Vの者!~挨拶はこんばん山月!~   作:サニキ リオ

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今回はどうしても歌ってほしい曲があったため、歌詞は載せずに表現と曲名だけでなんとかしております。
あらかじめご了承ください。


【歌枠】袁傪達と共に臆病な自尊心と尊大な羞恥心を捨てる配信

 レオはタイトルを〝【歌枠】袁傪達と共に臆病な自尊心と尊大な羞恥心を捨てる配信〟というタイトルにして生配信を予約した。

 さんざん嫌っていた山月記ネタを前面に押し出したタイトルに視聴者は期待に胸を膨らませ、配信前だというのに一万人以上の人間が待機していた。

 そして、デビューからは九日しか経っていないというのに、レオのチャンネルは収益化していた。にじライブ内で夢美に続いて二番目に早い収益化である。

 

「あー、あー……音大丈夫かな?」

 

[きちゃ!]

[この日のために俺は有給を使った ¥2,000円]

[待機時からスパチャ飛び交ってて草]

[これは期待]

 

 レオの声が聞こえ始めたことで、視聴者は一気に盛り上がる。

 自分の声がきちんと届いていることを確認したレオは、待機画面を解除していつもの配信画面を出した。

 

「俺の声、聞こえてますか?」

 

[その声は、我が友、李徴子ではないか?]

[その声は、我が友、李徴子ではないか?]

[その声は、我が友、李徴子ではないか?]

[その声は、我が友、李徴子ではないか?]

[その声は、我が友、李徴子ではないか?]

 

 コメント欄には山月記の袁傪の有名なセリフが大量に流れる。

 それは視聴者からの最高のパスだった。

 

「如何にも自分はバーチャル隴西の李徴である」

 

 芝居がかった口調でレオは視聴者の期待に応えた。

 

[キタ――――!]

[出たバーチャル隴西www]

[おっ、ついに吹っ切れたか]

[山月記ネタ解禁の瞬間]

 

 息を思いっきり吸い込み、声のトーンを高めにすることを意識して、レオは初めてライバーらしい挨拶を口にした。

 

「はい、というわけで袁傪のみなさん、こんばん山月! バーチャル隴西の李徴こと獅子島レオです!」

 

[おおおおおおおお!]

[初めてまともな挨拶が聞けた!]

[顧客が本当に求めていたもの]

[こんばん山月!]

[こんばん山月!]

[こんばん山月!]

 

 コメント欄には待ち望んだ挨拶に狂喜乱舞し、こんばん山月が大量に流れ始めた。

 

「いやぁ、みなさん。ご心配をおかけしてしまい申し訳ございません! みなさんの応援もあり、無事収益化しました!」

 

[おめでとう! ¥10,000円]

[レオ君に赤スパ投げられる日が来るなんて ¥10,000円]

 

「いや、そこ赤スパじゃなくてもいいからな!? みんなマジで無理しないで!」

 

[相変わらずの聖獣で安心した]

[心配してくれてありがとう! ¥10,000円]

 

「だから赤スパは待ってくれよ! まだ挨拶しかしてないから!」

 

[その挨拶に価値があるんだよなぁ ¥3,000円]

[挨拶助かる ¥5,000円]

[こんばん山月代 ¥7,000円]

 

 さすがに高額のスーパーチャットが飛び交い始めたことで、レオも冷や汗をかき始める。

 気持ちは嬉しいが、視聴者に無理をしてほしくないレオとしては、いったんスーパーチャットを投げる流れは止めたかったのだ。

 

「働いている人はともかく、自分で稼いだお金じゃない人はきちんと稼いでから投げなさい」

 

[はーい!]

[了解!]

[スパチャピタリと止まって草]

 

 いったんコメント欄も落ち着いたので、レオは歌う前に必要な話をすることにした。

 

「まず、ハッシュタグについてですが、なあなあにしててごめん! 今後、配信タグは〝#バーチャル山月記〟ファンアートは〝#李徴の詩集〟でお願いします!」

 

[草]

[一気に吹っ切れたなwww]

[ファンアートなのに詩集なのか(困惑)]

 

「あとみんなのことは〝袁傪〟って呼ぶから」

 

[ついに俺らにも名前が!]

