Vの者!~挨拶はこんばん山月!~   作:サニキ リオ

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【レオレイ】実は気が合う二人

 三期生の三人と四期生である御三家の三人は事あるごとにコラボを行い、最近ではプライベートでも遊びに行くほど仲良くなっていた。

 

「で、何で私と司馬さんがカラオケにいるんでしょう?」

「俺にもわからない……」

 

 仲良くなったとはいえ、集団の中で繋がりの薄い人間というものはいるものである。

 比較的お互いに仲が良いこの六人の中で一番交流が薄いのが、レオとレインだったのだ。

 

「由美子と翔子、優菜と相葉さんが遊びに行ったからって俺達も遊びにいく必要はなかったんじゃないか?」

「えっ、いや、でも、それだと私と司馬さんの仲が悪いのに、それぞれ遊びに行っちゃって申し訳ないって思いを他のみんながすることに――」

「ならないだろ……」

 

 人間関係に対してネガティブな思考を持つレインにレオは苦笑する。

 

「別に無理して遊びに行くこともないとは思うけど、せっかくだし楽しもうか」

「は、はい!」

 

 こりゃ打ち解けるには時間がかかるな。

 レオはレインに聞こえないように、静かにため息をついた。

 

「日和ちゃんはカラオケはよく来るのか?」

「ヒトカラならたまに行きますね」

「翔子とはいかないのか?」

 

 つばさは歌うのが大好きなため、カラオケに一緒に行っていてもおかしくない。

 そんなレオの考えをレインは苦笑しながら否定した。

 

「あー、翔子ちゃんって一人で歌いたいタイプなんで、行くとしたら相葉ちゃんとなんですけど、二人でカラオケってあんまりいかないんですよね」

「魔王軍時代もそんな感じだったのか?」

「はい、基本的に私は相葉ちゃんとつるんでましたし、いろいろと余裕もなかったので……」

「そっか、大変だったもんな」

 

 レオは魔王軍時代にレインが一番精神的に疲弊していたことを思い出した。

 気弱で人付き合いが苦手なレインにとって、パワハラの横行するバーチャルリンクでの日々が過酷だったことは想像に難くない。

 

「あの、司馬さん。本当にありがとうございました」

 

 レインは真剣な表情を浮かべると、改めてレオに深々と頭を下げた。

 

「いや、俺は日和ちゃんには何もしてないよ。どっちかっていうと、優菜のおかげだろ」

「それでも、です。司馬さんだって私達のために奔走してくださったことに変わりはないので」

「何だ、言いたいことちゃんと言えるじゃん」

 

 レオは優しく笑うと、日和の頭を優しく撫でた。

 

「な、何か司馬さんってお兄ちゃんみたいですね」

「そうか? 実際には妹いないからよくわからないな」

 

 つばさはイラストレーターが同じという繋がりで兄妹としてやっているが、実際にレオに妹はいない。

 末っ子だったこともあり、兄のようだと言われてもピンとこなかったのだ。

 

「翔子ちゃんが本当のお兄ちゃんみたいに懐いてるのが、わかった気がします」

「おいおい、日和ちゃんには兄貴がいるんだろ? そんなこと言うと本当の兄貴が泣くぞ」

「あはは、大丈夫ですよ。私のお兄ちゃんは結構ドライですから」

 

 レインの告げた言葉にレオは怪訝な表情を浮かべる。

 

「そうなのか? 思い出話聞いてる感じだと優しい兄貴だと思うけど」

「昔はそんな感じでしたけど、今はたまにゲームのことでRINEしてくるくらいですよ。結婚してからは奥さんにぞっこんですし」

「俺も姉さんとはそんな感じだな。でもまあ、普通にゲームの話してる時点で仲は良いとは思うけどな」

 

 レオもレインも共に弟、妹という立場だった。

 意外な共通点があったことで二人の会話は盛り上がり始める。

 

