Vの者!~挨拶はこんばん山月!~   作:サニキ リオ

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【ポケライバー】趣味の合う後輩達

 

 バーチャル披露宴の話題もある程度落ち着いたある日のこと。

 レオは後輩ライバーと通話を繋げながら、最も好きなモンスター育成ゲームをプレイしていた。

 

「みなさん、こんばん山月! 獅子島レオです!」

 

[こんばん山月!]

[おっ、珍しい面子だ]

[相変わらず交友関係広いライオン]

 

 もちろん、配信は行っている。

 後輩二人は別に裏でもいいと言ってたが、レオとしては後輩二人共表で積極的に絡んでいくことも今後を見据えて大事だと考えていた。

 機会があれば逃さずに。

 これがライバーとして最前線にいるレオの自論だった。

 

『はーい、みなさん。魔法の名門サンライズ家の長女レイン・サンライズでーす!』

 

[レイン様きちゃ]

[何気にレオ君と配信で絡むの珍しい]

[ゲームがゲームだからいつもよりテンション高いな]

[可愛い]

 

 レオに続いてレインが挨拶をする。

 元魔王軍のメンバーでこのモンスター育成ゲームをやっているイメージがあるのは白夜だったが、コンテンツそのもののオタク度合で言えば実はレインの方が上だったりするのだ。

 レインは以前、レオと共に何故かカラオケに行く羽目になり、そのことがきっかけで〝ポケライバー〟というにじライブ内でのサークルを作った。

 当初は興味を持ったライバーがトークに参加することもあったのだが、二人の知識が深すぎたため、付いていけなくなる者がほとんどだった。

 白夜は単純に最近忙しいため参加していないだけだが。

 

 そんなポケライバーの集いに新たなメンバーが加わった。

 

『どうもー! にじライブ五期しぇー〇▼□※×●◎▼□※×●◎○◆△』

「いや、今なんて?」

 

[い つ も の]

[滑舌死んでて草]

[母国語出てるぞ]

 

 二代目ウェンディを務めた後ににじライブに入った五期生のライバー新海あおいだ。

 彼女もまたレオやレインに匹敵するほど、このコンテンツに関してはガチ勢だった。

 

「というわけで、今日はイベントレイドを回していきます」

 

『どうやら色違いが出るみたいなので、三人でレイド回しながらまったり雑談していきまーす』

『一応、まったりやっていくのでアンコールワットと時渡りはなしでやってきまーす』

 

[雑談メインか]

[ポケトークする気満々やん]

[ナチュラルに裏技の名前を出すなw]

 

 このゲームではレイドバトルというシステムがあり、レイドバトルで出現するモンスターを変える裏技がある。

 アンコールワットとは、ゲームハード本体の日付をいじることにより、レイドバトルで出現するモンスターを変える技であり、Wというエネルギーを無限に入手できることから命名された。

 時渡りは、アンコールワットよりも簡単にできる方法であり、インターネット対戦を行ったあとに日付変更を行うとモンスターを変更できる。

 今回は雑談しながらレイドバトルを回していくため、特にこの二つの方法は使用しない予定である。

 

「あっ、ちなみに俺はスイッチ二台使ってレイド回すから」

 

[何で二台あるんだよw]

[ガチ勢で草]

[ポケ廃は基本二台持ちだぞ]

[どっちもハチマキニャイキングはまごうことないガチw]

 

 レオは今日の配信では二台のゲームハードを操ってレイドバトルを回す予定だった。

 さっそくそのガチ具合に視聴者達から総ツッコミが入る。

 

「ライト入れたら四台持ってるんだけど、今日は二人がいるからな」

 

[違う、そうじゃない]

[四台も使わないだろ!]

[一人でダイベンするのに使うだろ]

 

 コメント欄はゲームハードを二台持っているか、持っていないかで割れていた。

 

「ピカブイモデルに、剣盾モデル、有機ELモデルに、ダイパモデル。まあ新モデルが出たら買うよな」

 

『さすがにレオさんほどノータイムで購入はしませんけど、私も三台持ってます』

『やっぱり二台はいりますよねぇ』

 

[これはポケ廃]

[レイン様は一人複数台動かしてるのが容易に想像できる]

[あおちゃんも結構ガチだよなぁ]

 

 レインもあおいも、レオと同様にゲームハードを複数持っている派のため、当たり前のように語り始める。

 

『というか、前から思ってたんですけどレオさんってアイドル時代かなり忙しかったですよね? ゲームやってる時間あったんですか?』

 

「さすがに俺もアイドル時代はそこまでガチ勢じゃなかったよ。デビューまでに好きだったっていうのと、しん――レオ之介が当時ハマってて控室で図鑑の完成手伝ったりしてたのが大きかったな」

 

『とんでもない裏話出てきちゃったよ』

『ひえぇ……さすが元アイドル』

 

[いや、名前隠す意味ないだろ]

[一応ね]

[まーたさらっとすごい裏話出てきた]

 

 レオもアイドル時代にはゲームをやり込む時間はなかったが、慎之介にせがまれて一緒に遊ぶ時間はそれなりに作っていた。

 何だかんだでレオは慎之介にはどこか甘いところもあったのだ。

 

「まあ、ガチになったのはアイドルやめてからだけどな。レインちゃんはどうなんだ?」

 

『私は兄の影響ですねー。兄もいまだにガチ勢みたいですし、奥さんと仲良くプレイしてるみたいですよ』

『えぇ! レイン様のお兄さんってポケ婚なんですかぁ!?』

『私と同じ陰キャのはずなのに……』

 

[ちょっとポケセン行ってくる]

[どうせイケメン]

[初代からやってるけど、彼女できません]

 

 レインの兄の話が出たことで、ゲームがきっかけで結婚したという希望を見出した視聴者がいたが、大抵の者は違う世界の話だと達観していた。

 

「あおいちゃんは、何か思い出とかあるかい?」

 

『んー、そうですねぇ……やっぱり地下通路で化石掘りですかね!』

『あー、わかる! 地下通路無限にできるよね!』

 

「探検セットはなぞのば――」

 

『『それ以上いけない』』

 

[四天王の部屋でなみのりは常識]

[歩数間違えて積んだのはいい思い出]

[俺はDSステーションで直したわ]

 

 あおいが語った思い出からは少し脱線して、当時はやったバグ技の話へと移行する。

 

「でも、俺は実際にやってないんだよな。周りがすごい騒いでたけど」

 

『あれは当時ネットが今ほど発達してなかったのになぜか流行ってたんですよねぇ』

『裏技、バグ技ってどこから情報が広がるんですかねぇ』

 

[絶対嘘教える奴いそう]

[今よりワザップしてそう]

[あの当時からワザップってあったっけ?]

 

 コメント欄も交えて当時のゲームの思い出を語る。

 最近、新しいことに挑戦し続けるような配信続きだったこともあり、こうしたまったりとした時間にレオは自然と癒されていた。

 

「何か、懐かしい気分になったし、色違いレイドまた今度にしないか?」

 

『『賛成です!』』

 

[おっ、何やるんだろう]

[さっきの話題からしてアレだろ]

[そういや、前にリメイク出てたな]

 

 コメント欄はすぐにレオ達が何をしようとしているかに気が付く。

 レオ達は懐かしい思い出を胸に、ソフトを起動する。

 

「「「よし、ダイパリメイクで地下通路やるか!」」」

 

 




ダイパリメイクが近づいてきてつい書いてしまった……。

ちなみに、時間軸的にはリアルの日時よりも先の時間軸なので、ダイパリメイクはもう出てることになってます。

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