Gerthena   作:mashi

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偽りの幸せ

この世界は最高だ!

 

 

お外に出れば、太陽は輝き、見渡す景色は様々な彩を与え、私を刺激する。おうちに帰れば、優しいパパとママが温かく私を迎えてくれて、用意してくれるご飯はとっても美味しい!

 

 

そして、私の隣にはかけがえのない親友もいる。いや、私たちは家族なんだ。あなたと私は姉妹・・・。さて、どっちがお姉ちゃんだったんだっけ。

 

 

私はこの世界に出てきて、初めて学校というものに通った。お勉強はちょっと難しかったけど、私のまだ知らないことを教わることはとっても楽しかった。

学校ではお友達もたくさんできたんだ。私に言い寄ってくる男の子もいたんだけど、私、大人な(ひと)が好みなの。私の「お父さん」みたいなね・・・。

 

 

 

今日はパパが映画館に連れて行ってくれた!とっても大きな画面で見る映像はすごく迫力があった。確かにあっちの世界の絵の迫力もすごいんだけど、見飽きちゃったから。今はこっちで大満足!

 

 

帰りにはレストランでディナー。おおきなステーキを私はあっという間にペロリと食べちゃうんだ!

あ、ねぇねぇ!それ、残すんなら頂戴!

 

 

おうちに買ってきたら、もう眠たくなっちゃうんだ。歯磨きして、お風呂に入って、寝る支度をするのは少し億劫。でもちゃんとしないとママに叱られちゃうんだ。

 

 

支度を終えた私たちはソファーにどかっと座る。

ねぇねぇ。新しいシャンプー。やっぱりいい香りだと思わない?私が選んだんだよ!

さぁ、明日は何をしよう?丘に綺麗な花が咲いてるみたいだから、摘みに行こうか?男の子たちが釣りをしに行くとか言ってたから、邪魔をしに行ってあげようか?それともおうちでゴロゴロ?ああ、やりたいことはたくさん・・・。

 

 

ベッドに行かなきゃいけないけど、微睡みが私を襲う。うつらうつらとするそのなかでこの家に飾られた一つの油絵が私の目に入った。

 

 

ああ、嫌なものを見た。もうあっちの世界には帰らないってのに。

 

 

この世界には私の理想の全てが詰まっている。本でしか読んだことの無い世界。絵でしか見たことのない景色。無機物ではない、生きた家族、友達。

 

 

みんなみんな、私の宝物。あの男があっちの世界に居続けてくれれば、私はこっちの世界で自由なんだ!

 

 

・・・いやだ。やだ。やだ。また一人ぼっちになるのは嫌だ・・・。

 

 

「・・・アリー。メアリー。ベッドで寝ないと。叱られちゃうよ。」

「・・・・ん?ああ。大丈夫・・・・ちゃんと起きてるよ。」

 

 

もうこの生活を手放したくない。たとえ偽りであってもいい。この幸せがもう少しだけでも、私の手の中に・・。

 

 

眠たくてふらふら歩く私を彼女は優しく介抱しながら、私たちは寝室へと向かう。

 

 

横目にちらりと映る彼女の横顔は既に見慣れたものだけど、そこに時折何故だか不安を感じてしまう。

 

 

ねぇ。私たち。ずっと一緒に居られるよね?あんな男より、私の方がずっといいよね?時折あなたは何かを思いだそうとして、悲しい顔をする。でも、でも、

 

 

「メアリー。電気消すね。おやすみ。」

「うん。おやすみ」

 

 

私はベッドのなかで、そっと彼女の腕を抱きしめる。

 

 

うふふ・・怖いものなんてないんだから。ずっと一緒に居ようね・・イヴ。

 




筆者がメアリー推しなのは秘密
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