ついににじライブレジェンドアニバーサリーが始まる。
多くの視聴者が新たな伝説の瞬間を見ようと、ネット、現実共に会場へと駆けつけていた。
「ついに夢の舞台が始まるんですね」
「ああ、ウチらがずっと思い描いていた夢の舞台や」
コメント欄、観客席の全てが開始前から大盛り上がりな様子を見て、レオとかぐやは感慨深そうに笑っていた。
「しっかし、フラスタの量はバラギが圧倒的やったな」
「出演してなくても存在感は圧倒的ですからね」
会場に届いたフラワースタンドはファンによって、様々なライバーのイラストが描かれていた。
その中でも、ダントツで多かったのが夢美のイラストが描かれたフラワースタンドだったのだ。
「いないからこそ、っていうこともあると思いますけど、夢美は自分が思っている以上に愛されてますよね」
「せやな。あんたらもデビューから一年以上経ったからな。ここまで長いようで短かったような不思議な気分や」
かぐやはもう四年以上ライバーとして活動をしている。
最初はただのアプリ開発から始まったプロジェクトが、バーチャルライバーをサポートする企業に生まれ変わり、ここまで大きくなった。
にじライブの中で誰よりも最前線を走り、辛いことも楽しいことも経験してきたかぐやにとって、この節目となるイベントには特別な思い入れがあったのだ。
「乙姫が戻ってきてからずっと考えてたんや。また新しくスタートラインを切りたいってな」
「今日がその日ってことですか?」
「あくまでも竹取かぐやの中では、っちゅうことや。諸星香澄としては、このイベントは〝にじライブ〟がどういうものかを知らしめるためのイベントや」
かぐやはそう言うと、心底楽しそうな笑みを浮かべた。
「だからレオ、バラギの分も思いっきり楽しんだらええ」
「はい、思う存分楽しませていただきます」
レオとかぐやは拳をぶつけ合って笑顔を浮かべる。
「それじゃ、我らが社長の挨拶を見るとするか」
「そうですね」
二人は舞台袖から挨拶の準備をしている勝輝へと目を向ける。
そして、ついに新たな伝説が幕を開ける。
「にじライブレジェンドアニバーサリー、開会式!」
[うおおおおおお!]
[きちゃ!]
[かっちゃんだ!]
画面上に勝輝が映し出されたことで、コメントが流れる速度が一気に加速し、会場も盛り上がる。
「改めましてみなさん、こんにちぽんぽこー! にじライブ一期生兼にじライブ株式会社代表取締役の狸山勝輝です!」
[こんにちぽんぽこ!]
[ライバー兼社長は草]
[社長がおまけなのか……]
勝輝はライバーとして、にじライブの社長として、このイベントを始めるにあたっての挨拶を行う。
にじライブを象徴するイベントの開会式を勝輝が行う。
それは彼がにじライブの社長であること以上に、大切な意味を持っていた。
「本ステージはですね。二日間にわたるにじライブのリアルイベントの開会式となっております。どうか最後までご覧ください」
[二日間ビッグサイト使うのマジですげえな]
[規模はVのイベント系じゃ最大級だよな]
[見たいイベントが被ってるからアーカイブ必須だな]
今回のイベントは、公式番組の企画以外にもライバー主催の企画も多く存在する。
それぞれのライバーが自分の好きなことを好きなように行う。
ライバーが自由な活動をできる環境を提供することがにじライブの掲げる目標だ。
ある意味、このイベントはその成果を見せる場でもあった。
「本日、にじライブレジェンドアニバーサリーの開催をここに宣言致します! どうぞみなさん、二日間最後まで思う存分楽しんでください!」
[うおおおおおお!]
[ついていきますせ、社長!]
[伝説の幕開けじゃあああああ!]
挨拶を終えた勝輝は、笑顔を浮かべてステージを降りる。
そして、ステージ袖にいるイベントスタッフの一人の目を真っ直ぐに見据えて頷く。
彼の思いを受け取ったイベントスタッフは頷き返すと、最初の方に行われるステージの準備に取り掛かるのであった。