[泣いた]

[俺が、俺達が袁傪だ!]

 

 必要事項を述べたレオはさっそく夢美に通話を繋げる。夢美もすぐに通話を繋げてレオの言葉を待った。

 

「そして――本日はコラボ配信になります! ゲストの袁傪、挨拶よろしく!」

「誰が袁傪じゃい! こんゆみー! 茨木夢美でぇす!」

 

[この世の袁傪全員が待ち望んだコラボ]

[袁傪多すぎて草]

[袁傪のほとんどは妖精なんだよなぁ]

[袁傪は妖精だった……?]

 

 視聴者改め袁傪達はレオと共に山月記ネタを楽しめることに歓喜していた。

 

「というわけで、今日は幼馴染である夢美に協力してもらい、臆病な自尊心と尊大な羞恥心を捨てるためにいろいろ歌っていきます!」

 

[もう草]

[この配信始めてる時点で臆病な自尊心も尊大な羞恥心も捨てられてる気がする]

[炎上騒ぎから二日でこれか]

[とっくに鎮火済みなんだよなぁ]

 

[竹取かぐや:待 っ て た ¥30,000円]

 

[バンチョーだ!]

[バンチョーもよう見とる]

[新たな舎弟を見つけた目をしてる]

 

 今日の配信内容を軽く説明したところで、先輩ライバーであるかぐやがコメント欄に現れた――三万円という高額のスーパーチャットを投げながら。

 

「レオ、バンチョー来てるって!」

「はえ……? かぐや、先輩……三、万?」

 

[今までで一番間抜けな声出てて草]

[レオ君、可愛い]

[これは清楚]

 

[竹取かぐや:あんたの歌を聞かせてくれや]

 

[何故だろう、応援してるだけなんだろうけど圧を感じる]

[怖優しいという新感覚]

 

 自分がライバーになるきっかけでもあるかぐやが来たことによって、レオの興奮は最高潮まで達していた。

 無限に浮かんでくるかぐやへの言葉を深呼吸でかき消すと、レオは今彼女へ伝えるべき言葉を選んだ。

 

「かぐや先輩、ありがとうございます! 思う存分歌わせていただきます!」

 

[竹取かぐや:ええ子や^^]

 

[これにはバンチョーもニッコリ]

[だから怖いって]

[【速報】獅子島レオ、バンチョーの舎弟になる]

 

 そこで、夢美があることに気がつく。

 

「てか、あんた昔から舎弟じゃなかったっけ?」

「あー、二年前のクリスマスくらいから舎弟だったかな?」

 

 舎弟というのは、かぐやの視聴者の呼び方だ。バイト仲間に勧められてかぐやにハマったレオは月額料金の発生するメンバーシップにも入って、スパチャも投げる重度の舎弟だった。

 

「じゃあ今度JKコンビの番組に二人で招待してもらおうぜ」

「それはお前がまひる先輩と絡みたいだけだろ」

「何故バレたし」

 

[欲望駄々洩れで草]

[ナチュラルに自分達がセットでゲストになることを提案する女]

 

 それから一通りコメント欄が盛り上がったところで、レオは炎上騒ぎについて話すことにした。

 

「まあ、夢美も揃ったことですし、みなさんも気になっているあの話題について触れていこうかと思います」

「本っ当に迷惑かけてごめんなさい!」

 

[二人は悪くないだろ]

[強いて言うなら酒癖が悪い]

[それはバラギが悪いのでは……?]

