本当に励みになります。
投稿する時間帯を固定にした方がいいのかなーと悩みつつ
今話から三人称の小説パートが入り始めます。
【○月●日】
ついに明日は雄英の入試当日だ。
記憶を取り戻してから続けてきた俺の努力、その集大成が問われる。心臓吐きそう。
いまさらジタバタしても仕方がないので、今日は早めに寝る――ように五加センセイからの御達しだ。
受験票と筆記用具は三回確認した。念のため電車の時刻表と、電車に何かあったときのためにバスの時刻表と、ついでに試験会場までの地図も再確認。目覚ましも複数用意。受験以前に遅刻で受けられませんでしたは許されない。同じ東京都内だ。最悪の場合は走っていこう。
というか、本当は走るのが一番手っ取り早くて確実なんだけど。俺の場合“個性”が増強系と診断されているから全力で走ると能力違法行使でしょっ引かれちゃうんだよね。一般家庭のやつらなら公共の場における“個性”使用禁止なんて車のスピード違反よりも気軽に破っちゃうんだろうけど、両親のいない俺は目を付けられるような真似は極力避けないといけない。ヒーローを目指すのなら、なおさらだ。
次にこの日記を開くときは試験後になる。
胃袋も吐き出しそう。俺の“個性”はカエルだったっけ。
【○月●日】
絶対に落ちた。
死ぬ。
むしろ死にたい。
(以下、涙と鼻水と涎でしばらく解読不能)
△ △ △
国立雄英高等学校、入学試験。
この学校の代名詞にして根幹はやはりヒーロー科であろう。
今年度の偏差値79、例年倍率は300倍というふざけた数値は単純計算で一万人を超える受験生が来訪することを意味している。在校生の出身を確認すれば日本中の都道府県名がそこに見られ、受験生の移動だけでちょっとした経済効果が見込めるだろう。
ネット小説などのフィクションの世界ではよく唐突に百人規模の専業盗賊(史実の盗賊は農業だけでは生きていけない村人の副業が大半だったという)が主人公の前に現れたりするが、当たり前の話だが百人いれば百人分の衣食住を確保する必要があり、下世話な話だが百人分の排泄物が毎日生み出される。百人が適当にそこらの茂みで用を足せば、それだけで軽いバイオハザードだ。それが一万人分ともなれば推して知るべし。
かくして現代文明の遺産水洗トイレは偉大であり雄英高受験シーズンに公衆トイレの位置確認は最重要事項、利用はお早めに。間違ってもそこらのコンビニで適当に済ませればいいかなどと浅い考えを抱いてはならない。コンビニにたいへん迷惑がかかるし、何より間に合わなくて頬と下半身を濡らすのは諸君らである。
閑話休題。
いまここにそれらの難関を潜り抜け、無事に実技演習試験へ挑む受験生たちの姿があった。比喩抜きで日本中の学生がこの狭き門を目指し、挑むのだ。
模擬市街地演習。制限時間は10分。
試験内容は都市を模したステージの中で
仮想敵のラインナップは以下の通り。
攻撃力、防御力ともに貧弱。取柄はスピード程度の
機動力を犠牲に防御力が水増しされ、攻撃力もヴィクトリーより高めの
そして重装甲に火器類を搭載し攻防共に隙が無く、さらに機動力もヴェネターより改善された強敵
受験生はこれらを相手に市井の平和を守るための基礎能力が問われる。また受験生には知らされていないが、ロボットの撃破によって加点される『ヴィランポイント』のほかに他者への手助けや気遣いによって加点される完全審査制『レスキューポイント』も存在している。
とある教師いわく『この試験は合理性を欠く』。
たしかに相手はロボット。毒、催眠、フェロモンなど生物だからこそ効く“個性”の持ち主にこの試験は過酷だろう。レスキューポイントも存在しているとはいえ、ヴィランポイントを稼げないそれすなわちロボットの暴力に対抗できないということであり、むしろ他者がレスキューポイントを稼ぐ補助的要因になるのが順当というもの。
しかしいまだに雄英高はこの試験を続けている。何故か。怠慢か?
