第二王女なので人生イージーモードだと思ってたら放逐された(笑) 作:山羊次郎
「どうするの!?このままじゃ私たち……!」
「でぇじょぶだ。ドラゴンボールで生き返れる」
「死ぬ前提で話しないでくれない?」
あれま、白猫ちゃんが怒ってらー。
誘拐されたと言ったが、あれはマジだ。まぁ、どうやら目的は私じゃなくて白猫ちゃんらしいが。フィーベル家の財産を狙うだと?許さんぞー!
で、どこかの小屋に監禁されているわけなのだが
「……おっ、ここから抜けられるよ」
「本当!?」
「よーし、イクゾー、イクイクー」
淫夢ネタは分からんのだ。許してヒヤシンス。
「……(物音立てちゃだめだよ白猫)」
「(白猫って言わないで!いい加減名前で呼びなさい!)」
「(へいへい、じゃあ、シス……シス……システィな)」
「(……百歩譲って、それで勘弁してあげるわ)」
流石システィ優しい。そこに痺れるあこがれる~!
「おい!いたか!?」
「いや。だが、まだ遠くに入ってないはずだ!今度はこっちを探すぞ!」
遠くから誘拐犯の声がしたと思ったら、こっちに向かって足音が聞こえてきて、徐々に大きくなっている。
「(……あっ、誰か来る!どうしよう……助けてお父様!お母様!)」
システィがその場で蹲り、膝を抱えて震えている。……仕方ない。
「ポイ」
近くに落ちていた石を拾い、遠くへと投げる。
「……なんか音しなかったか?」
「俺も聞こえたぜ、確か、あっちだったな」
その音を聞いた誘拐犯たちは、急いで音の方へ走っていった。
「ほら、何とかなったわよ」
「うぅぅ……、えっ、ホント⁉……ふぅ」
システィがほっと息を吐いた。余程怖かったらしい。
「っていうか、ルミアは怖くないの?」
あっ、因みに、今はルミア=ティンジェルって名乗ってます。まぁ、病死したことになっている王女の名前を名乗るのは流石にね?
システィは私のことを親に捨てられた可哀そうな子くらいの認識ですね。間違ってはないけど。
「まっ、このルミア様にかかればこの程度お茶の子さいさいよ」
「す、すごいわね。痺れも憧れもしないけど」
えー、ホントにござるか―?
「……ねぇ、ルミア」
「なに?……あっ、そこ蛇がいるよ」
「キャァァァァァァァアアアアアアア――ッッッ!!!」
――聞こえたか!?
――あぁ!こっちだ!
――舐めやがってガキども!半殺しにしてやる!
「このバカ!叫ぶ奴があるか!」
「だ、だってぇ、だってぇ……!」
まさかシスティが蛇嫌いだったとは……仕方ない。
「ダッシュ!」
「えっ、ちょ、キャッ!」
システィの腕を引っ張り、近くの森に逃げ込むことに成功した。
「入り組んでる……よし、なるべく攪乱できるように――」
「……ごめんなさい」
突如、システィが謝ってきた。
「なに?急に」
「だって、私が余計なことしなきゃ……こんなことには」
「じゃあ、せめて蛇嫌いは克服してよね」
「!……、うん」
走る、走る、走る。メロスより早く……は無理だけど、せめて、誘拐犯に追いつかれないくらいには早く。
そう思って、システィの腕を引っ張り走っていたが
「へっへっへ、追い詰めたぜガキども」
「もう逃げらんねーぞ」
はい、追いつかれました。どうしよう、終わってるんだけど。絶望的過ぎるわ。
「さぁ、これで終いだ!」
男が私とシスティに殴りかかろうとする。
「ルミア!」
「えっ、ちょ、システィ!?」
すると、システィが私を庇おうと抱き着いてきた。
「大人を舐めんじゃねぇ!クソガキ!げふっ!?」
「なっ、テメェは――がほっ!」
「ふぁ?」
「えっ」
すると、男二人が突如現れた第三者にボコられた。
「なっ、クソ!《猛き雷帝よ・極光の
最後の一人が、魔術を唱えようとすると、現れた男は、懐からカードのようなものを取り出した。
すると、男が発動させようとした魔術が、空中で霧散した。
「何⁉くそ、どうなって――」
取り乱した誘拐犯が、男に殴り倒され、気絶した。
私とシスティは、その様子を、ただ呆然と見ていた。