 

 ひとまず、レオは今回の事のあらましを話し始めた。

 

「まず、今回の原因は俺が伸び悩んでいて、それを夢美が心配していたことがきっかけでした」

 

 レオの言葉を引き継ぐ様に、次は夢美が話し出す。

 

「そんな状況で事務所からファン層がズレてきてるから、あんまり二人で絡まないようにっていう方針に変わって不満がちょっと、ね」

 

 バツが悪そうに夢美はあらかじめ諸星から許可を取っていた内容を話す。

 

「慣れていない日本酒を飲んで酔ってたとはいえ、ライバーの見せていい姿じゃなかったなって反省はしてる。レオもごめん」

「俺としては、自分の殻を破るきっかけをくれたわけだし、夢美には感謝しているんだよ。むしろ、何も知らない奴が『バラギがレオ君をバカにしてる!』って騒いでいる方が腹立たしいくらいだった。まあ、俺達の関係知らなかったら誤解するのも無理はないんだけど」

「ホントごめん! レオ相手だと『このくらいやっても大丈夫でしょ』って感じで甘えちゃうんだよねぇ」

 

[要するにただのてぇてぇってことか]

[超簡潔にまとめられてて草]

[まあ、炎上も結果的には収益化と登録者爆増に繋がったしな]

[結果オーライだね]

 

 そんな中、炎上がプラスに働いて良かったというコメントを見つけたレオは、はっきりと自分の思っていることを告げた。

 

「正直なところ複雑な気持ちもあるよ。炎上しなきゃここまで伸びなかったって言われても言い返せないと思う。だけど、今回のことで事務所側には迷惑をかけたし、炎上して良かったなんて口が裂けても言えないし、言いたくもない。それだけはわかってほしい」

「あたしも配信での飲酒は今後控えるね。事務所からはレオが傍にいる場合のみ飲んでいいって言われたけど」

 

[ぐう聖]

[さすがにじライブの聖獣]

[レオ君、介護要員扱いされてて草]

[レオ君とオフコラボすればお酒飲むってマ?]

 

 一通り、炎上についても話せたレオはさっそく歌枠の方を始めることにした。

 

「では、歌枠の方はじめさせていただきます。今回歌うのは〝俺が選んだ曲〟〝夢美が選んだ曲〟〝袁傪のみんなが選んだ曲〟の順番で歌っていきたいと思います。一応音源は事前にリクエストが来ていた曲をマネさんがかき集めてくれたので大丈夫です。あと今からでも気にせずどんどんリクエストしてください! 最悪音源なくてもアカペラで歌うので遠慮はしないでな!」

 

[強い(確信)]

[最悪アカペラで歌うはやばいwww]

[この李徴、臆病な自尊心と尊大な羞恥心など既に捨ててやがる!]

 

 すっかり歌に関して自信を取り戻したレオはある意味無敵だった。

 そんな自信満々のレオの姿に袁傪達も大いに沸いていた。

 

「ちなみに、今回の企画にあたって夢美を呼んだ理由は単純です。こいつも一緒に歌ってもらいます」

「えっ、聞いてないんだけど!?」

「うん、言ってないからな」

「ハメられた!」

 

[草]

[バラギには辛辣なレオ君すこ]

 

「俺は突発的な電話凸でも歌ったけど、夢美はどうする?」

「それ言われたら何も言い返せねぇよ、ちくしょう!」

 

[よくやった ¥5,000円]

[バラ虐助かる]

[これは上質なバラ虐]

 

 レオと夢美の軽快なやりとりは袁傪達に大好評である。

 ある意味、当初のマネージャー陣の思い描いていた光景がようやく実現したとも言えるだろう。

 

「じゃあ、最初はこの曲からいきます!」

 

 そう言うと、レオは意気揚々と飯田に用意してもらった音源を流し始めた。

 

「ちょ!?」

 

 イントロで何の曲を歌うか理解した夢美は驚きのあまり声を上げた。

 

「く~すぶってた、胸に投げ入れろFIRE!!♪」

 

[選曲で草]

[炎上したコラボ相手の前でFIRE!!を歌う勇気]

[一気に吹っ切れすぎだろwww]

 

 レオが歌ったのは、彼が幼い頃に日曜日の朝に見ていたアニメのオープニングだ。

 

[ゴミ箱を~♪ 飛びこ~えた♪ 先に~あるみ~らい♪]

 

[歌唱力の化け物]

[切り抜く以外あり得ない]

[これぞ百獣の王]

 

 最初はふざけて選曲したのかと思っていた袁傪達だったが、レオが本気で歌っていたことと、歌詞の内容から真面目に選曲したことを理解しはじめていた。

 

「走り続けるんだ♪ 君を連れて~♪」

 

[連れてって!]

