第二王女なので人生イージーモードだと思ってたら放逐された(笑)   作:山羊次郎

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 サブタイは完全にふざけました。
 けど、内容は(多分)シリアスです。



七話:ズドン……それは始まり

 本来、今のアルザーノ帝国魔術学院は魔術学会で、全てのクラスが休みになるはずだった。

 しかし、私たちのクラスは、グレン先生の前任であるヒューイ先生が急遽退職してしまったため、授業が遅れている。

 なので、この休みの期間を利用し、遅れを取り戻すことになっているのだが……。

 

「遅い」

 

 まるで最初の時の授業のように、システィは不機嫌そうに先生を待っている。

 

「もう授業時間半分過ぎてるのに……!まさか、授業のこと自体忘れてるんじゃないでしょうね⁉」

「……まぁ、先生ならやりそうだね」

「そうね。ルミアも今日は授業があること忘れてたもんね」

 

 はい、そうでした。思いっ切り寝過ごしそうになりました。

 偉そうにモノローグで語ってすみません。

 

「……にしても、アイツ本当に人気出たわね」

 

 システィがクラスを見渡し、先生が来るのを今か今かとソワソワして待っている二組の生徒たちを見て、また少し不機嫌になりつつ言った。

 

「そうだね。最初は先生に構ってあげてたのはシスティと私だけだったもんね」

「……ルミアは……その、寂しかったりしないの?」

「あれ?システィは寂しいの?」

「んな――ッ⁉そそそ、そんな訳ないでしょう⁉」

 

 そんな訳ある人の反応なんだよねぇ。

 すると、教室の扉が開かれる。

 

「先生!また遅刻ですか⁉全く、最近は態度も改善されてきて――」

「ちーっす、邪魔するぜー」

 

 しかし、扉から現れたのは先生ではなく、見た事もない二人の男性だった。

 片方はいかにも柄が悪く、チンピラ風の男。

 もう一人はダークコートの、強面の男。顔に傷があったりと、まるで歴戦の戦士を思わせる。

 

「……どちら様ですか?」

「俺たちさ、君らの先生の代わりに、授業してやることになったの。よろしくな」

 

 ……まさか。

 

「ふざけないでください!この学院は関係者以外立ち入り禁止です!すぐに立ち去ってください!さもないと」

「さもないと?」

 

 システィがチンピラ風の男に脅すように声を荒げ言うも、当の本人はまるで意に介した様子はない。

 

「……今すぐここで拘束し、警備員に連行してもらいます」

「エー、怖い―!しょうがない、本当のこと言うわ。俺達、テロリストなんだよねー」

「は……?」

 

 なんてことのないように、チンピラ風の男は言う。

 

「いやー、ホント、ここセキュリティ厳しいよねー?()()()がいなきゃ絶対入れなかったよ。……あっ、そう言えば、ここはいるときに変な連中に絡まれたからぶっ殺しちゃったんっだけど、もしかしてあれって警備員さんだったのかなー?もしそうだったら、ちょっと情けないよなー?」

「……どうなっても知りませんよ。《雷精の――」

 

 システィがチンピラ風の男に【ショック・ボルト】を撃とうとする。

 

「《ズドン》」

 

 それをみたチンピラ風の男が、すぐさま左指をシスティの方に向け、一言、呟いた。

 その瞬間、彼の指から紫電の槍が放たれ、システィの耳元を掠めつつ駆け抜ける。

 放たれた魔術は【ライトニング・ピアス】という、C級の軍用魔術だ。触れただけで感電死するほどの電流が流れ、貫通力にも優れている。

 そんな強力な魔術を、あんな適当な一言で発動する。その技量は、間違いなく超一流だった。

 

「軍用、魔術……?」

「次逆らったら、ぶっ殺すぞ」

「ひっ……ッ⁉」

 

