少し奥に見える水晶から光源となる淡い光が放たれている。

 

「東京じゃないよな? 何処だここは・・・」

 

 だんだんと現実感が湧いて来た女はそう零すと、取り敢えず水晶のもとへ歩き出す。半ば予想はできているが、その前にちゃんと容姿を確認したいと思ったからだ。胸の少し上と肩甲骨辺りでサラサラと擦れる癖のある黒髪、明らかにふくよかな胸部、全体的に細くなった四肢、高くなった声、下がった視点、挙げればきりがない。

 

「びっくりするぐらい腹が凹んだのは純粋に嬉しいんだけどな」

 

 臀部と合わせて立派なくびれができた横腹を覗き込んで苦笑し、数分も歩くと発行する水晶の前に辿り着く。透明度が高過ぎて反射をしなかったらどうしようかとも考えていたが、どうやらそれは杞憂に終わる。

 

「・・・意外とセクシー」

 

 水晶に映る20代後半の女性はそうおどけたが、困ったように頬が引きつっていた。出る所はしっかりと出て、締まる所はキュッと締まっている。上着は一切着ておらず上裸ではあるが、黒の刺青部分が乳房をしっかりと覆っており突起はない。悪魔であるならギリギリセーフだろう。餓鬼につけられたはずだが、今は傷1つない。

 

 ズボンはオリジナルのような七分丈のパンツではなく、レザーの黒いライダースパンツであった。問題があるとすればスキニーであるためスタイルがクッキリと浮き出ることだろう。そこに映る自分の臀部がやけに艶やかで、誰かに見られたらと赤くなっていた。

 

「あ、このズボン革っぽいけど肌触り良いし、めっちゃ伸びる」

 

 上裸であることで、何か悪い事をしているのではないかと考えだした彼女は、気まずくなって胸を左腕で隠し右手を尻の方に回したのだが、その時に触ったパンツの感触に驚く。

 

「これなら戦闘になっても動けるか? 蹴り技は強いからなぁ・・・あとかっこいいし」

 

 彼女は現実を逃避するようにそう言うが、1度深呼吸をすると、覚悟を決めて自分の姿をしっかりと見据えた。

 

 性別の違いこそあれ、それは何度見ても間違いなく人修羅と呼ばれる悪魔に似通っている。元々は真・女神転生Ⅲというテレビゲームの主人公であり、創作上の物語やキャラクターであったのはずなのだ。勿論彼女は遊ぶ側である。しかし、現実でも信仰される著名な神話生物が登場どころか跋扈する世界であることから『向こうから来ました』と言われても不思議に思わない謎の信頼もまた存在した。

 

「性転換させたことに意味がありそうなところが本当に悪趣味だよなぁ・・・」

 

 自らの目的の為だけに世界を荒廃させ、脳改造によって人々にとってのメシアを当たり前の様に自作するなど、手段を一切選ばない神々と、それに対抗する無秩序な勢力を思い出して彼女は頭を抱える。

 

 こんな姿にしたのは無秩序なカオスと呼ばれる勢力なのだが、そこも人間社会の理が通じない以上、簡単にお友達にはなれないのだ。

 

「ハッピーバースデー、デビルマン・・・」

 

 吐き捨てるように女は呟いたが、含まれているのは大きな期待だった。

 

 転勤族であった頃の男からしたら、国内程度であればいきなり知らない土地へ行くのも珍しい事ではないし、性別が変わったことも驚きこそすれ、変化無く毎日腐っているよりはずっと楽しいかもしれないと思っていた。

 

 男にとってこの対応力の高さこそが、それなりの結果に繋がることを業績でもって何度も証明してきており、これ以上の武器を知らないことも一因だ。

 

「また、あんなに熱くなれるのかな? 」

 

 右手を胸の高さに上げて軽く握り、餓鬼との一戦を思い出す。最初に訪れたのは恐怖と怒りだ。だが、状況に流されたとはいえ、それを改善するために動いた時の高揚感は未だに忘れられない。餓鬼の死体を思い出して呼吸が少し荒くなり、全身を走る感覚でブルリと震える。思わず体を両手で抱かなければ嬌声を上げてしまいそうな快感に驚いた。理由は間違いなく勝利の歓喜である。

 

 熱を帯びた吐息が落ち着くと彼女は更なる現状確認の為水晶の反対側へ歩こうとしたのだが、足元に転がる奇妙な石に気が付いた。それは一見水晶の欠片に思えたが、腹の奥から感じだズグンという感覚で違うことを理解する。

