IS 〜殺し屋奮闘記〜   作:黒鉄48号

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 受験休みで初投稿です
 参考書&試験回


第十七話 ホテルと学園と二つのメロン

 先日ISを動かした結果、私──宇野誠一は現在、とあるホテルの一室にいる。

 名目上は『保護』らしいのだが……実態は軟禁状態と()()同じである。

 なぜ『ほぼ』なのかと言えば、『組織』が裏で手を回してくれたおかげで、なんとか必要最低限の連絡は取れる状態にあるからである。

 

 そういう意味では、ここから少し離れた部屋にいるらしい織斑君よりかは。私はマシな環境にいると言えるだろう。

 私の部屋の近くの警備員──勿論組織の人間で、何度か顔を合わせたこともある──によれば、彼は一切の連絡手段を断たれており、姉とすら会わせてもらえないのだとか。

 

 そんなことを考えながら、私は目の前の分厚い本を手に取る。

必読!!  IS学園参考書……内容はタイトル通りなのだが、とにかく分厚い。電話帳二冊以上はあるのではないだろうか? 

 これを手にした時、受験生達はどんな表情になったのか気にしながら、取り敢えず読んでみる。

 

「……うん、なんというか……普通に為になるな、これは」

 

 ついついそう呟いてしまったが、本当に読みやすいし分かりやすい。要点は簡潔に纏められている上に、専門用語の解説も後ろの方に載っている……というかその部分だけで二割弱を占めているのが恐ろしい。

 しかも、私自身電子書籍よりかは紙の本のほうが読みやすい質なので、これ幸いと読み進めていった。

 

 

 さて、そんな感じで数日間を過ごし参考書の一割弱を読破した頃に、私はホテルに軟禁されてから初めて外出することになった。

 一般には公開されていないらしいルートを使い、地下駐車場まで案内される。

 そこにはあの窓ガラスが黒い車が二台駐車していた。片方はエンジンが掛かっているので、恐らくは織斑君が一足先に乗っているのだろう。

 それを眺めながら私も車に乗り、シートベルトをしたら車が出発した。

 

 

 それから、体感で大体一時間半ほど経ってから車が止まった。どうやら、目的地に到着したみたいだ。

 車から降りると、目の前に広がっていたのはだだっ広い海と、その向こう側に小さく見える島。そして、それとこっち側を繋いでいる橋と、モノレール駅だ。

 

 某夢の国とホテルを繋いでるやつとかあったよなぁ…………そんなことを考えながら歩いていくと、先に来ていた織斑君と顔を合わせることになった。

 

「あ、宇野さん! お久しぶりです!」

「久しぶりだな、織斑君。にしても、まさか君がISを動かしてしまうなんてね」

「それを言ったら、宇野さんだってそうじゃないですか。ほんと、テレビでそのことが報道された時なんてうっかりリモコン落としちゃいましたもん」

 

 くだらない会話を交わしていると、ついにモノレールがやって来る。

 ……これに乗れば、私達は行くことになるのだ。世界唯一の『IS専門学校』であるIS学園へと。

 

「……ついに、ですね」

「あぁ……全く、この先不安しかないが、行かないわけにはいかないしな」

「ははっ……それじゃ、行きましょうか宇野さん」

「そうするか」

 

 そこで話を切り上げ、モノレールに乗り込む。

 私と織斑君が手すりを挟んで座り、それをボディーガードの人達が挟み込むように座った。

 運転席を横目で見てみると、どうやら無人運行らしく人は居なかった。

 

 どんな風景が見れるのか、少しだけワクワクしていたが……発車後、想像以上の速さだった為にまともな風景はほとんど見れなかった。ちくしょう。

 


 

 モノレールに揺られながら十分程で、僕らはIS学園についた。

 駅に降りて最初に目に入ったのは、ホログラムの掲示板だ。

 

『ようこそ、IS学園へ』、か……普段はARばっかり使ってるから、新鮮な気分だな」

「ですね。僕も、『レゾナンス』のチェーン店ぐらいでしか見たことありませんし」

 