否。生徒に常に“
なにせ受験生は概算で12000人いるのだ。世界がもし百人の村だったら世界百二十個分。単純に機械を介した採点システムを導入しなければ手が足りないのである。まさかこのご時世に、ヒーローの卵の個人情報がたっぷり詰まった情報の処理を外注するわけにもいかない。
この試験にはくだんの教師も否定しようのない機能性を有しているのだ。また仮に
一面からみれば合理性を欠いたノリと勢いのテレビ番組じみた試験も、やはり必然的な合理性によって構築されているということだ。
これはそんな、カメラに収められた記録。夢を己の未来と繋げんと全力で戦う子供たちと、彼らの夢を形にせんと過労死と戦う大人たちの、戦場の一
試験後半に差し掛かりお邪魔虫として事前に告知されていた
威容。
メートルやフィートによる表記ではない。単純に都市を模したステージの高層建築物、八階建てのビルさえ凌駕しかねないという視覚的な情報は、シンプルなまでに脅威を理解させる。
機械仕掛けの巨像が歩く。轟音と共に建物が崩れる。
機械仕掛けの巨像が歩く。落ちた瓦礫が道路のコンクリートを打ち砕く。
機械仕掛けの巨像が歩く。悲鳴が上がり、人々がいっせいに逃げ始める。
歩く。
ただそれだけの行為で格付けが済んでしまった。
その瞬間、受験生たちは己が服を着た動物であることを本能的に思い出した。自分より大きいものに捕食される摂理を思い出した。虚栄が剥がれ、理念が剥がれ、逃亡というもっとも生存率の高い手段を本能が選ぶ。
この瞬間、彼らはヒーローではなく被災者であった。
あるいは、この巨大
しかし、巧妙なことに。あるいは試験製作者の悪辣さが垣間見えることに。この巨大敵は0Pの障害物であると事前に告知されていた。受験生たちの認識は無意識のうちに立ち向かうべき敵ではなく、避けるべき障害であるとバイアスをかけられていたのだ。
どれだけ体格に優れた人間であっても、後ろに重心が傾いているときに押されたらあっさりと転んでしまう。単純ゆえに覆しがたいロジックだ。
受験生たちはヒーロー志望という立場を捨て、一目散に逃げ出す。
多くの
「ア゛――――――――ッ(汚い高音)」
それはあまりにも堂に入った悲鳴だった。
事態を認識し、脳の処理に感情が追い付き、悲鳴を上げようとした矢先の出来事。受験生たちは機先を制されしばし停滞する。
この場にいるのは倍率300倍を己こそは越えんとする自負を持つヒーロー志望である。悲鳴を上げて逃げ回るのは自分以外の誰かがやることであり、自分はそれを助ける立場であった者ばかりだ。
羞恥心や見栄というのは意外と根深い感情である。たとえ破滅の瀬戸際にいたとしてもなかなか手放せない人間は多いし、場合によっては見栄を守るために命を捨ててしまうことさえある。中でも日本人は誇りを守るために臓腑に刃物を突き立て抉るという、即死に至らない自決方法を脈々と続けてきたという筋金入りの見栄っ張りだ。
早い話がこの期に及んでまだ彼らの悲鳴には躊躇があり、逃げるその足は戸惑いに引っ張られもたついていた。
しかしその悲鳴は違った。
あまりにも恥をさらすことに躊躇いが無かった。皆無だった。
巨像の足音も、瓦礫の崩落も、上がりかけた他の生徒の悲鳴も、すべてを押しのけ天まで届けとばかりに響き渡った。
「そんなことってあるう!? いやいやありえないでしょこんなの!! 毎年受験あるんだからさあ。なのに毎年街を建てて壊すの!? 税金の使い方ぜったいに間違ってるって!!
