短いっぽい……
やっぱりこういう戦闘を書くのは苦手っぽい……
作戦開始時刻、数分前。
海の前へと来た夕立は他の四人の姿を見つけた。
球磨、卯月、那珂、電。
皆が装備を身に着け、準備を完了させている。
「あれ? 那珂ちゃんと電ちゃんはもう大丈夫っぽい?」
「はい、大丈夫なのです!」
「那珂ちゃんも完璧バッチし!」
あれから、那珂と電は吹っ切れた。
何も大それた理由が必要な訳では無いと分かったのだ。
少しだけ、譲れない何かがあれば、それは戦う理由になる。
「電は皆と一緒に戦いたいのです。電だけがここに残って、その間に戦っているなんて耐えられないのです。夕立ちゃんの受け売りになっちゃうけれど、そんな後悔はしたくないのです!」
「那珂ちゃんはアイドルになりたいんだ! でも、まだレッスン漬けの日々。なら、ここで大戦果を挙げれば訓練生時代から一躍有名になっちゃう! そのためにも深海棲艦をやっつけなくっちゃね!」
死に恐怖しない必要は無い。
それを忘れてしまえば、生き物として大切なものが欠けてしまう。
死地へ行くには死に立ち向かうための勇気さえあれば良い。
揃った五人の艦娘にはそれぞれの想いの力による勇気が備わっていた。
「うーちゃんも二人ならもう大丈夫だと思うぴょん!」
「球磨もそう思うクマ! これだけの人数が揃えば怖いもの無しだクマ!」
「皆、ありがとうっぽい! それじゃあ、改めて作戦を確認するっぽい! 敵の予想位置はこの島から北北東方面に凡そ100キロメートル地点。太平洋に面した四国近畿地方の深海棲艦出現報告はほぼこの方面から来ているっぽい。故に、ここに何かが存在すると仮定し、出撃するっぽい。先ほどまで報告をまとめていたのだけれど、昨日今日とこの周辺での深海棲艦の目撃例は無いことから、敵は戦力が低下している可能性は高いっぽい! 取り逃した潜水艦も存在するはずのため、対潜装備は夕立が装備。旗艦を球磨として出撃するっぽい!」
「クマ!」「ぴょん!」「なのです!」「え、え、え? な、那珂ちゃんだよー!」
クスクスと笑いが零れる。
これくらいリラックスしている方がちょうど良い。
球磨を先頭に、夕立が殿で海へと出ていった。
約二時間弱かかる道中。
敵への警戒は必要だが、ずっと張りつめているのでは疲れてしまう。
それ故に、軽く会話をして緊張の糸を軽くほどきながら、進む。
今のところ、敵は周囲に見当たらず、平和な青が広がっている。
「そういえば、夕立ちゃんは今回は配信しないぴょん?」
「へ? 球磨ちゃんは許可貰っていたけど、皆にはそういう話していないからもし撮られるの嫌な人がいたらと思って撮ってないっぽい。いちおう動画は撮っておいて、編集で見られたくない人は消そうかと思ってるっぽい」
何せ、そこに何かがあればそれを全世界へ伝えることが重要だ。
本当なら確実に、残せるように配信しながらの方が良いかもしれないが、無理に撮影するのは肖像権を害するし、単純に嫌な気分になるだろうからしたくない。
それに撮影しているということで気が散ってしまうこともあるだろうと、撮影のことも最後まで言わないつもりだった。
「うーちゃんは全然気にしないぴょん。それに配信されていた方が兄貴も安心すると思うぴょん!」
状況が分からないのも問題だが、分かるは分かるで胃が擦り減らされるだろう。
卯ノ木提督に今度胃薬を差し入れしようと思った夕立だった。
胃痛の一端を担っていることには目を瞑る。
「電も特には気にしないのです」
「那珂ちゃんもアイドル目指してるんだから! むしろ撮って欲しいくらいだよ!」
球磨は言わずもがな。
ここに顔出しを忌避する人はいなかった。
「そうっぽい? それじゃあ、今のうちに配信開始するっぽい」
そして、海上で増えたメンバーと共に敵本拠地と思しき場所へ向かう道中、唐突に配信は始まった。
あれ? さっき戦ってたのに、また?
最終決戦ってどういうこと?
艦娘がたくさんいる……
もしかしてまた泊地を襲われてる?
告知も無しに始めたばかりだというのに、次々にコメントが現れる。
コメントへの疑問に答えるように、夕立はここまでの経緯をかいつまんで説明した。
『それと、今回はコメントを読んでいる暇は無いし、あくまで記録用っぽい。上手く行けば、深海棲艦への有効打をこの配信で示せるかもしれないっぽい』
ちょっと寂しいけど、妥当
むしろ配信せずに戦いに集中して
深海棲艦の発生源……か……
この娘たち、覚悟決まり過ぎでは?
↑艦娘になると、国を守りたいっていう艦の意思が芽生えるらしい
洗脳かよ、こわ
まあ好き勝手言い合っているんだろうなと思いながらも、周囲を警戒して進む。
不思議なほどに静かで、敵の影は見当たらなかった。
全く敵がいないな
それだけ戦力が集中しているのか、枯渇しているのか
もしかしたら、ここが歴史の転換点なのかもしれない
俺たちのコメントが歴史の教科書に載るのかアツイな
今のうちに有識者っぽいコメントしておこう
チラリとコメントを見たら変な方向へと進んでいた。
恐らくウィキから持ってきた知識を貼り付けている人もいる。
そしてさらに進むこと少しの間。
それは唐突に姿を現した。
巨大なグローブを纏ったかのような手。
頭部はイ級の被り物のようなものをしているが、全体的なシルエットとしては人間に程近い。
グローブの上部には4つもの巨大な砲塔を持つその姿は、これまで相手にしてきたイ級やホ級とは異質な姿に映った。
何より、赤黒いオーラを身に纏ったそれから発せられる圧は他の深海棲艦の比では無かった。
「総員、戦闘態勢だクマ!」
周囲に他の敵艦はいない。
しかし、それを落とすことが出来る姿が全く思い浮かばない。
長い、戦いが始まった。
そろそろ頭空っぽな配信回を書きたくなってきたっぽい
今度から、続きものする時は書ききってから投稿したくなってきたっぽい
でも、たぶん見切り発車で投稿をまた繰り返す気がするっぽい