 

「拾えば良いんだろ拾えば・・・何だこれっ!? 」

 

 女は左手で軽く腹部をさするとそう零して、足元の石擬きを拾ったのだが、掴んだ右手に走る力の奔流に驚き固まった。これまで感じたことの無い暖かな感触に戸惑い、両手で持ってアタフタしていたのだが、腹の虫から感じる安心感でそれが何なのかを理解した。ああ、これは回復アイテムなのだと。

 

「これは・・・宝玉なのかな? 」

 

 魔石か宝玉かの判別がつかないのだが、見た目が水晶であることと、手のひら一杯に広がる大きさであることから宝玉ではないかと考える。試そうにもこれ1つでは勿体なさ過ぎるし比較対象がない。

 

 そもそも女はエリクサ〇どころかポ〇ションすら勿体なくて使えない人間だったことが大きい。道中のHPはケ〇ルで回復して、MPは宿屋かテントを使うことが身に沁み込んでいたからだ。

 

 さすがにメガテンのように辛い作品だとボス連中にソーマや宝玉輪を何度も使わされたが、それでも節約が基本であった。

 

「ピクシー枠が宝玉だったらどうしよう」

 

 女は掠れた声でおどけるが、その顔は真顔である。

 

 気を取り直して女は歩き出し、今いる大部屋を歩いて回るのだが、左手に持つ水晶以外にめぼしいものは見つからなかった。

 

「となると、いよいよ行かないといけないか・・・」

 

 諦めを多分に含んだ声で呟く。この大部屋から1つだけ開いた横穴、恐らく道であるそれを進まなければならないと突きつけられたからだ。

できれば遠慮したいのが彼女の本音だったが、やはり女神は醜悪だった。悩んでいる内にその横穴から大型の青いトンボのような生物が飛び出して来たからだ。

 

「生身で餓鬼とやったんだ、スペック上がった今ならもっとやれるだろ! 」

 

 女は全身が熱くなるのを感じ、自らの入れ墨をチラリと見た。相手が普通のトンボにしては随分と大きいこともあるのだが、100m以上先の羽虫を見てある程度形状まで理解できるほどに視力は上がっている。

 

「来るかっ! 」

 

 羽虫も当然こちらに気が付いていたようで様子を窺っていたのだが、何かに驚いた様子の後、一直線に距離を詰めてきた。50mを切った辺りでその姿が虫ではなく人間的であり、背中に透明な羽の生えた小人であることを理解すると。未知への恐怖が少しだけ和らぐ。

 

「ピクシーか、出来れば仲魔にしたいけど」

 

 だが和らぐだけで消えはしない。命をかけているという事実が女をどうしようもなく興奮させた。

 

 残り30mほどの距離になったとき女が叫ぶ。

 

「待ってください、戦うつもりはありません! 」

 

 いきなり響いた大声にピクシーは驚き、地面と平行になった姿勢から速度を殺す。まだ20mほど距離はあるが、彼女は空に立ち上がりながらふよふよと漂った。赤い髪と青いレオタードはサイズさえ違えば健康的な少女にしか見えない。

 

 女は言葉が通じたことにまずは喜ぶ。奇襲という最悪の形を一旦回避できたからだ。実際問題としてさっきの速度は既に目で追いかけられない速さになっていだので、あのまま戦闘に突入していたらと思うとゾっとする。

 

 お互いに相手の出方を窺いながら、何か話さないといけないと思っていたのだが、そこは悪魔であった。ピクシーがゆっくりとホバリングで近づきながら微笑み、口を開いたのだ。

 

『あ#s6wgふぁgw8zをg@ym』

 

「は? 」

 

 女は間抜けにもそう言うと口を開けたまま呆然とする。

 

『あ#s6wgふぁgw8zをg@ym! 』

 

 ピクシーはもう1度語気を強めて何かを言うのだが、その内容が理解できていないとわかると露骨に嫌な顔をした。

 

「待って、確かに言葉はわからないけど、本当に戦う意思はないんだって! 」

 

 女は慌ててそう捲し立てるとピクシーは腕を組んで唸る。生で見る妖精の仕草は非常に微笑ましいのだが、交渉に失敗した時の悪魔がいかに恐ろしいかはゲームとはいえ何度も経験しているのだ。女はゴクリと生唾を飲み込み次のアクションを待つ。

