艦これ世界で配信者   作:井戸ノイア

17 / 22
あまり章まとめとかしたこと無かったから難産だったっぽい……




近海海域攻略作戦 終

 実のところを言えば、夕立と球磨に余裕は全くもって無かった。

 敵に潜水艦が残っていれば、二人では対処しきれない。

 二人分かれて砲撃を行うということは、咄嗟の時にフォローすることが出来ないとも言える。

 

 故に、短期決戦。

 相手に何かをさせる前に撃ち倒す。

 潜水艦が居るならば、それらに有利を取られる前に旗艦たるツ級だけでも落とす。

 その考えの元、連撃を行った。

 

 嫌な予感に従い、魚雷を投擲。

 ツ級はヒトガタだ。

 海面に接している面積は足のみと非常に小さく、魚雷を当てるのは至難の業だ。

 しかし、ツ級は捉えきれない夕立達に痺れを切らしたのか、巨大な腕を海面に下ろし砲を全方位へ向けて放とうとした。

 結果、海面への接地面積が増大し、殆どの魚雷が命中。

 ツ級への大打撃となったのである。

 

 

 煙が晴れた先には未だ赤黒いオーラを纏ったツ級が沈みかけていた。

 

『終わった……っぽい?』

 

 呟いた。

 まだ敵艦が居るかもしれないと警戒は解かない。

 

『やったクマ!?』

 

 やがてツ級は海の中へと沈んでいき、辺りに静寂が戻る。

 ソナーに反応は未だ無い。

 ここで油断してはいけないと、まずは泊地への帰路に付こうと話した。

 

 その際に、配信も終了しておいた。

 暗闇には対応していないのだ。

 途中からはよく分からないことになっていただろう。

 

 そして、ツ級の沈んでいった傍まで近づき完全な撃破を確認。

 帰ろうとした時だった。

 夕立の艤装の中から妖精さんが出てきた。

 

「ゆーだちてーとくは、もっとあれの居たところに近づくのです」

「資源のきらめきを感じるのだー」

 

 突如現れた妖精さんにグイグイと引っ張られ、といっても夕立の肩の上で引っ張るので、力は掛かっていないが、ツ級の沈んで行った位置の真上に立たされた。

 二人の妖精さんは云々唸ったかと思うと、ピカリとその全身を一瞬光らせ、またすぐに戻る。

 資源回収の時と同じような光り方だった。

 

「? 何があったっぽい?」

 

「こ、これは、艦の設計図なのです」

「とくていの艦確定のちけっとなのだ!」

「資源消費せずに、あたらしい艦娘をむかえられるのです!」

「のだ!」

 

「それはすごいっぽい。でも、なるべく早く安全な場所に移動したいっぽいけど、もう大丈夫っぽい?」

 

「大丈夫のだ!」

「です!」

 

 とのことで、夕立と球磨は〇〇島泊地へと帰投した。

 道中で深海棲艦は現れなかった。

 

 


 

 

 さて、それからの顛末になる。

 

 卯月達は卯ノ木提督の元へと帰投していた。

 多少距離は伸びるが、到着までに用意されていた高速修復材のおかげで電は無事に回復したらしい。

 トラウマなどが危惧され、カウンセリングを受けたがそれも問題無し。

 むしろ、油断によって撤退をしてしまったことを悔いているらしく、以前よりも積極的に出撃するようになった。

 今度は最後まで一緒に戦いたいのです。 と電より連絡が入っていた。

 

 例の深海棲艦は大本営より正式に軽巡ツ級と名付けられ、さらに赤黒いオーラは上位個体または、ボス個体になるのではないかと予想がされており、エリート個体と暫定された。

 ツ級から回収した設計図は、現在妖精さんにより艤装に仕立て上げられているが、資源を使わない代わりに少々時間がかかるらしい。

 艦種だけは、重巡洋艦と確定している。

 

 日本初の重巡洋艦の艦娘が現れるとあって、軍は賑わっている。

 

 また、今回の撃破を受けてツ級の居た周辺海域の調査が行われた。

 結果は、深海棲艦の数は僅かに減少しているように見えた。

 深海棲艦のやって来る方角も様々になっており、恐らく別の場所から深海棲艦がやって来るようになったのではないかという推論がされている。

 他にもスイラン島へ向かう道中には艦娘でないと通れないが、深海棲艦の出現が非常に少ないルートが存在したが、そのルートにおいて一種の空白地帯のように一週間ほど出現数がゼロとなっている。

 もうしばらく調査の上、問題が無ければ一般の船も艦娘の護衛の元、スイラン島へと行き来することが出来るようになるだろう。

 

 

 そして、今作戦の功労者たる夕立は、未だに書類の山に埋もれていた。

 

「うぅ、頭痛いっぽい……」

 

 あまりの新情報の多さに、報告書が大量に。

 そして、艦娘であることから、今回の敵の詳細や対潜装備についてもレポートを纏める必要があり、そもそも書類仕事なんてしたことが無いうえに、堅苦しい文章も多く難航していた。

 

 同泊地所属の球磨に手伝って貰おうにも、〇〇島泊地では既に通常運用に戻っており、二隻しかいないこの島で夕立が書類仕事に追われているということは、必然的に球磨は出撃に追われていることになる。

 何より、今回の作戦で大量の資材を消費してしまっていたため、一週間前は火の車であった。

 球磨の頑張りにより、なんとかなる程度には戻ってきているくらいには忙しい。

 

 そんなこんなで慌ただしい日々を送っている二人。

 しかし、二人にとっても朗報はいくつかある。

 第一に、日本初の重巡洋艦がスイラン島泊地所属となること。

 第二に、今作戦の成果と、戦える艦が二人しかいないという現状を顧みて、駆逐艦を一隻スイラン島泊地へ異動させてくれることになったこと。

 第三に、防衛の都合上共にというのは難しかったが、宿毛湾泊地、スイラン島泊地の両提督、艦娘全員に慰安旅行が進呈されることとなった。

 

 日程はズラしてその間の最低限の防衛は両泊地で交代で行う予定となっている。

 そして、宿毛湾泊地は昨日から二泊三日の温泉旅行へ。

 結果、夕立と球磨の忙しさはさらに倍プッシュとなった。

 おかしい。今作戦の褒賞としての慰安旅行のはずなのに、その代償と言わんばかりに仕事が増えている。

 

 

 まあだが、球磨と二人きりの旅行というのは、ちょっとした楽しみだ。

 行き場所は四国内なら、自由に決めて良いそうなので、球磨と話し合ってワイワイしていた。

 仕事が忙しすぎて、それくらいしか出来なかったとも言う。

 ちなみにツイッチーの更新も滞り、一日一回の『ぽい』のみしか稼働していない。

 

 

 この作戦によって深海棲艦が減ったのは事実だ。

 まだ、どの鎮守府、泊地も攻略に乗り出せるような状態では無いが、一つの目標が定まったとも言えるだろう。

 

 人類と深海棲艦の戦いはまだ、始まったばかりだった。




第一章、終了っぽい!

活動報告にて島の名前の募集と
簡易なあとがきを書いたっぽい!

あとがきはどうでも良いけど、島の名前については
良ければ意見を聞かせて欲しいっぽい!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。