第二王女なので人生イージーモードだと思ってたら放逐された(笑)   作:山羊次郎

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評価バーに色がついている……だと!?

あと『エクソダス』さん。宣伝していただきありがとうございます。

憑依ルミア「ふっ、私に時代が追い付いたかッッ!!」

トラ「図に乗るな」


四話:決闘、決着

「さすがに、お前みたいなガキに怪我させるのは気が引けるんでね。使える魔術は【ショック・ボルト】のみ。それ以外の手段は禁止だ。いいな?」

「決闘のルールは、受理側に決定権があります。是非もありません」

 

 グレン先生が余裕の表情で提案し、システィが気丈に振る舞い答える。

 

「にしても、【ショック・ボルト】だけか」

 

【ショック・ボルト】

 学生が習う汎用魔術、その基礎中の基礎、最も最初に習う攻性呪文(アサルトスペル)であり、スタンガンの遠距離版のようなもの。

 呪文は、《雷精よ・紫電の衝撃以て・打ち倒せ》の三節。センスのあるもの、というより、大半の生徒は、【ショック・ボルト】くらいなら一節詠唱できるのだ。

 因みに、一節の場合は、《雷精の紫電よ》となり、さらに切り詰めると《雷精よ》と、とても短くなる。

 魔術戦は、いかに相手の次の手を読み、それに対抗(カウンター)をするかが重要(ポイント)になるが、【ショック・ボルト】だけでは、その対抗(カウンター)が行えない。

 つまり、純粋な早撃ち勝負になるのだ。

 

 もちろん、システィは一節詠唱を使えるが、もしグレン先生が、《雷精よ》と言った感じで、とても短く切り詰めて呪文を唱えられるのなら、システィに勝ち目がない。

 早撃ちである以上、相手より早く呪文を唱えなければ、そのままやられてしまう。

 

「……システィ」

 

 彼女に視線を向けると、僅かに足が震えていた。

 

「そうビクビクすんなって。胸貸してやっから気楽にしな。ほら、いつでも来いよ」

「……分かっています」

 

 僅かに深呼吸をした後、システィが左手を構えた。

 魔術師は基本、左手で魔術を行使する。左腕が、最も魔術を行使するのに適しているからだ。だからこそ、魔術師にとって左腕は、心臓に最も近いと言われている。

 

「《雷精の紫電よ》!」

 

 システィが先に仕掛けた。それに対し先生は……

 

「うぎゃぁぁぁああああああ――ッッッ!?!?!?」

「……えっ?」

 

 ……見事に撃沈した。余りにも呆気なく。呆気なさ過ぎて、システィが逆に困惑している。

 

「えっ、私、なんかルール間違えた!?」

「……うーん、やっぱり、先に攻撃したのが不味かったんじゃない?」

 

 というか、なんで攻撃されてたのにあんなに余裕綽々で攻撃受けたんだろ?

 

「あぁ。全くもってその通りだ」

 

 すると、ダメージがある程度回復したのか、グレン先生が起き上がってきて

 

「ま、まさか、いきなり攻撃してくるとは……この卑怯者め!お前には魔術師としての誇りはないのか⁉」

「そうだそうだ卑怯者ー!」

「ルミア黙っててッッ!!っていうか、貴方にだけは魔術師の誇りとか言われたくないです!」

「全く、減らず口を叩きやがって」

「ブーメランって知ってます?」

 

 凄い、ここまで自分勝手だと逆に尊敬しちゃう。

 

「まぁいい!この決闘は三回勝負だからな!一本くらいくれてやらぁ!」

「えっ、そうでしたっけ?」

「ごちゃごちゃうるせぇ!行くぞ、今度はこっちからだ!《雷精よ・紫電の衝撃以て・打ち――」

「《雷精の紫電よ》」

「うぎゃぁぁぁああああああ――ッッッ!!!」

 

 なんと先生は不意打ちで先に攻撃したにも拘らず、何故か三節詠唱を使ったせいで、システィにあっと言う間にに反撃された。

 

「……」

 

 システィの視線が……形容し難きものになってる。

 

「ほ、ほぉ……。な、なかなかやる、ではないか……。ご、五本勝負だからと言って少し遊び過ぎたようだな」

「さっき三本勝負って……」

「あー!あんなところに女王陛下がいらっしゃるぞー!」

「えっ⁉」

 

 えっ⁉嘘、どこどこ!?

