Fate/kaleid Apocrypha プリズマ☆イリヤ   作:超高校級の切望

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転校生

 失敗作と言われた。

 絶望する父が喜んでくれる方法が知りたかった。

 ごめんなさい、ごめんなさい………失敗作でごめんない。

 

 直します。ちゃんと直します。だから捨てないで。

 

 

 

 ああ綺麗、綺麗。これは綺麗だ。私にないものだから、きっと綺麗なものなのだろう。

 

──お前は怪物だ! ()()()怪物だ! 

 

 

 

「……………何時もと違う夢」

 

 

 

 

 夜が明け、イリヤはムジーク家の前でウロウロしていた。

 ジークは目を覚ましただろうか? 昨日のあの雷が何かわからない、多分魔術だろう。あれを使って気絶した。使った理由は? そんなもの、自分が役立たずだったからだ。

 正直、魔法少女になれて調子に乗っていた。アニメみたいに敵をバンバン倒せるのだと。しかし実際はジークに助けられ、別の魔法少女にとどめを持って行かれた。

 

「もう全部あの子に任せればいいんじゃないかな」

《そんなこと言って〜。凛さんに怒られますよ?》

「だってぇ………そもそも悪いの喧嘩した凛さん達だし」

《まああの人達がキチンとしてたら、私も泣く泣く我慢してあげましたけどねぇ》

 

 それでも泣く泣くなのか。まあ見た目でイリヤを魔法少女に選ぶようなステッキだし、やはり契約相手の歳を気にするのだろう。

 

「おはようイリヤ、早いな」

「ジーク君!」

 

 と、考え事をしていると扉が開きジークが現れる。

 

「か、体は! 大丈夫なの!?」

「ああ、問題ない。それで、昨日あの後何があったんだ?」

 

 ペタペタ体を触るイリヤを落ち着かせながら尋ねるジークに、イリヤは昨晩、ジークが気絶したあとの出来事を伝える。別の魔法少女が現れ女を倒し、そして彼女はルビーの妹サファイアの現所有者。前所有者であるルヴィアなる魔術師の代行。凛とは犬猿の仲らしく、喧嘩しているうちにトゥールがジークの迎えに来たようだ。

 

「そうか、帰ったらトゥールにも礼を言っておこう。それと、その少女にも」

 

 とはいえ、名も住んでる場所も知らないのでは、また会うのはカードの回収時になりそうだがその時は間違いなく凛とルヴィアが敵対しているわけで………まあ凛を一先ず無視すればいいだろう。

 

「あ〜…………大丈夫じゃないかな。あの子私と歳近そうだったし、このパターンで行くと…」

 

 

 

 

 

「美遊・エーデルフェルトです」

「はーい、みんな仲良くしてあげてねー」

 

 転校生としてくる、と言ったイリヤの言葉通り、転校生として黒髪の美少女がやってきた。ジークはイリヤにすごい、というような視線を送るがイリヤはベタな展開に少し呆れていた。

 

「席は窓際の一番後ろね。イリヤちゃんの後ろのとこ」

「えっ!?」

 

 よりにもよって青い魔法少女、美遊の席はイリヤの後ろ。背後から滅茶苦茶視線を感じた。途轍もない圧だ。視線に物質的な干渉力があったら穴が空いていただろう。

 

 

 

 そして休み時間。案の定、転校生に群がる生徒達。イリヤとジークはそれを離れて観察する。とてもではないが、あれでは話しかけられない。

 

「昨晩のお礼をしたかったのだが……」

「これじゃ話しかけられないね」

 

 転校生で美少女というだけあるなあ、、これもお決まりのパターンだと苦笑いするイリヤ。ジークは純粋に困っていた。と

 

《では、代わりに私がお話を伺いますが?》

「うわ!?」

《あらあらサファイアちゃんも来ていたんですねー》

 

 と、イリヤ達に話しかけてきたのはルビーに似た、六芒星を囲んだ円に蝶ともリボンとも取れる翅を生やしたステッキの上部。誰かに見られる前に慌てて窓際に移動した。

 彼女はサファイア。ルビーと同時に作られた姉妹。

 改めてされた説明によると彼女達カレイドステッキは魔力を無制限に供給し使用者の空想をもとに現実に奇跡を具現化させるという規格外の機能を持つらしい。サファイアもまたルビーと同じく、与えられた任務を果たさず私情で決闘紛いを行うルヴィアに嫌気が差し美遊に乗り換えたらしい。

 

「でも美遊さんも大したものですね〜。初めてなのにいきなり宝具を使うなんて」

「宝具?」

 

