久しぶりに行われた三期生での通話による打ち合わせ。
レオ、夢美、林檎の三人が画面越しに顔を揃えるのは、実に数ヶ月ぶりのことだった。
「なんか俺達、最近安定して人気出してるじゃん。それがどうにも引っかかってな」
『いいことじゃないのー?』
「あー、わかったわかった。林檎ちゃん、この上昇志向お化けは乃尋ちゃん達の勢いがすごいから、安定してる自分にイライラしてるだけだよ」
『もういい歳なんだから落ち着きなってー。家庭持ったんだから、ワーカホリックも抑えなきゃねー』
林檎がにやにやと笑いながら言い放つと、レオは図星を突かれたように苦い表情を浮かべる。
「う……それはそうだけどさ」
「少年の心を忘れるなとは言わないけど、デビュー当時とは状況が違うんだから。もっと肩の力抜いてもいいんじゃないの?」
『司もそうだけど、どうしてあんたらはいつまでも〝男の子〟なのかねー……まあ、そこがいいんだけどさー』
林檎のさりげない惚気に、夢美も思わず笑みをこぼす。
レオの意識の高さは周知の事実だ。アイドル時代から変わらず磨かれたそれは、結婚して家庭を持った今でも健在だった。
「いやいや、俺も司君も――」
レオが反論しようとしたその時、背後から小さな足音が聞こえた。
「じょーしょーしこー!」
乱入してきたのはレオと夢美の息子、幸太だった。勢いよく入ってきた幸太は「じょーしょーしこー」と繰り返しながらレオに抱きつく。
「なー、パパはじょーしょーしこーだもんなー!」
「じょーしょーしこー!」
『たぁー! てぇてぇ、てぇてぇだよ!』
林檎が画面越しに声を上げる。
「……林檎ちゃんも何年経っても変わらないね」
『いやー、いいねー。幸せそうで何よりだわー』
オンライン越しに尊みを摂取した林檎が、感嘆の声を漏らす。
「おーし、幸太。パパとママと林檎ちゃんは大事な話してるからあとでたっぷり遊ぼうな。まずは由紀お姉ちゃんと遊んでもらうか」
「うん! ゆきねーちゃと遊ぶ!」
元気よく手を振りながら部屋を出ていく幸太を、レオは抱っこして義妹の由紀の元へと連れて行く。
それからしばらくして戻ってくると、レオは打ち合わせを再開する。
「……で、さっきの話だけどさ」
「まだ続ける気なの?」
『まあまあ、話くらいは聞くよー』
夢美が呆れたように肩をすくめ、林檎も軽く笑いながらレオの話に耳を傾ける。
「最近、フィナーレソードの耐久配信が流行ってるだろ」
「主に乃尋ちゃん達とタマ先輩のせいだけどね」
夢美の指摘に、レオも苦笑いを浮かべる。一方、林檎はゆったりとした口調で、現実的な話を持ち出した。
『私達はさー、耐久配信なんてする余裕ないでしょ?』
林檎の言葉に、夢美も同意するように頷く。
「そうそう。家庭持ちがそんなことできるわけないし、そもそも耐久配信なんて今の体力的に無理だってば」
「だからこそ、だ」
レオが若干声を張りながら告げる。
「あえて、逆を行こうと思う」
「というと?」
夢美が少し身を乗り出して促すと、レオは自信満々に答えた。
「本家のゲームの方でRTAで競争しようぜ」