Fate/kaleid Apocrypha プリズマ☆イリヤ 作:超高校級の切望
「来たわね。って、どうしたのよその子。なんか放心してない?」
「やはり小学生にはこの時間の活動は辛かったのかもしれない………」
凜がやってきたジークとイリヤの足音に振り返ると、イリヤは心ここにあらずといった様子でジークに抱えられて。お姫様だっこだ。
《いやいやジークさん。イリヤさんは貴方が魔術師だった事に脳の処理が追いついていないんですよ》
「そうだったのか? 驚かせてすまない。イリヤ、起きれるか?」
「はっ!? あ、あれ? ここ、校庭? 何時の間に………」
漸く正気に戻ったイリヤが周囲を見渡し、ジークに抱きかかえられている事に気づき慌てて離れる。その顔は真っ赤に染まっている。
「ご、ごめんなさい。重かったよね」
「そんな事はない。俺は強化魔術を使ってはいたが、それでなくとも羽のように軽かった」
「うぅ……」
ジークには一切他意はない。他意はないからこそ余計気恥ずかしくなり真っ赤になり俯くイリヤ。
「ちょっと待ちなさい。強化魔術? あんた、魔術師だったの?」
と、そんな甘々な空気を醸し出す二人に凜が待ったをかけた。今、ジークは魔術を使用したといった。ならばジークは魔術師という事になり、それだけで子供であろうと警戒対象になる。
「ああ。とはいえ、魔術協会と言うのは昨日知ったのだが」
「…………は?」
「俺は自分が魔術師であり、自分以外にも居ることは知っていたがこの街以外の魔術師に会ったのは貴方が初めてだし、組織だったものだとも思わなかった。てっきりフリーランスの様なものかと」
「………………」
嘘は、なさそうだ。
魔術協会を知らない魔術師? そんなものがいるのか?
可能性としては組織に縛られる事を嫌った魔術師。しかし魔術協会に対して忠言しないとなると………
「………念の為聞くけど、カードに興味はないのよね?」
「ああ、俺はイリヤを守るためだけに、ここに来た」
「……………あんた、よく恥ずかしげもなくそんなこと言えるわね」
「? 友を守りたいと思うことは、恥ずべきことなのか?」
「……………………」
暫くジークを見たあと、ハーと長いため息を吐き出した凜。恐らくだがジークに裏はない。あったら、魔術師と明かすタイミングが早すぎる。
それにこのまま喋らせていたら真っ赤になったイリヤがますます使い物にならなくなる。
「取り敢えず、カード回収に移るわよ」
「は、はい……」
「カードの位置はすでに特定しているわ。校庭のほぼ中央。歪みはそこを中心に観測されてる」
そうは言うが、何も見えず首を傾げるイリヤ。
凜曰く、ここにはあるが
「ルビー」
《はいはーい。それじゃあいっきますよー》
と、凜の言葉にルビーが返答し、3人の足元に魔法陣が浮かび上がる。凜が落ち着いていることと言いタイミングと言い、ルビーが行っているのだろう。
《半径2メートルで反射路形成! 境界回廊一部反転します!》
「えっ……な……何するの!?」
「
言ってから、更に凛は説明を付け足す。
曰く無限に連なる合わせ鏡の像の一つがこの世界だとした場合の、
鏡面界と呼ばれる場所にカードはあるのだと。
4人がいる世界は、グルリと反転する。
同時に、風景が一変する。
驚く、ジークとイリヤ。
基本的な情景は、先ほどまでいた高等部の校舎と変わらない。
だが決定的な違いが視界に映る。
それは、
「な、何、この空…………?」
「空だけではないな。周り全部、何というか、異質な感じが………」
イリヤが戸惑いながら周囲を見回している。ジークは冷静に周りを観察する。
そこは周囲一帯、格子状の光に覆われ、その外側に光が渦巻いているように見える。
「詳しい説明はあと、来るわよ!」
その言葉と同時に校庭の中央から闇が吹き出す。その闇から、ズルリと這い出るように女が現れた。黒衣に身を包んだ、背の高い女。髪も長く、地面に付きそうなほどだ。おそらくは美女なのだろうが顔の上半分を覆う単眼の衣装が施された眼帯が素顔を隠す。
「な、何か出てきたッ! キモッ!!」
「報告通り実体化したわね! 来るわよ、構えなさい!」
凛の忠告どおり女は地面を蹴り疾走する。速い。明らか人間の出せる速度ではなく、強化したジークも置いていくだろう。しかし動きは直線でわかりやすい。
危うげなく回避した凛とジーク。イリヤは少し慌てて回避し、攻撃が回避された女を凛が睨む。
「
凛の言葉に、何時の間にか指の間に収まっていた3つの宝石が輝く。
──爆炎弾・三連!