 

 だがそこで気が付いた。ピクシーは彼女の左手を頻りに見ているのだ。正確に言えば、そこに持つ宝玉をずっと気にしている。

 

 このまま睨み合っていても事態が変わらないことと、別の悪魔が乱入してくることを警戒した女は先に行動を起こした。

 

「ねえ、ピクシー・・・で良いのかな? これが欲しいの? 」

 

 彼女は宝玉を見せながら、子供に語り掛けるよう優しくそう言うとピクシーは大きく頷く。それを見た女は一か八かと話を切り出す。

 

「私にとってもこれは大事なものなんだけど、もし君が私の仲魔になってくれるならこれを上げてもいいよ」

 

 悪魔召喚プログラムは無いためこの口約束で悪魔を縛れるのかはわからない。だが未開の地を走って逃げるという危険性を考えると、最低限会話をしておくことは必要だと考えたのだ。

 

 女の言葉にピクシーは満足そうに頷くと、両の手をこちらに向けてくる。その姿はまるで子供が抱っこを強請るようで自然と頬が緩んだ。

 

「ざwinあ5be#! 」

 

 ピクシーはそう言うと、可愛い顔を意地悪く歪める。そしてその小さな両手に、見えない力を流し込んだのだ。

 

 女は左手に持っている宝玉をその場に放り出し、両手を顔の前で交差する。恐怖に両目を閉じ、最初に感じたのはボンという軽い爆発音に腕への衝撃だった。

 

「ああっぐっあ!」

 

 意識できたのは熱と痛み。耐えきれずに地面へと倒れ込んで蹲る。あまりの衝撃と熱さに何が起きたのか理解できなかったが、涙を零しながら見たのは焼け爛れた自らの両腕だった。交差した時に右手が上に来ていたためか、左手の火傷は思ったほどではない。だが日焼けなどの生易しい焼け方ではなかった。

 

「ぐぅっ・・・痛い、何で・・・」

 

 涙で霞む視界の先には勝ち誇った妖精の姿が見える。弱者に見上げられることが小さな暴君の自尊心を満たしたのだろう。愉悦に浸りながらゆっくりと倒れた女まで高度を下げて、今度は両手を腹部に突き出す。

 

「やめっ!? 」

 

 懇願は軽い爆発音にかき消され、洞窟に絹を裂くような悲鳴が轟く。妖精は焼け焦げた腹部が小刻みに弱弱しく動く様と、掠れるような呼吸音を聞くと満足そうに頷き笑みを深める。

 

 ピクシーは最後の1撃を放つため顔の付近へ飛ぼうとしたのだが、倒れた女の額付近に転がる宝玉を見つけて空中に制止した。あまりの楽しさに本来の目的を忘れていたのだ。腕を組んで数秒ほど唸ると、情けなく涙を流しながら震える女をチラリとみる。妖精はそこに抵抗の意志が一切見受けられないことを確認すると興味を失った。悪戯は対象が反応をしてこそ面白いのだというように。

 

 ピクシーは自らの両手を一生懸命に広げて自分より大きな宝玉を掴もうとする。数秒ほど格闘し、やっと持ち易い部分を見つけたのだが、飛び立とうとした時にそれは起こった。

 

「0@ymえ! 」

 

 いきなり巨大な手がピクシーの腹部から下を掴んだのである。いきなりの事態に悲鳴を上げるが、手はがっちりと掴んで離しはしない。体を捩じるように動かし何とか首を向けた先には驚きに固まる巨大な女の姿を捉えた。それはさっきまで自分が玩具にしていた相手だったのだ。

 

「なん、で? 」

 

 驚いていたのは女も同じだった。彼女は別にピクシーを掴もうと思ったわけではなく、腹の虫に促されるまま、この傷を癒すために落ちていた宝玉へ左手を伸ばしただけだったのだ。寝起きに目覚ましを触るよう当てずっぽうで伸ばした先で偶然触れた何かを握るとそれがピクシーだった。

 

 お互いが予期せぬ事態に固まるのだが、今度は女の方が早かった。先ほどまで自分を殺そうとしていた相手を左手で掴んでいたからだ。彼女は天井から百足などが落ちてきた時の様に驚き、倒れたままだが大慌てで妖精を振り回す。

 

 ピクシーにとって不幸だったのは掴まれた位置が悪く、羽の動きに干渉するため空を飛べなかったことだろう。

 