[連れてって!]

[連れてって!]

[ネタかと思ったらガチだった]

[選曲天才か~?]

 

「ありがとうございました!」

「……ここまで見事に歌われると何も言えねぇ」

 

[なんだコレ神か]

[これは元アイドル]

[現役でも全然通用するレベル]

 

 掴みは完璧だった。

 レオはネタすらも笑いではなく、感動に変えるほどの歌唱力を持っていた。

 それを躊躇うことなく行使できるようになった以上、レオは無敵だった。

 

「次は夢美のリクエストを歌おうと思います。夢美からマネージャー経由で連絡してもらっているので、何を歌うかは俺も知りません」

「覚悟しろよ」

 

[無茶ぶりの予感]

[絶対歌いづらい曲選曲してるぞ]

 

「オラァ! 女声で歌って見やがれ!」

 

[これは酷い無茶ぶりwww]

[まさかレオ君、女声もいけるん?]

 

 夢美が選曲したのは、一昔前に少女漫画のドラマ化の際に流行った曲だ。

 レオも事務所の先輩がドラマに出演していることもあり、その曲は知っていた。

 

「おっ、この曲かー」

[余裕で草]

[まあ、レオ君なら問題ないはず]

 

「ドラマの花男見てたから好きなんだよな、この曲」

 

[世代がバレるぞ]

[そして、レオ君の世代がバレれば芋づる式にバラギの世代もバレる]

[一蓮托生なんだよなぁ]

 

 一時的にマイクをミュートにして軽くチューニングをしたレオは、自分の中でもかなり高音の声を出して歌い出した。

 

「ゆ~うづくよ~♪ 顔出す、消えて~く、こ~どもの声♪」

 

[ファッ!?]

[えっ、この声レオ君なの!?]

[マジで!?]

 

 売れなくなった頃、数々の無茶な企画の一つとして、女装してバレずに歌いきるという企画をテレビでやらされたレオにとって、女声で歌うくらい朝飯前だった。

 

「行きた~いよ~♪ 君のところへ~♪ 今す~ぐ、駆けだして行きたいよ~♪」

「あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛……い゛い゛!」

 

[異物混入で草]

[返り討ちにあってるwww]

[バラギうるせぇw]

 

 結局レオの歌に感動した夢美はいつものように濁った叫び声を挙げてしまっていた。

 

「泣きたい~よ♪ 届かない想いをこ~のそ~らに~♪ ……というわけで、〝プラネタリウム〟でした!」

 

[花よりライオン]

[選曲が俺達に刺さる]

[これはメスライオン]

 

 すっかりレオの女声の虜になった袁傪達は、この後レオが女声で歌う度に切り抜きを作り、その動画の再生数も伸びるという事態に発展するのだが、それはまた別の話だ。

 自分の歌いたい曲、夢美の歌ってほしい曲を歌ったレオは、次に袁傪達からのリクエスト曲を歌うことにした。

 

「次はリクエストをいただいた曲を歌います。おっ、男女のデュエットだ」

「うっ、ついにあたしの出番か……」

 

 ついに回ってきた自分の出番に夢美は顔を顰めた。

 夢美にとって配信上で歌うのはこれが初めてだ。

 歌唱力の塊のようなレオと一緒に歌うということもあって、夢美は気後れしていた。

 

「大丈夫大丈夫、悔しいけどお前歌ってるときは可愛いから」

「悔しいは余計じゃい!」

 

[何気に初歌のバラギ]

[悔しいけど可愛いは草]

[お歌楽しみ!]

 

 レオは数々の映画賞を総ナメにした有名映画の挿入歌〝とびら開けて〟の音源を流した。

 台詞のように二人の掛け合いが多く入る楽曲のため、U-tubeにも男女の組み合わせでこの楽曲を歌うユーチューバーは多かった。

 

「~~♪ ~~~♪」

「~~~♪ ~~♪」

 

[カップル御用達の曲やん]

[てか、バラギも結構うまくね?]

