何とかダイパリメイクの沼から若干脱することができました。
翌日、レオも夢美もセットした目覚ましよりも早く起床した。
配信業を営む者は往々にして生活習慣が壊滅的なことが多い。
にじライブでも、専業ライバーの者達のほとんどが夕方に起きて朝方に寝るという昼夜逆転した生活習慣を送っている。
度々視聴者が心配するライバー達の生活習慣だが、レオと夢美に限ってはそれに当てはまらない。
日々、レオが健康的な食事を用意し、夢美もまたそれに合わせて生活していることもあり、すっかり健康的な生活習慣を手に入れていた。二人の隣に住んでいるミコも同様である。
そんなこともあり、二人は新婚旅行にて健康的な朝を迎えていた。
「しっかし、海外での朝ってのは新鮮な気分になるな」
「……しんど」
ダブルベッドから身を起こしたレオは爽やかな表情を浮かべ、隣で気怠げに身を起こした夢美は寝ぼけ眼のままぼやいた。
「……やっぱ枕変わるとダメだわ。ベッドもシーツもいつものじゃないとすっきり起きれないもんだね」
「すっきり起きれないのはいつもそうだろ」
「まあ、そりゃそうだけど……」
夢美は寝癖まみれの髪をかき上げると、風呂場へと向かった。
「シャワー浴びて顔面作ってくる」
「了解、適当に時間潰して待ってるよ」
メイクに着替え、髪のセットなど、夢美の身支度に時間がかかることはレオも把握している。
空いた時間でエゴサーチでもしようとスマートフォンに手を伸ばして思い留まる。
「ワーカホリックも大概にしないとな……」
せっかくの新婚旅行なのだ。今は夢美のことだけ考えよう。
スマートフォンをテーブルの上に置くと、レオは夢美の身支度が整うのを待ちながら荷物の確認を行った。
お互いに身支度が整い、ガイドのラウタンが迎えに来る時間。
チェックアウトを済ませてホテル前で二人が待っていると、一台の車が停まる。運転席にはサングラスをかけたラウタンがいた。
「お待たせしました! お二人共忘れ物はありませんか?」
「「大丈夫です!」」
「それじゃあ、空港へ向かいましょうか」
こうしてラウタンの運転の元、二人は空港へと向かった。
荷物を預け、飛行機に乗り込んだ夢美は興味深そうに機内を見回した。
「国内線って聞いてたけど、思ったより小さいんだね」
「日本だと国内線でもここまで小型じゃないもんな」
「確かにお二人には新鮮かもしれませんね」
約一時間ほど乗っていると、飛行機はランカウイ国際空港へと到着した。
「飛行機に直接階段で乗り降りするのも新鮮だわー」
「滑走路を歩くなんてなかなかないもんな」
普段できない経験をしていることで、夢美は海外旅行に乗り気ではなかったのが嘘のようにはしゃいでいた。
「あっ、荷物ってここだと人が運んでくるんだ」
「空港も首都ほど大きくないし、これはこれで楽しいな」
「お二人共、車回してきますのでちょっと待っててください」
はしゃぐ二人を微笑まし気に眺めると、ラウタンは車をレンタルしてきて二人を乗せて走り出した。
「いったんホテルに向かって荷物を預けた後、港に向かってクルーザーに乗るので水着など準備しておいてくださいね」
「わかりました。由美子も忘れないようにな」
「大丈夫大丈夫。何ならもう下に水着着てるくらいだし」
「なら、忘れることはないか」
それからランカウイで宿泊することになるホテルにチェックインすると、二人は部屋の写真を撮って手荷物をまとめる。
「うおっ!? 由美子見てみろよ、海が見えるぞ!」
「うおおおおお! オーシャンビューじゃん!」
その途中、二人は窓から見える海に心を奪われた。
窓から見える絶景。そして、隣には世界で一番愛しい人。
改めてお互いにこれからの旅行が最高のものになる予感を覚え、二人はラウタンの元へと向かうのであった。
おそらく次回で新婚旅行編はラストです。