こんなの勝てるわけないって! どんだけデカいの馬鹿じゃないの! 立ち向かっちゃダメなやつでしょコレぇ!? 倒したってポイントにもならないし逃げなきゃいけないでしょ絶対!! ほらみんなも避難しよう!! 中学生が戦っちゃいけない脅威だよッ。
避難の基本は『お・は・し・も』だよわかる? 覚えてるよね『おさない』『はしらない』『しゃべらない』『もどらない』小学校でやったもんね!? いやいや走りたくなるわ怖っ! でもデカいから動きはトロいよね。早歩きで逃げ切れそう? いややっぱ無理だわ走るぅ!!」
人のふり見て我がふり直せという言葉がある。
自分のことは自分でなかなかわからないが、他人の動きは一目でわかる。その行動の善悪を自分に置き換えれば、自省に活かしやすいということだ。
パニックは伝播するものであるが、一方で自分より取り乱したものがいると反射的に自分は冷静になってしまうこともある。
タンポポのような金髪をばさばさと振り乱しながら、ヘドバンよろしく首を振り。
見開かれた両目は完全に血走り、加えて焦点が合っておらず。
顔じゅうの穴から体液を垂れ流して激情をアピールするその少年を目の当たりにして、受験生たちはすんと覚めてしまった。
一度冷静に戻ってしまえば先にも述べた通り、彼らは日本最高峰の学科を目指し相応の努力と自負を積み重ねてきたエリート集団である。
記念受験などの一部例外を除き粛々と秩序だった避難を開始し、さらに余裕のある者は例外の生徒たちを避難誘導する動きまで見せ始めた。
――あいつどうする? 救助する?
――いらんだろ、自分の足で動いているし。あの速度なら十分逃げ切れる。
目と目が見交わされる。
この地区の受験者をまとめて冷静に戻すほどの醜態を見せた当の少年であったが、彼は「恐怖が腰、腰に」などと言いながら拾ったと思しき金属パイプを杖代わりによろよろと歩いているものの、動きに差支えが出るような怪我はない様子であった。
当事者がどれだけ苦しんでいても、一刻を争う被災現場では自力で避難が可能なのであればおのずと優先順位は低くなる。優秀な受験生たちは情に溺れることなく怪我をした者、恐怖のあまり自力で動けなくなっている者たちを優先し、少年は捨て置かれた。
ヒーローとは民衆に安心を与える者。
結果として多くを助けたが、お世辞にもヒーローらしいとは言えないその言動に教師陣がレスキューポイントの採点に非常に苦しむことになるのは完全な余談である。
しかし彼らの行いどれだけ
ヒトの行いである限り、取りこぼしは発生しうる。
(マズった、かも!)
瓦礫の崩落に巻き込まれ、ぶつけた頭。さらに右の足首が瓦礫の隙間に挟まってしまったらしく、いくら引っ張っても鈍痛がかえってくるばかりで抜けない。
彼女こそが自力で動けず、さらに避難誘導からもあぶれてしまった受験生であった。
葉隠が優秀な雄英高受験生たちの視界を逃れてしまったのにはわけがある。文字通りに彼女は目に見えない存在だったのだ。
個性『透明化』。
常時発動型のその“個性”により、彼女は常に透明人間なのだ。ただしその効果は自身の肉体のみに限定されるため、武器や防具の着用はかなり限定されることになる。言葉を飾らなければ全裸での活動が主となる。
試験前半はその特性が彼女の強みとなった。どうやらロボットたちはその索敵能力の大半を光学カメラに依存していたようで、葉隠は気づかれることなくロボットたちを破壊することができた。速度も火力も相手の存在を把握してこそ。
装甲は健在だが、不意打ちのアドバンテージは大きい。ヒーロー科を目指す生徒の例にもれず自己鍛錬を怠っていなかった葉隠にとって突破できない壁ではなかった。こういう機械には往々にして緊急停止用のスイッチが取り付けられるものだし、この仮想