「確かにお兄ちゃんって下手に干渉してこないので、居心地はいいですね」

「それな。一番距離感を理解してる友人って感じで接しやすいよな」

「趣味も大体被ること多いですもんね。私の好きなゲームって大体お兄ちゃんが好きなゲームでしたし」

「あー、わかる。俺も趣味って結構姉さんの影響のもの多いからな」

「上の兄弟いるとそうなりますよね! それに兄弟だと別のバージョンのソフトで買ってもらえるし、通信ケーブルもあるから最高ですよね!」

「わかる! 通信進化とか気軽に出来たよな!」

「図鑑埋めとかも楽でしたし!」

「あと、通信ケーブル持ってるからクラスで最強の奴扱いだったよな!」

「それはちょっとわからないです……」

「あっ、ごめん」

 

 意外なことにレオとレインは好きなゲームがかぶりがちだった。

 お互い兄弟の影響を受けたこともあり、実はこの二人には共通点が多かった。

 

「そういえば、私達ってお互いに幼馴染持ちのライバーって共通点もありましたね」

「言われてみればそうだな」

 

 そして、この二人の最大の共通点はお互いに幼馴染が同じ事務所のライバーという点だろう。

 レオには夢美が、レインにはリーフェが。

 なかなかない関係性ではあるが、にじライブにはその組み合わせが二組もいたのだ。

 

「相葉さんとは昔からずっと一緒だったんだよな」

「はい、相葉ちゃんにはいつも助けられてばっかりでした。あっ、でも、あの子が振られてへらってるときはいつも私が慰めてあげたんですよ」

「……申し訳ないけど、容易に想像ができる」

 

 レオの脳裏に号泣しながらレインに抱き着くリーフェの姿が浮かび上がった。

 

「俺と由美子は小学校以来会ってなかったからな。何かちょっと二人が羨ましいよ」

「ずっと一緒だったら今頃とっくに結婚してたんじゃないですか?」

「どうだろうな。俺がヘタレてずるずると幼馴染のまま関係引きずってた可能性の方が高そうだ」

「……申し訳ないですけど、容易に想像できますね」

 

 レインはそう言って小さく笑った。

 残念なことにレオがヘタレという情報は、既ににじライブの中では共通認識となりつつあった。

 

「そういえば、由美子とはあまり絡んでないけど、苦手意識とかあるのか?」

「いえ、むしろすっごく尊敬してます。相葉ちゃんを説得したときもめちゃくちゃかっこよかったですし、前にガチャ配信でコラボしたときなんか本番前で緊張している私を気遣ってくださったり、本当に優しい人だと思います」

「あいつ、日和ちゃんが推しを引けなかったときのために自腹でカード用意してたんだって?」

「はい、あの人心にイケメン飼ってるんじゃないかと思いました」

 

 レインは夢美のかっこいい行動を思い返して楽しそうに笑ったあと、申し訳なさそうな表情を浮かべた。

 

「ただ自分から声をかけるのが苦手なので、お誘いはなかなかできないですよね」

「あいつも自分から誘うのなんて翔子くらいだしな。なら、今度俺がセッティングしておくよ」

「ほ、本当ですか!? ありがとうございます!」

 

 レインはレオの提案に目を輝かせて頭を下げた。

 そこで、レオはあることに気がついた。

 

「ていうか、カラオケ来たのに俺達全然歌ってないじゃん」

「あっ、確かにそうですね! お話が盛り上がって全然気づきませんでした」

 

 お互いに会話に夢中になって全く歌っていなかったことに気がつき、レオとレインは顔を見合わせて笑った。

 

「それじゃ、俺から歌わせてもらおうかな」

「元トップアイドルのオンステージなんて贅沢な……!」

「いや、さすがにカラオケじゃ持ち歌はあんまり歌わないぞ? 仕事感出るし」

 

 レオは目を輝かせているレインに苦笑すると、自分の好きなアニメソングを高らかと歌い上げた。

 

「ひゃー! やっぱり歌うまいですね! それに選曲も神じゃないですか!」

「おっ、日和ちゃんもこのアニメ見てたか」

「もちろんですよ!」

 

 それから二人は一曲歌うごとに盛り上がりながらカラオケを満喫するのであった。

 




何気に共通点の多い二人
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