翌日、私とリンちゃんは早起きして女子トイレにやってきていた。
「配信準備はバッチリだよ!」
「エグぅ……何で配信許可下りちゃったの」
そして、リンちゃんのスマホから配信する許可が下りてしまったのだ。どうして、どうして……。
「罰を受けているところはきちんと視聴者にも公開しないと、本当に罰を受けているかわからない。運営の体制批判にも繋がりかねないので、トイレ掃除を配信することも罰の一部とした方がいいって提案したら通っちゃった☆」
「弱いとこついてくなぁ」
リンちゃんははちゃめちゃに見えてかなり頭が回る。
初配信もそうだけど、かなり計算高いタイプと見た。
「はいこれ」
「ん、おしゃぶり?」
リンちゃんが私に手渡してきたものはおしゃぶりだった。
とりあえず咥えてみる。
「ふぁ? ……いや、なんで?」
「まさかノータイムで咥えるとは思わなかったよ。さすがのっふぃ」
楽し気に笑った後、リンちゃんは笑顔を浮かべると告げた。
「のっふぃが間違っても声を出さないように条件として企画書に書いといた!」
「お願いだから原先生じゃなくて私に許可取ってぇ!?」
25歳成人女性がおしゃぶりを咥えながらトイレ掃除なんて絵面がやばすぎる。
「大丈夫、面白いから!」
まあ、それもそっか。
「せっかくバズったし、いっちょやったろ!」
「のっふぃならそう言うと思ってたよ!」
こうしておしゃぶりを咥えてのトイレ掃除配信が始まった。
「リンリンリーン! ちゃんとみんなに繋がってるかな? バーチャル学園A組、リンが三つで燐林凛だよ!」
[リンリンリーン!]
[罰まで配信してて草]
[のっふぃは?]
「ちなみに、のっふぃも一緒だよ! 声出せないからおしゃぶり咥えてもらってまーす」
[草]
[トイレ掃除でおしゃぶりを咥える女]
[※彼女はまだ初配信前です]
前日に事前告知を出したこともあり、早朝だというのに同時接続数は一万人を超えていた。いや、普通のにじライブ所属Vたれの朝活と比べても多すぎるでしょ……。
「ん、んっ」
「じゃあ、さっそく罰のトイレ掃除やってくよ!」
[罰のテンションじゃないwww]
[罰とは……]
[常にイカレてるなぁ]
こうして一万人以上に見守られながら私達はトイレ掃除を始めた。
「のっふぃ、洗剤とってー」
「ん」
[のひろちゃん無言なのじわる]
[ちょっと物音聞こえるw]
[これおしゃぶり咥えてるんだよね……]
[閃いた]
[通報した]
掃除中は私はリンちゃんに話しかけられたときだけ、ジェスチャーなどを使って反応する。
「てかさー、のっふぃっておっぱい大きいよね」
「っ!?」
[ガタッ]
[何だと!?]
[その話もっと詳しく]
「ぐへへ……ちょっと触らせてもらおうか!」
「んん!?」
私は咄嗟に飛びのき、首を激しく横に振る。
そして、便器を指差して眉間に皺を寄せる。
「あっ、ごめん。便器触った手じゃ嫌だよね」
[違う、そうじゃない]
[それもあるだろうけどw]
[恩を仇で返す女]
「じゃあ、掃除終わって手洗ったらいい?」
「ん」
別にそのくらいならいいや。
そう思った私はおしゃぶりを咥えたまま頷いて見せる。
「いいってさ! さっすが、のっふぃ!」
[聖人過ぎるだろ]
[ご飯食べさせてくれた上におっぱいも揉ませてくれる女]
[お願い乃尋ちゃん、逃げて……]
[いつか悪い人に騙されそう]
「ちなみに、何カップ?」
「んー……?」
どんくらいのサイズだったっけか。最近新しいの買ってないからなぁ……。
「んっ」
「ちょ、ちょちょちょ! のっふぃ!?」
ゴム手袋をとって、ブラを外して確認しようとしたところ、慌てた様子のリンちゃんに止められる。
「何でブラ外そうとしてるの!?」
[ファッ!?]
[えっっっ]
[何やってんの、のっふぃwww]
いや、だってサイズ忘れちゃったし、女同士なら直接見てもらった方が早いかと思って。
「ん」
「待って! お願いだからブラを外す手を止めてぇぇぇ!」
[あのリンリンがたじたじで草]
[のっふぃもちゃんとイカレてるなぁ]
[初配信前にコラボした女だ面構えが違う]
[また切り抜かれるんやろなぁ]
ちなみに、後でリンちゃんにトップとアンダーの差を伝えたところ、どうやら私はHだったらしい。