「……大丈夫か?」
「素敵、抱いて!」
「は……?」
私がお決まりのセリフを言うと、男は呆気にとられたように口をあんぐりと開いた。
「……、」
あっ、システィは処理オーバーして気絶してる。
「え、え~っと、ルミア=ティンジェル……だよな?」
「はい。ルミア=ティンジェル、十三歳!ベッドの上で股を開いて待ってます!」
「何言ってるの⁉ほんとに何言ってるのお前⁉何とんでもないこと口走ってるの⁉俺は年下には興味ないんだよ!」
「またまた~、股だけに」
「上手くねぇよ」
ジト目でこちらを見降ろす男。
「まっ、冗談はこの辺にしましょう」
「誰だよ、こんなこと教えたやつ……ん?そっちは……」
「私のお友達、システィちゃん。何故か気絶してるけど気にしないでね」
「……まぁいいや。俺はグレン=レーダス。帝国宮廷魔導士団……分かるか?」
「まぁ一応」
帝国宮廷魔導士団。魔術を研究や発展に役立てるものを魔術師、戦争に使うものを魔導士という風に区切っている。
宮廷魔導士団は、その名の通り、魔導士のエキスパート。
「……とりあえず、お前の親御さんに頼まれて、お前を助けに来た。そっちのはついでだ」
「……マジですか。っていうか、なんで私が捕まってること……わか……」
あっ、やばい。超眠い。
「えっ、ちょ、おい?」
「……った、の?」
そのまま、私の意識は暗闇へと沈んでいった。
結局、起きた時には、私とシスティは家に帰っていて、システィの親である、レナードさんとフィリアナさんに抱き着かれて、泣いて喜ばれた。いい人過ぎるわこの人たち。
システィはどうやら、ショッキングなことが多すぎて、記憶が一部飛んでるらしい。この野郎、お前のせいで危険な目に遭ったってのによォ。
まっ、そんなことはもう忘れて、遂に三年が経った。
「ルミア―!」
アルザーノ帝国魔術学院に通って早一年。私もシスティも今では立派な魔術師の卵。今日も研鑽に取り組んでいる。
「ごめん、遅くなったわ」
「気にしないでシスティ。別にあと十秒遅れたら置いていこうとか思ってなかったから」
「思ってたのね」
あっ、いけない。また癖で……。
「全く、口調は矯正されても性格は相変わらずねこのロクでなし」
「ロクでなしは言いすぎだと思うんだけど。……にしても、珍しいね。システィが忘れ物なんて。昨日夜遅くまでナニをしてたの?」
「べ、べべべ、別に変な事なんてしてないわよ⁉えぇ!小説執筆とか全然興味ないし!?」
この子は本当に面白い。聞いてもいない情報をベラベラ漏らしてくれるし。まぁ、小説書いてたのは知ってたけど。
にしてもあの小説、正直文才は……うん、ノーコメント。
「そう言えば、今日からは非常勤だけど代わりの先生が来るんだって」
そういえばそうだった。前任にヒューイ先生という人がいたが、どういう訳か突如やめてしまったのだ。
システィのお気に入りの教師がいなくなったら、揶揄うネタが減ってしまうのに。
「ハァ……。ヒューイ先生みたいな熱心な先生がいいなぁ」
「ヒューイ先生にぞっこんだねシスティ?」
「ぞ、そっこんてなによ⁉べべ、別に、そんな変な意味で言ったんじゃないからね!勘違いしないでよね!」
あー面白い。これだからシスティを揶揄うのはやめられない。
そんな風に喋りながら、遂に十字路に差し掛かった時
「そこ退けガキどもぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおお――ッ!!!」
そんな気持ち悪い雄たけびとともに、こちらに向かって走ってくる男がいた。
「キャッ!システィガード!」
「えっ、ちょ――」
咄嗟に
……だが
「固い……」
「!?《大いなる風よ》!」
男がシスティにもたれかかるように倒れ、システィの胸に顔を預けていた。
その上感想まで言って、システィ大激怒。初等呪文、黒魔【ゲイル・ブロウ】で男を吹き飛ばしたのだった。
さらっと白猫セクハラされてて草。