 そう呟きながら、宇野さんと一緒に目的地まで歩いていく。

 棚田みたいに建物が密集している場所、なんかグニャグニャしてる高い塔、コロッセオみたいな壁に囲まれた何か……近未来的というか、なんかヘンテコな物ばかりだ。

 それらを見る度に宇野さんは、「あそこは研究施設かな? バラバラのISとかがあるならぜひ見てみたいな」と普通の感想を漏らしたり、「なんだあのでっかい塔……え? レースのコースの一部だって!? じょ、冗談じゃ……」と驚いた表情を見せたりしていた。

 なんというか……今までとは違う一面が見れてかなり楽しい気分だ。

 

 そんなかんなで島の建物を遠目に見ながら歩いていき、第三アリーナへとたどり着いた。ドラゴンボールに出てくる戦闘服の肩パッドみたいな奇抜なパーツが特に目を引く。

 観客席のある場所に出ると、丁度受験生らしき人と先生がISで戦っている真っ最中だった。確か、これも入試の一環なんだっけか。

 

 教師の人は緑色の髪で眼鏡をかけている感じで、乗っている機体は『ラファール・リヴァイヴ』。両膝の部分にデカデカと『』と書かれているが中々シュールだと思う。

 それに対して、受験生さんが乗っている機体は……あれ? あんな真っ青な機体、僕がもらった()()()()()()()()()()()()()()()? 

 

「宇野さん、あの青い機体って……」

「参考書には載ってなかったってことは……試作機だろうね。高機動で狙撃銃持ちということは、多分イギリスのやつだろう」

「イギリスのISっていうと確か……『メイルシュトローム』でしたっけ? 情報収集と狙撃メインの量産機」

「お、もうそこまであの本を読み進めたのかい? いやー、本当に面白いし分かりやすいよねアレは」

 

()()が分かりやすい……? 専門用語が雪崩のように出てくるアレが? 

 …………そういや宇野さん、結構ああいう本を図書館の利用者さん達に勧めてたっけなぁ。

 僕と宇野さんの間にある『差』を痛感していると、どうやら決着がついたようだ。ラファールが地面に降りて、青い機体は宙に浮いたままだから多分そっちが勝ったのだろう。

 

 その後は二人ともおじぎをして、金髪の受験生さんはピットへと戻っていった。

 それを僕らが見届け終わると、教師さんがこっちを向いて手を振ってきた。さっきとは逆側のピットを指差しているから……そっちに行ってください、ってところかな? 

 周りの人達もそう解釈したみたいで、一緒にピットまで歩いていく。

 

 目的地に着いたのは、教師の人がISから降りるのとほぼ同時だった。彼女がISから飛び降りて、少し足を曲げて衝撃を逃がすと同時に、メロンほどの大きさのたわわに実った胸が揺れる。

 ……ついつい凝視しちゃったけど、男の子ならしょうがないよね? 

 

「あ、来ましたか! 初めまして、今回の入試の試験官をさせてもらっている山田真耶(まや)です。織斑君、宇野君、今日は宜しくお願いしますね」

「は、はい! よろしくお願いします!」

「こちらこそよろしくお願い申し上げます、山田さん」

 

 僕と宇野さんで返事をする。先生は少しだけはにかみながら笑うと、壁のタッチパネルを弄り始めた。指がまるで別の生き物のように動いてる……凄いなぁ。

 そう感心していると、彼女が装着していたISの横に二機の打鉄がモンスターズ・インクに出てくる子供部屋のドアみたいに運ばれてきた。装甲は開かれていて、操縦者を今か今かと待っている風に思える。

 

「さて、お二人には私が乗ってたリヴァイヴのSE(シールドエネルギー)が満タンになるまでの間、打鉄をしばらく動かしてもらいます」

「ほう、もうISを動かせるのか……それは僥倖ですな」

「僕も嬉しいですけど……充填が終わるまではどれぐらいですか?」

「ざっと三十分って感じですね。取り敢えず、装着状態で歩けるようになるまでを目安に頑張ってください」

「分かりました!」

「了解しました」

 

