地底恋愛録   作:あんみつ姫

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 更新するかどうかわからないなら投稿する必要があるのか、ですか?

 せっかく書いたのですから、共有ぐらいしても良いじゃないですか。

 あわよくば、似たような、続きのような作品が出てくれることを祈ります。




彼女との出会い

 

 気が付いたら俺だった。転生したとか憑依したとかそんな覚えはない。けど、生まれた時から俺という自我があり、俺という記憶が備わっていたことは確かだった。悪いと思うことはなく、むしろ嬉しいと感じていた。人生をやり直せると思えたからだ。だからこそ、今の人生は自分らしく生きようと誓った。

 

 

 

 

 

 

 

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 「あー、退屈だな」

 

 

 自分らしく生きると決めてから早15年、期待したような展開はなく、普通な日々を送っていた。友達と一緒に遊び、部活動を頑張り、適度に勉強するの繰り返し。変わらない日常だけどそれは充実していた。好きな子に堂々とアタックしては振られ、それを友人に慰められる。それは大人が望むような子供だけの青春を謳歌している。

 

 

 「でもなぁ。何か違うんだよねー」

 

 

 確かに充実した楽しい時間を過ごしていても、それでも求めるものは違っていた。それは某アニメや某サイトのような展開。魔法のような力を使えるような現代ファンタジーとか、宇宙や海から侵略者が出てくるとか、異世界に呼ばれるとか。

 俺はそれらが起こることを期待していた。だって

 

 

 「俺という存在がいたら、期待してしまうじゃん」

 

 「え、何が?」

 

 「いや、何でもない」

 

 「お前、いい加減にその独り言気を付けろよ?そうやって思ったことをすぐに口に出すからモテないんだぞ」

 

 「うるせぇ、ほっとけ」

 

 

 だが生きてきて15年、実際にそんな事象は一度も起きたことはなかった。だから、今の人生に少し失望をしていた。

 

 

 「はぁ、どっかにフラグが落ちてねぇーかな」

 

 「いやいや、なんで道に旗が落ちてるんだよ」

 

 「例えの話だって。それに意味が違う」

 

 「は?フラグは旗っていう訳で合ってるだろうが」

 

 「それは合ってるけど違う」

 

 「???」

 

 

 それともう一つ。友人との趣味が合わないことも失望している要因なのかもしれない。話し相手がいないっていうのも存外心にくるもんだ。

 

 

 「まぁいいや。それより今日からテスト期間で部活ないし、どっかによってこうぜ」

 

 「おっけー。とりあえず、商店街に行くか」

 

 

 住んでいる地域が田舎ということもあり、行く場所がそういう所しかない。実は商店街は結構良いところだったりする。知っている人とあれやこれやと話し合えたり、買い物をした際にちょっとしたおまけを貰えたりするから。

 

 

 「おー、お前ら。部活はどうした」

 

 「ちはー。今日からテスト期間なんで部活はないです」

 

 「そうかテストか。勉強頑張るんだぞ」

 

 「そうですね。良い点を取れるといいですけど」

 

 部活帰りとかでお世話になっている弁当屋の店主に笑顔で声をかけられた。いつもは弁当を買ってるわけじゃなく、唐揚げとかフライドチキンといった惣菜を中心に買っている。現に、学生はもちろん夕ご飯の一品に惣菜を買いに来る人は少なくない。

 

 

 「今日は何か買ってくか?」

 

 「んー、どうする?」

 

 「そうだな。俺は唐揚げを一パック頼むよ」

 

 「じゃあ俺も、それ下さい」

 

 「あいよ、唐揚げ一個追加しておくぞ」

 

 「「あざーす」」

 

 

 既に出来ていた商品に追加分を入れてもらい、お金と引き換えに受け取る。店を出る時も来る時と同様の笑顔で見送られる。

 そうして俺たちは唐揚げを頬張りながら足を進める。今回はできたてだったようでいつも以上に美味しく感じた。

 

 

 「んじゃ、お疲れ様」

 

 「うい」

 

 

 唐揚げを食べ終え、他愛ない話をしていたら帰り道が分かれる分岐点にまで来た。特にいつもと変わらない挨拶をして一人で家まで歩く。

 

 

 チリーンチリーン

 

 「ん?」

 

 

 ふと気付いて立ち止まり、横にある路地を見てみる。そこには首に鈴をつけた猫がこちらをじっと見つめていた。珍しいこともあるんだなー、と首を傾げながらもまた歩き始める。

 

 

 チリーンチリーン

 

 

 歩き始めるとまたその音が鳴り始める。

 

 

 チリーンチリーン

 

 

 別に気にならなかったが五分経ってもその音は一定の距離を保ちながら聞こえてくる。後ろを振り向くとさっきの猫がついてきていた。

 どうしたんだ?そんな風に思っていると今度は猫が一人でに歩き出す。その後を追うように目で猫を眺めていると急に立ち止まる。一度俺の方を見ると続いて猫が歩いていこうとする方向へ目を向ける。そしてもう一度俺の方を見る。

 

 

 「ついてこいってか?」

 

 

 肯定も否定もなかったが、また猫は歩き出す。それに伴って俺も猫を追いかける。

 