また、快活な性格でありドッキリ好きな葉隠は試験の真っただ中でもその本領を発揮し、相手に気づかれないようにこっそり他の受験生の障害を取り除いたり、他の生徒を狙っているロボットを優先的に狙ったりしていた。自己満足といってしまえばそれまでだが、長年憧れたヒーロー科の試験の最中に、己の思い浮かべる理想のヒーロー像を
それが油断に繋がってしまったのだろうか。
せり上がってくる地面。天を衝く巨体。崩れる建物に、あそこにいたあの子は大丈夫かなと、一瞬自分から意識が逸れた。その隙に地面で砕けた瓦礫が葉隠の予想以上の距離を飛来し、頭部を掠めた。
直撃ではなかったこと、瓦礫自体がここまで飛んでくるだけあり比較的小粒で軽量なものであったのは不幸中のさいわいと言えるだろう。
こうなってしまっては仕方がない。
葉隠は余計なプライドとは無縁であった。助けを求めるために大きく息を吸い込み――吐き出す寸前で動きが止まる。
(
虚栄心と誇りの境界線はいったいどこにあるのだろうか。
葉隠はきっと、この
現代のヒーローの理想像はオールマイトである。すなわち『
困った時に助けを求めるのは悪いことではない。得意分野を担当し、苦手分野を仲間に任せるのはむしろ仕事ならば当然のことだ。
冷静に考えたら別の答えが出たのかもしれない。冷静に考えたら間違いなのかもしれない。しかしこのとき葉隠は念願のヒーロー科実技試験中に足を挟まれるという非常事態。間違いなく冷静ではいられなかった。
そして機を逃した。
ずしん、と振動が予想以上の震度をもって来訪を告げる。
(あ……)
特撮やテレビアニメの巨大ヒーローが実在した場合、映像通りの速度でキックが放たれたのならその先端速度はマッハを越えるという空想科学を聞いたことがあるだろうか?
巨大というのは鈍重というイメージとセットになることが多いが、それは巨体を人間の目でとらえる際に生じる錯覚だ。縮尺が異なれば、わずかな動きでも膨大な運動エネルギーが生み出される。
見上げる。
声が出ない。肺にため込んでいたはずの空気が全部どこかにいってしまった。
横隔膜が萎えてしまって呼吸の方法すらわからなくなる。
あくまでこれは入試の一環。ただの実技試験だ。
けが人は出ても死者は防ぐはず。
しかし、それはあくまで『認識できていれば』の話。
葉隠の『透明化』を認識できていなかったのは生徒の“個性”を活かし、試験に合格させるための意図的な仕様か。それとも本当に光学カメラに索敵を依存しているのか。
仮に後者の場合。その質量のみで凶器を通り越し災害たりうるこの巨大敵は、葉隠を器用に避けて進軍してくれるだろうか。
(だれか……)
目が合った。
よろよろと杖をつきながら逃げていた金髪の少年。
先ほど恥も外聞もなく大声で喚き散らし、結果として混乱の鎮静に一役買った受験生だ。
朦朧とした頭にあのキンキン声がやさしくなかったのを覚えている。
(感知系の“個性”? わたしを認識している。でも)
彼の瞳には恐怖が浮かんでいた。この距離からでも、人付き合いが得意な葉隠にはそれがはっきりとわかった。
物語の最強系主人公が無自覚な喝采願望の裏返しから『俺って弱いんだよね』『これくらい普通だろ』と宣うのとは根本的に異なる。
本当に自身を弱者と定義している。心の底から自分が弱いと思っている。その上で葉隠の窮地を認識してしまい、ヒーローとしての義務感と、現状を打破できるはずもない己の力不足との間で葛藤している。
そして潰れた。
「はうっ」
(えええええ~~~~!?)
