それでは、ぜひ読んでみてください。
この始まりに祝福を?
「死後の世界へようこそ佐藤和真さん。私はあなたに新たな道を案内する女神、アクア。辛いでしょうが、貴方の人生は終わったのです」
ふと気がつくと、目の前に眼を見張るような美女が座っていた。周りを見渡すと、あたりは暗く、足元は煙なのか雲なのかよく分からないフワフワしたもので埋め尽くされている。あまりにも現実離れした光景を見た俺はすんなりと美女の言葉を……ここが所謂あの世であると受け入れられ、俺は死んだのだと納得できた。
なにせ、死んだ瞬間の記憶を持っているのだから。
あれは、新たに発売されたゲームを目当てに外出し、それを手にした後はゲーム三昧だ、と上機嫌で自宅へと寄り道もせずに帰っていたところだ。
たまたま、信号を渡ろうとしていた女の子に迫る大きな影を見かけ、咄嗟に俺はその子を突き飛ばし、迫りくる衝撃に瞼を閉じた。
そして――
カズマ「すみません。一つだけ聞いても?」
アクア「……どうぞ?」
カズマ「……あの女の子は。…………俺が突き飛ばしたあの女の子は大丈夫ですか?生きていますか?」
これを聞かずにはいられなかった。
自分の命を投げ出したのだから、それが無駄に終わらないでほしいと願うのは間違っているだろうか。だって、これで助かっていないのなら、あまりにも悔しいじゃないか。
アクア「えーと、生きてはいるわよ?足を挫いちゃったみたいだけど。それ以外は何ともないわ」
言いにくそうに伝えられた言葉に俺はホッと息をついた。良かった、俺の死は無駄じゃなかったんだな…コレで安心して逝ける。あ、もう死んでるわ。
アクア「ホッとしてるところ悪いけど、貴方が飛び出なくても彼女死ななかったわよ?」
カズマ「……今なんて言った?」
アクア「だからね、貴方がトラックと勘違いしたのはトラクターよ。スピードもそこまで出てなかったからすぐに止まれたわ、それに死因も心肺停止によるショック死よ。失禁しながら白目剥いて倒れちゃったみたい」
……え?
カズマ「な、なんだよそれ…最悪じゃん、勘違いだった上に漏らしながら死ぬって俺超マヌケじゃん!!?」
アクア「マヌケ?そうかしら?確かにお医者さんとか家族とか死因を聞いて鼻で笑ったみたいだけどトラックに轢かれるのもトラクターで耕されるのも普通に怖いし痛いと思うの、それに貴方は誰かの為にその命を使った事には変わりないわ」
なんだこの女神は、あっ女神か。絶望感に染まった俺のテンションを一気に持ち上げて褒めてくれた、お嫁さんがこんな感じなら俺は総理大臣にだってなれそうだ。
アクア「さてと、それでは本題に入るわ。佐藤和真さん、貴方には三つの選択肢があります…その一、転生し記憶を無くす事で新たな世界で生を謳歌する。その二、魂の終着点である天国で老人の様に日向ぼっこをしたりして心を穏やかに過ごす。その三、剣と魔法の異世界に転生しそこで冒険者として過ごす。あ、魔王がいるけど無理して倒さなくて良いわよ?めっちゃ強くて何人も殺されてるから」
女神様は俺にフランクに選択肢をくれた、素で喋ってるだろうなこれ。さっきの丁寧口調も良かったがこちらもこちらで…おっと、それはそれだ。
さっきの選択だがその一は出来れば遠慮したい、ある程度生きてたら諦められたけど流石に記憶が無くなるのはやだ。その二はあり得ない、絶対にありえない。それってもう地獄じゃん、それだったら生まれ変わった方がまだマシ。となるとその三しかない……てかその三以外選ぶ価値すらない!!
カズマ「はい!三!その三がいいです!!」
アクア「あ、やっぱり?やっぱり夢や子どもっぽさは捨てちゃダメよね、生きるのに必要は無いけどあるととっても楽しいもの!」
そう言うと女神様は一つの分厚い本を魔法陣の真ん中から取り出して俺に渡した、そこには図鑑の様に剣やら盾やらが1ページごとに書かれていた。
アクア「転生者には一つ、たった一つだけ特典としてその本に記された物を貸し与える事になってるの。戦いに特化した武器や才能を生かした能力とかね、でも黒ずんでる部分はもう既に他の人の物だから貸せないから気をつけてね?」
言われてみれば確かに、グラムとかアイギスって書かれたページの絵が黒く塗りつぶされてる…どっちも神話の武具だった様な気がする。
アクア「慌てても意味ないからね、ゆっくり決めなさいな。強力過ぎて逆に足引っ張る場合もあるし。それにそこに記されてる物はあらゆる世界で名を馳せた物を模倣した所謂レプリカだから、あっお煎餅食べる?」
模倣品なんだコレ……ちょっと複雑だなぁ、俺は本物だとテンション上がるタイプなんです。てか煎餅食べ始めたよこの女神、美味いけども。ん?ちょっと待てよ?