ドドドンッ! と腹のそこに響く大爆発が起こる。宝石魔術と呼ばれる宝石や鉱石など、魔力を溜めやすい物質を使用した魔術を使用したのだ。
使い捨てな側面とは裏腹に威力も高く、ポピュラーな魔術形態の一つ。
だが、効いている様子はない。
「無傷! やっぱり魔術は無効か………!」
防いだわけではなさそうだ。概念的に、魔術に対する耐性があるように思える。つまりこの場で凛は役立たず。
「じゃ、後は任せたから! 私は建物の影に隠れているわ!」
「ええ、投げっぱなし!?」
「っ! イリヤ!」
凛の潔さにイリヤが突っ込み、しかしジークがすぐに正気に戻す。女が杭のついた鎖で攻撃してきたのだ。
「おひゃあ!? 掠った、今かすったよ!」
《近接戦は危険です! まずは距離を取りましょう!》
「キョリね! そうね、取りましょうキョリ! キョリィィィィィッ!!」
ダッ! と駆け出したイリヤ。彼女は元々足が速いが、それにしたって速すぎる。これもルビーの影響なのだろうか?
「たっ、戦うって本当に戦うことだったんだね! ファンタジーすぎるよアハハハ!」
《落ち着いていきましょうイリヤさん! とにかく距離を取って魔力弾を打ち込むのが基本戦術です! 攻撃のイメージを込めて
「あーもー! どうにでもなれぇぇ!!」
『───!?』
やけくそ気味に放たれた魔力そのものが女に当たる。衝撃に飲まれ吹き飛び、土煙の中に姿を隠す。
「すごッ 何これ!? 滅殺ビーム!?」
「………効いているな」
イリヤが驚く中ジークはやはり冷静に相手を観察する。ジークの言葉通り、先程の爆発にはびくともしなかった相手がダメージを負っていた。
《追撃です。相手は人間じゃないんです。遠慮はむよー!》
「ちょっと殺伐し過ぎな気もするけど、魔法少女っぽくなって来たかも。たー!」
ルビーを振るい、魔力弾が放たれていく。しかし素人ゆえに単調、素早い身のこなしで躱していく女に、ジークは地面に手を置いた。
「
『■■■!?』
と、女の足元の地面が突如爆ぜる。地面に直接かけられた魔術は女に向かい礫を放つがそれ自体はダメージにはならない。だが地面が爆ぜバランスを崩した女にイリヤの放った魔力弾が直撃する。
「何いまの!?」
《錬金術ですね。手で触れた物体の組成を瞬時に解析し、魔力を変質・同調させ、最適な破壊を行う強力な攻撃魔術。いやーはや、それにしても魔術の展開速度、使用距離、足元をきちんと破壊する精密性。素晴らしいですね。魔術回路も一級品………というか、一級品過ぎませんあれ? ま、今はジークさんと協力して攻撃攻撃!》
「え、ええい!」
砲撃が命中しふらつく女。速度は明らかに落ち、それでも回避しようとするがジークの錬金術が足元を破壊しそれも覚束ない。確実にダメージは蓄積されている。
「よっし! このまま!」
『─────!!』
と、凛が勝利を確信した瞬間、女は眼帯を外しその美しい顔を顕にする。
「っ!? え、あ、あれ………?」
《これは、魔眼です! 待っててください、今解除を………!》
ギシリと錆びついたかのようにイリヤの動きが固まる。ルビーがすぐさま見えない拘束を解こうとするが、その前に女が動く。杭をイリヤの眼球目掛けて放つ。
「っ!?」
「させない!」
固まるイリヤ。ジークは全力の身体強化で移動すると杭を弾く。だが、女はイリヤの方を優先して排除するべきと判断したのか腕から血を流すジークに見向きもせず反対に持っていた杭を振るう。
「や──!」
バチリと、弾けるような音がイリヤの鼓膜を震わせ、女は初めてジークを見た。
「──やめろおぉぉぉぉぉぉっ!!」
『■■■■■■■■■ッ!!?』
雷光が、輝く。ジークから放たれた雷が、魔術を無効化するはずの女の体を焼いていく。たまらず距離をとった女は全身から煙を上げながら標的をジークに変えようとして、ジークが倒れた。
「ジ、ジーク君!?」
「馬鹿! 敵から目を離さない!」
『─────!』
そのまま漸く動けるようになったイリヤがジークに駆け寄るも凛が叫ぶ。女は既に攻撃体勢に入り………
「クラスカード『ランサー』。
イリヤとは異なる少女の声が響く。何時の間にか、女の近くに新たな気配が現れる。
「
『!?』
女が気付くが、遅い。朱色の魔槍は放たれる。
「──
心臓を貫かれた女はなおも抵抗しようとしたが、その身は光に溶け消えていく。残されたのは戦車に乗り手綱を握った兵士が描かれたカード。
「『ランサー』
淡々と呟くのはイリヤ達と同世代であろう少女だった。青いレオタードのような衣装に、蝶の羽を連想させるマントを羽織り、髪を後頭部でポニーテールにまとめている。
「だ、誰? っ! それより、ジーク君! しっかりして!」
突然現れた見知らぬ少女に困惑するイリヤだったがはっとジークに駆け寄る。呼吸は浅いが続けている。腕は、ミミズ腫れになっている。一体何が………
「オーッホッホッホッホッ!」
聞こえてきた馬鹿みたいな笑い声を無視して、イリヤはジークの手を己の手で包むのだった。
感想欲しいです
それとアビちゃん引いたので、暫くさらば!
ヒロインは誰?
-
幼馴染ムッツリ属性イリヤ!
-
小悪魔×天然無表情クロ!
-
無表情カップル美遊!
-
全員でハーレム!