 

「「―、―――――!」」

 

[揃うところのタイミング完璧すぎてヤバイ]

[この二人、ミュージカルとかもいける口か]

[見た目は美女と野獣だけどな]

[なお中身は逆な模様]

 

 そして曲も終盤になり、レオはおかしなこと言ってもいい、という台詞の後にアレンジを加えた。

 

「――昨日食べたカップ焼きそばのゴミ片付けた?」

「ね゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!」

 

[これは酷い]

[本当におかしなこと言ってて草]

[汚部屋なのバラされたwww]

 

 ちょっとした冗談を交えたことで、袁傪達は画面の向こうで笑い転げていた。当然、これにより後に〝【悲報】バラギ汚部屋で暮らしていた〟という切り抜き動画が作られることになるのであった。

 

「そこは『僕と結婚してくれ!』って、言うとこでしょうが!」

「うーん、何か嫌だったから変えたわ」

 

[結婚拒否られてて草]

[残当]

[王子に逃げられるプリンセスがいるらしい]

 

 それからレオと夢美は袁傪達のリクエスト曲を歌い続けた。レオ単体で歌うものもあれば、二人で歌うことをリクエストした曲もあった。

 そして、最後の曲を歌い終えたとき、コメント欄は〝アンコール!〟という文字で溢れかえっていた。

 

[アンコール!]

[アンコール!]

[アンコール!]

 

「アンコールだってさ、どうするよ夢美?」

「いや、チャンネル主お前ぞ」

「そうだった。じゃあ、アレいくか!」

「りょ!」

 

 アンコールの予定はなかったが、これは生配信だ。

 自分の裁量でいくらでも時間を変えられる以上、レオはアンコールに応える気満々だった。

 

「君の声一つで~♪ こんなにも変われるって~♪」

 

[ハニワだ!]

[これ好き!]

[選曲がさっきから神]

 

 アンコールに選んだのはレオも夢美も好きなアーティストの曲。幼馴染みの恋愛模様を歌ったこの曲は、まさに二人にピッタリな曲だった。

 

「ど~んな辛い時も~♪ 笑顔にさせてやるって~♪ やっぱり君は、笑顔が似合うって事だよ♪」

「そ~んなのわ~かってる♪ 強がりの言葉だった~♪ 本当はあ~りがとう、伝えたかったごめんね♪ い~じ張ってご~めんね♪」

 

[バラギの霊圧が消えた……?]

[これは夢美ちゃん? いや、茨木さんだ]

[歌詞がぴったり過ぎててぇてぇ]

 

 そして、夢美の透き通るような歌声に、妖精兼袁傪達は感動するよりも困惑していた。

 

「い~しきしちゃ~った♪」

 

[うおおおおおおおお!]

[やべぇ!]

[夢美ちゃん、久しぶり ¥10,000円]

[あ゛(尊死)]

 

 アンコールの曲を歌い終えた二人は、最後に締めの挨拶をして配信を終えることにした。

 

「というわけで、みなさん――」

「「ご清聴ありがとうございました! おつ山月!」」

 

 まるで初めからしていたかのように自然に〝おつ山月〟と言ったレオは配信終了画面を表示した。

 

[息ぴったりやん]

[かつてVの男女でのコラボでここまでてぇてぇ配信があっただろうか]

[おつ山月!]

[おつ山月!]

[おつ山月!]

 

 こうしてレオの初めての歌配信は大盛況のまま幕を閉じた。

 コラボ配信は既に下火となっていた炎上の話題をかき消すレベルで話題となり、〝バラレオてぇてぇ〟という単語が日本のトレンド一位を飾ることになるのであった。




これでひとまず一区切りは尽きましたが、次回にエピローグ的なものを挟んで次から新章突入です!

レオ&夢美「面白いと思った方はお気に入り登録、高評価お願いしまーす!」

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