 底冷えするほど低い声でそう告げ、素人でも分かるほど強烈な殺気を放ち、システィ……いや、クラスの全員を睨みつけるチンピラ風の男。

 そして、クラスの全員が、状況を少しずつ理解始めたのか、パニックが起こり始めるも

 

「うるせぇ!」

 

 チンピラの一喝で、あっという間に静まり返る。

 

「そうそう。利口な奴は好きだぜ。……それでさ、俺たち、ルミアって子探してんだけど、誰か知らない?このクラスにいるはずなんだけどなー」

「可笑しなこと言うですねアナタ」

 

 そこで、私が口を開いた。

 

「あ?」

「誘拐する相手の情報も知らずに乗り込んでくるなんて、三流以下ですよ?テロリストやり直したらどうです?一から」

「図に乗ってんじゃねぇぞ餓鬼が。自分は殺されないとでも思ってんのか?言っておくが、こっちは殺すなって言われてるだけで、それ以外なら何でも出来るんだぞ?なぁ、ルミアちゃんよぉ?」

 

 ふむ、やはりですね。ちゃんと私の事調べてるんじゃないですか。

 

「……ちっ、つまんねぇ」

「遊びは終わりだ。連れて行くぞジン。生徒たちには、【スペル・シール】を施し」

「【マジック・ロープ】で拘束だろ?分かってるってレイクの兄貴。つっても、こいつら別に俺らに逆らうとは思わねぇけどな。……ルミアちゃん以外」

「……やれ。私はルミア嬢を連れて行く」

「へいへーい」

 

 そう言って、ジンと呼ばれた男は、次々と生徒たちを無力化していく。

 

「……さぁ、付いてきてもらうぞ。拒否権はない」

「……はぁ」

「……だ、ダメ……」

「心配しないでシスティ。先生が何とかしてくれるから」

「あ?先生だぁ?」

 

 すると、私たちの会話を聞いたジンが、笑い声をあげる。

 

「ギャはははは!そうかそうか、テメェそんなもん信じてたのか!お笑い草だな!」

「……何ですか急に?」

「いやなに、そう言えば言ってなかったな。……その先生なら、もう俺たちの仲間がぶっ殺したよ」

「え……?」

 

 システィが呆けたような声を上げる。

 私はレイクと呼ばれた男を見るも、こっちもそう認識しているらしい。少なくとも、立ち振る舞いでは、ジンに賛同しているようだ。

 

「勝手に言ってればいいです」

「あぁ?」

「後で痛い目を見ればいいって言ってるんですよ」

「……あー、ホントムカつくわお前。マジでぶっ殺してーわ」

「やめろ」

「分かってるってレイクの兄貴。ジョークだっての」

 

 それはとんだブラックジョークですねおい。

 

「じゃ、行ってくるからシスティ」

「待っ――」

 

 システィの呼びかけに答えず、私はレイクに連れられ、教室を出ていく。

 

「……彼女たちに手は出さないで」

「保障はしかねるな、エルミアナ王女」

「……何が目的?私にはもう、存在価値すらないのに」

「そうだな。生きているはずのない、存在するはずのない王女、それがあなただ。だからこそ、そこに利用価値があるとは思わないか?」

「……私の『異能』を求めているの?感応増幅者なんて、そっちなら簡単に見繕えるんじゃないの?」

「確かにな。だが、『それ』には、貴女にしかない価値があるのだ」

「?それはどういう――」

 

 しかし、その疑問に答えてもらうことはなく、私の意識は暗転した。

 

「申し訳ないが、貴女が聡い人物であることは、既に把握している。ジンに対しても気丈に振る舞い、奴が遊びをする前に自分から名乗り出て被害を食い止めようとする胆力も見事だ。だからこそ、貴女には眠っていてもらう」

 

 ルミアを脇に抱え、レイクは歩いていく。

 そして同時期、システィーナが、ジンによって連れ出されていた。

 

 




(ズドンさんは遊ばせ)ないです。
 リンちゃんの泣き顔が見たかった人は御免なさい。
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