Vの者!~挨拶はこんばん山月!~   作:サニキ リオ

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【炎上先生】第1回 玉手箱かと思ったらパンドラの箱だった先生 その1

 

 画面には、黒板と教師用の机が設置された教室風の背景が映し出された。

 それから中央部にスペースを作るように、乃尋、凛、鶫の三人の立ち絵が表示される。

 

「バーチャル学園、特別授業の時間だァ!」

「「うおおおおおお!」」

 

[きちゃああああ!]

[このときを待ってた]

[授業の時間だ!]

 

「というわけで生徒として私がきちゃ! あなたのヒーローこと英乃尋、参上!」

 

[ヒーローきちゃ!]

[元凶その一]

[相変わらずの音圧]

 

[リンリンリーン! ちゃんとみんなに繋がってるかな? 繋がった先はまさかのあのVたれ!? 燐林凛だよ!]

 

[リンリンリーン!]

[元凶その二]

[一生音量調整できない]

 

「はーい、ぬるっと登場。大牙鶫でーす。今日は最強の反面教師を召喚するで」

 

[今日もぬるっと登場してるなぁ]

[この配信唯一のまとも枠]

[一緒に企画考えてる時点でまともなわけない]

 

 生徒である三人の自己紹介が終わると、乃尋から順に楽し気に前振りをする。

 

「そして、そして!」

「今日来てくれたのはぁ?」

「ここに呼べたのが奇跡! 特別講師の箱根タマ先生や!」

 

 画面中央にタマが映し出される。タマは久方ぶりに動かせるLIVE2Dモデルを使用していた。

 

「皆様、おはたま……大変ご無沙汰しております。本日はお招きいただき、ありがとうございます。炎上先生、ゲスト講師、箱根タマです」

 

[クソ箱キター!]

[伝説の女が帰ってきた!]

[よく面出せたもんだな]

[この世全ての悪]

[吐き気を催す邪悪]

[開幕から死にそうな声してて草]

[またおはたまが聞ける日が来るとはなぁ]

 

 コメント欄は早速にぎわいを見せ、タマは苦しそうに続ける。

 

「正直、こういう形でまた皆さんの前に立つとは思いませんでした。でも、この子達とにじライブの上層部がアタシを本気で引っ張り出したので……アタシに選択肢はありません」

 

[また伝説作ってるなぁ]

[これが本当の公開処刑]

[なんで許可下りちゃうんだよ]

[ここにじライブぞ?]

 

 タマの起こした事件からもう何年も経っている。視聴者入れ替わりもあり、大半の視聴者はタマについて昔やばいことをやらかして契約を解除された奴くらいにしか思っていない。

 しかし古参ファンにとっては、彼女が思い出したくもない邪悪な存在であるという認識が強かった。

 

「タマ先生、今日はよろしくお願いします!」

「こちらこそ……どうぞお手柔らかに」

 

 タマがぎこちない当時のモデルの可動域で頭を下げると、乃尋が進行役として前に出る。

 

「それでは、【炎上先生】第1回を始めます! この番組では、過去に何らかの炎上を経験したゲストを特別講師としてお呼びして、失敗から学ぶ教訓や、そこからどう立ち直ったのかを教えていただきます!」

 

[完全にあの番組じゃねぇか!]

[初回ゲストがクソ箱って時点で神回確定]

[これがバーチャル学園か……]

[Vたれ候補生にとってはガチでためになるという]

 

「まず最初にお伝えしたいことがあります。にじライブの、そして乙姫先輩ファンの皆様、当時はあなた方にとってかけがえのない大切な時間を壊してしまい、大変申し訳ございませんでした。そして、顔も見たくないであろうアタシが再びこの場に出てきてしまったこと、重ねて謝罪いたします」

 

[ええんやで、酒の肴になる]

[しっかり生徒達の養分になってもろて]

[俺は許さないけど、姫ちんが許してるからな]

[少しくらい我慢してやる]

 

「ありがとうございます」

 

「うんうん、謝れてえらい!」

「謝るのは当り前やろ」

「違うよ、鶫。リンちゃんは自分が謝ったときも、えらいって言われるために言ってるんだよ。明日は我が身、勉強になるよね」

「あれれ、のっふぃに刺されている?」

 

[のっふぃwww]

[特に悪意のない言葉のナイフがリンリンを襲う!]

[まともそうに見えて一番やべぇ奴]

 

「タマ先生! もう他のVたれの皆さんとは和解しているんですか?」

「はい。真っ先に和解したのは乙姫先輩でしたね」

 

[ファッ!?]

[一番の被害者やんけ!]

[まあ、姫ちんがキレてたのって事実がわかった途端に手のひら返した連中だからな]

 

「あれれ? 同期や二期生全体だとどうだったの?」

「赤哉に全員揃った場所に呼び出されて、みんなから絶対に許さない、と」

「そらそうやろ」

 

[妥当過ぎて何も言えない]

[えっ、タマ先生何したの?]

[すっごいまともそうな人だけど……]

[まひるちゃんとハンプが許さないって相当だな]

 

 タマの発言に、コメント欄はさらにざわつき始める。彼女の過去の所業を知らない新参リスナーたちが驚き、古参リスナー達は過去を思い出して苦い顔になっていた。

 

「そや。バンチョーさんは?」

「ケジメとして全力のボディブローをくらいました……」

 

「えっ、なんで生きてるんですか?」

「誓って殺しはしてないからだよ、のっふぃ!」

「そっか、ムービー中じゃなきゃ牛丼食べて回復できるもんね!」

「てかさぁ、牛丼と言えば――」

「乃尋と凛は一旦口閉じろ! 話が進まんやろが!」

 

[ちかころ案件]

[なんで生きてるんですかは草]

[のっふぃ飛ばしてんなぁw]

[学級委員長タイガー]

[ちょっと女子ぃ!]

[全員女子だろ]

 

 順調な滑り出しをした炎上先生は、真面目な空気に若干の異物を含みつつ進んでいった。

 




皆様、メリークリスマス!
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