 曰く、英雄の武器。

 2週間前から突如として冬木市に現れた異常な魔力(オド)の歪み、そこから発見された製作者、用途不明の構造解析不可能なカード、クラスカードは実在した英雄の力を引き出せることだけは解ったらしい。

 偉業を成し英雄と認められ、神話や昔話に名を連ねる者達は死後『英雄の座』と呼ばれる高次の場所に迎えられ、そうした者達は己の力の象徴たる武装を持っている。

 アーサー王ならエクスカリバー、源頼光なら童子切安綱……

 

「………桃太郎なら、きび団子?」

《そうそうそんな感じです。私達はカードを介して英雄の座にアクセスして、英霊の持つ宝具を一瞬だけ具現化できるんですよ》

《昨夜、美遊様が敵を仕留めたのもそれです。刺し穿つ死棘の槍(ゲイボルク)──放てば確実に心臓を穿つ必殺の槍です》

「光の御子、クー・フーリンか。それともスカアハ?」

「す、スカアハ? クー・フーリン?」

《ケルトの英雄ですよ。クー・フーリン………魔術師としても優れた腕を持つ英雄で、スカアハはスカサハとも……こちらはクー・フーリンの師ですね》

 

 詳しいですね〜と褒めるルビー。ジークは家の書斎に英雄譚や歴史書が沢山あるから、と返す。因みに一番好きなのはとある竜殺しの英雄で、一番親しみが湧いたのはとある騎士だ。

 

「どちらだとしても、なるほどその力の一端を使えるとなると心強い」

《私としては黒化英霊をふっ飛ばした電撃が気になるところですけどね》

 

 その言葉に首を傾げるジーク。なんでも昨晩自分が行ったことらしい。しかし覚えがない。

 

《魔術である以上、普通なら効かないはず。それでも効いたと言うなら彼女の耐魔術を超えるほど強力か…………()()()()()()()()()()()()()()()()()か…》

 

 昨晩の女もまたカードから引き出された英霊の力の一部。もはや英霊そのものと言ってもいい存在だったらしい。本来の姿から変質し、理性も吹っ飛んだ怪物のようなものだが。

 英霊はカードを包むように実体化していて、倒さねば回収不可能。既に回収されたアーチャーとランサーと異なり魔術の効かないライダーには魔術に頼らず魔力を放つカレイドスコープに白羽の矢が立ったらしい。まあ、マスターがあれで現地住民に乗り換えたが。

 

《ジーク様のお力も私達同様魔力を放っている………現状、可能性が高いのはこれですね》

《まーそうなるとなんでそんな力が、ってなりますけどね。ムジーク家……錬金術の名家だと記憶してますがね》

 

 ジークの力はカレイドスコープの二人(?)にも良くわからないという事らしい。

 

《ま、英霊にも通じる力が増えるのはいいことです!》

《協会が感知したカードの反応は全部で7つ。残りは4枚です。私達も全力でサポートしますので、美遊様(マスター)と協力してのカード回収にどうかご協力ください》

 

 姉のルビーと違いサファイアはとてもしっかりしている。彼女に見捨てられるほどのことをするルヴィアとは一体、とジークはまだ見ぬ女性の人間性が少し気になった。

 

「イマイチ自信ないけど、頑張ってみるよ」

《大丈夫ですよ! 私がついてます!》

 

 イリヤはサファイアの言葉にそう返す。ルビーもそんなイリヤを励ますように応えた。

 

《あ、そうそう。ちょっと聞きたいんですがサファイアちゃん、美遊さんのあの苗字って………》

「サファイア、あまり外に出ないで」

「いっ!?」

 

 と、ルビーがサファイアに何かを、問いかけようとしたタイミングで、何時の間に近付いたのか美遊の声がかかる。

 

《申し訳ありませんマスター。イリヤ様達にご挨拶をと思いまして》

「誰かに見られたら面倒。学校ではカバンの中にいて」

 

 美遊はサファイアを回収する。

 

「あ、あ……あの…………!」

「………………」

「すまない、少しいいだろうか」

 

 うまく言葉が出ないイリヤを一瞥して去ろうとするが、ジークに呼び止められる。

 

「昨晩は助かった。俺は気絶してしまったが、君があの英霊を倒してくれたと聞いた」

「…………貴方は、どうして彼処にいたの?」

「イリヤが危険な目に合うかもしれないからだ。一応、サポートは出来ると解った」

 

 チチ、とジークの手に紫電が弾ける。昨日見せた力。使えるようになっている。

 