カズマ「なぁ、質問なんだけど。ここに書かれてないモノでも特典に選べるのか?例えば人物とか……」
アクア「《バリッ》人物?まあかなりグレーゾーンだけどその世界を滅ぼしたりしない程度ならサーヴァントって存在として使役させられるわよ?でもあんまりチートはダメね」
リスみたいに頬を膨らませた女神の言葉に俺は内心喜ぶ、ならば俺は勝ち組確定だ!
カズマ「ならさ……
アンタは?」
アクア「……ほへ?」
すると上から光が漏れ出し一人の天使が現れる。
天使「承りました。では、今後のアクア様のお仕事は、この私が引き継ぎますので」
カズマ「え?ちょっと待って?質問しただけでまだ選んで無いんだけど?あれ、もう決定事項!?」
アクア「そ、そうよ!それに私は女神よ!?肉体を持って現界するには弱体化しなきゃ行けないの!癒しと補助が専門の私じゃメッチャ苦労するわ!!絶対躓くわ!!」
カズマ「え?そうなの?」
アクア「当たり前田のクラッカーよ!貴方の世界の神話でも完璧な神なんて一人もいないでしょ!?なんだかんだ結構死んだり問題起こしてるでしょ!?」
当たり前田のクラッカーは今日日聴かないな……それに言われてみればゼウスとか色んな女とヤリまくってるし、アポロンもとんでもない事件起こしてるし……
天使「行ってらっしゃいませアクア様。無事魔王を倒された暁には、迎えの者を送ります」
涙目でオロオロしながら、滅茶苦茶に慌てふためくアクア。しかし、代理の天使は、まったく聞く耳を持たなかった。
天使「さあ勇者よ。願わくば、数多の勇者候補達の中から貴方が魔王を打ち倒すことを祈っています。さすれば、神々達からの贈り物としてどんな願いでも叶えて差し上げましょう」
カズマ「あ、そんなのあるんだ……」
アクア「あたしの台詞なんですけど!?そもそもあの世界魔王が沢山いるんですけど!!?モードルナティックなんですけど!!?」
……え?と思った矢先俺達は魔法陣に引っ張られて光に飲まれた。
***
【何処かの森の中】
「何なんだあのイカレポンチは!?ハウリアってあんなバーサーカーをドーピングした存在だっけ!?ただ道を尋ねただけなのに!?」
何処かの映画のタイトルの様な事を言いながら一人の怪人が走っていく、その怪人は全身が白く、コモドドラゴンの様に太い尾を持ち、胸に逆三角形の紫色の水晶を嵌め、大きな三角形の目玉を持った、銀髪のオールバックの怪物という言葉が似合ってしまう怪人だった。
「殺せ!生かしておくな!!」
「今夜は魔王軍幹部の生き血だぁぁぁぁ!!!」
「だから
彼は魔王軍なんちゃって幹部の怪人、魔王にハジメと言う人物を探れと命じられて嫌々やって来たのだが……そこには血に飢えた魔獣、もしくは放射線を浴びたミュータントヴァンパイアと言う言葉が似合いそうなウサギ達が襲いかかって来たのだ。
怪人「バニルの野郎がやたらニヤニヤしてたから絶対ヤバイと予感はしてたがここまでとは思わなかったぞ!!やめてやる幹部なんて!そもそも俺にこの世界を滅ぼす義務なんてねぇよ!!
そう言って怪人は土と水の魔法を唱えて巨大な泥の壁を作り出して木の後ろに隠れる、ハァーーーと深く息をついて一休みしようと座り込むととある罵声が耳に入った。
「出てこいこのデカ目野郎!!」
怪人「・・・あ?」
「ビビってんのか?このデカ目トカゲ!」
怪人「………………ふぅ」
殺戮魔法『ジェノサイド・スラッシャー』
何が大変だったかってフォントを探すのが1番大変でした……
殺戮魔法は上の怪人幹部のオリジナル魔法です、怪人幹部以外使えません。
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