夢美のにじライブアニバーサリー欠席が発表された。
今やにじライブの代表格とも言えるライバーであり、一般人にもそこそこの知名度を誇る夢美が欠席することは多くの人間に衝撃を与えた。
最近まで一日に二回配信することが当たり前になっていたり、体調について心配されている中でのこの発表に、ネット上では様々な憶測が飛び交った。
その中には当然、夢美が妊娠したという真実に辿り着いているものもあった。
「「本っ当に申し訳ございませんでした!」」
『いや、おめでたいことですし、気に病まないでください!』
『そうだよ! 看板ライバーがいないのは痛いけど、大事なのはあなた達の幸せなんだから!』
後日、盛大に謝罪している二人に対してマネージャーである飯田と四谷は苦笑していた。
彼らも大変なスケージュールの中、イベント成功に向けて努力してきたこともあり、夢美欠席のあおりを受けた。
それでも二人は何よりもレオと夢美が幸せになることを願っていたため、自分達の苦労などどうってことはなかったのだ。
『夢美ちゃん、体調の方は大丈夫?』
「うん、今のところはまだ配信に影響はでない程度には」
『無理をしちゃダメ。もうあなただけの体じゃないんだからね』
夢美はまだ妊娠したばかりで平気だと思っているが、四谷は断固として夢美が現在の状態で活動することを許さなかった。
『どんなに規則正しい生活を心がけていても、配信してたら自然に生活リズムが狂うなんて結構あるし、夢美ちゃんはエナジードリンクを飲みがちでしょ? そんな状態で活動を許可なんてできるわけないじゃない』
「はい、すみません……」
四谷は夢美が元々体調や精神を乱しやすいタイプだと理解している。
夢美が健康的に毎日配信を行えるのも、レオや四谷のサポートあってのものだった。
「とりあえず、俺は夢美の体調について心配するマロが大量に届いてるんで、雑談配信でぼやかして伝えときますね」
『ええ、お願い致します。多少コメントが荒れるかもしれませんが、そこはうまく対応をお願いします』
「わかりました」
Vtuberは生活リズムが乱れがちなため、よく視聴者達から体調を心配される。
実はにじライブの中ではかなり健康的な生活を送っている夢美も、配信頻度や長時間配信などで心配されがちだった。
「しっかし、夢美の妊娠はどう発表したものか……」
結婚に続いて妊娠もVtuberでも初めての出来事でもあるため、タイミングは重要だ。
全員がどうしたものかと唸っている中、飯田が軽い気持ちである提案をする。
『いっそのこと、イベントで発表しちゃいますか』
「いやいやいや、それは――あり、か?」
飯田が何気なく言った提案を否定しようとして、レオの脳は瞬時にライバーとしてのエンタメを考える脳に切り替わった。
このハプニングをどう最高の状態でファンへと伝えるか。
そう考えたときに、イベントという場は最高の場所なのではないかと思ったのだ。
『普通ならばおめでたいことですし、ファンは絶対喜びますからね』
『夢美ちゃん、ビデオメッセージくらいなら撮れる?』
「もちろん!」
夢美としても、せっかくのおめでたい出来事なのだ。
ハプニングとしてではなく、盛大に祝ってもらえるのならばそちらの方が断然良い。
元気な内に早いところ撮影をしようと夢美は心に決めた。
「問題があるとすれば、箱全体のイベントを私物化しすぎなところですかね」
『いや、確かにスタッフや他ライバーに迷惑をかけてはしまいましたが、獅子島さんのライブパートで発表すればステージの演出の一環となりますから私物化していることにはならないかと思います』
『私、上長の許可とってくるから飯田君あとお願い!』
『了解!』
こうしてチームバラレオは改めて、にじライブ史上最大規模のイベント〝にじライブレジェンドアニバーサリー〟へ向けて動き出すのであった。
さて、そろそろてぇてぇセンサーが反応してる人が動き出すときか……