IS 〜殺し屋奮闘記〜   作:黒鉄48号

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 やっとこさ学園に入学したので初投稿です

 某原作に辿り着くやつを除けば、多分一番時間かかったんじゃないかなぁ(白目)


2章 学園入学編
第二十話 破茶滅茶な始まり(スラップスティック・イントロダクション)


「全員揃ってますねー。それじゃあSHR(ショートホームルーム)はじめますよー」

 

 電子黒板の前で山田先生がにっこりと微笑む。

 僕らと最初に出会った時はISスーツだったから私服を見るのは初めてだけど……サイズが一回り大きいのか、先生がより小さく見える。

 なんというか、『子供が無理して大人の服を着てます』的な背伸び感がするけど、そう思うのは僕だけかな。

 

「それでは皆さん、一年間よろしくお願いしますね

「…………」

 

 だけれども、教室の中は妙な緊張感に包まれていて、誰からも反応がない。

 

「……じゃ、じゃあ自己紹介をお願いします。えっと、出席番号順で」

 

 狼狽える先生がかわいそうなので、せめて僕くらいは反応しておいた方が良いとは思うけど、如何せんそんな余裕はない。

 その理由は単純明快——だからこそ面倒臭い——で、僕ともう一人の男性操縦者……すなわち宇野(うの)さん以外のクラスメイトが全員女子だからだ。

 

 いくつかの視線は宇野さんの方に向かっているとはいえ、大半は僕に注がれているので大変きつい。

 そもそも、なんで最前列かつほぼ真ん中の席なんだろうか。宇野さんは背が高すぎるから一番後ろに座ってるのは良いとして、僕より背の低い人もいるのに……。

 

 最初は宇野さんに助けを求めようと思ったけど、席が離れている上に絶賛参考書確認中だったので無理と判断した。というか、電話帳二冊分ぐらいの厚みあるって凄いねアレ……。

 

 しょうがないので、チラリと窓側の方に目をやる。

 向けられている中で一番熱い視線がある方向で、そこにいたのは……僕の幼馴染の篠ノ之(しののの) (ほうき)だった。

 一瞬目が合った気がしたけど、すぐに彼女はふいっと窓の方に顔をそらしてしまった。……()()()()だし、こうもなるか。

 

 

「さて、それじゃ……宇野誠一(せいいち)君」

「……あぁ、了解です。やはり携帯するには向いてないなこれ……

 

 順番が回ってきたらしく、宇野さんが参考書を机に置いて立ち上がる。今が『う』で僕は『お』だから、この後すぐ自己紹介することになるだろうし、参考にするために聞いておこう。

 

「さて、皆さん初めまして。宇野誠一と申します。趣味は読書と食事で、好きな作者はロアルド・ダール。ISについての知識はまだ不足気味ですが、皆さんに追いつけるように努力するつもりです。これから一年間、よろしくお願いします」

 

 そこまで言って、宇野さんはお辞儀をする。普段から読み聞かせをしているからか、こういうのは得意みたいだ。周りの子たちも拍手をしている。

 ……ただ、それにしても背が高いなぁ宇野さんは。山田先生と見比べよう物なら、どっちが大人で子供なのか頭がこんがらがるぐらいだ。

 

「えっとこの次は……織斑一夏君ですね」

「ウェ!?」

 

 あるぇえ……? まさか『え』の人いないの?

 ……って言っても、このまま待たせるのもあれだもんね。ええい、ままよ!

 

「お、おお織斑一夏です! よろしくお願いします!」

「…………」

 

 やっぱり無理だよこれぇ!?  みんなジーッと見つめてくるからプレッシャーも凄いし!

 どうしよう……まだ趣味とか何にも思いついてないよ……。

 埒が明かないから、思い切って口にする

 

「………………以上です」

 

 がたたっ、と何人かの女子がずっこける。ついでに箒と宇野さんまでずっこけてる……何かアドバイスしてくださいよ…………。

 

「あ、あの〜……」

 

 山田先生の涙声に申し訳なさを感じていると、ふと右肩が軽く叩かれた。

 振り返った瞬間、眉間に軽い衝撃が走る。

 

「あ痛っ! ……て、姉さん?」

「……ここでは織斑先生だ」

 

 姉さんは僕にもう一回デコピンをしてから、山田先生の方に向き直る。

 

「あ、織斑先生。もう会議は終わられたんですか?」

「ええ、山田()()。クラスへの挨拶を押し付けてすいませんね」

 

 姉さんはキリッとした表情で——だけど優しい声でそう言う。……テレビでしか見たことない表情だけど、やっぱりかっこいいなぁ。

 

「い、いえっ。副担任ですから、これくらいはしないと……」

 

 さっきまでの涙声はどこへやら、山田先生は若干熱っぽいくらいの声と視線で姉さん——いや、織斑先生へと応えた。

 

 壇上に上がった姉さんはクラスを見渡し、一回目を瞑って呼吸してから喋り始めた。

 

「諸君、初めましてだな。私がこのクラスの担任になる織斑千冬(ちふゆ)だ。君たち新入生を一年で立派な操縦者に育て上げるのが仕事だ。私や山田先生の言うことはよく聴き、よく理解しろ。出来ない者には出来るまでキッチリ指導してやる。いいな」

 

 凛とした通る声で、姉さんは自己紹介を終えた。

 ……なんだか妙に教室が静かに————

 

「キャーーーーー! 千冬様、本物の千冬様よ!」

「ずっとファンでした!」

「私、お姉様に憧れてこの学園に来たんです! 北九州から!」

「あの千冬様にご指導いただけるなんて嬉しいです!」

「私、お姉様の為なら死ねます!」

「うるさい!……一体どこからこんな声を出してるんだ?」

「ヴァー……ふぅ、衝撃波への対処法を知らなければ即死だった。ありがとうアンジーさん」

 

 ————うん、すっごい爆音。耳がキーンってなって宇野さんと箒らしき声聞き取れなかったよ。

 

「…………山田先生、なんか例年以上に多くないですか?」

「しょうがないですよ、織斑さんって同性でも惚れる人いるぐらいカッコいいんですし。学生の頃とか、下駄箱にラブレターが週二で入ってたとか以前言ってましたよね」

「そうでしたけど、流石にここまでとは……」

 

 先生達はこそこそと話し合ってから、姉さんが二、三度手を叩いたことで教室は再び静かになった。

 

「あー……そうだ、最後に一言だけ。()()()()()()()()()()()。ちゃんと尊敬してもらうぞ」

「「「……ええええぇええ!?」」」

 

 想定外のカミングアウトにより、教室はにわかに騒がしくなる。

 そんな中、一人がスッと手を挙げた。左耳に青いイヤーカフスを着けた、金髪の少女……あ、例の試験の時の子だ!

 

「先生方、質問よろしいでしょうか?」

「えぇっと……セシリア・オルコットか。いいぞ」

「ありがとうございます。失礼ですが山田先生、具体的には何歳ほどですか?」

「あ、もしかして信じてないんですか? これでも歴とした二十六歳ですよ!」

「「「嘘だぁ!?」」」

 

 ……この後、クラス全体を落ち着かせるまで時間がかかりすぎて、自己紹介がかなり駆け足になったのは言うまでもないだろう。




 今作では山田先生と千冬さんの先輩、後輩としての関係性が逆転しています。
 それでも千冬さんが担任で山田先生が副担任のままなのは、学園上層部及びIS委員会の意向です。

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