IS 〜殺し屋奮闘記〜   作:黒鉄48号

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学期明けのテスト地獄の小休止なので初投稿です


1章 全国調査・訓練編
第十四話 人は誰しも仮面をつけている


 うん、良い気分だ。実に良い気分だ! 鼻歌でも歌いたいところだが、流石にそこまでの死体蹴りをするほど()は鬼畜じゃないので止めておこう。

 とはいえ、かの天災の裏をかくことができたのだ。こんなに嬉しいことはない。

 

「ま、嘘なんですけどね」

「…………はぁっ!?」 

 

 あ、さっきまで萎びたほうれん草みたいだったのにもう復活してる。流石、細胞レベルでオーバースペックなことはあるな。

 そんなことを考えている俺の肩をガシッと掴み、束博士は全力で揺すり始めた。

 

「うそ、ウソ、嘘ぉ!? お前本当にさぁ! 流石の束さんもこれには激おこぷんぷん丸だよ!」

「ははは! ……まぁ、正確に言うなら半分正解で半分間違いってことだ」

「なら、どこが間違ってるって言うのさ! 束さんはそこが一番知りたいところなんだからさ!」

 

 兎の様に体を上下に揺らしながら、はよ出せはよ出せと催促してくる。……うん、こりゃうっかり顔から下見れないな。今でさえその規格外品(巨乳)が上下して視界に写り込んでくるし。

 閑話休題。さっさと種明かししちゃいましょうか。

 

 

「まず最初に、一夏君を助けたのは確かに私だ。そして、姿を消していた技術に関しては私の口からは言えない」

「ふむふむ……まぁ、その技術に関しちゃあんまり重要じゃないしいいよ。で、結局君がヘビカラスじゃないってどう言うこと?」

「それはズバリ————蛇鴉はあくまで『役』であって、宇野誠一と言う人物は『役者』でしか過ぎない、と言うことだ

「『役』、ねぇ……そんなに重要なことなの?」

「あぁ、勿論。俺があの仮面を渡されてから耳にタコができる程に言い聞かされてるからな」

 

 束博士が疑問を抱くのも無理は無い。何せ、アレの特性はかーなーり特殊であるからだ。

 やれヒュームがどうのミームがどうのと頭の痛くなるよう分からん単語がポンポン出てくるし。

 

「まぁ、大雑把に説明するなら……あの仮面を装着した存在が『蛇鴉』であり、装着者自身を指すことは無いって訳だな」

「つまり……仮面を被ったのが誰であろうと、観測者は()()()ヘビカラスであるって認識しちゃうってこと?」

Exactly(その通り)!」

 

 ……まぁ、実はこの仮面を作ったのは、K博士と同じく俺のいる『組織』を支える天才の一人である『プロフェッサーB』であり、MUST開発以前から使われていた意外と古い道具なんだけどね。

 今の形になったのも、ハイパーセンサーの搭載や軽量化及び防弾化した結果だし。…………やっぱりあの人達ヤバいな。

 

「……でまぁ、あんたの知りたいことはこれで全部だよな?」

「そうだなぁ〜……うん、満足だね! ありがとう()()()()!」

「あぁ、よかっt——せーくん?」

 

 頷きかけたが、妙なあだ名のせいで思考が止まる。いや、なんだよ『せーくん』って……微妙にダサいし。

 

「そう! 誠一だからせーくん! 分かりやすいでしょ?」

「いやまぁ……もっとこう、格好良さげな渾名は駄目か?」

「えー、いいじゃんせーくんで。呼びやすいし」

「……はあ、いいよそれで。あんたのことだ、何言っても暖簾に腕押しだろう」

「ははは! 分かってるじゃないか〜」

 

 自分で言うか。……まぁ、美味い朝食を食べさせてくれたんだ。これぐらいなら特に問題無いな。

 

 

 

 何だかんだあったけど、朝食が終わったのでささっと食洗機に全部ぶち込む。これぞまさしく文明の利器という感じだ。

 ふとリビングを見ると、いつの間にか束博士が勝手にテレビをつけてソファーでくつろいでいる。全く、ここは()の家のはずだが、こうも我が物顔でいられるとなんだかなぁ……

