Vの者!~挨拶はこんばん山月!~   作:サニキ リオ

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【それからどしたの】バラレオ夫婦、育児中

 レオと夢美は結婚してお互いにアーティスト活動を行っていたため、にじライブでもトップクラスの稼ぎ頭になっていた。

 RE:STEPはもはや流行りの曲の常連アーティストに入るほどに知名度をあげ、夢美とまひるのpretty thornもVアイドルの中では安定した活動を続けられていた。

 また子供のことも考え、マンションでいつまでも二部屋という状況のままというわけにもいかず、二人は一軒家を建てた。

 

「優菜ちゃん、久しぶり!」

 

 インターホンを押すと林檎とタマを夢美が出迎えた。

 

「おはっぽー。やー、由美子ひさびさだねー」

「あっ、タマさん。お久ですね」

「うん、久しぶり。お邪魔しま――」

 

 

 

「GRRRRRRRRRRRRRR!!!」

 

 

 

 突如玄関先まで響き渡る獣の咆哮。

 林檎はゲラゲラと笑い出し、夢美は深いため息をつくと天を仰いだ。

 

「いけー! ガチライオン!」

 

 三人がリビングに入ると、そこにはライオンの着ぐるみパジャマをきたレオの上に男の子が乗っていた。

 

「あれ、タマさんどうしたんですか?」

「いや、お前がどうしたよ」

 

 微笑ましいが何とも言い難い光景にタマはツッコミを入れずにはいられなかった。

 

「コラァ拓哉! 近所迷惑だからやめなさいっていったでしょ! 幸太もパパにガチライオン頼まないの!」

 

 そんな中、夢美は二人に向かって注意をする。

 その声に反応して幸太と呼ばれた少年はレオから飛び降りると、レオと共に逃げの一手を打つ。

 

「「うわぁ、オニバラギだぁ! 逃げろ!」」

 

「誰がオニバラギだ!」

 

 そう言いながらも、逃げる二人の子供を追いかける鬼のような形相をした母親の姿がそこにはあった。

 

「……アタシは何を見せられてるの?」

「これがいつもの司馬家だよー」

「配信外で面白いことをするな」

 

 呆れるタマの隣では林檎が癒されたような表情を浮かべていた。

 

「やっぱ仕事終わりにはてぇてぇが効くー……」

「最近は男女てぇてぇ減ってるのにあんたはブレないわね……」

 

 V界隈が一般化し、女性ファンの急激な増加により男性Vのアイドル化が進んだ。

 その結果、Vのガチ恋勢男女とカップリングを楽しむカプ厨による血で血を洗う三つ巴の戦いが発生し、男女のカップリングを楽しむ〝男女てぇてぇ〟の時代は終演を迎えた。

 現在はシンプルな同期間の絆を感じる〝同期てぇてぇ〟が人気の時代なのだ。

 

「まったく、やってられないっすよー。厄介カプ厨は暴れるわ、ユニコーンも暴れ馬になるし、この業界どうなっちゃうんすかねー」

「あなた達の炎上も火種になっちゃったものね」

「炎上の火消しうまくいかなかったの久々ですよー。ま、司のアイドルライバー化が痛かったですからねー」

 

 林檎は以前、白夜との結婚発表をする前に同棲を始め、それが発覚したことにより炎上した。

 林檎のファンは諸手を挙げて大喜びしていたが、新しく爆発的に増えた白夜の女性ファンがそれを許さなかった。

 結果、ファン同士の血で血を洗う醜い争いに発展することとなり、この件はV界隈の中でも〝第一次厄介大戦〟と呼ばれ、ファンの在り方を問われる事件となるのであった。

 

「おかげで最近は私達以外の男女カプも表立って絡まなくなりましたからねー。自分で供給源潰したみたいで腸煮えくり返ってますよー」

「ま、まあ、同期てぇてぇは残ってるから、そっちで楽しむしかないわね」

「そうですねー。この業界も変わっていくし、しゃーなしですねー」

 

 林檎はどこか割り切った表情を浮かべていた。

 彼女からすればてぇてぇの減少は痛手ではあるが、業界の発展と自分達の活動をどう広げていくかの方が大切だった。

 林檎は林檎で今や世界を股に掛けるバーチャルピアニストだ。

 海外ファンも多い彼女からすれば、もはや炎上など火消しをする必要などなかった。

 

「子供は作らないの?」

「面倒だし、忙しいからパスー。ま、私はこの光景が見れれば十分かなー」

 

 林檎は楽し気に笑うと、父子揃って夢美にお説教されている様子を眺めるのであった。

 




これからもスローペースでキリのいいところまで書いていく予定ですー。

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