IS 〜殺し屋奮闘記〜   作:黒鉄48号

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 少し空いたけど初投稿です

 オリジナルIS大放出の巻


第十九話 量産機 一癖二癖 有りすぎる(字余り)

 例の戦闘試験からはや数日。

 織斑君は現在もホテルに滞在しており、最近送られてきた講義動画で勉強の効率が良くなったらしい。

 後、その時に知ったのだが、どうやら私以外の入学者には全員電子書籍で例の参考書が渡されているようだ。

 それを『組織』所属のボディーガードさんに話してみたところ────

 

「お前にわざわざ分厚い紙のやつ渡したのって、多分嫌がらせなんじゃないか? 少なくとも、俺だったらあんなもの渡されたら放心するぜ絶対……」

 

 と言われた。……まぁ、少々持ち運びに困ることはあるが、普段からあの手の本を読み慣れている身としては屁でもないことである。

 

 

 閑話休題。今現在私がどこにいるかというと────

 

「おーイ! 二人目さんヨォ! センサーの調子はどうだーイ!」

「情報量が! 情報量が多すぎるぞこれぇ!? あぁ! 視界が、視界がぁ!?」

 

 ……とまぁ、絶賛IS学園第三アリーナにてISの動作訓練中である。ちなみに現在はイギリスの『メイルシュトローム』を使用している最中だ。

 機体の特徴は、全身に隈なく設置されたスラスターに、トサカのように飛び出たセンサーパーツが頭部に一つあることだ。

 武装はメインが大型狙撃銃『スカイ・ルーラー』、サブにアサルトライフル『レイン・ヘイズ』二丁にいくつかのグレネード。後は申し訳程度の近接ブレード『プリヴェント』が四本といった感じである。

 

 それで、今使っているのは『超高精度狙撃モード』という代物だ。気圧、気流、温度、湿度、対象との距離、後はその他諸々が細かく表示されるのだが……如何せん視界が狭すぎる。

 

「窓の配置ズラせば解決するだロ!? 目線で合わせてから左右に移動させる感じダ!」

「ええっと……よし出来た!」

 

 なんとか視界を確保して、遥か上空に投影されたホログラムの的を確認する。今回は訓練の内容が内容なのでアリーナの遮断シールドは解除されている感じだ。

 

 一旦深呼吸してから、ルーラーをハイパーセンサーとリンクさせる。その瞬間、さっきまではごま塩程度の大きさだった的がバスケットボールぐらいのサイズで見えるようになった。

 発射角を0.02°上向きに……いや、少し下げて0.019°修正し、引き金を引く──────命中、ど真ん中。

 続けて表示された的達を撃ち抜いていく。……なんか終盤辺りは板野サーカスみたいな軌道を描いてたので、撃つまでに時間がかかってしまった。

 

「なんだあの変態軌道……プログラム組んだ人の頭の中身覗きたいなぁ。あ、ところでざっと何m先ですかね、あの的?」

「約8kmだったはずだゾ。後、アレ組んだの俺だゼ」

「へぇ、そりゃ凄いですな。……よっと!」

 

 軽口を交わしながら地面に降りていき、着地してISから飛び降りる。

 本来はしゃがませないといけないらしいのだが、私の場合は普通にジャンプして飛び乗れるのでこういう風にしている。

 

「ふぅ……これで一通りの量産機には乗り終わった感じですかね?」

「あぁ、そうだゼ。にしてモ、普通の奴はリヴァイヴか打鉄ぐらいにしか乗ったことがないんだゼ? それに対して男のお前が全部のISに乗ったってのハ、なんか皮肉だよナ」

「ですか……ね?」

 

 そういう感覚はあんまり分からないのだが、多分そうなのだろう。

 

 

 ところで、どうして私がこんなことをしているのかというと、前日の戦闘試験の結果のせいである。

 試合の判定的には引き分けだったものの、どうやらIS適性やらなんやらが平均より高いことが判明したらしく、これ幸いと学園の研究エリア*1の人達が、第二世代の量産機を動かしてそのデータを提供してくれないかと頼んできたのだ。

 当然だが最初は断った。いろいろな種類のISを動かせるということは確かに魅力的だ。しかし、それによって起きるであろう様々な問題を想像してみれば、自粛するのは人として当たり前である。

 

 ところがギッチョン! なんと研究者達が一致団結してIS委員会を説得して訓練を行うことを認めさせたのだ。

 ……ちなみに、そのことは学園からのメールで伝えられたのだが、それには周りにビール缶を散らばらせ、泥酔状態ながらも片手に番号の書かれた割り箸を握っている研究者達の画像が添付されていたのだ。

 …………いくらなんでもクジで順番決めは無いのでは、と思った私はおかしく無い……と思いたい。

 

 まぁそんな一幕もあったが、その後は今日まで毎朝学園にモノレールで向かってぶっ通しでISの訓練、ホテルに戻ってからは真夜中まで参考書と睨めっこという生活を送っていたわけだ。

 

 だが、問題が一つあった。……どいつもこいつも一癖も二癖もあるキワモノばっかりだったのだ。

 

