久しぶりで書き方変わってるかもしれないっぽい……
卓球終了後、部屋にて。
「そ、そのさっきの対決の罰ゲームだけど、夕立ちゃんが本気で嫌だったらやらなくても良い……と思うクマ。もし、頑張るなら、球磨も映っても良いから……頑張ろうクマ?」
「? 夕立は別に気にしてないっぽい? あ、心配してくれたっぽい? ぽいぽい?」
「ッッッガああああああ! 心配して損したクマ! もう知らないクマ!」
ニヤニヤと笑う夕立と、勝負に勝ったのに顔を真っ赤にして拗ねる球磨が居たとかなんとか。
部屋で深海棲艦を警戒することも無く、ぐっすりと眠った二人。
二日目に目を覚ましたのは、朝の5時前。
どうやら、環境が変わっても習慣は抜けないらしい。
宿らしいちょっと豪華な朝食を食べて、移動して。
球磨の行きたかったところ、夕立の行きたかったところを順に周り、明日には帰還ということも考えて、お土産もチョイス。
楽しい時間はすぐに過ぎ去っていく。
気が付けば日は傾き、予約していた民宿へと訪れる。
山の幸をふんだんに使った、どこか懐かしい食事に舌鼓を打ち、近くにカラオケがあると聞いて、急遽歌配信をしたりした。
お歌期待
期待しないでって言うのは、どっちのことなのか……
旅行が楽しそうで何よりです
音痴では無いけれど、上手いという訳でも無い、なんとも普通な歌が響く。
球磨は苦手では無いけれど、得意という訳でも無く。
夕立は普通の曲なら歌えるのに、高音域が出せることにハマってしまって、電波な曲を多めに入れては舌が回らなかったり、高すぎて歌えなかったりで撃沈している。
「あ、どうも。これサービスなんで良かったらどうぞ」
と、偶然カラオケ店でアルバイトをしていた店員が視聴者で、ちょっとした飲み物を貰ったりもした。
視聴者店員君、羨ましすぎて草
サービス(店員君の自腹)
アルバイトみたいだから、仕方ないね
これがリアルスパチャ
ちなみに店員君はお礼にと、配信後に二人と一緒に写真を一枚撮影した。
この一枚は、店員君の宝物になると同時に、拗らせの原因になったらしい。
さて、遊び倒した旅行も終わりを迎え、基地へと帰ることとなった。
帰り道、宿毛湾泊地へと寄港する。
「卯ノ木提督、通話では既にお伝えしたっぽいけれど、今回の作戦の協力本当に感謝するっぽい! 一度面と向かって伝えたかったっぽい!」
始め、旅行に行く前に伝えようとしたものの、卯ノ木提督は旅行から帰ってきて溜まっていた仕事をこなしている最中だった。
故に邪魔しては悪いと、帰りに会うこととなった。
数日の時間を置いたことで、少しは落ち着いたようだ。
「いちおう感謝は受け取っておくよ。まあ、ほとんど何も出来なかったけれど。今回の功績は夕立君の勇気が踏み出した一歩で得たものだ。礼を言うなら戦いに出てくれた卯月達に伝えてくれ」
「そっちももうたっくさん伝えたっぽい! 皆には逆に戦いに送り出してくれた卯ノ木提督にお礼をって言われたっぽい。だから、お礼じゃないけれど、お土産を渡しておくっぽい! あ、卯ノ木提督用に胃薬も入ってるっぽい」
「ははは、もうすぐ切れそうだったから助かる……助かるよ。まあ、この心労も今後、多少は改善されそうだけどな」
「うーん、むしろ増える一方な気もするけれど、まあ触れないでおくっぽい」
「そうしてくれ。あまり考えないようにしたいんだ」
それじゃあ、また何かあったらと、持ちつ持たれつの約束をして卯ノ木提督と別れた。
球磨ちゃんは前回会えなかった宿毛湾泊地の残りの二人の艦娘に挨拶をしてくると言っていた。
確か工廠の方にいると言っていたが。
そちらへ向かって歩いて行けば、特徴的なあのクマ! という語尾が聞こえてきた。
間違いは無いらしい。
「……で、夕立ちゃんはこう言ったんだクマ!」
「誰が何を言ったっぽい?」
「ひゃわ、夕立ちゃん!? 卯ノ木提督とはもう良いんだクマ?」
「恙無く終わったっぽい! そちらのお二人は?」
「紹介するクマ! 朝潮型の霞ちゃんと陽炎型の陽炎ちゃんだクマ!」
言われてみれば、前世で見た姿を思い出すような?