「…………そう」

 

 美遊はそう言って今度こそ立ち去る。

 

「…………なんというか、あまり表情の変わらない奴だ」

「え、ジーク君がそれ言うの?」

 

 そしてその日、数学、図工、家庭科、体育で美遊は素晴らしい成績を見せた。短距離走なら誰にも負けない自身のあったイリヤはあっさり負け落ち込んだ。

 

「…………?」

「どうした、ジーク?」

「今日はなんだか、身体が軽い」

 

 転校生の完璧超人ぶりの裏で一人の少年が己の体に起きた変化に困惑していることは、たまたま近くにいた一人しか気づかなかった。

 

 

 

 

 

「イリヤはどうしたんだ?」

《ライバル魔法少女にスペックの差を見せつけられて落ち込んでるんです〜》

「……?」

 

 放課後、電柱の前で蹲るイリヤの様子を不思議がるジークと呆れるルビー。ジークはどうすればいいのかオロオロしてる。

 

「………何をしているの?」

「ああ、エーデルフェルト」

 

 そんな二人を見て困惑しながら話しかけてきた美遊。ジークが苗字で呼ぶと、一瞬戸惑うような顔をする。

 

「…………美遊でいい」

「そうか。美遊………見ての通り、イリヤが何かに落ち込んでいてな」

 

 と、二人の会話にイリヤも美遊に気づき慌てて立ち上がる。

 

「こ、これはどうもお恥ずかしいところ。美遊さんにあらせましては今お帰りで?」

「…………なんで敬語?」

《何卑屈になってるんですかイリヤさん! 美遊さんは同じ魔法少女の仲間です。学校の成績は関係ありません!》

「仲間……そっか」

 

 ルビーの言葉にイリヤに少しだけ元気が戻った。

 

「………貴方も、ステッキに巻き込まれてカード回収を?」

「う、うん………成り行き上仕方なくっていうか。騙されて魔法少女にさせられたっていうか…」

「そう」

 

 イリヤは改めて近くで見ると美人だな〜と美遊の顔を眺めた。数秒の静寂。会話が、続かない。

 やがて美遊が静寂を破る。

 

「…………それじゃあ貴方は、どうして戦うの?」

「えっ? どうして………って?」

「ただ巻き込まれただけなんでしょ? 貴方には戦う責任も義務もない」

「だ、だってルビーが!」

「本気で拒否すればルビーだって諦めるはず」

「う………」

 

 なにせ命の危険もあるし現に昨日、美遊が現れなければ危なかった。本気で断れば、ルビーも無理強いはしないだろう。それでもイリヤは戦うことを選んだ。何故?

 

「う、うーん。本当のことを言うとね………ちょっとだけこういうの憧れてたんだ。ほら、これって如何にもアニメとかゲームみたいな状況じゃない?」

「ゲーム……?」

「うん。まほー使って戦うとか、変な空間に居る敵とか………冗談みたいな話だけど、ちょっとワクワクしちゃうっていうか……せっかくだからこのカード回収ゲームも楽しんじゃおうっていうか……」

「もういいよ」

 

 と、美遊はイリヤの言葉を遮り背を向ける。

 

「その程度? そんな理由で戦うの? 遊び半分の気持ちで英霊を打倒できるとでも?」

「え? な、なに……?」

「貴方は?」

 

 と、困惑するイリヤを無視して今度はジークに視線を向ける。

 

「俺が戦う理由は、あんなものがこの街にあっては街が危険にさらされるのと」

「……?」

 

 言葉を区切り、イリヤを見る。イリヤはその視線に首を傾げた。

 

「イリヤのためだ。イリヤの為に、俺は戦う」

「…………そう、かわいそうだね、貴方。肝心な相手が、遊び感覚なんて」

 

 ジークのイリヤの為………というよりは、誰かのためという言葉に美遊の目に僅かな羨望や嫉妬、そして懐かしむような光が覗く。しかしそれも一瞬で消えた。

 

「貴方達は戦わなくていいよ。カードの回収は全部私がやる。せめて、私の邪魔だけはしないで」

 

 と、剣呑な雰囲気で分かれる美遊。

 しかしイリヤからその後来た連絡によるとイリヤの家の前に豪邸が建ち、美遊はそこに引っ越してきたらしく気まずい空気を味わったとか。

ヒロインは誰?

  • 幼馴染ムッツリ属性イリヤ!
  • 小悪魔×天然無表情クロ!
  • 無表情カップル美遊!
  • 全員でハーレム!
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