「くそっ! 糞が! 死ね! 死ねっ! 死ねぇ!! 」

 

 女は癇癪を起した子供の様に手の中のピクシーを何度も地面に叩き付けた。勢いが付きすぎて自らの指が火傷以外でも痛くなる。次第に疲れて腕を止めるのだが、握った先の妖精をみて驚愕する。

 

 妖精はまだ生きていたのだ。頭や腕など様々なところから血を流してはいるが、まだ生きていた。全身の痙攣に伴い羽も少し動いている。

 

 だが、可哀想だとは思わなかった。今は焦点が合わず濁った眼だが、いつまた邪悪に歪められるのかと気が気ではない。

 

 女には確信があった。この妖精は遊びだったのだ。遊びで当たり前の様に攻撃してきたのだ。なら動けるようになったらまた襲って来るであろうこと、ここで心の弱さを見せれば次にこうなるのは自分であることが。

 

「ああああああ」

 

 血を吐くように絞り出し、倒れたまま空いた右手でピクシーの上半身を包み込む。獣のように握りしめると、手の平で命が懸命に藻掻く。だが潰すには至らない。両手の激痛が最後の最後でそれを守ったのだ。

 

 痛みを知覚したことで両手の力が少し緩まり、意識を取り戻したピクシーは最後の力を振り絞って体を捩じった。お互いにここが分岐点であることを理解しあう。焦った女はもう1度強く握るが、苦しむだけで止めにはならない。むしろその結果はピクシーに余裕を与える結果となる。何か方法はないかと悩む女は火傷のせいか唐突に喉の渇きを感じ、こんな所にペットボトルなんてあるわけないだろうと自嘲した。だが似たような感覚を両手に感じたのだ。

 

 女は勝利を確信して左手と右手を逆向きに回した。

 

 結果はあっけないものであった、手の中でブチブチと千切れる音が広がり、ピクシーがビクンと跳ねるとそれきり動かなくなったのだ。

 

「はははっ・・・まじかよ・・・」

 

 あれだけの激戦を繰り広げた相手が、それだけで死んでしまったのだ。あまりの呆気なさに乾いた笑いが漏れる。念のために更に力を入れて回し、今度は逆向きに回したのだがどうやら完全に死んでいるらしく一切の反応を見せなかった。

 

 未だに生の実感が湧かずにボーっとしていると、手に持つ死骸から深紅の光が溢れ出した。最初は血かと思ったが、その光は地面へと滑り落ちず、まるで意志を持つように空を漂っている。

 

「もしかして、マガツヒなのか?」

 

 強い感情の揺らぎによって生じるエネルギーであるマガツヒ。悪魔の力の一端であり莫大な量があれば世界の創世すら可能なほどに万能で強力な力。

 

 女はこれがあればと思った。手の中にいた悪魔はいつの間にか消え去っており、ズグリと腹で蠢く虫に言われるまま、光へ右腕を伸ばす。漂うマガツヒ達は彼女の腕に入り込むと、刺青を通して体中に行き渡った。

 

「凄い・・・」

 

 全身を走る力の奔流に驚き、あっという間に塞がる傷に目を見開く。体力の戻った体を起き上がらせ、力強い足取りで大地を踏みしめる。

 

「これがレベルアップ? 」

 

 取り込んだ力は、この地で目覚めた時より確実に生き物としての格が上がったことを実感させた。その事実が女の瞳から今までとは違う1筋の涙を零れさす。

 

「ははっ・・・あはははっ・・・凄いよこれ・・・」

 

 震える声で呟く。

 

「この世界も、この力も・・・俺が積み重ねてきた人生より、ずっと自由だ! 」

 

 女は歓喜に震えてそう叫ぶ。力こそ全てであり、文字通り弱肉強食の世界は彼女にとって光輝いて見えていた。

 

 他人より劣ることを自覚していたからこそずっと努力し、何度も結果を無かったことにされてきた彼女にとって、絶対に裏切らない自らの力とは金以上に価値のあるものだったのだ。

 

「マガツヒ、そうだこれを集めればいいんだ。簡単じゃないか、仕事と同じだ! 」

 

 楽しそうに目標を語る女に悲壮感や狂気は見られず、どこまでも晴れ渡った顔をしている。

 

 それは1人の人間が死んで、悪魔が生まれた瞬間だった。

 

 

 

 

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