 

「掛かったな間抜け!こんなところに女王陛下がいらっしゃるわけがないだろーが!精々悔いるがいい!《雷精よ・紫電の――」

「《雷精の紫電よ》」

「ギャアああああああ――ッ!!ナンデサァァァァァァァ―――ッッッ⁉⁉⁉」

 

 そらそうでしょ。前置きが長すぎるもん。あんだけベラベラ喋ってたらすぐに態勢を立て直せる……っていうか

 

「先生……さっきから思ってたんですけど」

「おい!それ以上先を言うな!まだ勝負はついてないんだぞ!七回勝負だからな!」

「だから増えてますって……」

「あっ、あれ見てみろ。学院長がズラ掃除してる!」

「「ぶッ!」」

 

 吹いた。しかもシスティと同時に。

 それから先生は、あの手この手でシスティの気を引き、攻撃しようとするも、三節詠唱なので、一節詠唱を唱えるシスティに勝つことが出来ず、とうとう四十七本目と言い放った勝負が終わった時――

 

「……もう無理です。立てません。これ以上電撃浴びせられたら、僕ちゃんおかしくなっちゃう」

 

 そう言って、先生は白旗を上げたのだった。

 

「……まさか、【ショック・ボルト】の一節詠唱も出来ないなんて……」

 

 システィの言葉には、少なからず落胆や、失望の感情が混じっていた。

 

「は、はん!そもそも呪文を省略するなんて、呪文に対する冒とく、邪道だよね!別に出来ないからそう言ってるわけじゃないんだぞ!」

 

 それはもう出来ないと言ってるのと同じだよ先生。

 

「はぁ……。兎に角、決闘は私の勝ちです。先生は明日からちゃんと授業を――」

「えっ、僕たちなんか約束してましたっけ?」

「は……?」

 

 なんでも、電撃を浴び過ぎて記憶が飛んでるらしい。どんな言い訳……割と筋が通ってるのが凄い。

 

「な――!?魔術師同士の決闘の約束を、反故にするって言うんですか⁉貴方、それでも魔術師ですか⁉」

「別に俺魔術師じゃねーし」

「ッ!?」

 

 流石のシスティも言葉が出ないようだ。

 誰もが魔術師であることに誇りを持っているこの学院で、自身を魔術師でないと言い張り、あまつさえ、約束を反故にするのだ。仕方ないと言えば仕方ないのだろう。

 

「それよりも、なかなかやるなお前!今日の所は超ギリギリ紙一重で引き分けということで勘弁してやる!はーはっはっは!」

「……アハハ、システィ、大丈夫?」

 

 流石の私でも苦笑いが零れる。ましてや、当人であるシスティの気苦労が相当だろう。

 思わず彼女を心配し、声をかける。

 

「だが!次はこうはいかないぞ!さらば!」

 

 先生はそう言って、その場を去ろうとしたが、ダメージが抜けきっていないのか、何度も転んでしまう。

 そんな先生の後姿を見たシスティは

 

「……心底見損なったわ」

 

 本当に、失望を露わにして、そう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局、その後も先生は、まともな授業を行わなかった。

 寧ろ、回を重ねるごとに授業の質は悪くなっていき、今では黒板に教科書を、釘で打ち付けている。

 尤も、生徒たちは、既に各々が思うように自習している。

 

「先生、釘を打ち付けるより、ガムテープで張る方が疲れないと思うんですが」

「むっ?確かに、言われてみればそうだな。釘打ってると五月蠅いし、次からはガムテープにするか」

 

 私以外の生徒たちは、誰も先生の言葉を無視しているし、先生もそんな状況を気に入っている様子だ。

 まぁ、それでも私はしっかり話しかけているのだが、他の生徒は特に何かを言うことはない。

 

「全く、ロクでなし同士、気が合うのかしら?」

 

 隣のシスティが、皮肉気な笑みを浮かべてそう言う。

 

「ふふっ、可笑しなこと言うねシスティ。私の何処がロクでなしだって言うの?」

「貴女こそ可笑しなこと言うのね。まともな人間はあんなのとまともに付き合おうとは思わないわよ?」

「そういうの、良くないと思うよ。そんなんだから白髪が増えるんだよ?」

「これは地毛よ!貴女だって知ってるでしょ!?」

 

 普段の彼女なら、授業中に大声を上げるなど、絶対になかった。

 それほどまでに、先生への評価は低いということだろう。

 

「あの……先生」

 

 すると、教科書を持ったリンが、先生のもとへやってきていた。

 

「ルーン語の翻訳で分からない所があって……」

「ほい」

 

 それを聞いたグレンは、教壇の下から辞書を取り出した。

 

「えっ」

「これ、ルーン語辞書な。使い方は――」

 

 どうやら、この間のリンの質問とシスティの話を覚えていたようだ。しっかり辞書を用意しているとは、準備がいいですね。

 

「無駄よリン。その男に聞く事なんて何もないわ。そいつは魔術の偉大さも崇高さも、何一つ理解してないんだから。ほら、分からないところは私が教えてあげるから、頑張ろ?」

「えっ、で、でも……」

 

 その様子を見ていたシスティが、見かねたように二人の間に割って入り、リンの背中を押して、机に戻そうとする。

 

「……魔術って、そんなに偉大で崇高なもんかね?」

 

 どういう風の吹き回しか、先生がそんなことを、システィに聞いていた。

 

 




 評価バーに色が付いてて驚愕している今日この頃。
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