 

「あの、博士。いつまでここに居座るつもりですか? 私はこの後出勤なんですが」

「ん~? 勝手に出発したら~?」

「いや、あくまで勘ですけど……博士一人を置いていったら絶対碌なことにならなさそうですし」

「にゃはは、大当たりぃ!」

「そこは嘘でも良いから『何もしないよ』と言ってほしかったですよ……」

 

 兎にも角にも、どうにかしなければならないな……

 案その一『このまま外に連れ出す』……却下。服装が目立ち過ぎるし私にあらぬ疑いがかけられかねない。

 案その二『あえて家に置いて行く』…………勿論却下。一応見られるとまずい代物はこの家には無い……が、だとしても他人に家を勝手に弄られることは気分の良い物ではない。

 

 となれば、答えは一つ。案その三————『博士を変装させて一緒に出かける』ことが最適解だろう。

 さぁ、善は急げだ。彼女がテレビに夢中になっているのを横目で見ながら寝室へと向かい、クローゼットを開く。

 

 そこに掛かっているのは、()()使()()()()()()()()()()()。その中からあまり目立たなそうな物を選び、虫食いや汚れがないか一通り確認する。

 何故こんな物を私が持っているかというと、組織の仲間達がたまーに渡してくれるからだ。

 というのも、これらの服は殆どが古着であり、着る機会が無くなったりそもそも着れなくなったりした時に、リサイクルショップに売られず私に渡してこられたのだ。

 まぁその理由としては、私の格好が春夏秋冬問わずほぼ毎日黒無地のTシャツに黒チノパンの黒一色(ススワタリ)か、仕事着のスーツしか着てないからであろう。

 アンジーさんや霞野さんには度々お洒落をすることを勧められたりするが、やはり興味が湧かず空返事で返してしまうことが殆どだ。

 

 閑話休題。彼女に着せる服を選んだので、ベッド近くのハンガーラックに掛けてある仕事着にささっと着替え、電脳メガネの入ったケースをズボンのポケットに突っ込んでリビングに戻る。

 博士が見ていたテレビ番組も終了間近で都合が良かったので、肩を叩いてこちらに意識を向けさせる。

 

「ん? な〜に?」

「博士、すいませんがこれらの服に着替えてもらってよろしいでしょうか? 今の服装は、いささか派手すぎるので」

「ふ〜ん…………なんか、地味ってレベル超えて『ダサい』に片足突っ込んでないこれ?」

「ええ、勿論。出来る限り地味で目立たない組み合わせを選んだわけなのですから」

「えぇ〜〜……まぁ、いいけどさ」

「なら良かった。それじゃ、私は玄関で待ってるのでささっと着替えてくださいね」

「ヘ〜い」

 

 衣擦れを聞きながらドアを開いて玄関へと向かい、ケースからメガネを取り出して装着する。

 いつも通りのペアリング成功音を確認したら、スマホの音楽アプリのプレイリストをシャッフルにして流す。

 メガネに備わっている振動パーツの位置を微調整して、しっかりと聴こえるようにする。普通の市販されているイヤホンの方が音質は良いが、耳を塞がずに済むのがやはり良い。

 

 2曲目が終わったと同じぐらいに、ドアが開かれて博士が出てくる。

 ゆったりとしたブラウンコートに、ちょっぴりお金がかかってそうな黒ズボン。

 シンプルではあるが、元々の素材が良いからなのか、地味というよりかはちょっぴりお洒落に思えるぐらいのイメージに落ち着いていた。

 

「せーくん、結構良いよこの服!」

「おお、それは良かった」

「後、やっぱり眼鏡似合うね〜」

「ははは、褒めても何も出やしませんよ……それじゃ、出発しますか」

 

 いつもと同じ道、だけどいつもとは違う出勤風景。はてさて、この後どうなるのやら……




なんだこの綺麗な天災ウサギ……服装コロコロ変わるし

そして真面目状態と不真面目状態が変わりまくる主人公の図。まぁ基本こんな感じだからねしょうがないね


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