 まずはドイツのb》『シュヴァルツェア・リーゼ(Schwarzer Riese)』《/b》。

 名前の通りの真っ黒な機体色に、角ばった手足。武装面では腰に装着されたワイヤーブレードと、両肩の小口径カノン砲が最大の特徴と言える。

 特にワイヤーブレードの方は、矢尻部分に十八番の高性能かつ小型なPICが搭載されていて、これを作動させて空中で固定。ワイヤーを巻き取ってブースターに頼らない高速移動も可能としている。

 ……最も、その手の機動が出来る操縦者が少ない為に採用率が低くなってしまっている。

 

 次にイタリアのテンペスタ・アッタラヴァーソ(Tempesta )

 機体色は白とオレンジ色に近い黄色の二色で、全体的に曲線が多い。

 機動力重視な為に全体の装甲が薄く、武装も小型で低威力な物ばっかり……この時点で嫌な予感がひしひしと伝わってくるが、まだまだこんな物じゃない。

 この機体はコンセプト上、大型の盾が装備できない。その代わりとして搭載されたのがロッド状の防御兵装『アスタ・ディフェーザ』なのだが……。

 この装備、どこぞの技術顧問に猿真似呼ばわりされそうな見た目をしており、使い方もまんまディフェンスロッドな感じなのだ。

 確かにあの兵装が有能なのは分かるのだが、いくらなんでも操作難易度が高すぎる訳で…………普及率の低さには納得せざるを得ない機体になってしまっている。

 

 段々雲行きが怪しくなってきたが、とりあえず次は中国の『機人(ヂーレン)』。

 機体色は赤土色と砂色の二色で、各パーツのデザインがかなり人間っぽいのとやけにシンプルな名前が特徴だ。

 最大の売りはトップクラスの運動性能で、人間ができる動きはほぼ全て可能とまでされている程である。

 ……しかし、それ故に強さが操縦者によって()()()こと、マニピュレーターの操作が一般的な操縦桿タイプではなく『パトレイバー』の『イングラム』が採用している指を嵌めて動かす方式であることが欠点となってしまっている。

 これらによって、乗り換えに最も時間がかかるISという印象を私は受けた。

 

 その次に来たのは、皆さんお馴染み世界シェア第三位のフランス製IS『ラファール・リヴァイヴ(Rafale Revive)』。

 痒いところに手が届く丁度いい推力に豊富な武装。唯一の惜しいところと言えば、打鉄に比べてコストが若干高いこととパッケージが少ないことぐらいである。

 後、何故これほどの量の武器を収納可能なのか疑問に思って技術者に聞いてみたところ────

 

「どうして打鉄の二倍位以上の拡張領域(バススロット)を実現してるのかって?」

「えぇ。確か、代表候補生の機体以外は全て量産型コアでしたよね。多少の誤差は生じるにせよ、いくらなんでも二倍ってのは少し異常だと思いましてね」

「あぁ〜……とりあえず説明させてもらうと、リヴァイヴのコアはちょっとした改造が行われているんだ。っつっても、俺らが改造したのは収納場所じゃなくてあくまで()()()()な訳」

「……と言うと?」

「ISの量子化ってのは、実体のある装備をデータに置き換えて内部に取り込む行為ってのは分かるよね? そんでもって、データはそのままだと大きすぎる訳だ。こういう時にする行為といえば──」

「圧縮……なるほど、つまり()()()()()()ですか」

 

 彼の言わんとしていることを察した私は、口角が釣り上がるのを感じながら彼の目を見る。

 

「お、理解が早いねぇ! おじさん物分かりがいい子は嫌いじゃないよ。 お察しの通り、リヴァイヴは特殊な圧縮方式を採用しているって訳さ。あ、ついでに言っておくと他の方法での圧縮なら打鉄も沢山武装積めるよ」

「ほう、それは意外ですね。……と言っても、何かしらデメリットがあるんでしょう?」

「そりゃあ勿論。圧縮する以上どうしても解凍が必要になるけど、それをすると展開に大体3秒ぐらいかかる様になる。たった3秒じゃあない、3秒()だぞ? 実戦だったらSEが100近く削られちまうぐらいにはデカい隙だ」

「なるほどなるほど……つまり、高倍率で圧縮可能かつ短時間で解凍可能な方式を生み出した訳ですね。…………ところでそれを作ったのって?」

俺だよ

「凄ェ!」

 

 ────とまぁ、こんな感じのやり取りをしたのが記憶に新しい出来事だ。

 

 残りのISはメイルシュトロームを除いて二つ、ロシアとアメリカの物なのだが……他の機体が霞むレベルで色々とおかしい。というか思い出すだけで頭が痛くなってくる程である。

 雑に説明するだけで済ましておくが、米はヤーポン、露は開発者の頭に火薬でも詰まってるのかと言いたくなる代物だった。

 

 さて、こんな生活も今日で最後だ。少しばかり寂しいが、ISに乗れたから万々歳だ。

 これからは、あの分厚い参考書を読破して全部覚えるのを目指すか。

 そんなことを考えながら、モノレール駅まで向かって歩き始める。

 

 ……そこから数週間経ち、ついに()()()が訪れることになるのであった。

*1
例の棚田っぽい場所。IS関連企業の研究員達が日夜エナジードリンクをがぶ飲みしながら試行錯誤してる。




 書いてる間に力尽きた……文字数が長くなり過ぎたので、ISの設定は後日纏めて設定集的な物に載せます。
 最後の二機体もちゃんと設定作って有りますよ。とんでもない代物ですけどね。

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