何十年も前のことのうえ、ゲーム上と現実では差異が大きくて、すぐには合致しなかった。
まあ、ここは現実。そんなことはどうでも良い。
「私はスイラン島泊地の提督兼、艦娘の夕立っぽい! よろしくっぽい!」
「ふーん、実際に見るとあんなことをした人とは思えないわね。私は霞、よろしく」
「ちょっと霞! 初対面で失礼でしょ! あ、陽炎型駆逐艦の一番艦、陽炎よ! よろしくね」
「あんなこと? ぽい?」
「そりゃ、世界中で有名なうえに今回の功績でさらに注目されてるでしょう? 私にはそんなこと出来ないって思っただけよ。あの時も、私はただ無事に戻ってくるのを祈って待つことしか出来なかった……」
「それは違うクマ」
霞の言葉を球磨が途中で遮った。
でも、私も同じ気持ちだ。
「私たちの泊地と違って、宿毛湾泊地ではあの時、たくさんの人が働いていっぽい。だから、戦える人が残る必要があったっぽい」
「そんなに自分を卑下しないで大丈夫クマ! 球磨達のスイラン島泊地が誰もいなくておかしかっただけクマ!」
「ぽいぽい。卯ノ木提督も霞と陽炎がいたからこそ、3人も増援として送ってくれたっぽい。それは、2人になら泊地の防衛を任せられると思ったからだと思うっぽい! 少なくとも私ならそうでなきゃ、送れないっぽい!」
あれだけ派手な戦いをしてしまったから、霞には共に戦うことが出来なかった後悔があるのかもしれない。
でも、卯月達が泊地を気にせずに戦えたのは2人のおかげだろう。
決して卑下するようなことでは無いはずだ。
「ほら霞、私の言った通りじゃない。私たちには私たちにしか出来ないことがあるって。泊地の防衛も立派な任務よ!」
「ふふっ、球磨と夕立ならまだしも、貴女が言ったら台無しじゃない。でもまあ、皆にそう言って貰えるなら気が楽だわ」
霞は挑戦的な笑みを浮かべてそう言った。
余計なお世話だったのかもしれない。
後悔はしつつも、既に前に向かって走り出していたようだ。
もし次があれば、彼女は確実に同じ舞台に立つことになるだろう。そう予期させる良い笑顔だった。
「大丈夫そうで、安心したクマ! それしても、2人とも羨ましいクマー」
「ああ、そう言えばちょっとだけ羨ましいっぽい」
「? 何のことよ」
首を傾げる陽炎に私たちは口を揃えてこう言った。
「変な語尾が無いことっぽい(クマ)!」
「今でこそ慣れてしまったけれど、クマって何クマ! 球磨だからって安直過ぎる語尾が最初は気になって仕方がなかったんだクマ!」
「球磨ちゃんはまだ由来が分かるからマシっぽい! ぽいって何っぽい!? 意味分からないっぽい!」
「あ、それちょっと分かるわ。霞になってからというものの、語尾は無くても口調がちょっとキツいものになったのよね。別に怒ってる訳でも無いのに、勘違いされたり」
女三人寄れば姦しいと言うように。
唐突に始まった愚痴は、留まるところを知らなかった。
「あれ? もしかして、特に何も変わっていないのは私だけ?」
若干の疎外感を感じる陽炎を他所に、会話は盛り上がっていった。
そうしている内に日は傾き始め、夕立達はスイラン島へと帰る時間となっていた。
数日しか離れていないはずなのに、あの人のいない島が何だか懐かしい。
戻った時には人も増え始めて、少しは賑やかになっているのだろうか。
艤装を装備し、ついでにと物資を載せた船の護衛をしながら島へ航行を始めた。
ふと、後ろを振り向くと陽炎と霞、そして卯ノ木提督が見送りに出てきてくれていた。
手を振り返して島へと帰る。
今までは二人しかいない、見送りも出迎えもあまり出来なかった寂しい島だった。
けれど、これからは人が増える。
この光景を何度も見ることが、作り出すことが出来るだろう。
今後への期待に胸を膨らませ、残り僅かとなった島への道を進むのだった。
次回から第二章っぽい!