助けてほしいと思わなかったといえばウソになる。期待も少し以上にしたかもしれない。
でもまさか葛藤の末にキャパシティオーバーから気絶するなんて、葉隠の想像の埒にある生態だった。
(これじゃ共倒れだよー。せめてキミだけでもにげて~~)
相変わらず横隔膜は萎えたままだが、酸欠の苦しさすら忘れ葉隠は名前もしらない男子生徒の無事を願った。
幸運の女神がちょこっとだけ微笑んでくれたのか、少年はすぐに起き上がった。
そのままクラウチングスタートを切るように前傾姿勢に移行する。逃げてくれとは願ったものの、そこまで全力で逃亡する意欲を見せられるとそれはそれで微妙な気分だ。
しかし気づく。彼の金髪がはっきり見える。
つまり葉隠の方を向いている。
逃げるなら、逆だ。
「シィイイイイイイイ」
呼吸音だと、葉隠が気づいたのはすべて終わって振り返ってからだった。
ビリビリと空気が振動する。
葉隠の窮地に気づいていなかった受験生たちも、何事かと周囲を見渡す。心なしか、巨大敵ですら一瞬その動きが止まった。
雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃・六連
轟。
受験生たちは突然の落雷が巨大敵に直撃し、その機能を奪ったのだと思った。晴天の霹靂を地で行くがごとき、こんな幸運もあるのかと。
はじめから終わりまでを見守った、葉隠を除いて。
巨大というのは重いということであり、バランスが悪いということだ。
ゾウとネズミと体形を比べると、骨格や足の裏の面積などからゾウがいかに自身の重量を支えるために苦心しているのかが見て取れる。その巨体を支える支点が破壊された巨大ロボットは、ひどくゆっくりと見える動きで崩れ落ちた。
荷が過ぎる大役を演じ終えた鉄パイプが砕け散る。
「えっ、わわっ、はわ!?」
気がつけば葉隠は彼に救助され抱きかかえられていた。いわゆるお姫様抱っこというやつ。葉隠を拘束していた瓦礫はあれほど絶望の化身のように思えたのに、少年の手であっさりとどかされる。
安堵と驚愕で横隔膜が息を吹き返し、葉隠は世界がぐらぐらと揺れるような心地の中で必死に呼吸を繰り返す。心臓はもうバクバクだった。
「ど、どうして……」
何を訪ねようとしたのか、口を動かす当人ですら定かでない。
答えはひどくシンプルだった。
「きみが助けを求める“音”をしていた」
先ほどの騒がしさとは打って変わって。
研ぎ澄まされた静謐さを満たし、凛と目を閉ざした状態で彼は気負いなく答えた。
頭では知っていた。心でもちゃんと憧れてもいた。
ここはヒーローを目指す人間が集まる場所なのだと。
でも今ようやく、葉隠は理解できた気がした。
(そっか。ヒーロー科ってこういうひとの場所なんだ)
合格したい。合格するんだと、試験前は気合十分。とても気負っていた自分だったけれど。
今はただ、自分もそこにいければいいな、なんて。
自分にもその資格があることを信じたい。
困難があれば乗り越えてこそのヒーローにあるまじき思考なのかもしれないけど、それがこのときの葉隠の偽らざる気持ちだった。
と、ここで終われば綺麗だったのだろうが。
鼻提灯がふくらみ、ぱぁんと割れる。
「ふがっ。ええええええええ! なにこれ、なにこれぇ!?
……ま、まさか。うおおおい、そんなに強いのなら先に言ってくれよぉ。助けなきゃってめちゃくちゃ焦ったじゃんかぁ。無事でよかったぁ。自力で解決できるんならさっさとしてくれってえ。俺がどんなに悩んだかわかってる?
ってか裸! うおおおおおお!? や、やわらかっ、いいにおいっ、そしてやわらかっ!! ぎゃあああああああ、いま俺ッ。女の子抱っこしてる!? えええはだか、はだかナンデ! ひあああああ!! ひでぶ!?」
命の恩人にあんまりだよーと透の脳裏でささやく
全力で平手打ちした彼女の対応は間違っていなかったと、十人いれば十三人が認めてくれることだっただろう。
乙女心は時と場合により、恩義より優先されるのだ。
【雄英こそこそ話】
少年マンガってインパクト重視でトンデモ数値が挿入されるのって珍しくないけど、作中の描写を見る限り実技試験の会場はA~Gまでの7つ。
定員36名の300倍、約10800人の受験生がそこに割り振られるのなら一ブロックあたり1500人以上の受験生が配置される計算になるよ。スタート地点から『ハイスタート』で一斉にダッシュすればそれだけで事故で死者が出そうな人口密度だよね。
さらにえばその人数を『完全審査制』でレスキューPを配点しているわけだよ。いくら雄英高の教職員がハイスペックでも過労死は免れないかな☆
そんなわけで、当作品では無駄な死者を出さないために『受験は都道府県別に、数日に分けて開催される』という説を勝手に採用しているよ。