 そこまで会話を交わしてから、僕らはそれぞれのISへと向かって行き、背中を預けるように座る。

 受け止められるような感覚がしてから、すぐに僕の体に合わせて装甲が閉じた。かしゅっ、という空気が抜ける音と一緒に装甲と今着ている服との僅かな隙間が無くなる。

 その瞬間、視界に各種センサーの値が表示されては消えていき、見える世界の解像度が飛躍的に上がる。そして────()()()()()()()()()()()()()

 ハイパーセンサーによってもたらされるこの状態に、僕は少しばかりの気持ち悪さを感じてしまった。

 

 表情に出てしまったせいか、山田先生は心配そうに、宇野さんは興味深そうにこちらを見てくる。その顔も勿論普段より鮮明になっている。

 

「織斑君、大丈夫ですか?」

「っ……えぇ、大丈夫です。まだハイパーセンサーの感覚に慣れてなくて…………」

「ほう、意外だな。私はそこまで違和感を感じてはいないのだが……いわゆる個人差というやつだろうな。今はもう平気なんだろ、織斑君?」

「……はい! いつでもいけます!」

 

 思いっ切り返事をしてから、ISに予めダウンロードしてあった出撃コマンドを実行して、ピット・ゲートからアリーナへと出る。上級者はマニュアルでこれが出来るらしいのだが、自信がないのでやめておいた。

 僕に遅れるように、宇野さんも出てきた。それを確認して、一緒に地面に降りてきた。

 

 その後の動作練習は、歩行訓練が意外と早く終わったので武器の展開(オープン)を試した。

 この打鉄に量子変換(インストール)されていた武装は、一七〇センチぐらいの大きさの近接ブレード『(あおい)』と黒い本体色に赤のファイヤーパターンが描かれたアサルトライフル『焔備(ほむらび)』がそれぞれ二つずつ。

 宇野さんはそれらを全て展開してから、葵は地面に突き刺し、焔備は両手に持ちながら全体を舐め回すように観察していた。

 

 そんなかんなで色々していると、SEが満タンになったのか山田先生のラファールが出てきた。入れ替わるように、宇野さんは逆の――つまり例の受験生さんが戻った方のピットへと向かって行った。

 ……ついに、試験が始まるんだ。そう思うと、緊張がより一層高まる。

 

「それじゃー……試験、開始です!」

 

 言った瞬間、山田先生は凄まじい加速で一直線にこちらに向かってきた。それを、小学生の頃に得意としていた足捌きとISのブーストを用いてさっと避ける。

 即座にその場で反転して、あらかじめ呼び出し(コール)を入力しておいたアサルトライフルを構えて、ラファールの背中に撃ち込む。

 その中のいくつかが、スラスターの噴射口に直撃し……一拍おいて、爆発する。

 

「そんな!? ……って壁ぇええぇ!!」

「……あれぇ?」

 

 先生は慌てふためきながら、壁に全速力で激突し、そのまま動かなくなってしまった。…………一応勝利、なのかな?

 

「うっ……っぅっぅっ…………め、面目ないですぅ……」

「先生、大丈夫ですか? 今ピットまで運びますからね」

 

 先生をおんぶしながら、僕は先生が出てきた方のピットへと飛んでいった。……ただまぁ、背中に当たる柔らかい感触で少しばかり時間がかかってしまったのは言うまでもないだろう。




 ( ゚∀゚)o彡°おっぱい!おっぱい!
 原作一夏も何度も山ピーのおっぱいに視線が度々向かってたからね、しょうがないね(男の子の性)
 尚主人公は最初にラファールに目が行った模様。

呼び出し(コール)
 初心者向けの方法であり、視線選択と音声認識の二方式が存在する。
 常に一定の速度で武装が展開出来るが、イメージによる展開より遅い為あまり使われない。
 今回の一夏の場合:山田先生突撃→呼び出しと同時に回避→展開完了した銃で攻撃
 ──といった流れになっている。

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