 

 「へぇー、こんな所もあったんだなぁ」

 

 

 歩くこと10分。路地の抜けた先には2mぐらいしかない小さな鳥居と小さな建物があった。

 

 

 「神社なのか?それにしては小さすぎる」

 

 

 何が祀られているのか気になるがお賽銭箱もなく、かといってお寺のようにも思えない。とりあえず、ここで見つけたのも何かの縁。鳥居をくぐり、小さな建物に手を合わせて祈りを捧げる。

 

 祈りを終えると同時に建物の奥からチリーンと音がした。猫の鈴から出ていた音と全く一緒だが神社の裏手に回っても猫がいる気配はない。

 おかしい、と考え込んでいると神社の裏手から伸びているトンネルからまた音が聞こえてくる。

 

 

 「いくしかない・・・か」

 

 

 トンネルの入り口に明かりはなく、夕方ということもあり太陽が沈みかけていることで近寄り難い雰囲気を感じる。

 それでも、不思議と引き返すという選択肢はなかった。何かに誘われるように。木の密に集まる虫のように。

 

 

 人が歩いて通ることだけを目的として作られたトンネルのようで、横幅がかなり狭い。さらにトンネルが曲がっているということもあり、奥の見通しがかなり悪かった。スマホのライト機能を使い、奥へと進んでいく。

 体感90度ぐらい曲がるとトンネルは一直線に続いているようだった。にも関わらず光は一切見えてこない。

 

 

 「まずいか?」

 

 

 流石に怖くなった。元の道を引き返そうと後ろに振り向いた瞬間、耳元で一際大きな鈴の音が聞こえた。

 ビクッと体が反応し、目を一瞬閉じた。

 

 

 「くそ、心霊の類なのかよ」

 

 

 最悪だ、と俺は急いで引き返す。だが

 

 

 「嘘だろ」

 

 

 元の道は途中で行き止まりになっていた。扉で封鎖されいるとかじゃない。元々行き止まりであったかのように壁が作られていた。どうしようもない。右にも左にもましてや後ろにもいけない。

 

 

 「前に進むしかないのか。……って、はぁ!?スマホがないぞ!!」

 

 

 気が付けば手に持っていたはずのスマホが無かった。落とした記憶も音もないはずなのに。

 

 まずいまずいまずいまずいまずいまずい!

 

 そんな思考が膨らみ始める。それと同時におかしい点についても浮かび上がってくる。スマホの光がないというのにトンネルの少し先が薄暗く見えるのだ。初めての不気味な現象に足がすくみ、壁に背を預け固まるしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

================

 

 

 

 

 

 

 

 どれくらい経っただろうか。10分?1時間?。精神的に追い詰めらたが壁に背を預けてからは特に何も起こることはなかった。いつまでこんなことしていてもどうしようもない。

 

 

 

 「くそ、くそが」

 

 

 悪態をつきながら、足元にスマホが落ちていないかを注視しつつ歩く。だが、どこにもスマホは落ちておらず、それどころか小石一つすら転がっていない。

 

 ダメか。そんな諦めの考えが心を満たし、いつしかスマホを探さなくなる。どこまで歩けば出口にたどり着くのか、そんなことが頭の中を駆け巡る。

 

 

 やばいやばい、ここで出口見つけられずに彷徨い続けるのか?

 

 やめろやめろ!考えるな!

 

 

 溢れ出す不安を抑えつける。もしかしたら声に出ていたのかもしれない。もう、限界だった。いくら俺として生まれてもこんな苦しい経験はなかった。なかった分、余計に苦しんでいるのかもしれない。

 

 

 「勘弁してくれよ……」

 

 

 止まらなかった。止められなかった。一度弱音を吐いてしまえばもう止まらない。涙が零れ落ちる。足がおぼつかなくなり、壁に手をつけながらでしか歩けなくなる。それでも、歩くことだけは止めない。立ち止まってしまえばもう歩けなくなるとわかっているからだ。涙を流し、嗚咽しながらも前に進む。

 

 

 

 ふと前を見ると、明かりが見えた。幻覚と疑い涙を拭い、改めて明かりを凝視する。

 

 

 「幻覚、じゃない!」

 

 

 もう無我夢中で走る。走っているのか怪しいが、今出せる全速力で光を目指す。

 そして気が付けばトンネルから出ており、視界が広がっていた。

 

 

 「い、家?いや、館、なのか?」

 

 

 両手を膝につけ、肩で激しく息をする。目の前には見たこともない建物が建っていた。外は夜なのか暗く、かといって星や月明かりは見えない。

 だが、そんなこと関係ない。目の前には人工物がある。それだけで良いんだ。希望が持てるから。

 

 

 「どういうことかしら?なぜここに人が」

 

 

 その声に顔が反射的に上がる。そこには人がいた。

 

 

 「あ、あぁ。あの」

 

 

 目に入れたからだろうか。安心したからなのだろうか。最後まで言葉を伝えることもなく、崩れるように気を失った。

 

 

 「助けて下さい、ですか。」

 

 

 これが彼女、古明地さとりとの出会いだった。

 




 
 あとはよろしくお願いいたします。


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