IS 〜殺し屋奮闘記〜   作:黒鉄48号

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 筆が乗ったので早めの初投稿です


第十六話 サクラサク

 織斑一夏がISを動かしてから、今日で三日。その間に色々なことが起こった。

 あの場……図書館のエントランスでニュースを見ていた時は、一部の男女の間で諍いが起きてそれを止めるのに手こずった。

 

 その次の日は、現実ネット問わず、それはそれはもう荒れまくった。

 あるニュース番組では、多方面から専門家を呼んで生中継の討論会を行ったが、最終的にはニュースキャスターまで巻き込んだ大乱闘に発展するという放送事故が起きて中継停止。再開まで三時間もかかった。

 また、ネットの方では各種SNSで過激派の女尊男卑主義者や、彼女らに反感を持っている人たちがレスバをしたり炎上したりで、複数の大手SNSが鯖落ちする事態までに発展した。

 

 さらに次の日……つまり昨日のことだが、突如として国がとんでもないことを発表した。

 全国一斉男性IS適性検査の実施及びその日程——それはもう、一昨日以上に大荒れになった訳で。

 ニュースでは所々に絆創膏を貼った専門家達が舌戦を繰り広げ、ネットでは一部の頭がお花畑(バカ)な人たちがポロッと呟いた言葉に噛み付く輩が大量発生。

 でも、それ以上にやばかったのは…………女性権利団体達*1が行った、政府に対する一斉抗議デモ活動だろう。

 面倒くさいことに、どうやらちゃーんと警察から許可もらって一般道で活動した訳だが、そのせいで図書館の利用者が今まででも下から数えた方が早い位の人数になった。それこそ、一時的には利用者0人になったぐらいだ。

 

 

 そんなかんなでやってきた適性検査当日、実施場所は市の運動場。空は澄み切っていて、太陽が隈なく照らしてくる。

 その待ち行列の真っ只中に私────宇野誠一は、現在いる訳だ。

 周りを見渡してみれば、前後には下は小学生上は還暦までの男性がずらりと並び、少し離れた所には警備員達がいる。前日のデモの影響で、万が一に備えているのだろうか。

 

 ──ISって飛べるんだろ! こう、ビューンってさ! ──

 

 ──ばっかお前、そんなことよりIS学園はほぼ全員JKだぜJK! もし動かせたらハーレム確定だぞ! ──

 

 ──この歳になると、新しい物にはとんと疎くなってしまうのう…… ──

 

 こんな風に時折聞こえてくる独り言の内容も、十人十色で様々な物がある。無邪気な空への憧れ、下半身に忠実な欲望、歳を取ったことへの痛感するぼやき……聞き取れるだけでも数十個はあった。

 

 それらを軽く聴き流していると、度々進みが遅くなりながらも結構早く列は進んで行き、ついに後数人で自分の番になるぐらいまでになった。

 背の高さを利用して、丁度検索している所を覗き見てみる。

 

 検査に使われているISは『強化外装・六一式 打鉄(うちがね)』────日本製の第二世代ISであり、世界シェア第三位になるほどの使い易さと、全ISの中で最も『換装装備(パッケージ)』が多いのが特徴の機体だ。

 

 私の前の人が機体に触れるが、それより前の多くの人たちと同じくISはうんともすんとも言わない。

 彼の落胆ぶりを横目で眺めながら、ISの元へと歩いていく。

 

あぁ……あんた、名前は?」

「宇野誠一、18歳」

「なるほど、18歳ね。そんじゃさっさとISに触れなさい」

 

 くたびれた様子の女性に促され、改めて打鉄を見つめ直す。アンジーさんとかなら『お城に飾ってある中世の鎧』なんて例えるのだろうが、私にはどうにも鎧には思えない。

 何せ、()()()()()()()()()()()()()()のだ。いくらシールドで守られているとはいえ、搭乗者は恐怖を覚えたりしないのだろうか? 胸部とかほぼ丸出しなのだが……そんな疑問を浮かべながら、右手で装甲に触れる。

 

 感じるのは、金属特有の冷たさだけ……そんな当たり前に、安心しながら手を離そうとする────が、何故かピクリとも動かない。まるで、超強力な接着剤で固められてしまったかのようだ。

 そんな惚けたことを思っていると……突如、キンッという金属音が頭に響いた。間髪入れずに、意識に夥しい情報が流れ込んでくる。

 

 ISの基本動作、操縦方法、性能や特性、現在の装備、活動可能時間、アーマー残量、etc……全く知らないはずのそれらが、足し算引き算のように、『当たり前』として理解できる。

 そして、視覚野に接続されたセンサー類が直接脳内にパラメータを浮かび上がらせ、周囲の状況を数値で知覚可能になる。

 

 右腕を眼の前に持ち上げてみると、既にISが装着されていた。掌を開閉しようと思考すれば、眼の前のそれがイメージと寸分違わない動きを行う。

 そうしている間にも、肌の上を『何か』……いや、皮膜装甲(スキンバリアー)が覆っていく――展開完了。

 地面から僅かに足が離れる──スラスター正常作動確認。

 再び右手を見てみると、光の粒子が集まっていき、形を成して実体化していく──アサルトライフル、展開。

 最後に、()()()()()()()が体を駆け巡る。隣の女性の驚愕した表情を、自分の後ろにいた人々の服装を、警備員の強張った筋肉を……そして、澄み切った青空を、私は()()()見ていた。

 

「千冬様の弟以外にISを動かせる男がいるなんて……そんな……そん……」

「おいおいおい、マジか、マジでか!? ひぇー! こいつは驚いたなぁ!」

「スゲー! かっけえ、かっけえよアレ!」

 

 周りがざわつき始めて暫く経つと、黒服にサングラスの男達が数人やってきた。

 彼らは私を車まで案内して乗せ、そのまま車は出発した。

 ガラスは全て真っ黒にされているので、外の風景やどこに向かっているのかも分からない。

 

 さて、これからどうなっていくのだろうか――――私はそんなことを思いながら、組織のメンバーのトークルームへ、一言だけ送信した。

 

『サクラサク』

*1
通称『女権団』




 やっと……ISが登場したんやなって。ここまで半年以上ってマジ?
 まぁ、それはいいとして……ここから暫くの間、まだIS学園には行きません。
 一言だけ言えるのは────『ISが沢山登場する』ということだけです。

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