IS 〜殺し屋奮闘記〜   作:黒鉄48号

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 四月入って初投稿です
 授業回


第二一話 読み聞かせで鍛えた説明(トーキング・マシンガン)

 SHRが終わり、最初の授業が始まるまでの小休憩。

 このIS学園の倍率が大体一万倍とはいえ、やはり女子であることには変わりなく、五、六人程で集まって喋っている子達がほとんどだ。

 

 にしても、この参考書はどうにも扱いづらい。机には入らないし、後ろのロッカーだといささかスペースを占めすぎる——どうしようかと私が悩んでいると、織斑君が話しかけてきた。

 

「宇野さん、お久しぶりですね」

「あぁ、そうだな……ところで、知識の方はどうだい?」

「それなり……ぐらいですかね。あの授業動画、噛み砕いて教えてはくれるんですけど、例えがイマイチで……」

「まぁ、しょうがないだろう。何せ、ISについての前提知識がない人に教えるノウハウなんて物は皆無だろうからな」

「ですよねぇ……あ、宇野さんはどうなんですか?」

「私か? んー……そこそこ、かな。参考書は全体に目を通してある感じだね。…………まぁ、一番の問題はこの分厚さなんだがな」

「あー……確かに。動画と電子書籍のデータ、山田先生あたりに貰えるかどうか聞いてみたらどうですか?」

「お、それは名案だね……と、そろそろ授業が始まるみたいだし、席に戻った方がいいぞ」

「あ、もうそんな時間ですか。それじゃ、また授業終わりに〜」

 

 織斑君はそう言いながら席に戻っていった。

 ────まぁ、戻らせた最大の原因は親の仇を見るような目で見つめてくる篠ノ之箒さんなのだが。

 ふと思ったが、『篠ノ之』ということはやはり()()()()()()なのだろうか。……それにしては、あまり雰囲気が似てないのだが。

 そんなことを考えながら参考書を読んでいると、ついに授業が始まるようだった。

 

 

「さて皆さん、初めての授業ですね。織斑君や宇野君もいるので、今回は中学校で学んだことを一度振り返ってみましょう」

 

 山田先生が教壇に立ちながらそう告げる。彼女が手元の机を弄ると、私達の机にホログラムが浮かび上がった。

 噂には聞いていたし何度かアリーナには訪れたりしていたが、やはりこの学園の最新技術の多さには驚かされる。

 

「まずは、ISの世代についてです。織斑君、世代ごとのコンセプトは覚えていますか?」

「はい。えーっと確か……第一世代が『兵器としてのISを完成させる』、第二世代が『戦闘における用途の多様化』、現在各国が開発している第三世代が『イメージ・インターフェイスを用いた特殊兵器の可能性の模索』ですよね?」

「ええ、合ってますよ」

 

 山田先生がそう返すと、ホログラムの画像もそれに合わせて変化する。……このフォント、この大きさ、この色使い…………あの参考書を作ったのは、もしや彼女なのだろうか。

 頭の片隅でそんな愚にもつかないことを考えながら教材画像を眺めていたら、画像越しに先生がこっちを見ていた。

 

「では宇野君、それぞれの世代の共通点を挙げてみてくださいね」

「……了解しました」

 

 返事をして、一旦目を瞑って記憶を捜す。……よし、準備はできたな。

 

「それじゃ、まずは第一世代から。この世代の特徴は、なんと言っても『全身装甲(フル・スキン)』でしょう。……まぁ、『暮桜(くれざくら)』は例外ですがね

 

 説明しながら周りを眺めてみる。

 大体の生徒は興味津々といった感じで、篠ノ之さんやオルコットさん……そして織斑先生はこちらを品定めするような目を向けている。

 

「そもそもの話として、当たり前ですが当時はIS運用や開発のノウハウなんて皆無な訳です。そんな中、開発者達がまず目指したのは『稼働時間の増加』です。この目的を達成する場合、SE(シールドエネルギー)の浪費は極力少なくしなければならない……その為の一番手っ取り早い手段は単純明快──()()()()()()()()()ことです。こうすれば、SEを使わずに済む訳です」

 

 ちらっと織斑君と山田先生を見てみると、どうやら好印象らしい。このまま続けていこう。

 

「ですが、あちらを立てればこちらが立たず……装甲を増やした代償として、量子化できる武装の量がかなり減ってしまった訳ですね。この問題への対応は国ごとにかなり特色が出ていて、フランスは独自の圧縮方式を生み出し、ドイツはマウントラッチを採用していたりしてました」

 

 そこで一旦区切り、一息ついてから説明を再開する。

 

「こうして開発された第一世代ISが競い合ったのがかの『モンド・グロッソ』の始まりです。……で、この大会で得られたデータやノウハウから開発されたのが第二世代ISです。この世代の特徴は言わずもがな『換装装備(パッケージ)』です。これは、一つのISを複数の異なる用途で使用可能にする為に開発され、その結果ISを使()()()()()様になった訳です」

 

 ここいらからは最近試験で出た所ばっかりだからか、やはり反応が薄いようだ。

 

「で、現時点で最新となる第三世代なんですが……ぶっちゃけ第二世代と機体の方は変化してませんね。メインはあくまで特殊兵装で、国によってかなり差があるので一纏めで説明するのも難しいんですよね……。────まぁ、これ以上は長くなりすぎるので一旦お開きにしましょうか。こんな感じでいいですかね、山田先生?」

「え、えぇ……分りやすくていいと思いますよ。随分と長かったですね……

 

 山田先生はちょっぴり言葉を濁しながらそう応えた。……なんか、オルコットさんがこちらを凄まじい形相で睨んでいるが、地雷を踏み抜いてしまったのだろうか。

 

 授業時間はまだ半分近く残っている。先生もまた話し始めそうだ。

 そう思いながら、私は気を引き締めるのだった。




 やけに睨まれる主人公。
 司書時代はほぼ毎回読み聞かせしてたのでかなり喋るのは上手い方です。

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