Vの者!~挨拶はこんばん山月!~   作:サニキ リオ

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【バラレオ夫婦】結婚式は準備が大変

 レオと夢美は入籍してからも、忙しい日々を送っていた。

 

「ねぇ、結婚式の準備ってやること多くない?」

「仕方ないだろ。俺達の場合はただでさえVとリアルの事情がごちゃごちゃしてるんだから」

 

 レオと招待客のリストアップを行っていた夢美はゲンナリとした表情を浮かべていた。

 まず、親戚や仕事、友人関係などから結婚式に呼ぶ人数を決めなければ式場の規模なども決めることはできない。

 費用とも相談しつつ、レオと夢美はリストアップ作業を行っていた。

 

「レオの交友関係ほとんど芸能人なのやばない?」

「まあ、最近は昔のツテを頼ることも多くなったからな。むしろ、普通の友人が園山くらいしかいない……」

 

 レオは慎之介やカリュー、武蔵、昔懇意にしていた番組スタッフ達をはじめとした芸能関係者からVtuber以外の交友関係を増やしていた。

 大学時代の友人とは縁が切れていると言ってもよく、フリーター時代の友人も園山をはじめとする居酒屋の人達くらいだろう。

 

「二人共大変だね。はい、飲むチーズケーキ。由美子のは甘さ控えめで作ってきたから」

 

 二人が結婚式の招待客のリストアップを行っていると、二人の幼馴染である真礼が〝飲むチーズケーキ〟を持ってくる。

 

「ありがとね、真礼!」

「悪いな、ウェディングケーキの件もそうだが、いろいろ手伝ってもらっちゃって」

 

 にじライブカフェでも人気の商品となったレオのモチーフドリンクである飲むチーズケーキを堪能しながらも、レオは真礼へと礼を述べる。

 

「いいのいいの。最近、いろんな企業から声かけられるくらい知名度が上がったのも二人のおかげだからね。U-tubeのチャンネルの収益もそれなりにおいしいし、このくらいさせてもらわないと釣り合わないって」

 

 真礼は今ではパティシエ系ユーチューバーとしてそれなりに有名になっていた。

 当初は簡単に作れるヘルシースイーツのレシピなどを公開していたが、現在ではゲーム実況配信なども行うようになっていた。

 配信周りに疎かった真礼は、にじライブの協力もあり、ノウハウを教えてもらったことで配信活動にも力を入れ始め、徐々に人気を獲得していったのだ。

 

「パティシエなのにゲーム実況大人気なのはどうなんだ?」

「痩せてから真礼めっちゃ可愛くなったもんねー。可愛い子の顔出し実況は人気出るよね」

「ゲーム下手なのに、みんな何故か喜ぶんだよね……」

 

 真礼のゲームスキルは、下手だが見ていてイライラするほどではないというレベルのものだった。

 にじライブで最もゲームスキルがないつばさよりはうまいが、真礼はゲーム自体に疎い。

 そのため有名なゲームでも初見特有の反応が見れたりすることや、配信中に垣間見えるポンコツ具合などが人気となっていた。

 

「バーチャル披露宴もあるみたいだし、ライバーの人達は呼ばないの?」

「関りが深い人達は呼ぼうと思うけど、絡んだことのない人は呼ばれても困るだろうからな」

「レオはほとんどのライバーと関わってるけどね」

「けど、にじライブ全員って結構な人数になるからな」

「飯田さんやよっちん、亀ちゃんも呼びたいしねぇ」

 

 結婚式となると、にじライブのマネージャーをはじめとするスタッフ陣も呼びたいところである。

 そうなると、それなりに規模の大きい結婚式にする必要があった。

 

「ただいまー! 授業終わったから、私も手伝うし!」

 

 二人が考え込んでいると、部屋の扉が開いてミコが入ってきた。

 

「おかえり、今日は早かったんだな」

「もう三年生の後期だし、授業も少ないからね!」

「俺は三年の後期っていうと留年して地獄見てたときだな……」

 

 レオは遠い目をして大学時代に想いを馳せた。

 思えば、遊んでばかりで周囲に迷惑をかけて過ごしていた大学生活はレオにとって一番の黒歴史だろう。

 無条件で学費を貸してくれた園山がいなければ、今の自分はない。

 そう思うと、レオは改めて園山へ感謝の気持ちを抱いた。

 

「あっ、真礼さん。おひさ!」

「久しぶりね、ケイティちゃん」

 

 真礼を見つけると、ミコは満面の笑みを浮かべる。

 ミコにとって真礼は、ネガティブな思考から抜け出せるきっかけを作ってくれた恩人のため、レオや夢美、かぐやと同等くらいに懐いていた。

 

「ママ、リストアップ手伝うし!」

「マッジで助かる! 四人いれば作業も楽になるっしょ!」

 

 夢美はミコが帰ってきたことで、助かったとばかりに笑顔を浮かべた。

 

「あ゛っ!?」

 

 そこで夢美はスマートフォンにきた通知を見て、悲鳴のような声を上げた。

 

「どうしたんだ?」

「グブオーのガチャに、コラボでスタンきゅんが追加されてる……ポンちゃんも」

「何だと!?」

 

 グブオーは三期生が案件で担当したソーシャルゲーム〝グレイトブルーオーシャン〟のことだ。

 ちょうど、ベスティアシリーズコラボが始まったこともあり、ピックアップガチャの追加キャラクターが発表されたのだ。

 ガチャへの追加キャラは当日発表という風に情報を隠されていたため、グブオーとベスティアシリーズのコラボを事前に知っていた二人は驚いていたのだ。

 

「え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛! 強化すると闇落ちバージョンの立ち絵も使えるんだって!」

「ポンちゃんも!?」

「ポンちゃんも!」

 

 今回、追加されることになったスタンフォードとポンデローザはベスティアシリーズきっての人気キャラクターだ。

 そして、レオと夢美にとってはそれぞれシリーズで最も好きなキャラクターでもあった。

 スタンフォードもポンデローザもストーリー上では、闇落ちのような状態になって死亡してしまう。

 どうやらこのコラボは死亡した二人が、グブオーの世界に転生したという設定になっており、闇落ちした際に手にした力も使いこなしているという状態だった。

 

「「全力でリストアップ終わらせるぞ!」」

 

 やる気に満ちあふれた二人は尋常じゃないスピードで招待客のリストアップを行っていく。

 

「ホント、オタクだなぁ」

「でも、これが二人のいいとこだし!」

 

 それを見た真礼とミコは呆れながらも、微笑ましそうにいつまでも変わらない夫婦を眺めるのであった。

 

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