受付の人から教わった通りに視界の右上の方にある地図のアイコンに触れると、館内の地図が表示された。
現在地には赤い丸が点滅していて、それぞれの地点のエリア名などが記されていた。それに順って、探してる本があるであろうエリアに向かう。
やってきたのは『新書エリア』。ここなら確実にISについての本がある筈だろう。
そう思いながら、エリアの近くにあるパソコンで検索をかける。——思った通り、ここにはその手の本がある様だ。
検索結果欄を舐める様に見ていると、『社会人なら知っておきたい! ISの基礎知識』と言う題名が目に飛び込んで来た。すぐさま、本のある場所をメガネに転送する。
表示に従いながらエリア内を歩き、検索した本を手に取る。
そして、本を開いて十数ページ読んだところでパタっと本を閉じる。
「……やべぇ、まったく理解できねぇ」
本当に、1ミリも理解できない。普通なら文字でなんとなくとはいえどんな物かわかる筈だ。しかし、オレ自身がそこまで頭が良くないこともあって、本の内容がはまるで理解できないのだ。
「いやさ、瞬時加速とか後付武装とかは流石に分かるぜ。でもさぁ……衝撃吸収性サード・グリッド装甲*1ってなんなんだよ!? まるで意味がわからねぇ」
あまりの難解さに、ついつい独り言を愚痴ってしまう。これなら、一昔前のロボットアニメの用語の方が数倍分かりやすいぐらいである。ミノなんちゃら粒子とか。
当てが外れてしまったので、オレはしばらく考え込むが、ショックのせいか頭が回らない。
そんな状態で悩んでいても仕方がないので、この図書館に併設されているカフェに行ってみることにした。そこで何か甘い物を飲みながら一息つけば、ちゃんと頭が働き始めてくれるだろう。
カフェにやってきたオレはメニュー表をざっと見て、アイスミルクティーをシュガースティック一本と合わせて店員さんに注文する。十数秒ぐらいで注がれたそれを笑顔の店員から受け取りながら、電子マネーで支払って席に行く。
時間が早い為少々空いている席に一人で座ったオレは、ミルクティーに砂糖を入れて溶かし、一口飲む。——うん、可もなく不可もない、スッキリとした丁度いい甘さだ。
頭に糖分を与えながら、気分転換にポケットからスマホを取り出してニュースアプリを開く。……新聞? 妙に回りくどい表現が多くて苦手なので読みたくない。
開いて一番最初に目に入ってきたのは、いつもの政治関連の曖昧なニュースとスポーツニュースだが、興味が無いので無視して他のニュースを探す。
動物の癒される記事や、アイドルグループのちょっとしたスキャンダルを適当に読み流していると、ある記事が目に留まる。
「『努力の天才若手実業家IS操縦士! セシリア・オルコット』? 肩書き多いな……というか結構美少女じゃねえか」
記事の画像に大きく出てる少女に惹かれて、記事を読み始める。所々に出てくる無駄に複雑な単語の意味を調べながら読んでいくと、こんなことが分かった。
セシリア・オルコットはイギリス出身の少女で現在満十五歳で貴族の出——しかも、他の貴族より上位に位置するイングランド貴族の中でも長い歴史を持つ名門——である。
そんな彼女がどうして若手実業家なんかになったのかと言うと、六年前のあの日——『
若いながらに苦労をしている……昔の自分を思い出して彼女と重ねそうになるが、すぐに止める。
彼女はイギリスの貴族でIS使いなのに対して、オレは日本のヤクザの下っ端だし。重ねるなんてとんでもない。
それにしても、『星が落ちた日』か……それは六年前の第一回『モンドグロッソ』*2が終わってから少し後に起きた、世界規模での大事件を指した言葉だ。
あの時は、何日もの間昼夜問わずに様々なニュースが飛び込んできてたので、つい昨日の出来事の様に覚えている。
ニュースによれば、事件の切っ掛けは、アメリカのとある研究所が行ったあまりにも馬鹿げた実験——『ISコアの連結稼働時のエネルギー発生量の調査』とやらである。
実験では、篠ノ之束製のオリジナルのISコアを五つ連結させて少しずつ出力を上げていったらしいが、ある一定の出力を超えた段階からコアが暴走を始めたらしい。
原因が分からない内に出力は天井知らずに跳ね上がっていき、負荷に耐えきれなくなったコアが割れると同時に行き場を失ったエネルギーが鉄砲水の様に溢れ出したのだという。
結果として、研究所は文字通り
ご精読ありがとうございました
感想、誤字報告よろしくお願いします